- 公開日: 2026.07.11
- 住宅ローンガイド
住宅ローンの親子リレー返済とは?メリット・デメリットをやさしく解説

こちらの記事では、住宅ローンの親子リレー返済の概要と特徴について解説しました。親子の収入を合算して、二世代で1本の住宅ローンを返済していける仕組みでしたね。
ただ、親子リレー返済は「収入を合算できて借入額を増やせる」という魅力的な面だけを見て決めてしまうと、あとで「こんなはずでは…」となりやすい住宅ローンでもあります。メリットとデメリットをあらかじめ把握したうえで、両親と子供の両方のニーズに合っているかを確認してから利用することがとても大切です。
今回は、住宅ローンの親子リレー返済のメリットとデメリットを、初めての方にもわかりやすく解説します。
住宅ローンの親子リレー返済とは?
住宅ローンの親子リレー返済とは、概要記事でも紹介したとおり、親子の収入を合算して、2世代にわたって1本の住宅ローンを返済していける住宅ローンの仕組みです。
まず親が返済していき、定年などのタイミングで残りの住宅ローンを子供(後継者)が引き継いで返済していきます。ローンは1本で、親が主債務者、子供が「連帯債務者」になるのが基本の形です(「連帯保証人」ではなく、親と同じ返済義務を最初から負う立場です。この違いはデメリットの章でくわしく説明します)。
利用できる条件は金融機関によって異なりますが、代表的な【フラット35】の親子リレー返済では、後継者について「申込本人の子・孫など(直系卑属)またはその配偶者で定期的収入があること」「申込時の年齢が満70歳未満であること」「連帯債務者になること」が要件とされています。親側の年齢の上限は事実上なく、要件を満たす後継者がいれば満70歳以上の親でも申し込めます(2026年7月時点・住宅金融支援機構)。民間銀行の親子リレーローンは、親の年齢や同居の有無などの条件が銀行ごとにまちまちなので、必ず各行の商品概要で確認しましょう。
親子リレー返済のメリット

親子リレー返済のメリットは大きく2つです。住宅を購入するタイミングが遅くなり、定年までに返済が難しそうな場合でも長い返済期間を組めること。そして、親子で収入を合算できるため、一人の収入だけでは手が届きにくかった物件も検討できることです。
住宅購入のタイミングが遅くなっても長期の住宅ローンが組める
一般的な住宅ローンは「完済時年齢80歳未満」などの制限があるため、年齢が上がるほど返済期間を長く取れなくなります。たとえば60歳で申し込むと、単独では20年弱しか組めない、ということが起こります。
親子リレー返済なら、返済期間を「後継者(子供)の年齢」を基準に計算できるのが大きなポイントです。【フラット35】の例では、申込時に親が60歳・子供が30歳の場合、親単独なら約19年のところ、親子リレー返済を使えば最長35年の借り入れが可能になります(80歳−31歳=49年→上限の35年。住宅金融支援機構の公式例より)。返済期間が長く取れれば、毎月の返済額もぐっと抑えやすくなります。
ただし、期間が長くなるぶん支払う利息の総額は増えます。「毎月の負担は軽く、総返済額は多くなる」というトレードオフは覚えておきましょう。
一人の収入だけでは手が届きにくかった物件が購入できる
親子リレー返済は、親と子供の収入を合算して借入可能額を計算しますので、一人の収入だけでは手が届きにくかった物件でも購入できる可能性が広がります。
二世帯住宅のように、両親と子供家族が一緒に住む少し大きめの物件を検討するケースでは、このメリットがとくに活きてきます。
親子リレー返済のデメリット

デメリットの中心は「子供側の負担」です。子供は最初から債務を背負うことになるため将来の選択肢を狭めてしまうこと、そして団信(団体信用生命保険)に親子のどちらか一人しか入れないのが一般的であること、さらに将来の相続まで見据えておく必要があることです。順番に見ていきましょう。
子供の将来の選択肢が限定されてしまう
親子リレー返済には、子供の将来の選択肢が限定されてしまうデメリットがあります。親だけではなく子供も最初から債務を背負うことになるからです。
子供が親子リレー返済の債務を抱えている間は、別の家を買うための住宅ローン審査で借入余力が大きく目減りし、新たな住宅ローンを組むのは現実的にかなり難しくなります。親子リレー返済を利用する時期の子供は20~30歳台が多いと考えられますが、その時期は転勤・転職・結婚など人生の選択肢がまだ多く、債務がその選択肢を狭めてしまうことになります。
なお、「親子が同居していること」を条件にするかどうかは金融機関で異なります。民間銀行の親子リレーローンは同居(または将来の同居)を条件とすることが多い一方、【フラット35】の親子リレー返済は後継者の同居は要件ではなく、別居でも利用できます(住宅金融支援機構・2026年7月時点)。とはいえ、実際にその家に住み続ける前提の仕組みなので、家業を継ぐ・実家に住み続けるなど、子供の人生設計がある程度固まっている場合に向いていることに変わりはありません。
子供は「連帯債務者」=親と同じ返済義務を負う
親子リレー返済では、子供(後継者)は「連帯債務者」として、契約した瞬間から親と同じ返済義務を負います。「自分の番が来るまでは関係ない」わけではなく、親の返済が滞れば金融機関は子供にも返済を求めることができます。
病気やケガによる死亡・高度障害であれば団信でカバーできる場合がありますが、後述のとおり団信に入れるのは親子のどちらか一人が原則です。失業などの理由で親の返済が続けられなくなった場合は、予期せぬタイミングで子供が返済を引き継ぐことになります。親子でしっかり話し合い、お互いが納得したうえで利用することが欠かせません。
団信はどちらか一人・相続についても考えておく
【フラット35】の場合、債務者が2人いる親子リレー返済では団信に加入できるのは親か子のどちらか一人です(夫婦連帯債務向けの「デュエット」は親子では使えません)。たとえば子供だけが団信に入っていて親が先に亡くなった場合、残りの債務は保険では返済されず、子供がそのまま引き継ぐことになります。どちらが加入するかは、年齢や健康状態も踏まえて慎重に決めましょう。
また、親が亡くなると住宅の親の持分は相続の対象になります。子供が一人であれば大きな問題になりにくいのですが、兄弟姉妹がいる場合は「家の持分を誰がどれだけ相続するか」でもめる火種になりがちです。親子リレー返済を検討した時点で家族全員で話し合い、納得したうえで利用するのが望ましいと言えます。
フラット35と民間銀行で条件はどう違う?
ひとくちに親子リレー返済(親子リレーローン)と言っても、【フラット35】と民間銀行では条件がかなり違います。代表的な違いを表にまとめました(2026年7月時点。民間銀行は各行で異なるため、必ず商品概要をご確認ください)。
| 比較の観点 | 【フラット35】の親子リレー返済 | 民間銀行の親子リレーローン |
|---|---|---|
| 親の年齢 | 後継者の要件を満たせば満70歳以上でも申込可 | 「申込時◯歳以下」など上限を設ける銀行が多い |
| 後継者の要件 | 子・孫など(直系卑属)またはその配偶者で定期的収入があり、申込時満70歳未満・連帯債務者になること | 子(同居の子に限る等)に限定されることが多い |
| 同居 | 後継者の同居は要件ではない(別居でも可) | 同居または将来の同居を条件とすることが多い |
| 返済期間の基準 | 後継者の年齢をもとに計算(最長35年) | 銀行により異なる |
| 団信 | 親か子のどちらか一人が加入(親を選ぶことも可能) | 後継者(子)の加入を条件とすることが多い |
親子リレー返済のよくある質問(FAQ)
Q. 親が70歳を超えていても親子リレー返済は使えますか?
A. 【フラット35】であれば、要件を満たす後継者(子・孫などで定期的収入があり満70歳未満)がいる場合、親(申込本人)が満70歳以上でも申し込めます。民間銀行は親の年齢上限を設けていることが多いので、各行の条件を確認してください。
Q. 団信には親と子のどちらが入るべきですか?
A. 一概には言えませんが、団信に入っていない側に万一のことがあっても債務は残る、という点を軸に考えます。返済の中心が長く続くのはどちらか、年齢や健康状態はどうか、を踏まえて決めましょう。なお【フラット35】の新機構団信の保障は満80歳の誕生月の末日までで、加入しない選択をした場合は借入金利から年0.200%引き下げられます(住宅金融支援機構・2026年7月時点)。
Q. 後継者になった子供は、自分の家を別に買えますか?
A. 制度上禁止されているわけではありませんが、親子リレー返済の残債務がまるごと審査上の借入額として扱われるため、もう1本住宅ローンを組むのは現実的にかなり難しくなります。将来べつの場所に家を持つ可能性が高いなら、親子リレー返済以外の方法も含めて検討するのがおすすめです。
まとめ:家族でよく話し合ってから使う住宅ローン
親子リレー返済は、「親の年齢の壁を越えて長期のローンを組める」「収入合算で選べる物件が広がる」という大きなメリットがある一方、子供が最初から連帯債務者として重い責任を負う、団信はどちらか一人、相続の火種になり得る、というデメリットを持つ住宅ローンです。家業を継ぐ・実家に住み続けるといった子供の人生設計が固まっているご家庭には有力な選択肢ですが、そうでなければ慎重に判断しましょう。
なお、「親子で組む」以外にも、単独での借り入れや夫婦での収入合算など選択肢はいろいろあります。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、保証料0円・一部繰上返済手数料0円・一般団信の保険料0円と諸費用の仕組みがわかりやすく、店舗相談とオンライン手続きの両方に対応しているので、「うちの場合はどの借り方が合うのか」を整理したい方の相談先・比較候補としても検討しやすい1行です。最新の金利・条件は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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