- 公開日: 2026.08.03
- ゼロから学ぶ住宅ローン
オープンハウス見学のポイント|内覧で見落とさないチェック法

前回は見学前のチェック項目と質問内容についてお話ししました。とはいえ、資料や間取図をどれだけ読み込んでも、実際に現地へ足を運んでからでないと分からないことは必ず残ります。
そこで今回は、物件見学(内覧)で「なんとなく良さそう」で終わらせないための、ワンランク上の見学法をやさしく解説していきます。初めての家探しでも、この順番でチェックしていけば大丈夫です。
さぁ、準備が整ったら見学スタート!
1.日当たり、風通し
特に北側の部屋や、キッチンなどは暗くなりがちです。電気を消した状態でどの程度の明るさになるかを確かめましょう。
また、方位コンパス(スマートフォンのアプリでも代用できます)を持参して、正確なバルコニーの方角も確認しておきましょう。
窓を開けて風が通るかどうかも大切です。向かい合う位置に窓があるか、隣の建物との距離はどのくらいかを見ておくと、住んでからの体感が想像しやすくなります。可能であれば「午前」と「午後」など時間帯を変えて2回見ると、日当たりの印象はかなり変わります。
2.間取り
間取図とメジャーを持参し、家具が納まるかどうかを確認します。
また、コンセントの数と位置を間取図に書き込んでおくと便利です。
さらに、水廻りなどの動線に不便を感じないかなども確認しておきましょう。
意外と見落としがちなのが「搬入経路」です。玄関ドアの幅、廊下の曲がり角、階段の幅、エレベーターの有無を見ておかないと、冷蔵庫やソファが入らない、という事態が起こります。今使っている大型家具のサイズを控えておくと安心です。
3.水廻り
ここで言う水廻りとは、設備機器(キッチン・トイレ・浴室・洗面台)と水道配管です。
設備機器は15年〜20年が交換の目安とされており、築年数が15年以上の建物で交換していない物件なら、交換費用の名目で価格交渉が可能となります。
また、おもに一戸建ての水道配管について、旧来の仕様は金属製のものが多く、経年劣化による漏水などの心配があるため、現在多く使用されている樹脂配管への交換費用を価格交渉の材料に使える可能性もあります。
あわせて、洗面台の下や壁際に水ジミ・カビ・不自然な補修跡がないかも見ておきましょう。過去の漏水のサインが残っていることがあります。
電気関係や周辺の環境のチェックも大切!
4.電気ブレーカー
一般的なブレーカーの容量は、一戸建てなら40〜60A、マンションなら40Aになっています。
購入後にオール電化やエアコンの増設を予定しているなら消費電力が大きくなるため、契約アンペアを引き上げられる物件かどうかを確認しておきましょう(マンションは建物全体の設計上、上限が決まっていることがあります)。
5.電波、ネットワーク
すべての部屋で携帯電話の電波状況をチェックします。
また、築年数の古いマンションであれば、インターネット回線の引き込み方式(光回線が各戸まで来ているか)や、BS・CS放送(4K・8K放送を含む)の受信ができる設備かどうかも確認しておきましょう。在宅ワークをする予定なら、ここは後から変更しにくい部分なので特に重要です。
6.周辺環境(近隣施設へのアクセスなど)
広告に表示されていた距離・時間と大きな違いが無いかを、実際に歩いて確認します。
面倒に感じるでしょうが、これから毎日暮らすかも知れない街を散歩のつもりで歩いてみましょう。
ここで知っておきたいのが、不動産広告の「徒歩◯分」は、道路距離80メートルにつき1分として計算するというルールです(1分未満の端数は切り上げ)。これは不動産業界の自主ルールである「不動産の表示に関する公正競争規約」の施行規則で定められているもので、信号待ち・坂道・踏切の待ち時間は考慮されていません。「駅徒歩8分」でも実際は12分かかる、ということは珍しくないので、必ず自分の足で歩いてみてください。
また、表示されていなかったり気付かない施設などがあるかも知れませんので、不動産会社に近隣の住宅地図をコピーしてもらうと便利です。
ハザードマップで「土地のリスク」も見ておく
建物の中はじっくり見ても、その土地が持つ災害リスクまでは見学だけでは分かりません。ここは必ず地図で確認しておきましょう。
不動産取引では、2020年8月28日から、水防法にもとづく水害ハザードマップ上で物件の位置を示して説明することが、重要事項説明の項目として義務づけられています(宅地建物取引業法施行規則の改正)。つまり契約前には必ず説明を受けられますが、見学の段階で自分でも見ておくと、そもそも候補にするかどうかの判断ができます。
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、洪水・土砂災害・高潮・津波のリスクを地図に重ねて表示できます。あわせて、次の点も現地で見ておくと安心です。
・周りの土地より低くなっていないか(雨水が集まりやすい)
・造成地の場合、盛土か切土か(不動産会社に確認できます)
・古い擁壁やブロック塀にひび割れがないか
なお、ハザードマップで色がついている=買ってはいけない、という意味ではありません。リスクを知ったうえで、火災保険・水災補償の付け方や避難経路を考えるための材料と捉えてください。
断熱・省エネ性能は「後から変えにくい」チェック項目
見た目のきれいさに比べて忘れられがちですが、断熱性能は住んでからの光熱費と快適さに直結し、後から変えるにはお金がかかる部分です。近年は制度も整ってきました。
2024年4月以降、住宅を販売・賃貸する事業者は、広告などで「省エネ性能ラベル」を表示することとされています(建築物省エネ法にもとづく制度で、事業者の努力義務。従わない場合には国が勧告等を行うことがあります)。星の数や数値で断熱性能・エネルギー消費性能が示されるので、複数の物件を同じものさしで比べられるようになりました。
さらに、2025年4月からは、原則としてすべての新築住宅に省エネ基準への適合が義務づけられています。これから建つ家は一定の断熱性能が確保される一方で、それ以前に建てられた中古住宅は性能に差があるということでもあります。
ラベルがない中古物件では、見学時に次のあたりを見ると手がかりになります。
・窓のサッシがアルミか樹脂(または複合)か
・ガラスが1枚(単板)か、2枚以上(複層・ペア)か
・玄関ドアや窓際で、冬に感じる冷気や結露の跡はないか
見学に持っていくと役立つもの
手ぶらで行くと「見たつもり」で終わってしまいます。次のものがあると、チェックの精度がぐっと上がります。
| 持ち物 | 見るポイント | 備考 |
|---|---|---|
| メジャー(3m以上) | 家具の設置スペース、玄関・廊下の幅 | 搬入経路の確認にも使う |
| 間取図のコピー | コンセント・スイッチ・窓の位置を書き込む | 複数物件を比べるときの決め手になる |
| 方位コンパス(スマホ可) | バルコニー・各部屋の方角 | 日当たりの判断材料 |
| スマートフォン | 電波状況、写真・動画(要許可) | 撮影は必ず担当者に一声かける |
| スリッパ・靴下 | 床のきしみ、傾き、冷たさ | 素足に近いほど分かりやすい |
| 筆記用具・懐中電灯 | 床下・天井裏の点検口、収納の奥 | スマホのライトでも代用可 |
できれば誰かに同行してもらおう
もし可能なら、信頼できる親戚や兄弟、友人などで購入経験のある方に同行してもらうのも良いでしょう。
購入意欲で熱くなってきた時に、客観的な視点でアドバイスしてくれると冷静になれるものです。
中古住宅で建物の状態が気になる場合は、ホームインスペクション(建物状況調査)という専門家による調査を利用する方法もあります。宅地建物取引業者には、売買の媒介契約時にこの調査を行う者のあっせんの可否を示すことが求められていますので、興味があれば担当者に相談してみてください。
見学と並行して、住宅ローンの準備も進めておこう
見学が進むと、気に入った物件は思っているより早く動きます。「いいな」と思ってから資金の話を始めると間に合わないことがあるので、見学と並行して次の3つを進めておくと安心です。
1. 諸費用を含めた総額で考える
物件価格のほかに、事務手数料・登記費用・火災保険料・仲介手数料などがかかります。目安として新築で物件価格の3〜5%程度、中古で6〜8%程度と言われることがありますが、物件や金融機関によって変わるため、必ず個別に見積もりを取りましょう。
2. 事前審査(仮審査)を受けておく
借入可能額の目安が分かり、売主に対して「買える人」だと示せます。申し込みの意思表示をするときの説得力が変わってきます。
3. 金利だけでなく「諸費用・団信・手続き」も含めて比べる
金利がわずかに低くても、事務手数料や団信の上乗せで総額が逆転することがあります。
たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、保証料が原則0円、一部繰上返済の手数料も原則0円、事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型で、費用の見通しを立てやすいのが特徴です。団信は一般団信の上乗せ金利が0円で、店舗での相談とオンラインでの手続きの両方に対応しています。なお同行は原則として事前審査を行わず本審査のみという進め方なので、他行と併願する場合は先に他行の事前審査を済ませておくとスムーズです。金利・手数料・団信の内容は改定されることがあるため、申し込み前に必ず公式サイトで最新の内容をご確認ください。
見学でよくある疑問(FAQ)
Q. オープンハウスは予約なしで行ってもいいですか?
「オープンハウス」は一定期間、室内を自由に見られるようにした販売手法なので、予約なしで入れることが多いです。ただし最近は感染症対策や混雑防止のために予約制にしているケースもあるため、広告や不動産会社のサイトで事前に確認しておくと確実です。
Q. 1回の見学で決めてしまって大丈夫でしょうか?
気に入った物件ほど、時間帯や曜日を変えてもう一度見ることをおすすめします。平日の朝と休日の昼では、日当たりも人通りも音の環境もまったく違って見えます。人気物件で二度目が難しい場合は、初回で写真と動画をしっかり残しておきましょう。
Q. 写真や動画を撮ってもいいですか?
基本的には担当者に一声かけて許可を得てからにしてください。とくに中古で売主が住んでいる物件では、生活の様子が写り込むため配慮が必要です。許可が出たら、収納の中・分電盤・水廻り・窓からの眺めを撮っておくと、あとで家族と検討するときに役立ちます。
Q. 見学の場で値引きの話をしてもいいですか?
その場で金額を切り出す必要はありません。まずは設備の交換時期や修繕の履歴といった「事実」を確認しておき、購入の意思が固まった段階で、確認した内容を根拠に相談するほうが話が通りやすくなります。
Q. 子ども連れでも見学できますか?
問題ありません。むしろ実際に暮らす家族全員の目線で見られるのは大きなメリットです。ただし住んでいる方がいる中古物件では、備品に触れないよう声をかけておきましょう。
Q. 中古で「リフォーム済み」と書かれていれば安心ですか?
表面のきれいさと、給排水管や断熱といった見えない部分の状態は別です。どこをどこまで直したのか、工事の範囲と時期を書面で確認しましょう。配管が手つかずであれば、将来の交換費用を見込んでおく必要があります。
まとめ
見学は「気に入るかどうか」を確かめる場であると同時に、あとから費用がかかりそうな部分を見つける場でもあります。
・日当たり、間取り、水廻りは電気を消す・メジャーを当てるなど体を使って確認する
・電気容量とネット環境は後から変えにくいので必ずチェックする
・広告の徒歩分数は80メートル=1分の計算なので、実際に歩いて確かめる
・ハザードマップと断熱・省エネ性能という「見えない条件」も見学の段階で押さえる
・見学と並行して諸費用込みの資金計画と事前審査を進めておく
焦って決めず、けれど準備は早めに。この2つを両立できれば、家探しはぐっと落ち着いて進められます。

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