- 公開日: 2026.10.06
- 住宅ローンガイド
住宅ローン控除の仕組み|条件・控除額・申告方法をやさしく解説

住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の0.7%を、最大13年間にわたって所得税から差し引ける制度です。所得税で引ききれない分は住民税からも一部が差し引かれ、マイホームを持つ人にとっていちばん大きな税の優遇といえます。手続きは1年目だけ確定申告が必要で、会社員なら2年目以降は年末調整で済みます。
「自分は対象になるの?」「何をどこに出せばいいの?」と迷う方も多いはずです。この制度はほぼ毎年のように内容が見直されているので、少し前の情報だと条件を勘違いしがちです。2026年(令和8年)の税制改正では、対象となる入居期限が2030年末まで延長されました。仕組みから手続きまで、順番に見ていきましょう。
住宅ローン控除とは?いつ、どこでするもの?
住宅ローン控除(住宅ローン減税)の正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。
年末の住宅ローン残高の0.7%を、最大13年間にわたって所得税から差し引ける(控除できる)というもので、納めすぎた税金が戻ってくるイメージです(国税庁 タックスアンサー No.1211-1)。
所得税から引ききれなかった分は、翌年の住民税からも一部が差し引かれます。「所得控除」ではなく税額そのものを直接減らす「税額控除」なので、効き目が大きいのが特徴です。
手続きは、1年目だけ確定申告が必要です。会社員の方も、最初の年は自分で申告することになります。2年目以降は勤務先の年末調整で手続きできるので、ぐっと楽になります。
確定申告の期間は原則として毎年2月16日〜3月15日です(還付申告は年明けから可能)。必要書類をそろえて、住所地を管轄する税務署に提出します。窓口に持参するほか、郵送やe-Taxでも提出できます。申告の具体的な進め方は住宅ローン控除の確定申告のやり方で詳しく解説しています。
2026年(令和8年)入居からの変更点=期限延長と中古住宅の拡充
ここが今いちばん大事なところです。令和8年度の税制改正で、住宅ローン減税は大きく見直されました(関連税制法は2026年3月31日に成立)。国土交通省「住宅ローン減税」が公表している改正のポイントは次のとおりです。
- 適用期限が5年間延長されました(入居日が2026年〈令和8年〉1月1日〜2030年〈令和12年〉12月31日までなら対象)
- 省エネ性能の高い「既存住宅(中古住宅)」への支援が拡充されました。①借入限度額の引き上げ ②子育て世帯・若者夫婦世帯への借入限度額の上乗せ ③控除期間を13年に拡充(省エネ性能の高い中古住宅の場合。それ以外の中古住宅は10年)
- 床面積の要件が、新築・既存ともに40㎡以上に緩和されました(ただし合計所得金額が1,000万円を超える方、子育て世帯等の上乗せ措置を使う方は従来どおり50㎡以上)
- 建築確認が令和10年以降の省エネ基準適合住宅は対象外に(登記簿上の建築日が令和10年6月30日までは対象)
- 入居日が令和10年以降の場合、土砂災害特別警戒区域などいわゆる災害レッドゾーンの新築住宅は対象外に(建替え・既存住宅・リフォームは対象)
「中古はすべて10年」という以前の説明は、もう当てはまりません。省エネ性能の高い中古住宅なら新築と同じ13年になるので、中古を検討している方ほど、物件の省エネ性能を確認しておきましょう。
なお、借入限度額(控除の計算に使えるローン残高の上限)は、住宅の省エネ性能と世帯区分の組み合わせで決まります。認定長期優良住宅・認定低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅・その他の住宅という区分に加えて、子育て世帯等(入居した年の12月31日時点で「19歳未満の扶養親族がいる世帯」または「夫婦のいずれかが40歳未満の世帯」)なら上乗せがあります。金額は区分ごとに細かく分かれているので、ご自身が当てはまる枠は上記の国土交通省のページで確認しておきましょう。
住宅ローン控除の対象と条件とは

対象になるのは、マイホームを新築・購入したり、増改築をしたりして、一定の住宅ローンを組んでいる方です。主な共通要件を整理すると、次のようになります。
| 要件 | 内容 | ここに注意 |
|---|---|---|
| 入居の時期 | 住宅の引き渡しまたは工事完了から6か月以内に住み始める | 控除を受ける年の12月31日まで住み続けていること |
| 所得 | その年の合計所得金額が2,000万円以下 | 床面積40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下 |
| 返済期間 | 10年以上にわたり分割返済する借入金であること | 親族・知人からの借入は対象外 |
| 床面積 | 登記事項証明書の床面積で40㎡以上(2026年入居から緩和) | 所得1,000万円超・上乗せ利用者は50㎡以上 |
| 用途 | 床面積の2分の1以上を自分の居住用に使う | 店舗・事務所併用でも建物全体で判定 |
| 中古住宅 | 耐震基準に適合するものとして証明等がされたもの | 「築20年以内・耐火建築物は25年以内」という築年数の要件はすでに撤廃 |
このほか、住宅の取得が生計を一にする親族など特別な関係のある人からのものではないこと、贈与による取得ではないこと、居住した年の前後に一定の譲渡所得の特例を受けていないこと、といった条件もあります。
とくに誤解が多いのが中古住宅の築年数です。かつては「築20年(耐火建築物は25年)以内」という基準がありましたが、現在は撤廃され、耐震基準への適合が確認できるかどうかで判断されます。築年数だけで諦めてしまわないようにしましょう。新築と中古の条件の違いは住宅ローン控除の条件は新築と中古で違うにまとめています。
控除額の計算のしかた
計算そのものはとてもシンプルです。
年末のローン残高(借入限度額が上限)× 0.7% = その年の控除額
たとえば年末のローン残高が2,500万円で、その住宅の借入限度額が2,500万円以上あるなら、
2,500万円 × 0.7% = 17万5,000円
が、その年に控除できる金額の上限になります。ただし控除できるのは、あくまで実際に納めた所得税(+住民税の一部)の範囲までです。計算上の控除額が大きくても、納税額が少なければその分しか戻りません。共働きでそれぞれがローンを組む場合と、どちらか一人で借りる場合とで戻る金額が変わるのはこのためです。
ひとつ知っておきたいのが、ここ数年で住宅ローンの金利水準そのものが上がっているという点です。たとえば住宅金融支援機構の【フラット35】(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下・団信付き)は、2026年10月の最も多い金利が年3.830%です(フラット35 公式 金利情報・2026年10月時点)。
控除率0.7%を大きく上回る金利で借りているなら、「控除があるから繰上返済しないほうが得」とは一概に言えません。控除の有無だけで判断せず、金利・残りの控除期間・手元資金のバランスで考えるのがおすすめです。
注意点をひとつ。繰上返済によって、当初の借入日から数えた返済期間が10年未満になってしまうと、その後は控除を受けられなくなります。大きな繰上返済を考えるときは、事前に税務署に確認してから実行しましょう。
必要書類の準備も忘れずに
1年目の確定申告では、次の書類が基本セットになります。
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(連帯債務がある場合は付表も)
- 金融機関から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
- 家屋の登記事項証明書など、床面積を明らかにする書類
- 工事請負契約書または売買契約書の写しなど、取得対価の額が分かる書類
- 土地の分も控除を受ける場合は、土地の登記事項証明書・売買契約書の写し
- 補助金等を受けた場合は、その額が分かる書類
- 認定長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅などの場合は、認定通知書の写しや住宅省エネルギー性能証明書などの性能を証明する書類
ここは以前と変わったポイントです。国税庁が示す現在の提出書類一覧に住民票は含まれていません(マイナンバー制度の導入により原則不要になりました)。
また給与所得の源泉徴収票も、2019年4月1日以後は確定申告書への添付・提示が不要です。申告書を作るときには金額の確認に使うので、手元には用意しておきましょう。古い解説を見て「住民票を取りに行かなければ」と慌てる必要はありません。
| 手続き | 1年目 | 2年目以降(会社員の場合) |
|---|---|---|
| 方法 | 確定申告(税務署へ) | 勤務先の年末調整 |
| 主な書類 | 計算明細書・年末残高等証明書・登記事項証明書・契約書の写しなど | 税務署から届く「住宅借入金等特別控除証明書兼申告書」+年末残高等証明書 |
| 時期 | 原則2月16日〜3月15日(還付申告は年明けから) | 毎年11〜12月ごろ |
なお、いわゆる「調書方式」に対応した金融機関から借りていて適用申請書を提出している場合は、提出書類の一部が異なります。ご自身の借入先が対象かどうかは、国税庁のサイトで公表されている金融機関一覧で確認できます。
「確定申告」と聞くと身構えてしまいますが、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に沿って金額を入力するだけで申告書と計算明細書が自動で作成できます。【フラット35】の公式サイトでも、必要書類から計算明細書・確定申告書の書き方の見本まで公開されていますので、あわせて参考にしてみてください。
よくある質問
Q. 会社員ですが、毎年確定申告が必要ですか?
A. 必要なのは1年目だけです。2年目以降は、税務署から届く証明書兼申告書と、金融機関発行の年末残高等証明書を勤務先に出せば、年末調整で手続きできます。
Q. 夫婦でペアローンを組んだ場合、二人とも控除を受けられますか?
A. それぞれが自分の借入分で要件を満たしていれば、二人とも受けられます。床面積や所得の要件は各自で判定し、書類もそれぞれ用意します。持分と借入額のバランスで効果が変わるので、契約前に確認しておくと安心です。
Q. 住宅ローンを借り換えたら、控除は止まりますか?
A. 新しいローンが元の住宅ローンを返すためのもので、返済期間が10年以上あるなどの要件を満たせば、引き続き受けられます。ただし借り換え後の残高が元の残高を上回るときは計算に調整が入り、控除の残り期間も延びません。
Q. 転勤で家を離れることになったら、控除はどうなりますか?
A. 住んでいない年は原則として控除を受けられませんが、要件を満たせば再入居後に再適用できる場合があります。手続きの流れは転勤になったら住宅ローン控除はどうなる?で解説しています。
Q. 中古マンションは築年数が古いと使えませんか?
A. 築年数そのものの要件は撤廃されています。現在は耐震基準に適合するものとして証明等がされているかが判断基準です。物件を決める前に、仲介会社に「住宅ローン控除の対象になるか」を確認しておきましょう。
まとめ
住宅ローン控除の骨格は、実はとてもシンプルです。
- 年末残高 × 0.7%を、最大13年間。所得税から引ききれない分は住民税からも
- 1年目は確定申告、2年目以降は年末調整
- 2026年入居からは適用期限が2030年末まで5年延長。省エネ性能の高い中古住宅は控除期間13年に拡充され、床面積も40㎡以上に緩和
- 借入限度額は「住宅の省エネ性能」×「世帯区分」で決まる。自分の枠は国土交通省のページで確認を
制度の中身は毎年のように変わります。物件を決める前に「その住宅で、自分はいくらの枠が使えるのか」を確認しておくことが、いちばん確実な節税につながります。判断に迷うときは、税務署や税理士に相談してみてください。制度や金利の最新の内容は、国土交通省・国税庁などの公式サイトでご確認ください。

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