- 公開日: 2026.07.04
- 新築一戸建て・マンションの購入
住宅価格の値上げはなぜ続く?消費税・建築費高騰をやさしく解説

「モデルハウスで見た価格より、実際の見積もりがずいぶん高い……これって値上げされているの?」——マイホームを検討し始めた方から、こうした不安の声をよく聞きます。結論から言うと、住宅の価格は近年、はっきりと上昇傾向にあります。ここでは、これから初めて家を買う方に向けて、なぜ住宅は高くなっているのか、そして購入前・購入後にどんな「値上げ」が待っているのかを、やさしく整理してお伝えします。
まず前提として、消費税の動きを振り返っておきましょう。2014年4月に消費税が5%から8%へ引き上げられ、不動産の購入価格だけでなく、仲介手数料や各種手数料などにも影響が及びました。その後、10%への引き上げは当初2017年4月の予定でしたが、景気などを踏まえて延期され、実際には2019年10月1日から10%となりました(現在も10%です)。
住宅で見落としがちなのが、消費税がかかるのは「建物」だけで、「土地」は非課税だという点です。また、個人が売主の中古住宅(不動産会社を介さない個人間売買)は建物も非課税になります。とはいえ、税金以外の要因で価格そのものが上がっているのが今の状況です。
新築物件の価格は、今後も上昇していく?
景気が良くなって土地の値段が上がれば、不動産価格も上がる——これは想像しやすいでしょう。ただ、不動産は土地だけでなく建物もあり、実はその建物の価格が上がり続けているのが近年の特徴です。主な理由は次の4つです。
①建築資材の高騰:木材・鉄鋼・セメントなどの資材価格が、円安や世界的な需要増、エネルギーコストの上昇を背景に高止まりしています。建設資材の物価指数は2021年ごろから急上昇し、その後も高い水準が続いています。
②人件費(労務費)の上昇:建設業では人手不足と高齢化が進み、職人の賃金(労務単価)が年々上がっています。今後は資材費以上に人件費が建築費を押し上げるとの見方もあります。
③設備・性能の高機能化:耐震基準の厳格化で建物の基本構造が強化され、水回りなどの住宅設備も日々進化しています。さらに、2025年4月からは原則すべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務化され、高性能な断熱材や設備が標準になりつつあることも、コストを底上げする要因です。
④消費税の課税対象:①〜③はいずれも製品・技術・サービスの費用にあたるため、その多くが消費税の課税対象となり、最終的な販売価格に上乗せされます。
これらを踏まえると、土地の価格は景気次第で上下するものの、建物の価格が大きく下がる要素は今のところ乏しいと言えます。「もう少し様子を見よう」と待っている間に、建築費のほうが先に上がってしまうケースも少なくありません。
新築を買わなければ、価格上昇の影響を受けない?
新築は主に4つの要因で価格上昇の影響を受けやすい、とお話ししました。では、中古物件を買えば影響を避けられるのでしょうか。残念ながら、答えは「いいえ」に近いのが実情です。
中古物件では、購入と合わせて多くの方が大なり小なりリフォーム工事を行います。壁クロスを張り替えるだけの方もいれば、水回りを総入れ替えし、耐震補強まで施す方もいます。そのリフォーム工事にこそ、前述の資材高騰・人件費上昇・設備の高機能化・消費税といった要素が関わってくるのです。「中古=安い」とは一概に言えなくなっている点は、しっかり押さえておきましょう。
値上げは「購入するとき」だけではない?
新築でも中古でも、購入費用に価格上昇の要素があることはお分かりいただけたと思います。ところが、購入した「後」にも値上げが発生するものがあります。
マンションの場合、住宅ローンの返済とは別に、管理費と修繕積立金を管理組合に支払います。とくに修繕積立金は、一般的に数年ごとのサイクルで見直され、段階的に上がっていくのが通例です。新築当初は建物の傷みが少ないため負担は抑えられますが、年数が経つと外壁や配管などに傷みが出て、値上げ幅が大きくなることがあります。
価格が安いからと中古マンションを検討する場合は、こうした管理費・修繕積立金というランニングコストが将来上がりうる点も見込んでおく必要があります。さらに、火災保険・地震保険は築年数が古くなるほど保険料率が高くなる傾向があるため、その分も踏まえた資金計画が欠かせません。
初めての方が気になるQ&A
Q. 土地にも消費税はかかりますか?
A. いいえ。消費税がかかるのは建物部分だけで、土地は非課税です。個人が売主の中古住宅は建物も非課税になります(不動産会社の仲介手数料には消費税がかかります)。
Q. 建築費が上がっているなら、家を買うのは待ったほうがよい?
A. 一概には言えません。資材費・人件費の上昇はすぐには収まりにくいとされ、待っている間に建築費や住宅ローンの金利が上がる可能性もあります。値上げの背景を知ったうえで、ご自身の家計や資金計画に合うタイミングを見極めることが大切です。
Q. 値上がりに対して、買う側にできる対策はありますか?
A. 「総額」だけでなく、管理費・修繕積立金・保険料といった購入後にかかり続ける費用(ランニングコスト)まで含めて見積もること、そして無理のない返済額から逆算して予算を決めることが基本の対策になります。住宅ローンの金利タイプや諸費用の比較も、総返済額を左右する重要なポイントです。
まとめ
消費税は2019年10月から10%となり、加えて建築資材や人件費の高騰、省エネ基準の適合義務化などが重なって、住宅の価格は上昇傾向が続いています。これらの値上げを完全に避けることはできません。
しかし、「なぜ・どこで値上げが起きるのか」を知っていれば、心構えができ、対策も立てられます。購入時の価格だけでなく、購入後のランニングコストや保険料まで見通した資金計画を立てること。そして、住宅ローンの金利や諸費用をしっかり比較して、総返済額を抑える工夫をすること。まずはそこから、はじめの一歩を踏み出しましょう。

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