- 公開日: 2026.07.11
- 住宅ローンの注意点
リースバックとは?任意売却で家に住み続ける方法と注意点を解説

こちらの記事で、住宅ローンの支払いがどうしても困難になった場合の最終手段として「任意売却」の手続きができることを紹介しました。任意売却には、競売と比較して市場価格に近い金額で売却できる可能性があることや、引越し費用やスケジュールの面で金銭的・精神的な負担が軽く済むメリットがありましたね。
それでも「どうしても今の住宅に住み続けたい」という場合、売却と賃貸を組み合わせた「リースバック」という方法を利用することで、引っ越すことなく住み続けられる可能性があります。ただし、近年は契約トラブルも増えており、国民生活センターが注意喚起を出している取引でもあります。
今回は、「リースバック」の仕組みと、利用する際の注意点をあわせて解説します。
リースバックとは?
任意売却を利用した場合、通常であれば第三者に住宅を売却したあと、自分たちはその住宅から出ていき、別の賃貸住宅などを借りて住む、という流れで手続きが行われます。
これに対して、いったん売却の手続きは行うものの、その後、売却先と賃貸借契約を結ぶことで、今の住宅にそのまま住み続ける方法があります。これを「リースバック」と言います。国土交通省のガイドブックでは「住宅を売却して現金を得て、売却後は毎月賃料を支払うことで、住んでいた住宅に引き続き住むサービス」と定義されています(国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」2022年6月公表)。
リースバックを利用すると、売却によって住宅の所有権は売却先に移転します。その際に売却資金が得られますので、この売却資金で住宅ローンの残債を完済します。その後は売却先と賃貸借契約を結び、毎月賃料を支払いながら「借りて住む」契約形態に変わります。
住宅の所有権はご自身の名義から外れることになりますが、住み慣れた住宅に住み続けられる(引越しが不要になる)メリットがあります。
リースバックでの売却先は親族や専門業者に依頼

リースバックには住み慣れた住宅に住み続けられるメリットがありますが、「売却して、その後貸してくれる」相手がいなければ利用できません。
一般的に、リースバックの売却先として挙げられるのは、身近なところでは親もしくは子供、その他の親族、知人、友人などです。親族などで難しい場合は、リースバックを扱う専門業者(不動産会社)に依頼することもできます。
親族に売却
親子や親族であれば事情を理解してもらいやすく、相談する精神的な負担が軽くなるメリットがあります。ただし、住宅1軒を買い取れるだけの資金を用意できる親族はそう多くありません。また、親族間の売買は金融機関の住宅ローン審査が通りにくい傾向があるため、親族側が現金で購入できない場合はハードルが上がります。利用できる人は限られると考えておきましょう。
専門業者に売却
親族間での売買が難しい場合は、専門の業者に依頼することになります。業者であれば、後述する「リースバックが利用できない条件」に当たらない限り積極的に対応してくれますが、業者はあくまでも商売として行っているため、買取価格は市場相場より安くなる傾向があり、賃料は周辺相場より高めに設定されやすい点は理解しておく必要があります(国土交通省のガイドブックでも同様の注意が示されています)。
駅に近いといった立地条件が良ければ比較的高く売却できる可能性もあります。一方、立地に特段のメリットがない場合は、通常どおりの売却手続きを行ったほうが高く売れる可能性もあります。複数の業者から条件(買取価格と賃料のセット)を取り寄せて比較することが大切です。
リースバックができない条件もあるので注意

リースバックは今の住宅に住み続けられる魅力的な方法に見えますが、利用が難しくなる代表的なケースが2つあります。
住宅ローンの残債が売却資金で完済できない場合
「価格が安くなっても構わないので今の住宅に住み続けたい」という方も多いかと思いますが、安く売却した場合に起こりがちなのが、売却資金で返済しても住宅ローンの残債が残ってしまうパターンです。
売却しても残債が残る(オーバーローンの)場合、金融機関が抵当権の抹消に応じるかどうかの問題が生じるため、リースバックの利用は難しくなります。債権者である金融機関にとっても貸したお金が全額返ってこないことになるため、双方にとってメリットのある手続きになりにくいのです。
専門業者と売却金・賃料の折り合いがつかない場合
専門業者との間で、売却金額と今後支払う賃料の折り合いがつかない場合も考えられます。業者には賃料で利益を確保する目的があるため、賃料は高めに提示されがちです。毎月の住宅ローン返済が困難になっているにもかかわらず、それより高い賃料を支払うことになるのでは、リースバックをする意味がありません。その場合は、通常の任意売却の手続きを行ったほうが解決への近道になります。
「ずっと住み続けられる」とは限らない:契約時の注意点
リースバックの賃貸借契約でとくに注意したいのが、契約が「定期借家契約」になっているケースです。定期借家契約は決められた期間(2〜3年程度が多い)で契約が終了し、貸主(買い取った業者)が再契約に応じる義務はありません。「そのまま住み続けられる」と説明されて契約したのに、期間満了で再契約を断られて退去せざるを得なくなった、という事例が実際に報告されています。
実際、全国の消費生活センターにはリースバックに関する相談が近年増加しており、国民生活センターは2026年時点も注意喚起を継続しています(2025年5月の発表では、契約当事者の約7割が70歳以上)。「長時間の強引な勧誘を受けた」「住み続けられると説明されたのに家賃が値上げされて払えなくなった」といった相談が寄せられています。
契約前には、少なくとも次の点を確認しましょう。①賃貸借契約が普通借家契約か定期借家契約か(定期の場合、再契約の条件が書面で保証されているか)②賃料の金額と値上げの条件③何年住み続けられる想定か④将来の買戻しの可否と条件。国土交通省が「住宅のリースバックに関するガイドブック」を公表していますので、契約意思を固める前に一読することを強くおすすめします。
リースバックのよくある質問(FAQ)
Q. リースバックとリバースモーゲージはどう違うのですか?
A. リースバックは住宅を「売却」して所有権を手放し、賃料を払って住み続ける方法です。一方、リバースモーゲージは自宅を担保に「借り入れ」を行い、所有権は自分に残したまま、亡くなった後などに自宅を売却して返済する金融商品です。所有権が残るかどうかが大きな違いで、向いているケースも異なります。
Q. 一度リースバックした家を、あとで買い戻すことはできますか?
A. 契約に買戻しに関する条項(買戻し特約・再売買の予約など)があれば可能な場合があります。ただし、買戻し価格は売却時より高く設定されるのが一般的で、口約束では効力が期待できません。買戻しを考えているなら、必ず契約書面で価格・期限などの条件を確認しましょう。
Q. 業者から強く勧誘されて迷っています。どうすればいいですか?
A. その場で決めないことが第一です。リースバックは自宅の所有権を手放す大きな契約ですので、複数社の条件比較と、家族への相談を済ませてから判断しましょう。不安な場合は、消費生活センター(消費者ホットライン188)や、住宅ローンの返済が苦しいことが背景にあるなら、まず借入先の金融機関の相談窓口に早めに相談することもできます。
これから住宅の購入を検討している方にとっても、「立地の良し悪しで、いざというときの選択肢の広がり方が変わる」ことは覚えておきたいポイントです。物件選びの際は、万一のときに売りやすい・貸しやすい立地かどうかという視点も持っておくと安心です。

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