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住宅購入の諸費用は節約できる|交渉できる費用・できない費用

マイホーム購入に際しては、さまざまな諸費用がかかってきます。

支払い先は金融機関や不動産会社、保険会社などさまざまで、つい必ずかかる「定価」のように考えてしまいがちです。

ところが、諸費用のなかには節約することが可能なものがいくつかあり、なかでも新築物件の諸費用は、交渉次第で値引きしてくれる場合があるのです。

ただし、最初に大事なことをお伝えしておきます。諸費用には「法律で金額が決まっていて動かせないもの」と「事業者の裁量で決まる=交渉の余地があるもの」の2種類があります。ここを取り違えると、交渉しても意味のないところに労力を使ってしまいます。まずはこの区別から見ていきましょう。

まずは「動かせる費用」と「動かせない費用」を分ける

諸費用の種類 交渉の余地 ポイント
仲介手数料 あり 法令で決まっているのは「上限」だけ。上限以下であればいくらでもよく、事業者の裁量で決まります
司法書士・土地家屋調査士への報酬 あり 報酬額は自由に設定できます。見積りの内訳を出してもらいましょう
火災保険料 あり 保険会社・補償内容・契約年数で差が出ます。複数社の見積り比較が有効です
引越し費用 あり 時期と荷物量で大きく変わります
住宅ローンの事務取扱手数料 金融機関選びで変わる 値引きではなく「どの金融機関を選ぶか」で変わります。定率型か定額型かも要確認
登録免許税・印紙税・不動産取得税 なし(税金) 税率が法律で決まっているため交渉できません。軽減措置の対象になるかを確認します

交渉できるのは、あくまで「人が受け取る報酬」の部分だと覚えておくと迷いません。税金の部分は、値切るのではなく「使える軽減措置を漏らさない」という発想で臨みます。

新築物件にかかる諸費用のからくり~仲介手数料

新築物件のなかでも、建売住宅には企業間のしがらみが諸費用に大きく影響する場合があります。

まず不動産仲介会社(以下、業者と表記します)ですが、通常、売主である住宅会社は1箇所の販売物件を業者1社に単独で販売委託します。業者はこの販売委託を受けることで、利益を得る機会を獲得することになります。

そして買主を見つけ契約・引渡しをすれば、買主から仲介手数料をもらえるのですが、その仲介手数料は売主の住宅会社からももらえるのです。

仮に、買主から仲介手数料をもらえなくても、売主の住宅会社からは確実にもらえるわけです。そのため、買主側の仲介手数料については、業者側の裁量となり、値引き交渉が可能であるということになるのです。

ここで押さえておきたいのが、仲介手数料として請求される金額は「上限」であって「定価」ではないということです。国土交通省の告示で、宅地建物取引業者が受け取れる報酬の上限は次のように決められています。

・売買価格200万円以下の部分…5%
・200万円超400万円以下の部分…4%
・400万円超の部分…3%
(いずれも別途消費税がかかります。400万円を超える取引では「売買価格×3%+6万円」+消費税という速算式が使われます)

たとえば売買価格3,000万円なら、3,000万円×3%+6万円=96万円に消費税を加えた105万6,000円(税込)が上限です。「これが決まりです」と言われても、これは上限額であって、それ以下で契約すること自体は制度上まったく問題ありません。

なお、売買価格800万円以下の「低廉な空家等」については特例があり、上限が33万円(税込)まで引き上げられています。手間のわりに報酬が少なくなりがちな空き家の流通を促すための措置です。安い物件だからといって手数料も比例して安くなるとは限らない点は知っておきましょう。

そしてもう一つ大切なのがタイミングです。宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方では、媒介契約の締結に際して、あらかじめ上限の範囲内で報酬額を依頼者に説明し、合意する必要があるとされています。つまり交渉するなら「媒介契約を結ぶ前」。契約後や決済直前に切り出しても、話が動く余地はほとんどありません。

新築物件にかかる諸費用のからくり~登記費用

司法書士や土地家屋調査士(以下、士業と表記します)などに支払う登記費用についても、企業間のしがらみが影響する場合があります。

士業は住宅会社が建売の用地を購入する際に、登記費用がもらえます(売主費用)。さらに、建売を引渡す際に買主が支払う登記費用ももらえます(買主費用)。

通常、士業は1社で住宅会社1支店のすべての登記を任されることになりますので、士業にとって住宅会社は、利益をもたらしてくれる「大切なお客様」ということになるわけです。

いったん任されれば、あとは流れ作業をこなすだけで、毎月発生する用地購入による売主費用と、引渡しの登記による買主費用がもらえるのです。ですから仮に、1件の登記費用で値引きが発生したとしても、全体から見れば影響は少ないため、これも士業側の裁量で交渉が可能であるということになるのです。

ここで注意したいのが、見積書に書かれた「登記費用」は、登録免許税(税金)と士業の報酬が合算されていることが多い点です。値引きの余地があるのは報酬の部分だけですので、まずは内訳を分けて出してもらいましょう。それだけで「どこが交渉できるのか」が一目でわかります。

登録免許税のほうは、一定の要件を満たす住宅であれば軽減措置の対象になります。国土交通省によると、住宅用家屋の所有権保存登記は0.15%、所有権移転登記は0.3%に軽減されます(令和9年3月31日まで)。さらに認定長期優良住宅なら保存登記0.1%、移転登記は戸建て0.2%・マンション0.1%と、いっそう引き下げられます。軽減を受けるには住宅用家屋証明書などの書類が必要ですので、司法書士に「この物件は軽減の対象になりますか」と確認しておきましょう。

交渉するときの3つのコツ

1. 早い段階で、内訳つきの見積りをもらう
「諸費用一式」ではなく、項目ごとの金額を出してもらいます。内訳が見えないと、どこに交渉の余地があるのか判断できません。

2. 相見積りは「同じ条件」でそろえる
火災保険なら補償範囲・水災の有無・契約年数、引越しなら荷物量と日程をそろえないと、安く見えるだけで実は補償が薄い、という比較になってしまいます。

3. 金額以外の条件もセットで見る
値引きの金額だけにこだわりすぎないことも大切です。過度な値引きを要求すると、相手も人ですからサービス面がおろそかにされてしまう恐れがありますので、ほどほどにされた方が良いかと思います。

他にも、「インターネット一括見積りサイト」などを利用して、火災保険料や引越し費用の節約も試してみると良いでしょう。

じつは効果が大きい「住宅ローンの選び方」

見落とされがちですが、諸費用のなかでも金額が大きいのが住宅ローンの事務取扱手数料です。ここは値引き交渉ではなく、どの金融機関を選ぶかで決まります。

見るべきは次の3点です。

・事務取扱手数料…借入金額×一定率の「定率型」か、金額固定の「定額型」か
・保証料…必要か不要か。必要な場合は一括前払いか金利上乗せか
・団信の上乗せ金利…一般団信は0円でも、がん保障などを付けると上乗せがある場合があります

たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、保証料と一部繰上返済手数料がかからず、一般団信の上乗せ金利も0円で、事務取扱手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型と、費用の内訳がシンプルにまとまっています。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、「何にいくらかかるのかを整理しながら決めたい」という方にも比較しやすい選択肢の一つでしょう。

金利の低さだけで選ぶのではなく、金利+事務手数料+保証料+団信を合わせた総額で見比べてみてください。数十万円単位の差になることも珍しくありません。

諸費用の交渉でよく聞かれること

Q. 仲介手数料の値引きをお願いすると、対応が悪くなりませんか?
可能性はゼロではありません。だからこそ、金額だけを一方的に求めるのではなく「予算が厳しいので相談したい」という形で、媒介契約の前に率直に伝えるのが現実的です。応じてもらえなくても、理由を聞けば納得して進められます。

Q. 売主から直接買えば仲介手数料はかかりませんか?
売主である不動産会社から直接購入する場合(売主物件)は、仲介が入らないため仲介手数料はかかりません。物件広告の「取引態様」の欄で、売主か媒介(仲介)かを確認できます。

Q. 諸費用は住宅ローンに含められますか?
金融機関によっては、諸費用まで含めて借りられる商品や、別枠の諸費用ローンを用意しているところもあります。ただし対象になる費用の範囲・上限・金利は金融機関ごとに異なりますので、必ず各行の公式サイトや窓口でご確認ください。

Q. 火災保険は不動産会社に勧められたものに入るしかありませんか?
いいえ、保険会社は自由に選べます。ただし住宅ローンを利用する場合、金融機関が求める補償内容(建物の火災補償など)を満たす必要がありますので、条件を確認したうえで比較してください。

まとめ|税金は動かせない、報酬は相談できる

諸費用は「定価」ではありません。税金は動かせないが、報酬は交渉できる——この区別さえ押さえておけば、限られた時間と労力を効果のあるところに集中できます。

そして、もっとも効果が大きいのは、じつは値引き交渉よりも住宅ローンそのものの選び方です。内訳つきの見積りを早めにそろえ、金融機関は総額で比べる。この2つを実践するだけで、手元に残るお金はずいぶん違ってきます。

なお、報酬の上限や税の軽減措置は改正されることがあります。最新の内容は国土交通省・国税庁や、各不動産会社・金融機関の公式サイトでご確認ください。

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