- 公開日: 2026.10.06
- 中古物件の購入
中古マンションの住宅ローン控除|築年数要件廃止と最新条件

中古マンションでも、1982年(昭和57年)1月1日以後に建てられた物件なら、築年数にかかわらず住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けられます。かつての「築25年以内」という条件は2022年の改正でなくなり、2026年入居分からは省エネ性能の高い中古住宅の控除期間が13年に延びました。
この制度は数年おきに内容が変わり、ネット上には古いルールのまま書かれた解説も残っています。ここでは2026年10月時点の内容を、はじめての方にも分かるように順を追って整理します。
まず押さえたい、住宅ローン控除の基本
住宅ローン控除は、年末時点の住宅ローン残高に一定の率をかけた金額が、その年の所得税(引ききれない分は翌年度の住民税の一部)から差し引かれる制度です。
現在の控除率は0.7%。たとえば年末のローン残高が2,000万円なら、その年の控除額は14万円という計算になります(住宅の区分ごとに上限あり)。
ここで大事なのが、控除は「税金が戻る(安くなる)」制度であって、補助金がもらえるわけではないという点です。もともと納めている所得税・住民税が少ない方は、計算上の控除額を使い切れないこともあります。「満額戻ってくる」と思い込んで資金計画を立てないよう気をつけましょう。
中古マンションで控除を受けるための条件
中古住宅を取得して住宅ローン控除を受けるには、次の要件をすべて満たす必要があります(国税庁の説明にもとづく主な要件)。
| 要件 | 内容 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 自分が住むこと | 取得の日から6か月以内に入居し、その年の12月31日まで引き続き住んでいること | 投資用・別荘・セカンドハウスは対象外 |
| 所得の上限 | 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下 | 以前は3,000万円以下。2022年の改正で引き下げられた |
| 床面積 | 登記簿上の床面積が40㎡以上(2026年入居分から緩和。ただし合計所得1,000万円超の方と、子育て世帯等の上乗せを使う方は50㎡以上) | マンションは専有部分の登記簿面積で判定。広告のパンフレット表示とズレることがある |
| 返済期間 | 10年以上にわたって分割返済する借入金であること | 親族・知人からの借入金は対象外 |
| 建築時期・耐震性 | 1982年(昭和57年)1月1日以後に建築された住宅であること(それ以前の物件は耐震基準への適合を証明できればOK) | ここが2022年に大きく変わった部分(次章で詳しく) |
| 取得先 | 生計を一にする親族や特別な関係のある人からの取得でないこと。贈与による取得でないこと | 親から相場より安く買うケースは要注意 |
| 他の特例との重複 | 入居年とその前2年・後3年の計6年間に、居住用財産の譲渡所得の特別控除などの特例を受けていないこと | 買い替えで前の家を売る方は必ず確認 |
住宅ローンの契約者が仕事の都合などで一時的に別のところに住むケースはどうなるのでしょうか。国税庁は、こうしたやむを得ない事情があった場合、その事情が解消してから6か月以内に住み始めればよいという取扱いを示しています。家族が先に入居していて本人が後から合流する、といった事情がある方は、税務署に確認しておくと安心です。
中古住宅の要件は、国税庁のNo.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)で確認できます。新築との違いは住宅ローン控除の条件は新築と中古でどう違うかでも整理しています。
「築25年以内」の条件は、もうありません
中古マンションを検討する方がいちばん気にしていたのが、かつての「マンションなどの耐火建築物は築25年以内でなければ控除を受けられない」という条件でした。木造など非耐火の住宅は築20年以内、という決まりもありました。
この築年数の要件は、2022年(令和4年)の改正で廃止されました。いまは築年数の代わりに、「1982年(昭和57年)1月1日以後に建築された住宅であること」=新耐震基準で建てられていることが要件になっています。
これは中古マンション選びに大きく効きます。たとえば1990年代に建てられたマンションは、以前のルールなら築25年を超えた時点で控除の対象外でしたが、現在は築年数が何年経っていても、1982年1月以降の建物であれば控除の対象です。「築が古いから控除は無理」と最初から候補を外してしまうのは、もったいない判断になりかねません。
では、1981年(昭和56年)12月31日以前に建てられた物件はどうなるのでしょうか。この場合も、次のいずれかで耐震基準への適合を証明できれば控除を受けられます。
- 取得の日前2年以内に調査が終わった耐震基準適合証明書
- 取得の日前2年以内に評価された建設住宅性能評価書(耐震等級1以上)
- 取得の日前2年以内に締結した既存住宅売買瑕疵担保責任保険(既存住宅かし保険)の付保証明書
また、これらに当てはまらない古い物件でも、引き渡し前に耐震改修の申請をし、入居する日までに耐震基準に適合したことを証明できれば控除の対象になる(要耐震改修住宅)という道が用意されています。証明書の取得はタイミングが命で、引き渡し後に慌てて動いても間に合わないことがあります。古い物件を検討するなら、売買契約を結ぶ前に不動産会社へ「証明書はどう手配するか」を必ず確認してください。
2026年(令和8年)入居からの改正ポイント
住宅ローン控除は2025年(令和7年)末で期限を迎える予定でしたが、令和8年度税制改正で適用期限が5年間延長され、2026年1月1日から2030年12月31日までに入居した場合も対象になりました(関連する税制法は2026年3月31日に成立)。
国土交通省「住宅ローン減税」が公表している改正のポイントのうち、中古マンションを買う方に関係が深いのは次の3つです。
| 改正点 | 内容 | 意味すること |
|---|---|---|
| 省エネ性能の高い既存住宅の優遇拡充 | 借入限度額を引き上げ、控除期間を10年から13年に拡充 | 断熱・省エネ性能の高い中古物件を選ぶメリットが大きくなった |
| 子育て世帯・若者夫婦世帯への上乗せ | 借入限度額の上乗せ措置の対象に | 該当する世帯はより多くの控除を受けられる可能性がある |
| 床面積要件の緩和 | 40㎡以上に緩和(合計所得1,000万円超の方、上乗せ措置を使う方は50㎡以上) | コンパクトな中古マンションも対象になりやすくなった |
借入限度額は「住宅の省エネ性能」と「世帯の属性」の組み合わせで決まります。2026年〜2030年に中古住宅(既存住宅)へ入居する場合は、次のとおりです。
| 中古住宅の省エネ性能 | 借入限度額(一般世帯) | 借入限度額(子育て世帯・若者夫婦世帯) | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 認定住宅(長期優良・低炭素)・ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円 | 3,000万円 | 13年 |
| 上記以外の住宅 | 2,000万円 | 上乗せなし | 10年 |
2026年10月時点・国土交通省「住宅ローン減税」および同Q&Aにて確認。子育て世帯は19歳未満の子がいる世帯、若者夫婦世帯は夫婦のどちらかが40歳未満の世帯です。
たとえば子育て世帯がZEH水準の中古マンションを買い、年末残高が4,500万円あれば、1年の控除額は最大31万5,000円(4,500万円×0.7%)です。一方、省エネ性能を証明できない物件だと限度額は2,000万円・期間も10年にとどまります。同じ中古マンションでも、省エネ性能の証明が取れるかどうかで控除の総額が大きく変わるわけです。
注意したいのは、床面積が40㎡台の物件は子育て世帯等の上乗せの対象にならないことです。コンパクトな物件を検討している子育て世帯の方は、一般世帯の限度額で計算しておきましょう。気になる物件が省エネ基準を満たすかどうかは、売主や仲介会社に「住宅省エネルギー性能証明書は出せますか」と聞くのが早道です。
控除を受ける手続き=1年目は確定申告
条件を満たしていても、手続きをしなければ控除は受けられません。会社員の方も、入居した翌年に一度だけ確定申告が必要です。
- 1年目…入居した翌年に確定申告。「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」、金融機関から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」、家屋・土地の登記事項証明書、売買契約書の写しなどを添えて提出します。1981年以前の建物なら、耐震基準適合証明書などの証明書類も必要です。
- 2年目以降…会社員の方は年末調整で手続きできます。税務署から送られてくる控除証明書と、金融機関の年末残高等証明書を勤務先に提出すればOKです。
還付金は、確定申告が終わってからおおむね1か月〜2か月ほどで指定口座に振り込まれます。なお、登記事項証明書は計算明細書に不動産番号を書くことで添付を省略できます。
よくある質問
Q. 中古マンションだと控除期間は何年ですか?
A. 省エネ基準に適合することを証明できる中古住宅なら、2026年入居分から13年です。証明できない物件は従来どおり10年なので、性能を示す証明書が取れるかを早めに確認しましょう。
Q. 夫婦でペアローンを組む場合はどうなりますか?
A. 夫婦それぞれが住宅ローンを借りていれば、それぞれが自分のローン残高にもとづいて控除を受けられます。床面積は持分ではなく建物全体(マンションなら専有部分全体)の面積で判定し、所得要件は一人ひとり判定されます。
Q. 40㎡台の中古マンションでも控除は受けられますか?
A. 2026年入居分からは、合計所得1,000万円以下の年であれば40㎡以上の物件も対象です。ただし子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せは50㎡以上が条件なので、40㎡台では一般世帯の限度額が適用されます。
Q. リフォーム費用もローンに含めれば控除の対象になりますか?
A. 中古住宅の取得とあわせて行う増改築等は、要件を満たせば控除の対象になり得ます。ただし工事の内容や契約のタイミングで扱いが変わるため、契約前に税務署か税理士に確認するのが確実です。
Q. 控除期間中に繰上返済しても大丈夫ですか?
A. 繰上返済はできますが、控除額は年末のローン残高で決まるため、残高を早く減らすと控除額も小さくなります。減る利息と減る控除額を比べてから判断するのがコツです。中古物件の選び方そのものは中古マンション購入前の確認ポイントも参考にしてください。
まとめ
中古マンションの住宅ローン控除で、いま押さえておきたいのは次の3点です。
- 「築25年以内」の条件はすでに廃止され、1982年1月1日以後に建築された住宅なら築年数を問わず対象になる
- 控除率は0.7%、合計所得2,000万円以下、返済期間10年以上などの要件を満たすことが必要
- 2026年入居分から制度が2030年末まで延長され、省エネ性能の高い中古住宅は借入限度額(最大4,500万円)と控除期間(13年)が拡充された
物件選びの段階で「この物件は控除の対象になるか」「証明書は誰が手配するか」を確認しておけば、あとから慌てずに済みます。制度の細かい金額や要件は改正のたびに変わります。実際に申告する際は国税庁・国土交通省の最新情報を確認し、判断に迷う場合はお住まいの地域の税務署にご相談ください。

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