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リースバックとは?売却後も家に住み続ける仕組みと注意点

「ローンが払えなくなっても、この家には住み続けたい」と考えている方へ。家を売ったあとに家賃を払って同じ家を借りる「リースバック」を使えば、引っ越さずに暮らし続けられる可能性があります。

ただし、売却代金でローンを完済できることが前提です。また、借りる契約の中身しだいでは数年で退去を求められることもあります。2026年10月1日からは、国土交通省の新しいガイドラインで、業者に賃貸の条件まで説明することが求められるようになりました。

住宅ローンの返済が難しいときの手段としては、競売より高く売れる可能性がある任意売却もあります。この記事では、任意売却と組み合わせて住み続ける方法として、リースバックの仕組みと契約前の確認点をまとめました。

リースバックとは?

任意売却を利用した場合、ふつうは第三者に家を売り、自分たちは家を出て別の賃貸住宅などに移ります。

これに対して、いったん売却はするものの、その後に買主と賃貸借契約を結び、今の家にそのまま住み続ける方法があります。これがリースバックです。

国土交通省の「住宅のリースバックに関するガイドブック」(2022年6月公表)では、「住宅を売却して現金を得て、売却後は毎月賃料を支払うことで、住んでいた住宅に引き続き住むサービス」と説明されています。

流れを順に追うと、次のようになります。

  • 家を売り、所有権が買主に移る
  • 受け取った売却代金で住宅ローンの残りを完済する
  • 買主と賃貸借契約を結び、毎月家賃を払って住む

家は自分の名義ではなくなりますが、住み慣れた家に住み続けられ、引っ越しが要らない点が大きな特徴です。所有者ではなくなるため、固定資産税は買主の負担になります。

リースバックでの売却先は親族や専門業者に依頼

リースバックは、「買い取ったうえで貸してくれる相手」がいなければ成り立ちません。

身近な売却先としては、親や子ども、そのほかの親族、知人などが考えられます。親族で難しい場合は、リースバックを扱う不動産会社に依頼することになります。

親族に売却

親子や親族であれば事情を理解してもらいやすく、相談するときの気持ちの負担も軽くなります。とはいえ、家1軒を買い取れる資金を用意できる親族はそう多くありません。

親族間の売買は、金融機関の住宅ローン審査が通りにくい傾向があります。親族側が現金で買えない場合はハードルが上がるので、利用できる人は限られると考えておいてください。

専門業者に売却

親族間での売買が難しい場合は、専門の業者に依頼します。業者は商売として取り組んでいるため、買取価格は市場相場より低く、家賃は周辺相場より高めになりやすい点に注意が必要です。国土交通省のガイドブックでも同じ注意が示されています。

駅に近いなど立地が良ければ、比較的高く売れる可能性もあります。一方で立地に特段の強みがない場合は、通常の売却のほうが高く売れることもあります。

業者を選ぶときは、複数の業者から「買取価格と家賃のセット」で条件を取り寄せて比べることが欠かせません。買取価格だけ高くても、家賃が高ければ数年で差が縮まるからです。

リースバックができない条件もあるので注意

住み続けられる魅力的な方法に見えますが、利用が難しくなる代表的なケースが2つあります。

住宅ローンの残債が売却資金で完済できない場合

「安く売ってもいいから住み続けたい」と考える方は少なくありません。ところが安く売った場合に起こりがちなのが、売却代金で返しても住宅ローンが残ってしまうパターンです。

家を売るときは、ローンの担保として設定されている抵当権を外す必要があります。残債が売却代金を上回る(オーバーローンの)場合、金融機関が抵当権の抹消に応じるかどうかという問題が出てきます。

金融機関にとっては貸したお金が全額戻らない取引になるため、話がまとまりにくくなります。完済できたあとの手続きの流れは、抵当権抹消登記の必要書類と手順で紹介しています。

専門業者と売却金・賃料の折り合いがつかない場合

業者との間で、売却金額と今後の家賃の折り合いがつかないこともあります。業者は家賃で利益を確保するため、家賃は高めに提示されがちです。

たとえば毎月のローン返済が10万円で苦しいのに、家賃が11万円になるなら、リースバックをする意味が薄れます。その場合は、通常の任意売却で住み替えるほうが家計の立て直しにつながります。

「ずっと住み続けられる」とは限らない:契約時の注意点

「売ったあとも、何年でも住めるの?」という点は、契約の種類で大きく変わります。とくに注意したいのが、賃貸借契約が定期借家契約になっているケースです。

定期借家契約とは、あらかじめ決めた期間で終わる賃貸借契約のことです。リースバックでは2〜3年程度の期間が多く、貸主が再契約に応じる義務はありません。一方、普通借家契約は、貸主に正当な理由がなければ更新を拒めない契約です。

国民生活センターは2025年5月に、強引に勧められるリースバック契約への注意を呼びかけました。全国の消費生活センターなどへの相談は2024年度に239件で、2019年度の24件から大きく増えています。2024年度の契約当事者は約7割が70歳以上でした。

相談の中には、「長時間勧誘されて契約してしまった」「住み続けられると言われたのに家賃を上げられた」といった内容があります。自宅を宅建業者に売る場合、クーリング・オフは使えない点にも注意が必要です。

契約前には、少なくとも次の点を書面で確認してください。

  • 賃貸借契約は普通借家か定期借家か(定期なら再契約の条件が書面にあるか)
  • 家賃の金額と、値上げや更新料の条件
  • 何年住み続けられる想定か
  • 修繕費を貸主と借主のどちらが負担するか
  • 将来の買戻しができるか、その価格と期限

(参考:国民生活センター「住宅のリースバック」に関する解説資料)

買戻しは、契約に買戻し特約や再売買の予約などの条項があれば可能な場合があります。ただし買戻し価格は売却時より高く設定されるのが一般的で、口約束では効力を期待できません。

2026年10月から業者に求められる説明

国土交通省は2026年7月に「住宅のリースバック取引における宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(リースバックに関するガイドライン)」を策定し、2026年10月1日から施行しました。

対象は、住んでいる家の売買とその後の賃貸借がひとまとまりになった取引のうち、宅建業者が買主になるもの、または売買を仲介・代理するものです。

ガイドラインでは、売る側が契約するか決めるときには賃貸の条件も重要な判断材料になる、と整理されました。業者が告げるべき事項として、次のような賃貸の条件が挙げられています。

  • 家賃の額と支払い方法、ほかに払うお金
  • 契約の期間と更新の扱い、定期借家契約であること
  • 修繕費などの負担の分け方
  • 物件が第三者に売られる可能性と、そのとき賃貸借がどうなるか

こうした事項を故意に告げない行為は、宅地建物取引業法で禁じられた行為にあたり、行政処分の対象になり得ます。説明が足りないと感じたら、その場で契約しないことが一番の防御です(出典:国土交通省「リースバックに関するガイドライン」)。

ガイドラインは事業者向けの決まりです。利用を考えている方向けには、国土交通省の「住宅のリースバックに関するガイドブック」が仕組みやトラブル例をまとめているので、契約を決める前に一読しておくと判断しやすくなります。

勧誘を受けて迷っている場合は、家族に相談してから決めてください。消費生活センター(消費者ホットライン188)にも相談できます。

任意売却・リバースモーゲージとの違い

「似た名前の制度が多くて、どれが自分に合うのか分からない」という声もよく聞きます。住まいとお金の関係で比べると、違いは次の表のようになります。

比較の観点 リースバック 任意売却(通常) リバースモーゲージ
家の所有権 買主に移る 買主に移る 自分に残る
今の家に住めるか 家賃を払って住める(契約期間による) 原則として退去する 住み続けられる
お金の流れ 売却代金を受け取り、以後は家賃を払う 売却代金をローン返済にあてる 自宅を担保に借り入れる
主な注意点 買取価格が低め・家賃が高め、定期借家の期間 引っ越し先の確保 借入できる年齢や地域などの条件

リバースモーゲージは、自宅を担保にお金を借り、亡くなったあとなどに自宅を売って返済する仕組みです。所有権が自分に残る点がリースバックとの大きな違いで、向いている場面も異なります。

リースバックは、家を一度手放す大きな決断です。まだ返済を続けられる段階なら、住宅ローンの返済が苦しくなる前の備え方も参考に、まず借入先の金融機関に返済方法の見直しを相談してみてください。

これから家を買う方にとっても、立地の良し悪しで万一のときの選択肢の広がり方が変わることは覚えておきたい点です。売りやすい・貸しやすい場所かという視点を、物件選びに一つ加えてみてください。

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