- 公開日: 2026.10.02
- 住宅購入の基礎知識
住宅購入の資金計画表|ランニングコストとライフイベントも入れる

住宅購入の資金計画表は、住宅ローンの返済額だけでなく、購入時の諸費用(イニシャルコスト)・毎年の固定資産税や保険料などのランニングコスト・将来のライフイベントの支出まで、1枚の年表にまとめて作るのが基本です。さらに金利が動いているいまは、「今の金利」と「金利が上がった場合」の2本立てにしておくと、家計が持ちこたえられるかを前もって確かめられます。
マイホームの購入は人生の3大支出(教育、住宅、老後)のひとつです。教育費は子どもが成人すれば終わり、老後の費用は定年後から発生しますので、通常この2つは重複しません。しかし住宅費は、これら両方と重なってきます。子どもの成長や家族の増減、国の制度や経済状況によって、当初の計画を見直さなければならない場合もあります。
したがって、住宅の購入を単体でとらえるのではなく、人生のコスト全体で考えていくことが重要です。
住宅購入によって生じるコストも盛り込んだ資金計画を作成する
住宅購入によって発生するコストには、大きく2つの種類があります。
1つ目はイニシャルコストと言われるもので、購入のときに1回だけかかるコストです。不動産取得税や印紙税、登録免許税、消費税、各種公的書類の取得費などが挙げられます。
2つ目は毎月・毎年継続的にかかるランニングコストで、代表的なものが固定資産税・都市計画税です。他にも、火災保険料や、マンションの場合は管理費・修繕積立金・駐車場代なども該当します。
| コストの種類 | 主な項目 | 備考 |
|---|---|---|
| イニシャルコスト(購入時に1回) | 不動産取得税/登録免許税/印紙税/消費税/仲介手数料/住宅ローンの事務手数料・保証料/登記の司法書士報酬/引越し費用・家具家電 | 住宅の種類や条件によって税の軽減措置が設けられている場合があり、適用の可否と期限は国税庁やお住まいの自治体の案内で確かめます |
| ランニングコスト(毎年・毎月) | 固定資産税・都市計画税/火災保険料・地震保険料/修繕費(戸建て)/管理費・修繕積立金・駐車場代(マンション) | マンションの修繕積立金は、大規模修繕に合わせて段階的に上がることがあります |
購入時の諸費用のうち、交渉や選び方で減らせるものについては住宅購入の諸費用は節約できる?交渉できる費用・できない費用、入居後の毎月の固定費を下げる工夫はマイホームのランニングコストを下げる方法(通信・光熱費・保険)で詳しく紹介しています。
団信と火災保険は「昔の常識」で見積もらない
ここでよくある誤解を1つ訂正しておきます。かつては【フラット35】の団体信用生命保険(団信)が任意加入で、年1回、特約料を別途支払う仕組みでした。しかし2017年10月1日以降の申込みからは、団信の費用が借入金利に含まれる「新機構団信」に変わっています(住宅金融支援機構の金利情報ページに掲載されている金利は、この新機構団信付きの金利です)。
民間金融機関の住宅ローンでも、一般団信は金利に含まれる(上乗せなし)のが一般的です。「毎年払いの団信保険料」を別項目として見込む必要は、原則としてなくなりました(がん保障などを上乗せする場合は、保険料ではなく金利の上乗せという形で負担が発生します)。
もう1つ、火災保険にも変更があります。2022年10月以降に契約する火災保険は、契約期間が最長5年となりました(それ以前は最長10年)。長期一括で払うほど1年あたりの保険料は割安になるため、5年ごとに更新と保険料の見直しがやってくる前提で資金計画に入れておきましょう。
そう考えると、資金計画を住宅ローンの返済額だけで計算してしまうと、実際の支出とは大きな差が生じます。ローンの返済額に前述のランニングコストも盛り込んだほうが、より正確な「住宅の収支表」(住宅にかかるお金の出入りをまとめた表)になるのです。
金利が動く局面では「上がったとき」も計画に入れる
いまは金利が動いている時期です。日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げることを決めました(9月24日から適用)。6月以来3か月ぶりの利上げで、植田総裁は会見で、引き続き政策金利を引き上げていく方針を示しています(日本銀行「金融政策決定会合」)。
固定金利も上がっています。住宅金融支援機構が公表した【フラット35】の2026年10月の金利(借入期間21〜35年・融資率9割以下)は年3.830%〜5.840%で、最も多い金利は年3.830%です(住宅金融支援機構【フラット35】金利情報)。報道では、現行の制度となった2017年10月以降で最も高い水準と伝えられています。なおフラット35は、申込時ではなく資金を受け取る月の金利が適用されます。
変動金利型で借りる場合、返済額の見直しを5年ごとに行い、上げ幅を1.25倍までにとどめる「5年ルール」「125%ルール」を設けている金融機関があります。返済額の急増はやわらぎますが、利息の支払いが先送りされるだけで、返済総額が減るわけではありません(ルールの有無・内容は金融機関によって異なります)。
ですから資金計画表は、「今の金利」と「金利が1〜2%上がった場合」の2本立てで作っておくのがおすすめです。上がったほうの数字でも家計が回るかを確認できていれば、金利のニュースに一喜一憂せずに済みます。
2本立ての試算例(仮の条件)
たとえば借入額3,500万円・返済期間35年・元利均等返済・ボーナス返済なしで、金利が35年間ずっと同じだったと仮定して計算すると、次のようになります(金利はいずれも説明用の仮の値です)。
| 仮の金利 | 毎月の返済額(目安) | 総返済額(目安) |
|---|---|---|
| 年1.0% | 約98,800円 | 約4,150万円 |
| 年2.0% | 約115,900円(+約17,100円) | 約4,870万円 |
| 年3.0% | 約134,700円(+約35,900円) | 約5,657万円 |
金利が1%違うだけで、毎月の返済は1万7千円ほど変わります。この差額に固定資産税や保険料などのランニングコストを足しても家計が回るかを、資金計画表の上で確かめておきましょう。実際の返済額は、借入先の金利タイプや返済ルールによって変わります。
資金計画と人生全体のコストを想定したライフイベント表を「同期」させる
冒頭でお伝えした「人生のコスト全体で考える」ための実践として、住宅の収支表とライフイベント表を同期させてみることをお勧めします。毎月・毎年のランニングコストに加え、将来発生するであろうイベントに伴うコストをあらかじめ予測し、年表にするのです。
おもなライフイベントとしては、出産、進学・教育、保険の見直し、車などの耐久消費財の買い替え、住宅の修繕などが挙げられます。それらを中長期の予定に加え、日々の収支の中からライフイベント資金を貯蓄に回す計画を立てていきます。
| 時期の目安 | 想定しておきたい支出 | 備考 |
|---|---|---|
| 入居〜5年 | 火災保険の更新(最長5年)、家具・家電の買い替え、外構やカーテンなどの追加費用 | 入居直後の出費は見落としやすい |
| 10年前後 | 給湯器・エアコンなど設備の交換、戸建ての外壁・屋根の点検 | 設備はおおむね10年前後で更新時期を迎えます |
| 10〜20年 | 子どもの進学(高校・大学)、車の買い替え | 教育費のピークと修繕が重なる時期に注意 |
| 20年以降 | 大規模修繕、住宅ローンの完済時期、老後資金の準備 | 完済年齢が退職後にずれ込まないかを確認 |
紙に書き出すのが面倒に感じる方は、日本FP協会が「ライフイベント表」「家計のキャッシュフロー表」「家計の収支確認表」などのシートを無料で公開しています(PDF版・Excel版)。ゼロから作らずに、まずは埋めてみるところから始めるとハードルが下がります。
確かに、人生が計画どおりに進む保証はありません。それでも、子どもの教育費や車、保険などは通常であれば予測できるコストでしょうから、すべてでなくても最低限必要と思われるものを予測して表に加えていくことに意味があります。少しずつ準備していく姿勢から始めて、習慣にしていければ十分です。
よくある質問
Q. 資金計画表はいつ作ればよいですか?
A. 物件を探し始める前がおすすめです。予算の上限を決めないまま物件を見ると、気に入った家に合わせて借入額をふくらませてしまいがちです。先に「毎月これなら出せる」という金額を決めておくと、判断がぶれません。
Q. 諸費用は物件価格のどれくらいを見ておけばよいですか?
A. 物件の種類(新築・中古)、仲介の有無、住宅ローンの事務手数料の方式(定額か定率か)によって大きく変わるため、一律の目安で決めないほうが安全です。不動産会社と金融機関の双方から見積もりを取り、実額で積み上げるのが確実です。
Q. 手元のお金は全部頭金に入れたほうがお得ですか?
A. 借入額が減れば利息は減りますが、生活費の半年分程度は手元に残すことをおすすめします。入居後は家具・家電や引越し、税金の支払いが続きます。予備費のない資金計画はいちばん折れやすい計画です。頭金の考え方は住宅購入の頭金はいくら必要?平均額と「2割」の目安も参考にしてください。
Q. マンションの修繕積立金は上がるのですか?
A. 多くのマンションでは、長期修繕計画にもとづいて段階的に引き上げる方式が採られています。購入前に長期修繕計画書と修繕積立金の残高を確認し、将来の引き上げ予定を織り込んで計画を立てましょう。
Q. 住宅ローンの借入先は何で選べばよいですか?
A. 金利だけでなく、事務手数料・保証料・繰上返済手数料・団信の保障内容まで含めて総額で比べてください。事務手数料が「借入金額×◯%」の定率型か定額型か、保証料が別途かかるかで、同じ金利でも諸費用は数十万円単位で変わります。複数の金融機関の見積もりを、資金計画表の同じ欄に並べて比べると違いが見えやすくなります。
※参考:住宅金融支援機構【フラット35】最新の金利情報(新機構団信付き)/日本銀行 金融政策決定会合/日本FP協会「便利ツールで家計をチェック」(ライフイベント表・家計のキャッシュフロー表)。金利は2026年10月時点の情報です。税の軽減措置や保険・住宅ローンの取扱いは変更されることがあるため、最新の内容は各公式サイトでご確認ください。

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