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入居後にかかるお金の落とし穴|管理費・金利見直し・保険更新

Mさんは3年前に中古マンションを購入しました。 築年数が12年で状態も良く、LDKの壁クロス張替えとハウスクリーニングを施して入居しました。 1年前に給湯器に不具合が生じたため交換し、15万円の支出が生じました。 その時点で築年数は14年でしたし、設備業者からも設備機器が寿命であると言われたので、Mさんも止むを得ないと思っていました。 ところがその後、お金に関する問題がたて続けて起きてしまいます。 今回は、「うっかりミス」の3回目として、入居した後に発生する支出についてお話ししていきます。住宅ローンの返済額だけを見て資金計画を立てると、こうした「あとから効いてくるお金」に足をすくわれてしまうのです。

想定外の問題①~マンションのランニングコストがアップ

住宅ローンの返済以外に、マンションの場合は管理費・修繕積立金・駐車料金がかかります。Mさんのマンションでは、今年から管理費と修繕積立金が上がることになったのです。 購入の際、確かに管理費と修繕積立金の値上げが検討されていることは聞いていましたが、その額は合計で5,800円。 単独の金額としては大きくありませんが、さまざまな生活費を支払った上での加算ですので、少々痛いコストアップになります。 ここで知っておきたいのは、修繕積立金の値上げは決して珍しい話ではないということです。国土交通省の「令和5年度マンション総合調査」によると、修繕積立金の積立方式は段階増額積立方式が47.1%と、均等積立方式(40.5%)を上回っています。段階増額積立方式は、はじめは金額を抑え、年数の経過とともに引き上げていく前提の方式です。つまり、購入時点の金額がずっと続くとは限らないのです。
修繕積立金の積立方式の割合を示す棒グラフ。段階増額積立方式が47.1%で最も多い
約半数のマンションが「将来引き上げる前提」の段階増額積立方式を採用しています。
同調査では、月・戸あたりの修繕積立金は平均13,054円(駐車場使用料等からの充当額を除く)。中古マンションを検討するときは、長期修繕計画書と、直近の総会議事録・重要事項調査報告書を必ず見せてもらい、「今後いつ、いくらまで上がる予定か」を確認しておきましょう。ここを押さえておくだけで、入居後の驚きはぐっと減らせます。

想定外の問題②~住宅ローンの返済額が増える?

Mさんが組んだ住宅ローンは3年間固定金利のローンでした。ということは、今年が金利の見直し時期になります。メディアなどで大きく報道されていなかったこともあり、Mさんはさほど気にしていませんでした。 ところが、銀行の窓口でシミュレーションしたところ、返済額が約4,000円増えると言われました。よく見ると、適用される金利が上がっているのです。 なぜそうなるのか。理由は金利引き下げ(優遇)の仕組みにあります。住宅ローンの引き下げには、大きく2つのタイプがあります。 ・当初期間引き下げ型……固定金利の特約期間中だけ引き下げ幅が大きく、期間が終わると引き下げ幅が小さくなるタイプ ・全期間引き下げ型……借入期間を通じて同じ引き下げ幅が続くタイプ Mさんが選んでいたのは前者でした。当初3年間は大きく引き下げられていたぶん、特約期間が終わると引き下げ幅が縮小し、適用金利が上がってしまったのです。しかも管理費・修繕積立金の値上げと重なったため、合計で約1万円のランニングコストアップになってしまいました。 なお、金利の環境そのものも動いています。日本銀行は2026年7月31日の金融政策決定会合で政策金利を1.0%程度で据え置きましたが、2026年8月の適用金利では大手5行がそろって10年固定型を引き上げ、変動型は据え置きとしました。「特約期間が終わるころ、世の中の金利がどうなっているか」は誰にも読めません。だからこそ、特約期間が終わったあとの返済額を、借りる前に必ず試算しておくことが大切です。多くの金融機関では、引き下げ幅が縮小した前提での返済額を試算してもらえます。

想定外の問題③~うっかり忘れていた「更新」

家計において、数年に一度到来する「更新」という費用はなかなかのくせ者です。 Mさんは、マンション購入の際の諸費用が不足したため、火災保険の保険期間を3年で契約しました。 そのため今年が更新時期にあたっており、まとまった保険料の出費が発生してしまったのです。 さらにMさんは、マンションを購入した半年後に車を買い替えていて、その車の車検費用も今年かかってくることになるのでした。 ここで、火災保険については大きな制度変更があった点に注意してください。かつては10年、さらに以前は最長35年といった長期契約が可能でしたが、2022年10月1日以降を保険始期とする契約から、火災保険の保険期間は最長5年に短縮されています。自然災害の増加で、保険会社が長期の収支を見通しにくくなったことが理由です。 長期一括払いのほうが1年あたりの保険料は割安になりますので、今の制度のもとでは「5年契約の一括払い」がもっとも割安になりやすい選択肢です。逆に1年ごとの更新にすると、割安効果が得られないうえ、更新のたびに手続きと支払いが発生します。 住宅ローンは固定期間が短ければ当初の金利は低く、火災保険も期間が短ければ一度の負担は軽くなります。しかし安さを追求するあまり、先々発生する「見直し」や「更新」に目が行かなくなってしまう——Mさんの失敗はまさにここにありました。

入居後にかかるお金の早見表

入居してから発生する費用を、周期ごとに整理しておきましょう。購入前にこの表を眺めておくだけでも、資金計画の精度が変わります。
費目発生する周期気をつけたいこと
管理費・修繕積立金(マンション)毎月/数年ごとに改定段階増額積立方式なら将来上がる前提。長期修繕計画で改定時期と金額を確認
固定資産税・都市計画税毎年(多くは年4回に分けて納付)新築住宅の税額軽減は期間が決まっている。軽減終了後に負担が増える
火災保険・地震保険最長5年ごとに更新2022年10月から保険期間は最長5年。長期一括払いのほうが1年あたりは割安
住宅ローンの金利見直し固定特約の満了時/変動型は所定の時期当初期間引き下げ型は特約終了後に引き下げ幅が縮小する
設備の交換・修繕おおむね10〜15年ごと給湯器・エアコン・水回りなど。1回あたり十数万円になることも
車検・自動車関連2〜3年ごと住宅と時期が重なると負担が集中しやすい
こうして並べてみると、数年に一度、まとまった支出が重なる年が必ずやってくることがわかります。だからこそ、毎月の返済に加えて「更新・修繕のための積立」を家計に組み込んでおくのが安全です。目安として、月1〜2万円を専用口座に取り分けておくと、更新の年に慌てずに済みます。

よくいただくご相談

Q. 中古マンションを見に行くとき、お金まわりで何を見せてもらえばいいですか? 長期修繕計画書、修繕積立金の積立状況(総額と滞納の有無)、直近の総会議事録、重要事項調査報告書です。値上げや大規模修繕の予定はここに書かれています。 Q. 固定期間が終わったあとの返済額は、いつ確認できますか? 借りる前に確認できます。引き下げ幅が縮小した前提での返済額を試算してもらいましょう。「特約終了後の金利がどうなるか」は商品説明書にも記載があります。 Q. 火災保険は今から10年契約にできますか? 2022年10月以降を保険始期とする契約は最長5年です。10年契約は選べませんので、5年ごとの更新を前提に資金計画を立ててください。 Q. 給湯器などの設備はどのくらいで交換になりますか? 使用状況によりますが、おおむね10〜15年が交換の目安とされています。中古住宅では、購入時点で設備の使用年数を確認しておくと安心です。

まとめ

Mさんの3つの想定外は、いずれも「入居時点でいちばん安い形」を選んだ結果、数年後にまとめてツケが回ってきたという共通点があります。 ・管理費と修繕積立金は上がる前提で見ておく ・固定特約が終わったあとの返済額を、借りる前に試算しておく ・火災保険は最長5年。更新の年を家計カレンダーに書き込んでおく 資金計画は、不動産会社の担当者に任せきりにせず、購入経験のある知人の話や失敗事例にも触れながら、自分の目で確かめて進めていきましょう。先を見て決めた選択は、数年後の自分を助けてくれます。 ※本記事の統計・制度は2026年8月時点で公的資料をもとに確認したものです。保険や税制の取り扱いは変更されることがありますので、最新の情報は各保険会社・各金融機関・自治体の公式情報でご確認ください。

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