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住宅購入後の近所トラブルはどれくらい?公的データと良好な関係を築くコツ

住宅を購入したあとは、基本的にご自身とご家族が住みやすいように自由に暮らせます。ただ、購入した住宅の近所や地域には当然ほかの方も住んでいますから、お互いに気持ちよく暮らすための配慮は欠かせません。 とはいえ、残念なことに「住宅を購入したものの、近所とトラブルになって引っ越さざるを得なくなった」という話も耳にします。そこで今回は、実際に近所トラブルはどのくらい起きているのかを公的な調査データで確認したうえで、近所と良好な関係を築くためのポイントを、はじめて住宅を買う方にもわかるようにお伝えします。

マンションでは「トラブルなし」は約6軒に1軒

近所トラブルの実態は、国土交通省が5年に1度おこなっている「マンション総合調査」で確認できます。最新は令和5年度調査(調査は令和5年10月〜令和6年3月に実施、全国4,270の管理組合に配布し1,589件を集計)です。 この調査で、過去1年間に管理組合が把握したトラブルの発生状況を見ると、次のようになっています。
マンションで過去1年間に発生したトラブルの割合を示す横棒グラフ
「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」が60.5%で最多。「特にトラブルは発生していない」は16.0%にとどまります。
トラブルの種類発生した割合おもな内訳
居住者間の行為、マナーをめぐるもの60.5%生活音43.6%/違法駐車18.2%/ペット飼育14.2%
建物の不具合に係るもの31.7%水漏れ20.1%/雨漏り10.7%
費用負担に係るもの24.2%管理費等の滞納20.2%
特にトラブルは発生していない16.0%
出典:国土交通省「令和5年度マンション総合調査結果」(複数回答) ここは読み方に注意が必要です。この60.5%という数字は「入居者の6割が当事者としてもめている」という意味ではありません「そのマンション全体で、1年のあいだに何かしらのマナーに関する困りごとが1件でもあったか」を管理組合に聞いた割合です。数十戸〜数百戸が暮らす建物であれば、1年に1件くらい何かが起きるのはむしろ自然、とも言えます。 一方で、「特にトラブルは発生していない」は16.0%、つまりまったく何もなかったマンションは約6軒に1軒ということでもあります。「近所トラブルなんて特殊な人の話」と考えるより、どんな建物でもある程度は起こりうるものとして、起きたときの向き合い方まで先に知っておくほうが、結果的に気持ちが楽になります。 なお、当事者になったときは、直接本人から指摘を受けるケースもあれば、集合住宅では管理会社を経由して伝わってくるケースもあります。指摘を受けた時点で原因を直せば、大きなこじれには発展しないことがほとんどです。

トラブルの中心は「生活音」

先ほどの調査で、いちばん多い「居住者間の行為、マナーをめぐるもの」の中身を見ると、「生活音」が43.6%で突出しており、次いで違法駐車18.2%、ペット飼育14.2%と続きます。近所トラブルの主役は、いまや圧倒的に「音」だということです。 生活音がやっかいなのは、大きな音だから問題になる、とは限らない点です。上の階を歩く音、椅子を引く音、扉の開閉、話し声、子どもの泣き声、ペットの鳴き声——どれも「暮らしていれば出る音」で、悪気があって出しているわけではありません。それでも、聞こえ方の感じ方には個人差があり、相手との関係が良くないほど気に障る、という性質があります。 ゴミ出しのマナーも、昔から変わらず起きやすい問題です。曜日や分別のルールを守らない、集合住宅の共用部にゴミを置いてしまう、といったことは実際によくあります。筆者も過去にマンションに住んでいたとき、共用部に置かれたゴミの袋が風で破れてペットボトルが散らかっていたため、管理会社を通じて指摘をしたことがあります。 ここで大事なのは、「自分もいつでも指摘される側になりうる」と思っておくことです。とくに集合住宅から一戸建てへ、あるいは一戸建てから集合住宅へと住まいの形が変わるとき、それまでの生活習慣がそのままだと、意図せず迷惑をかけてしまうことがあります。

買う前に、トラブルの起きにくさも確認できる

近所トラブルは「住んでみないとわからない」と思われがちですが、購入前に確認できることも意外とあります。とくに音は、建物の造りに左右される部分が大きいためです。
確認したいこと見るポイント備考
上下階・隣戸の音対策住宅性能表示制度の「音環境に関すること」の評価があるか(重量床衝撃音対策等級・相当スラブ厚)音環境は選択事項のため評価がない物件も多い。無い場合は具体的な仕様を確認
管理規約・使用細則ペット飼育、楽器演奏、駐車・駐輪、ゴミ出しの時間などのルール契約前の重要事項説明でも触れられる
共用部の状態ゴミ置き場・駐輪場・廊下が整っているか、掲示板に注意喚起の貼り紙が多くないか管理が行き届いているかが一目でわかる
周辺の環境時間帯を変えて周辺を歩く(朝・夜・週末)昼だけの見学ではわからないことがある
間取りの配置隣戸と寝室・水回りが接していないか、上階が何の部屋か同じ建物でも住戸の位置で体感が変わる
とくに共用部の状態は、そのマンションの「住民の温度感」がいちばん正直に出る場所です。掲示板に注意喚起の貼り紙がずらりと並んでいるなら、いまその建物で何が起きているかがそのまま見えている、ということでもあります。

近所とのトラブルを回避するには「挨拶」をすること

引越してから近所とのトラブルをできるだけ避けるにはどうすれば良いのでしょうか。いちばん簡単で効果が大きいのは「挨拶」をして、普段からゆるやかにコミュニケーションを取っておくことです。 近年は近所付き合いが希薄になり、あまり挨拶をしないケースも増えています。ただ、周りに誰が住んでいるのかまったくわからない状態だと、何かあったときに「話し合う」という選択肢がいきなり取れなくなります。相手の事情がわからないまま不満だけがたまり、誤解が誤解を呼んで、気づいたときには大きなトラブルになっていた——という流れは珍しくありません。 挨拶をしておけば、どういう方が住んでいるのかがわかりますし、何かあったときにも話が早いというメリットがあります。たとえば小さなお子さんがいることを知ってもらえていれば、多少の物音は事情として理解してもらいやすくなりますし、こちらから「うるさかったらすみません」と一言添えておくだけでも受け止め方は変わります。 もちろん、こちらが近所に迷惑をかけないよう気をつけることも同じくらい大切です。自治体のゴミ出しルールを守ることはもちろん、夜間の生活音に気を配る、洗濯機や掃除機は早朝・深夜を避ける、椅子の脚にフェルトを貼る、といった小さな工夫の積み重ねが効いてきます。

自治会や地域イベントとの付き合い方

近所と良好な関係を築くうえで、自治会(町内会)への加入や地域イベントへの参加も、近所と接点を持つ有効な手段です。地域の情報が入ってきますし、自然災害が起きたときに助け合える相手を知っているかどうかは、いざというときに大きな差になります。 ただし、ここで正確に知っておいていただきたいことがあります。自治会・町内会は「任意団体」であり、その地域に住んでいるからといって加入する法律上の義務はありません。裁判例でも、自治会はいわゆる強制加入団体ではなく、会員は一方的な意思表示によっていつでも退会できるとされています(最高裁 平成17年4月26日判決)。「この地域は加入が必須です」と説明されることがあっても、それは慣習であって法的な義務ではない、という点は押さえておきましょう。 とはいえ、現実には自治会がゴミ集積所の管理や清掃当番を担っている地域もあります。加入しない場合に生活面でどんな影響があるのかは地域によって差が大きいので、購入を検討している段階で、自治会があるか・会費はいくらか・当番や役員の負担はどの程度かを、売主や仲介会社を通じて確認しておくと安心です。マンションの場合は、管理組合(建物を維持管理するための団体で、区分所有者は当然に構成員になります)と、地域の自治会(任意団体)はまったく別のものである点も混同しないようにしてください。 お祭りなどの地域イベントも、参加できるときに顔を出しておくと、それだけで関係づくりになります。共働きなどで毎回の参加が難しい場合は、全部に出ようとせず、出られるものにだけ出るくらいの気持ちで十分です。

もしトラブルが起きたときの進め方

それでも困りごとが起きたときは、当事者同士で直接ぶつからないことが最大のコツです。感情が入ると解決から遠ざかりますし、いちど関係がこじれると、その後ずっと住みにくくなってしまいます。 進め方の目安は次のとおりです。 ①記録を残す……いつ・何時ごろ・どんな音や状況だったかをメモしておきます。「なんとなくうるさい」ではなく事実として整理できると、相手にも第三者にも伝わりやすくなります。 ②マンションなら管理会社・管理組合に相談する……多くの場合、まずは掲示板での全体への注意喚起から始まります。名指しを避けられるので、関係を壊さずに済むことが多い方法です。 ③一戸建てなら自治体の相談窓口へ……市区町村には生活相談や環境(騒音)の窓口があります。まずはどこに相談すればよいかを聞くところからで構いません。 ④それでも解決しない場合は専門家へ……弁護士会や自治体の無料法律相談などがあります。法律上の手続きもありますが、これは最後の手段と考えてください。 反対に、自分が指摘を受けた側になったときは、まず「教えてくれてありがとうございます」から入るのが結果的にいちばん早く収まります。言い返したくなる場面でも、いったん受け止めてから事実確認をする。それだけでこじれ方がまったく変わります。

はじめての方によくある質問

Q. トラブルが我慢できず、住み替えることになったらどうなりますか。 気になるのは住宅ローンです。売却価格がローン残高を下回ると、その差額は原則として自己資金で埋める必要があります(下回った状態は「オーバーローン」と呼ばれます)。とくに購入から数年のあいだは元金があまり減っておらず、諸費用の分も含めて残高が価格を上回りやすい時期です。「いざとなったら売ればいい」と考えすぎず、買う前の確認にきちんと時間をかけるほうが、結果的にお金の面でも安全です。 Q. 引っ越しの挨拶は、いまでも必要でしょうか。 必須ではありませんが、しておいたほうが後々ラクになる場面が多いです。マンションなら両隣と上下階、一戸建てなら向こう三軒両隣が目安とされます。留守が続く場合は無理に何度も訪ねず、簡単なメモを添えて次の機会にする形でも構いません。防犯上の理由でご家族構成を伝えたくない場合は、名字だけの挨拶でまったく問題ありません。 Q. まだ物件を探し始めたばかりです。何から手をつければよいですか。 物件探しと並行して、住宅ローンで借りられる金額の目安をつかんでおくことをおすすめします。上限が見えていると探す価格帯が定まり、見学のときも「気に入ったから」だけで判断しなくて済みます。多くの金融機関では、正式な申込みの前に事前審査(仮審査)を受けられます。 Q. 将来の住み替えや借り換えも考えて、住宅ローンを選ぶポイントはありますか。 金利だけでなく、繰上返済に手数料がかかるかどうかも見ておくと選択肢が広がります。たとえばSBI新生銀行は、保証料が不要で一部繰上返済手数料も0円、一般団信の上乗せ金利も0円という費用のわかりやすい設計になっており、店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しています。手数料の条件は変更されることがありますので、申込みの前に各金融機関の公式サイトで最新の内容をご確認ください。 Q. 内見のときに、近所の雰囲気を知る良い方法はありますか。 時間帯を変えて2回行くのがいちばん確実です。平日の昼と、夜または週末では、聞こえる音も人通りもまったく違います。あわせて、共用部の掲示板・ゴミ置き場・駐輪場を見ておきましょう。その建物で「いま何が困りごとになっているか」は、たいてい掲示板に書いてあります。

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