- 公開日: 2026.08.11
- 住宅ローンの注意点
「家賃並み」「自己資金ゼロ」は本当?住宅ローンの注意点

一戸建てやマンションの購入を考えはじめると、いくつものハードルが見えてきます。その中でも真っ先に思い浮かぶのが「住宅ローン」という方は多いのではないでしょうか。
広告でよく見かける「家賃並みの返済で購入可能」「自己資金ゼロで購入可能」というフレーズ。目にした瞬間、「それなら自分にも買えるかもしれない」と感じますよね。でも、この言葉はそのまま受け取ってよいのでしょうか。
ここでは、住宅ローンと自己資金、そして毎月の支払いについて、はじめての方にもわかるようにかみ砕いて整理していきます。
新築マンションの購入、どのような費用が掛かるの?
まず、新築マンションを購入するときにかかる「物件価格以外の費用(諸費用)」を並べてみます。
| 諸費用の種類 | どんな費用か | ひとことメモ |
|---|---|---|
| 所有権保存登記の費用 | 購入した部屋(区分)の所有権を登記するための費用 | 登録免許税+司法書士への報酬 |
| 抵当権設定登記の費用 | 住宅を住宅ローンの担保にするための登記費用 | 同上 |
| 住宅ローンの事務取扱手数料・保証料 | 借入れそのものにかかる費用 | 金融機関ごとに大きく違う |
| 修繕積立一時金 | 共用部分の修繕に備えて新築購入者が最初にまとめて払うお金 | マンション特有 |
| 印紙税 | 売買契約書・ローン契約書に貼る印紙代 | 軽減措置あり(後述) |
| 火災保険料・地震保険料 | 建物にかける保険の保険料 | 住宅ローン利用時は火災保険への加入が必要になるのが一般的 |
このほか、引越費用、新しく買いそろえる家財道具、不動産取得税など、購入代金以外の出費が続くことも覚えておきたいところです。
なお、売買契約書や工事請負契約書に貼る印紙税には軽減措置があり、2027年(令和9年)3月31日までに作成される契約書が対象です(不動産譲渡契約書は契約金額10万円超、建設工事請負契約書は100万円超のものが対象)。金額の詳細は国税庁のページで確認できます。
諸費用は住宅ローンに含められるの?
「諸費用も全部ローンで払えるなら自己資金ゼロで買える」——ここが多くの方のつまずきポイントです。結論からいうと、商品によって扱いが違います。
- 【フラット35(新規借入れ)】借入額の上限は「建設費または購入価額以内」と決められています。つまり、登記費用や火災保険料といった諸費用は原則として借入れの対象外です(借換えの場合は、印紙代・融資手数料・登記費用・司法書士報酬・繰上返済手数料などが対象になります)。
- 【民間の住宅ローン】諸費用を借入額に含められる商品や、諸費用専用のローン(諸費用ローン)を用意している金融機関もあります。ただしどこまでを対象にするかは金融機関ごとに異なるため、必ず公式サイトや窓口で確認してください。
「借りられる=負担がなくなる」ではありません。諸費用を借入れでまかなえば、その分だけ借入額が増え、利息も増えるという当たり前の事実は残ります。
「オーバーローン」の枠組み
諸費用まで含めて借りる方法は、事実上「オーバーローン」の枠組みに近い、と言うことができます。
どういうことかと言いますと、新築不動産の価格には売主会社側の利益や広告費なども含まれているため、引き渡された瞬間の実質的な資産価値は、販売価格をそのまま維持するとは限りません。そこにさらに諸費用ぶんを上乗せして借りれば、資産価値に対して借入残高が大きい状態からスタートすることになります。
それが何をもたらすかというと、売却したいときにローン残高が売却価格を上回ってしまい、「売りたくても売れない」という状態です。売却するには差額を自己資金で埋める必要があるため、住み替えや転勤といったライフイベントへの対応が難しくなります。可能な限り、将来の売却まで見据えた資金計画を組むようにしましょう。
この点は、いまの金利環境ではとくに意識しておきたいところです。日本銀行が2026年8月10日に公表した7月30・31日開催の金融政策決定会合の「主な意見」には、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当」「利上げのペースが市場の想定より早まることも考えられる」といった利上げに前向きな意見が並んでいます。ただしこれは各委員の意見であって決定ではなく、この会合自体は政策金利を1.0%程度で据え置いています。借入額が大きいほど、金利が動いたときに返済額が受ける影響も大きくなる——この関係だけは覚えておいて損はありません。
「毎月の返済が家賃並みなら、今と変わらない生活ということ?」
住宅ローンの返済額だけを見れば、そのとおりかもしれません。しかしマンションの場合は、返済とは別に管理費・修繕積立金・駐車場使用料・毎年の固定資産税などがランニングコストとしてのしかかってきます。
国土交通省の「令和5年度マンション総合調査結果」によると、1戸あたり月額の平均は管理費が11,503円(駐車場使用料等からの充当額を除く額)、修繕積立金が13,054円でした。単純に足すと月額およそ2万5千円。これが住宅ローンの返済に上乗せされるイメージです。

しかも、修繕積立金は将来上がっていくことがあるという点に注意が必要です。新築分譲時の積立金は、当初の金額を低く抑えて段階的に値上げしていく「段階増額積立方式」で設定されていることがあり、そのまま将来の負担増につながります。国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)でも、将来にわたって安定的に積み立てる観点からは均等積立方式が望ましいとされています。
購入前に確認しておきたいのは、次の2点です。
- 提示されている修繕積立金が「均等積立方式」か「段階増額積立方式」か
- 段階増額の場合、いつ・いくらまで上がる計画なのか(住宅ローンの返済計画と重ねて無理がないか)
「自己資金ゼロ」で進める前に確かめたい3つのこと
- 手元にいくら残るか……引越費用・家具家電・当面の生活費まで借入れでまかなうと、貯蓄ゼロで新生活が始まります。急な出費に耐えられる現金は残しておきたいところです。
- 売るときに残高を返せるか……前述のオーバーローンの話です。数年以内に転勤や住み替えの可能性があるなら、より慎重に。
- 返済額が上がっても続けられるか……変動金利を選ぶ場合、将来の金利上昇で返済額が増える可能性があります。借入額が大きいほど、その影響も大きくなります。
よくある質問
Q. 諸費用ローンと、住宅ローンに諸費用を含める方法は何が違うのですか。
A. 諸費用ローンは住宅ローンとは別枠のローンで、住宅ローンより金利が高めに設定されることが一般的です。一方、住宅ローンの借入額そのものに諸費用を含められる商品なら住宅ローンの金利が適用されます。どちらを使えるか、対象になる費用の範囲はどこまでかは金融機関ごとに異なるため、必ず公式サイトでご確認ください。
Q. 修繕積立金が将来上がると聞きました。目安はありますか。
A. 国土交通省のガイドラインでは、段階増額積立方式を採る場合でも、均等積立方式とした場合の金額を基準額として計画の初期額は基準額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内とする考え方が示されています。購入検討時に長期修繕計画を見せてもらい、この範囲に収まっているかを確認すると判断材料になります。
Q. 印紙税は今も軽減されているのですか。
A. はい。不動産の譲渡に関する契約書と建設工事の請負契約書については、2027年(令和9年)3月31日までに作成されるものに軽減税率が適用されます。適用の可否や税額は国税庁のページでご確認ください。
Q. フラット35は保証料や繰上返済手数料がかかりますか。
A. フラット35では保証料と繰上返済手数料は不要とされています(2026年4月1日現在の利用条件)。ただし融資手数料は取扱金融機関ごとに異なり、物件検査手数料も別途かかります。
まとめ——「買える」と「続けられる」は別の話
ここまで見てきたとおり、「家賃並みの返済で購入可能」「自己資金ゼロで購入可能」は、条件がそろえば成り立つけれども、そのまま生活費が今と同じになるわけではない、というのが実際のところです。
最初の一歩としておすすめしたいのは、物件価格ではなく「毎月出ていく総額」で考えること。住宅ローンの返済+管理費+修繕積立金+駐車場代+固定資産税(月割り)を足した金額を、いまの家賃と並べてみてください。ここが見えると、無理のない借入額もおのずと見えてきます。
金融機関を比べるときは、金利だけでなく諸費用のわかりやすさも見ておきたいポイントです。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、事務取扱手数料が借入金額×2.20%(税込)の定率型で、保証料が0円、一部繰上返済手数料も0円、一般団信の保険料の上乗せもありません。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているので、「まず誰かに聞きながら進めたい」という方にとっても検討しやすい選択肢のひとつです。もちろん、最新の金利・手数料・団信の内容は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
次回からは、一戸建て購入のケースや、物件選びのポイントなどに触れて行きたいと思います。

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