- 公開日: 2026.08.30
- ゼロから学ぶ住宅ローン
住宅ローンの借り換え相談が増えている理由|金利上昇局面の見直し方

データで見る、いま金利に起きていること
当編集部では毎月、各金融機関の公式サイトの金利ページを実際に開いて、表示されている金利を記録しています。2026年8月分(確認日:2026年8月4日)は、14の金融機関・機関について127件の金利を集計しました(件数は「銀行×商品×借入区分×金利タイプ×期間×融資率」の組み合わせ数で、銀行の社数ではありません)。

【用語ミニ解説】なぜ変動と固定で動きが違うの?
ものさしが違うからです。変動金利は短期プライムレート(政策金利の影響を受ける短期の金利)を、固定金利やフラット35は長期金利(10年国債の利回り)をもとに決められます。長期金利のほうが先に、そして大きく動くため、同じ月でも固定だけが上がる、ということが起こります。
※当編集部の実測はまだ3か月分の蓄積です。ここに書けるのは2026年7月から8月にかけての動きまでで、長期の傾向を語れるだけのデータはありません。長い目での推移は、住宅金融支援機構や日本銀行が公表している統計をご覧ください。
相談が増えている本当の理由
では、なぜ相談が増えているのでしょうか。理由は大きく2つあります。①いま返済している金利そのものが上がってきたから
変動金利で借りている方は、金利が上がれば適用される金利も上がります。住宅ローン比較サービス「モゲチェック」(株式会社MFS)の集計では、借り換えを検討している人が現在返済中の金利は2026年7月時点で平均1.55%と、7か月連続で上昇して集計開始以来の最高水準になりました。
②この先さらに上がることへの不安があるから
同じ集計では、変動金利で返済中の人の47.3%が「固定金利への切り替え」を検討しているとされています。「いまは払えているけれど、あと0.5%上がったら家計がもたない」——そんな不安が、相談という行動につながっているわけです。
返済額に反映されるのは、実はまだ先です。変動金利は、金利が上がってもすぐに毎月の返済額が変わるわけではありません。反映の時期は金融機関や契約タイプで異なり、たとえばみずほ銀行は「2026年9月30日までに年1.025%〜で借り入れた場合、2027年1月返済分から年1.275%〜が適用される」と公表しています。三菱UFJ銀行では、変動金利(毎月型)は2026年11月の約定返済分から、(年2回型)は2027年1月の約定返済分から適用されるとしています。ご自身の契約がいつ・どう変わるかは、返済予定表と借入先の公式サイトで必ず確認してください。
金利がわずかに違うだけでも返済額は変わる
「0.5%くらいなら大したことないのでは」と思われるかもしれません。実際に計算してみましょう。 残高2,000万円・残りの返済期間20年・元利均等返済・ボーナス返済なしという前提で、金利が年1.5%の場合と年1.0%の場合を比べると、次のようになります。| 項目 | 年1.5%の場合 | 年1.0%の場合 |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 約96,509円 | 約91,979円 |
| 総返済額(20年間) | 約2,316万円 | 約2,207万円 |
| 差額 | 毎月 約4,500円/総額 約109万円 | |
※上の金額は、一般的な元利均等返済の計算式で試算した例です。特定の金融機関の商品を示すものではなく、借り換えにかかる諸費用は含んでいません。実際の返済額は、各金融機関のシミュレーションでご確認ください。
借り換えを行う際に注意すべきこと
借り換えは「金利が下がれば必ず得」というものではありません。気をつけたい点を整理します。
ただではできません。
新しい融資の事務手数料(借入額×2.20%〈税込〉の定率型が主流)、いまの銀行に払う全額繰上返済(完済)手数料、保証料、印紙税、抵当権の抹消と設定にかかる登録免許税と司法書士報酬——これらを合わせると、数十万円規模になることも珍しくありません。手数料を差し引いてもプラスになる状況でなければ、動く意味がありません。費目ごとの目安と抑え方は、借り換えの初期費用の抑え方で詳しくご説明しています。
残高と残り期間が小さいと、効果も小さくなります。
残高がわずかしかない場合や、残りの返済期間が短い場合は、減らせる利息そのものが小さく、費用に負けてしまいがちです。昔から「金利差1%以上・残高1,000万円以上・残り期間10年以上」という目安が語られてきましたが、これは語呂のよい目安にすぎません。手数料の水準は金融機関ごとに大きく違うので、最後はご自身の条件で試算してください。
審査をもう一度受け直します。
借り換えは新しく住宅ローンを借りる手続きですから、収入・勤務先・健康状態・物件の担保評価があらためて審査されます。転職直後や収入が下がった時期、健康状態が変わった場合は、いまと同じ条件で通るとは限りません。とくに団体信用生命保険(団信)に加入できないと、そもそも借り換えができないことがあります。
固定へ切り替えると、当面の返済額はふつう増えます。
「金利上昇が不安だから固定に」という選択は理にかなっていますが、代償があります。図でご覧いただいたとおり、いま固定金利は変動金利よりかなり高い水準です。切り替えた瞬間から毎月の返済額が上がることは、覚悟したうえで判断してください。これは「保険料」だと考えると納得しやすいかもしれません。
住宅ローン控除の扱いも確認を。
借り換え後のローンは、原則としては控除の対象外ですが、①当初のローンを返すためのものであることが明らかで、②返済期間が10年以上あるなどの要件を満たせば、引き続き控除を受けられます。ただし控除を受けられる年数は住み始めた年から数えるため、借り換えで延びることはありません(国税庁)。
相談の前に確かめておきたい4つの数字
相談窓口に行く前に、次の4つを手元に用意しておくと、話がぐっと具体的になります。返済予定表と、銀行のインターネットバンキングの画面があればすぐ分かります。- いま適用されている金利……「借りたときの金利」ではなく「現在適用されている金利」です。変動金利の方はここを取り違えやすいのでご注意ください
- 借入残高……いくら残っているか
- 残りの返済期間……あと何年か
- 金利タイプと、次の見直し時期……変動か固定か。固定期間選択型なら、その期間がいつ終わるか
どこに相談すればいいの?
相談先にはいくつか選択肢があり、それぞれ得意なことが違います。| 相談先 | 向いていること | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| いま借りている金融機関 | 契約内容・金利の反映時期・完済手数料の確認 | 他行の商品は比べてもらえません |
| 借り換え先の候補となる金融機関 | その商品での試算・審査の見通し | 自社商品の案内が中心になります |
| ファイナンシャルプランナー等 | 家計全体をふまえた判断 | 相談料や、紹介先との関係を確認しましょう |
| 返済が苦しいときの公的な窓口 | 返済条件の変更など、借り換え以外の方法 | 早めの相談ほど選択肢が残ります |

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