- 公開日: 2026.08.14
- 住宅ローン商品について
住宅ローンの事務手数料|定率型と定額型の違いと総額の比べ方

住宅ローンを契約する際には、その手続きに伴うさまざまな費用が発生します。その中でも金額が大きく、まず押さえておきたいのが「事務手数料」です。ただ、いざ調べてみると金融機関によって金額の考え方がまったく違い、「どちらが得なのか判断できない」と戸惑ってしまう方も多いところです。
そこでこの記事では、住宅ローンの事務手数料がどのように決まるのか、そして保証料とセットで総額を比べるにはどう考えればよいのかを、これから初めて住宅ローンを借りる方にもわかるように解説します。
住宅ローンの事務手数料とは?
はじめに、事務手数料について解説します。事務手数料とは、別名「融資手数料」「取扱手数料」と呼ばれることもありますが、金融機関が住宅ローンの契約手続きに伴い発生した諸費用を負担してもらう目的で設定している費用です。
そのため、住宅ローンを契約する場合、契約する金融機関に応じてその金額は異なります。
金額の決め方は大きく2つに分かれます。借入額に対して一定の割合(たとえば2.20%)がかかるタイプと、借入額に関係なく一定額(おおむね3万〜5万円程度が目安とされます)がかかるタイプです。三菱UFJ銀行も公式サイトで、定額型の目安を3〜5万円と説明しています。
事務手数料は住宅ローンの諸費用の中でも大きな項目ですので、費用を抑えて手続きを行いたい場合は、金融機関各社の事務手数料をしっかりと調べたうえで検討する必要があります。ただし「事務手数料が安いほうがおトク」とは限らないのが、この費用のいちばん厄介なところです。理由は後半で詳しく見ていきます。
用語ミニ解説:事務手数料は「借入時に一度だけ」
事務手数料は、住宅ローンを借り入れるときに一度だけ支払う費用です。毎月の返済に含まれるものではありません。また、あとで繰り上げ返済をして早く完済しても、事務手数料が戻ってくることはありません(三菱UFJ銀行の公式サイトにも同旨の説明があります)。この「返ってこない」という性質が、次に説明する保証料との違いを考えるうえで大切になります。
住宅ローンの事務手数料は「定率型」と「定額型」の2種類

住宅ローンの事務手数料には、大きくわけて2種類あり「定率型」と「定額型」に分けられます。
1.定率型
定率型は、借入額に連動して事務手数料の金額が決められる事務手数料です。そのため、借入額が多ければ多いほど事務手数料の負担は大きくなっていきます。
現在の相場は借入金額の2.20%(税込)で、多くの金融機関がこの水準にそろえています。実際の金額に置き換えると、次のようになります。
・2,000万円を借り入れる場合 → 44万円(税込)
・3,000万円を借り入れる場合 → 66万円(税込)
・4,000万円を借り入れる場合 → 88万円(税込)
借入額が1,000万円違うと、事務手数料は22万円違ってくる計算です。なお、定率型は借入額に対する割合なので、借入期間の長さでは変わりません。
2.定額型
定額型は、住宅ローンの借入金額に係わらず、手数料が一定となっている事務手数料です。そのため、借入金額の大小に関係なく、事務手数料が一定であるため、はじめから事務手数料が明確にわかります。
金額はおおむね3万〜5万円程度が目安とされますが、金融機関によってはもっと高い定額を設定しているところもあります(後述するイオン銀行の定額型は110,000円(税込))。
しかしながら、定額型は、そのぶん適用される金利が高く設定されていたり、別途ローン保証料が必要になるのが一般的です。そのためトータルで見ると、金融機関に支払う金額は定率型とあまり変わらないか、かえって高くなる場合もあります。ここが最大の注意点です。
「ネット銀行は定率型、都市銀行は定額型」は今も当てはまる?

かつては「インターネット中心のネット銀行は定率型、実店舗を持つ都市銀行(メガバンク)は定額型」という説明がよくされてきました。ただ、現在はこの図式では説明しきれなくなっています。
ネット銀行
ネット銀行では、借入金額に連動して事務手数料が決定する「定率型」を採用していることが多いのは、今も変わりません。水準は借入額に対して2.20%(税込)前後です。そのため借入額が多くなるほど支払う事務手数料は増えますが、その代わりにローン保証料が不要となっているケースが多く、事務手数料の支払いだけで完結できるという特徴があります。
たとえばauじぶん銀行は事務手数料を借入金額×2.20%(税込)とし、保証料相当額は金利に含まれるため別途の保証料は発生しないとしています。ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行)も、事務取扱手数料を借入金額の2.2%(税込)とし、保証料はかからないと案内しています(同行は2026年8月3日に「ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更し、個人向けのサービスブランドは「ドコモの銀行」となっています)。
都市銀行(メガバンク)
一方、都市銀行にも定率型(事務手数料型)の住宅ローンが用意されています。たとえば三菱UFJ銀行の住宅ローンには、事務手数料を借入金額の2.2%(税込)とし保証料は不要とする「事務手数料型」があります。同行はこれとは別に、事務手数料を定額にして保証料を支払う「保証料型」もあると説明しています。
つまりいま比べるべきなのは「ネット銀行か都市銀行か」ではなく、「事務手数料型(定率)か、保証料型(定額+保証料)か」という商品タイプの違いです。
同じ銀行の中で選べることもある
さらに、同じ銀行の中で定率型と定額型を選べるケースもあります。イオン銀行のローン取扱手数料は、定額型110,000円(税込)と定率型(借入金額の2.20%・税込/最低220,000円)から選ぶ形で、定率型を選ぶと借入利率が年0.2%低くなると商品概要説明書に明記されています。
このように「手数料を先に払うか、金利に乗せて払うか」の選択になっている商品も多いため、手数料の金額だけを見比べても答えは出ません。
大事なのは「事務手数料型」と「保証料型」で総額を比べること
ここまでを整理すると、住宅ローンの初期費用は次の2タイプに分けて考えるとすっきりします。三菱UFJ銀行の公式サイトの説明にもとづいて、違いを並べてみましょう。
| 比較の観点 | 事務手数料型(定率) | 保証料型(定額+保証料) |
|---|---|---|
| 借入時の手数料 | 事務手数料=借入額×2.2%が目安 | 事務手数料は定額(3〜5万円が目安)+保証料 |
| 保証料 | 不要なケースが多い | 必要 |
| 金利 | 保証料型より低く設定されるケースが多い | 事務手数料型より高いケースが多い |
| 繰り上げ返済したとき | 事務手数料の返金はない | 一括前払い型なら「戻し保証料」が返ることがある |
保証料の払い方にも2種類ある
保証料型を選ぶ場合、保証料の払い方がさらに2つに分かれます。
・一括前払い型(外枠方式)…借入時にまとめて支払う方式。目安は借入額×2%程度。繰り上げ返済で返済期間が短くなると、短縮された期間に応じて「戻し保証料」として一部が返ってくることがあります。
・金利上乗せ型(内枠方式)…保証料を金利に含めて払う方式。上乗せ幅は年0.2%が目安とされます。初期費用を抑えられる一方、総返済額は増える傾向があり、期間を短縮しても保証料の返金はありません。
初心者がまず確認すべき順番
比べ方に迷ったら、次の順番で確認していくと判断しやすくなります。
1. 「事務手数料+保証料+金利」をセットで見る(事務手数料だけを比べない)
2. 手元にいくら現金を残したいかを決める(初期費用を抑えたいなら定額型・金利上乗せ型が向きます)
3. 借入期間の長さを考える(長期で借りるなら、金利がわずかに低いほうが総額で効いてきます)
4. 繰り上げ返済をしそうかを考える(早く完済する予定なら、戻し保証料がある一括前払い型が有利になることもあります)
5. 各行のシミュレーションで総返済額を出して比べる
三菱UFJ銀行も「総返済額を抑えたいのか、初期費用を抑えたいのかの優先順位を決めたうえで選ぶ」ことを勧めています。正解は人によって変わるということです。
主な金融機関の事務手数料を並べて見る
イメージをつかむために、主な金融機関の事務手数料と保証料の扱いを並べてみます(2026年8月14日に各行の公式サイト・商品概要説明書で確認した内容です)。
| 金融機関 | 事務手数料(税込) | 保証料の扱い |
|---|---|---|
| SBI新生銀行 | 借入金額×2.20%(定率型) | 原則0円 |
| auじぶん銀行 | 借入金額×2.20% | 金利に含まれ別途不要 |
| ドコモの銀行(旧・住信SBIネット銀行) | 借入金額の2.2% | 不要 |
| イオン銀行 | 定額型110,000円/定率型 借入金額の2.20%(最低220,000円) | なし(定率型は借入利率が年0.2%低い) |
| 三菱UFJ銀行(事務手数料型) | 借入金額の2.2% | 不要(別に保証料型もあり) |
こうして並べると、定率型の水準は各行ほぼ2.20%(税込)でそろっていることがわかります。だからこそ、比較の勝負どころは事務手数料そのものではなく、金利・保証料・団信の内容・繰り上げ返済のしやすさといった条件になるのです。
なお、事務手数料や保証料の水準・キャンペーンの有無は改定されることがあります。実際に申し込む際は、必ず各金融機関の公式サイトや商品概要説明書で最新の内容をご確認ください。
事務手数料以外にかかる費用も忘れずに
初期費用は事務手数料だけではありません。印紙税、抵当権設定にかかる登録免許税、司法書士への報酬、火災保険料などが別途必要になります。金融機関によっては、これらの諸費用も借入金額に含めて借りられる場合があります(auじぶん銀行やイオン銀行などが公式サイトで案内しています)。手元資金が少ない場合は、この点も確認しておくと計画が立てやすくなります。
事務手数料のよくある質問
Q. 事務手数料は借入時に現金で用意しなければいけませんか?
多くの場合は借入時に支払いますが、金融機関によっては事務手数料を借入金額に含めて借りられることがあります。ただし借入額が増えれば利息の対象も増えるため、手元資金と総返済額のバランスを見て決めましょう。
Q. 事務手数料が「最低○円」と書かれているのはどういう意味ですか?
定率型でも下限額を設けている金融機関があるためです。たとえばイオン銀行の定率型は最低取扱手数料が220,000円(税込)と定められています。借入額が小さいときは、率で計算した金額よりも下限額のほうが高くなることがあるので、少額で借りる方はとくに確認しておきましょう。
Q. 定率型は繰り上げ返済で早く完済したら一部返ってきますか?
返ってきません。事務手数料は早期完済による返金がないのが原則です。一方、保証料を一括前払い(外枠方式)で支払っていた場合は、期間の短縮に応じて「戻し保証料」として一部が返ってくることがあります。早めの完済を考えている方は、この違いも判断材料になります。
Q. 借り換えのときも事務手数料はかかりますか?
かかります。借り換えは新しい住宅ローンを組み直すことなので、原則として事務手数料が改めて必要になります。加えて抵当権の抹消・設定の費用もかかるため、金利が下がる効果と諸費用を合わせて損得を判断することが大切です。
Q. 「(税込)」と書かれているのはなぜですか?
事務手数料は消費税の課税対象となる役務(サービス)への手数料だからです。一方、金利・利息・保証料・団体信用生命保険の保険料には消費税がかかりません。「2.20%(税込)」は手数料の料率、「年0.500%」は金利、と性質が違うものだと理解しておくと、資料が読みやすくなります。
まとめ:金額の大小より「総額」と「返し方」で選ぶ
住宅ローンの事務手数料について、ポイントを整理します。
・事務手数料は借入時に一度だけかかり、定率型(借入額×2.20%が目安)と定額型(3〜5万円程度が目安)がある
・「ネット銀行=定率型、都市銀行=定額型」という単純な図式ではなく、比べるべきは事務手数料型(定率・保証料不要)か、保証料型(定額+保証料)か
・定額型は金利が高めに設定されたり保証料が必要になることが多く、手数料の安さだけでは総額の得失は判断できない
・繰り上げ返済をしても事務手数料は返らない。保証料の一括前払い型なら戻し保証料が返ることがある
・定率型の水準は各行ほぼ2.20%(税込)でそろっているので、実際の差は金利・保証料・団信・繰り上げ返済のしやすさで出る
この最後の点を踏まえると、諸費用の「わかりやすさ」も比較のポイントになります。たとえばSBI新生銀行は、事務取扱手数料が借入金額×2.20%(税込)の定率型で保証料は原則0円、一部繰上返済手数料も0円、一般団信の保険料も上乗せなしと、支払う項目がシンプルに整理されています。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応している点もあり、初めてで不安な方にとっては検討に値する選択肢の一つといえるでしょう。
事務手数料は金額が大きいのでどうしても目を引きますが、住宅ローンは数十年つきあう商品です。「借入時にいくら払うか」だけでなく、「完済までにいくら払うか」で比べることを忘れないでください。判断に迷ったときは、各金融機関のシミュレーションで総返済額を出して並べてみるのがいちばん確実です。

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