- 公開日: 2026.10.12
- 住宅ローンの注意点
住宅ローン減税の適用条件から外れるケース|2026年入居の注意点

「手続きはしたのに、住宅ローン減税が受けられなかった」となる原因は、たいてい条件のどこかひとつを満たしていないことです。多いのは、入居の時期、合計所得金額、返済期間10年、床面積、新築なら省エネ性能の5つです。
2026年1月以降の入居分からは床面積の下限が40平方メートルに下がった一方で、省エネ基準を満たさない新築は原則として対象外になっています。家探しの段階で外れやすい条件を知っておけば、契約したあとで「うちは対象外だった」と気づく事態は避けられます。
重要書類はしっかりと保管
住宅ローン減税は住宅ローン控除ともいい、住宅ローンを使って家を買ったときに、一定の期間、所得税が戻ってくる制度です。正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。年末時点のローン残高に控除率0.7%をかけた金額が、その年の所得税から差し引かれます。所得税から引ききれない分は、翌年の住民税から一部差し引かれます。
会社員でも、確定申告が必要なのは住み始めた年の分だけです。2年目以降は、勤務先の年末調整で控除を受けられます。
確定申告をすると、税務署から2年目以降の年末調整で使う証明書が届きます。この証明書は残りの控除期間の分がまとめて1通で発送されます。控除期間が10年なら9年分、13年なら12年分が届き、毎年1枚ずつ使うイメージです。紛失しないよう、家の契約書類と一緒に保管しておいてください。
この証明書は電子交付を選ぶこともできます。確定申告のときに電子交付を希望しておけば、e-Taxやマイナポータルでデータとして受け取れるので、なくす心配がありません。
金融機関から届く「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」も、金融機関が調書方式に対応していれば、自分で提出する必要がなくなります。調書方式とは、金融機関が税務署へ残高のデータを直接提出するしくみのことです。対応状況は金融機関ごとに異なり、対応していない場合はこれまでどおり書面が必要です。
住宅ローン減税の適用条件から外れる主なケース

確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得について所得税を申告し、納めすぎた税金を戻してもらったりする手続きです。一般的な受付期間は翌年の2月16日から3月15日までです。
ただし、年末調整を受けた会社員が住宅ローン控除のために行う申告は「還付申告」にあたり、翌年1月1日から提出できます。提出できる期間は5年間です。2月16日を待つ必要はないので、書類がそろったら早めに手続きして構いません。
では、条件から外れてしまう主なケースを順に見ていきます。
住み始める時期の条件を満たしていない
住宅の新築・取得の日から6か月以内に住み始めていない場合は対象外です。控除を受ける年の12月31日まで引き続き住んでいることも条件になります。「引き渡しは受けたけれど、しばらく前の家に住んでいた」という方は、入居日に気をつけてください。
その住宅が主として住むための家屋であることも必要です。別荘やセカンドハウス、人に貸すための物件は、原則として適用されません。
合計所得金額が2,000万円を超えている
控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であることが要件です(2022年以降の入居分)。床面積40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅は、さらに1,000万円以下という条件がつきます。
ここで見るのは年収ではなく合計所得金額です。会社員なら、年収から給与所得控除を差し引いた金額をもとに判定します。たとえば年収1,200万円の会社員なら、給与所得控除195万円を引いた約1,005万円が目安になり、40平方メートル台の住宅では1,000万円の線をわずかに超えてしまいます。
返済期間が10年未満
借りたお金を返す期間が10年未満の場合も対象外です。この10年は、最初の返済から返し終わるまでの期間で数えます。短期で組んだローンや、勤務先の社内融資で期間が短いものは外れます。
床面積が40平方メートル未満
床面積の下限は、2026年1月1日以降に入居する場合、新築・中古ともに40平方メートル以上です。ただし、合計所得金額が1,000万円を超える方と、子育て世帯等の借入限度額の上乗せを使う方は、引き続き50平方メートル以上が必要です。
床面積は登記事項証明書の表示で判断します。マンションは専有部分の床面積、店舗併用住宅は店舗部分も含めた建物全体で見ます。夫婦で共有する住宅でも、持分で分けずに建物全体の床面積で判断します。店舗等併用住宅は、床面積の2分の1以上が居住用であることも条件です。
譲渡所得の課税の特例を使っている
入居した年とその前2年・後3年の計6年間に、3,000万円特別控除や買換えの特例など、譲渡所得の課税の特例を受けていると、住宅ローン減税は使えません(2020年3月31日以前の譲渡は、前後2年の計5年間で判定)。
買い替えで前の家を売る予定がある方は、売却の時期と特例の使い方によって減税が受けられなくなることがあります。どちらの制度を使うと得かは、売却益の大きさで変わるので、売り出す前に税務署か税理士に相談してください。
その他の見落としやすいもの
生計を一にする親族や特別な関係にある人から買った住宅、贈与で取得した住宅は対象外です。勤務先からの借入金でも、無利子または年0.2%に満たない利率のものは控除の対象になりません。親族や知人からの借入金も対象外です。
| チェック項目 | 満たすべき条件 | 外れやすいケース |
|---|---|---|
| 入居時期 | 取得の日から6か月以内に入居し、その年の12月31日まで居住 | 引き渡し後も前の家に住み続けた/年内に転居した |
| 合計所得金額 | 2,000万円以下(40〜50㎡未満の住宅は1,000万円以下) | その年だけ所得が跳ね上がった(不動産売却・退職など) |
| 返済期間 | 10年以上(最初の返済から完済まで) | 短期のローン/繰り上げ返済で10年未満になった |
| 床面積 | 40㎡以上(合計所得1,000万円超・上乗せ措置の利用者は50㎡以上) | コンパクトマンションで所得要件を満たさない |
| 省エネ性能(新築) | 省エネ基準適合住宅以上 | 省エネ基準を満たさない新築を買った |
| 使い方 | 主として自分が住む家屋であること | 別荘・セカンドハウス・賃貸に出した |
| 他の特例 | 居住年とその前2年・後3年に譲渡所得の特例を受けていない | 買い替えで3,000万円特別控除を使った |
2026年以降の入居で増えた「外れるケース」
住宅ローン減税は令和8年度税制改正で5年延長され、入居日が2030年12月31日までの方が対象になりました。延長と同時に、住宅の性能や立地による線引きがはっきりしています。これから家を探す方は、次の3つも確認しておいてください。
省エネ基準を満たさない新築住宅
新築住宅は、省エネ基準適合住宅以上でないと原則として対象外です。建売住宅を買う場合も、販売会社に「住宅省エネルギー性能証明書」などの書類が出せるかを、契約前に聞いておくと確実です。
なお、新築の省エネ基準適合住宅は、2028年以降に建築確認を受けたものは対象外になると国土交通省が案内しています。2027年までの入居なら対象でも、着工が遅れるケースでは注意が必要です。
40平方メートル台で子育て世帯の上乗せを使いたい
40平方メートル以上50平方メートル未満の住宅でも控除は受けられますが、子育て世帯・若者夫婦世帯向けの借入限度額の上乗せは使えません。子育て世帯等とは、19歳未満の扶養親族がいる方、または本人か配偶者のどちらかが40歳未満の夫婦のことです。
2028年以降に災害レッドゾーンの新築に入居する
入居が2028年以降になる場合、土砂災害特別警戒区域などの災害レッドゾーンに建つ新築住宅は対象外になります。建替えや中古住宅、リフォームは対象のままです。土地から探す方は、市区町村のハザードマップで区域を確認してから契約してください。
住宅の性能によって、借入限度額と控除期間は次のように変わります(2026年・2027年入居の場合)。
| 住宅の区分 | 新築・買取再販の借入限度額 | 中古の借入限度額 | 控除期間 |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円(子育て世帯等5,000万円) | 3,500万円(子育て世帯等4,500万円) | 13年 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円(子育て世帯等4,500万円) | 3,500万円(子育て世帯等4,500万円) | 13年 |
| 省エネ基準適合住宅 | 2,000万円(子育て世帯等3,000万円) | 2,000万円(子育て世帯等3,000万円) | 13年 |
| その他の住宅 | 原則対象外 | 2,000万円 | 10年 |
出典 国土交通省「住宅ローン減税」(2026年10月時点)
借入限度額を超えて借りても、控除の計算に使えるのは限度額までです。たとえば省エネ基準適合の中古住宅を一般世帯が3,000万円のローンで買った場合、控除の計算に使える残高は2,000万円が上限で、1年目の控除額は最大14万円になります。毎年いくら戻るかの計算方法は、住宅ローン控除の流れと必要書類でも紹介しています。
あとから条件を外れてしまうケースにも注意
入居したときに条件を満たしていても、控除期間の途中で条件から外れると、その年以降は控除が受けられなくなります。初めての方がつまずきやすいのは、次の3つです。
1. 転勤で住まなくなった
その年の12月31日に家族とともにその家に住んでいない期間は、控除の適用がありません。ただし単身赴任で家族が引き続き住んでいる場合は、控除を受けられます。
家族全員で転居する場合でも、勤務先からの転任の命令などやむを得ない事情があれば、再適用の道があります。住まなくなる日までに「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を税務署に出しておけば、再び住み始めたとき、残りの控除期間について控除を受けられます(控除期間そのものは延びません)。届出を忘れると再適用が受けられないので、転勤が決まった段階で手続きしてください。
2. その年だけ所得が大きく増えた
合計所得金額が2,000万円を超えた年は、その年の控除は受けられません。不動産の売却益や退職金、副業の伸びなどで一時的に超えることがあります。翌年に基準内へ戻れば、その年はまた控除を受けられます。
3. 繰り上げ返済で返済期間が10年未満になった
繰り上げ返済をした場合、返済期間は繰り上げ返済後の期間で判定されます。国税庁の質疑応答事例では、最初に返済した月から短くなった最終返済月までが10年以上あれば控除を受けられるとされています。これが10年未満になると、その年以後は控除が受けられません。
期間短縮型の繰り上げ返済を重ねるときは、この10年の線に触れないかを確認してから手続きしてください。毎月の返済額を減らす返済額軽減型なら完済時期が変わらないため、この心配は基本的にありません。
確定申告の際に必要な書類について
確定申告で用意する主な書類は、確定申告書と、国税庁の様式である「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」です。これに加えて、建物の売買契約書や工事請負契約書の写し、家屋の登記事項証明書、金融機関が発行する年末残高等証明書が必要です。土地の分も控除を受ける場合は、土地の登記事項証明書と売買契約書の写しもそろえます。
手続きが簡単になっている点もあります。
- 住民票の写しは、マイナンバーの記載により原則として添付不要です。
- 給与所得の源泉徴収票の添付・提示も不要です(2019年4月1日以降)。申告書を作るときに数字を使うので、手元には用意しておきます。
- 登記事項証明書は、計算明細書に不動産番号を書けば添付を省略できます。
- 金融機関が調書方式に対応していれば、年末残高等証明書の提出も不要です。
長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅として控除を受ける場合は、認定通知書の写しや住宅省エネルギー性能証明書など、性能を証明する書類が別に必要です。補助金を受け取った場合や、住宅取得等資金の贈与の特例を使った場合も、その金額が分かる書類を用意します。
控除を受けるには、お金を借りた本人が書類をそろえて手続きします。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」なら、画面の案内に沿って入力するだけで申告書と計算明細書ができ、e-Taxでそのまま提出できます。具体的な入力の手順は住宅ローン控除の確定申告のやり方で、住民税から差し引かれる分のしくみは住宅ローン減税の住民税分の解説で取り上げています。
住宅ローン減税のよくある質問
Q. 共働きの夫婦です。二人とも住宅ローン減税を受けられますか?
A. それぞれが住宅ローンを組み(ペアローンや連帯債務など)、それぞれが要件を満たしていれば、二人とも控除を受けられます。所得要件は一人ずつ判定し、床面積は持分で分けずに建物全体(マンションは専有部分)で判断します。
Q. 初年度の確定申告を忘れてしまいました。もう受けられませんか?
A. 住宅ローン控除のための申告は還付申告にあたるため、その年の翌年1月1日から5年間提出できます。期間内であれば、さかのぼって申告できる可能性があります。迷ったときは所轄の税務署に相談してください。
Q. 年末調整用の証明書をなくしてしまいました。
A. 税務署に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を出せば、再交付を受けられます。なくす心配がある方は、はじめから電子交付を選んでおく方法もあります。
Q. 住宅ローンを借り換えました。控除は続けられますか?
A. 前のローンを返すための借り換えであることが明らかで、新しいローンも返済期間10年以上などの要件を満たせば、引き続き控除の対象になります。借り換えで控除の年数が延びることはありません。
Q. 45平方メートルのマンションでも住宅ローン減税は使えますか?
A. 2026年以降の入居で、その年の合計所得金額が1,000万円以下なら使えます。所得が1,000万円を超えた年は控除が受けられず、子育て世帯等の借入限度額の上乗せも使えない点に注意が必要です。
参考 国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)/国土交通省 住宅ローン減税(いずれも2026年10月時点)
※本記事の制度内容は2026年10月時点で国税庁・国土交通省の公表資料をもとに確認したものです。税制は毎年見直されるため、入居年によって要件・借入限度額・控除期間が変わることがあります。金利や条件は月ごとに変わるので、申し込む前に各金融機関のページで最新の内容を見ておいてください。

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