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団信の「高度障害状態」とは?定義とフラット35の身体障害保障との違い

団体信用生命保険(団信)でいう「高度障害状態」とは、両眼の視力を全く永久に失った、終身にわたり常に介護を要する、両手または両足を失ったなど、約款で定められた8つの状態のいずれかに当てはまることを指します。「障害が残った」「働けなくなった」というだけでは該当せず、回復の見込みがないほど重い状態が想定されています。

さらに紛らわしいのが、フラット35の団信では2017年10月以降、この高度障害保障に代わって「身体障害保障」が採用されている点です。判定の基準そのものが違うので、ご自身の団信がどちらのタイプかで、いざというときの結果が変わります。ここでは8項目の中身と、2つの保障の違いを整理します。

団体信用生命保険における高度障害状態の定義

団体信用生命保険において「高度障害状態」とは、一般に以下の1から8のいずれかに該当した状態を指します(約款により文言は多少異なります)。次に挙げるのは、住宅金融支援機構が債務弁済の手続で公表している機構団信の定義です。

1.両眼の視力を全く永久に失ったもの
2.言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
3.中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
4.胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの
5.両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
6.両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
7.1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
8.1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの

言葉が難しいので、注釈も押さえておきましょう。2の「そしゃくの機能を全く永久に失ったもの」とは、流動食以外のものは摂取できない状態で、その回復の見込みがない場合を指します。3・4の「常に介護を要するもの」の定義は、次の項目で詳しく見ていきます。

これらをまとめると、体のいずれかの機能を完全に失って日常生活が困難になる状態であることに加え、永久的に介護が必要となり、日常生活の行動に人手を借りなければ生活できない状態であることがわかります。「障害が残った」だけでは該当せず、かなり重い状態が想定されている点がポイントです。

体の機能のいずれかを失うもしくは機能しなくなり回復見込みが無い場合

全体をまとめると、体の機能の一部を失った、またはまったく回復することが困難である状態であれば、団体信用生命保険の保険金の支払い対象となります。

そのため、手術や治療を行うことで回復する見込みがある場合は「高度障害状態」とはならず、団信の保険金は支払われません。治療や手術で回復できる場合は、医療保険や健康保険などを活用することになります。

団信が適用される高度障害状態の例としては、交通事故で両足に大きな怪我を負い、永久に歩くことが困難となった場合は支払いの対象となります。一方で、治療を行うことで長期的に回復が見込めるのであれば、保険の支払い対象にはならないということになります。

ここでよく誤解されるのが、「がんになった」「病気で働けなくなった」といった状態は、それだけでは高度障害に当たらないということです。収入が途絶えても住宅ローンの返済は続きます。だからこそ、がん保障や就業不能への備えは団信とは別に考える必要があるわけです。

終身常時介護状態となった場合

終身にわたり常時介護が必要な状態となった場合も、団体信用生命保険の保険金の支払い対象となります。ただし、一部のことがご自身でできる場合などは適用にならず、保険金が支払われないことがあります。

住宅金融支援機構は「常に介護を要するもの」を、食物の摂取、排便・排尿・その後始末、衣服着脱・起居・歩行・入浴のいずれもが自分ではできず、常に他人の介護を要する状態と定義しています。ポイントは「いずれも」という言葉です。

つまり、1人で食事をすることは可能だが、足の神経系の麻痺で歩行だけができなくなったという場合は、この事由には該当しません。また、リハビリなどの治療で長期的に回復の見込みがある場合も高度障害状態には当たらず、保険金の支払い対象とはなりませんので注意が必要です。

高度障害状態の判定は、団信の死亡時手続きを解説した記事で触れているとおり、提出された書類や医師の診断をもとに保険会社が行います。高度障害と認定されないケースに備えて、医療保険や就業不能保険などの併用もあわせて検討することをおすすめします。

フラット35(新機構団信)は「身体障害保障」に変わっている点に注意

ここまで解説した「高度障害保障」は、主に民間金融機関の団信で採用されている保障です。一方、フラット35の団信(2017年10月以降申込分の「新機構団信」)では、高度障害保障に代わって「身体障害保障」が採用されています。機構は新機構団信の加入要件・保障内容で「所定の高度障害状態になられた場合にお支払いする高度障害保険金の取扱いはありません」とはっきり書いています。

比較の観点 高度障害保障(民間の団信・旧機構団信) 身体障害保障(フラット35の新機構団信)
支払われる条件 約款に定める8項目のいずれかに該当 身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき
誰が判定するか 提出書類と医師の診断をもとに保険会社が判定 公的な身体障害者手帳の交付という客観的な事実で判断
該当例 交通事故で両下肢の機能を永久に失った など ペースメーカーを植え込み日常生活活動が極度に制限されている(1級認定)、人工透析を受けており日常生活活動が極度に制限されている(1級認定)など

人工透析やペースメーカーの例が挙がっているとおり、身体障害保障は高度障害保障とは着眼点が違います。どちらが有利と一概には言えませんが、「約款上の重い状態に当てはまるか」を保険会社が判断するのか、「手帳の等級」という公的な基準で決まるのかは、大きな差です。

なお、フラット35には新3大疾病付機構団信という選択肢もあり、こちらは死亡・所定の身体障害状態に加えて、3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)が原因で一定の要件に該当した場合や、公的介護保険制度の要介護2から要介護5までのいずれかの状態などになった場合も残りの返済が不要になります。フラット35の団信全体については新機構団信の保障内容を解説した記事もあわせてご覧ください。

高度障害でも保険金が支払われないことがある

条件に当てはまっていても、次のような場合には債務が弁済されません。機構が公表している主なものを挙げます。

  • 故意により所定の高度障害状態になられたとき
  • 保障の開始日前の傷害または疾病が原因で所定の高度障害状態になられたとき(その傷害や疾病を加入時に告知していた場合でも対象外)
  • 申込書兼告知書で健康状態などについて事実を告げなかった、または事実と異なることを告げたことにより契約が解除されたとき
  • 戦争・その他の変乱により所定の高度障害状態になられたとき

とくに2つめは見落とされがちです。加入前からあった病気やケガが原因の場合は、正直に告知していても対象になりません。「団信に入っているから何があっても大丈夫」ではない、という前提で備えを考えてください。

団信は住宅ローンの返済リスクだけをカバーする保険で、治療費や生活費までは面倒を見てくれません。団信は途中で脱退できるのかを解説した記事でも触れているとおり、いったん入ると自分の都合でやめられない保険でもあります。だからこそ、加入する時点で「何が保障され、何が保障されないか」を理解しておくことが大切です。

高度障害状態についてよくある質問(FAQ)

Q. 障害年金を受け取れる状態なら、団信の高度障害にも当てはまりますか?

A. 別の制度なので、そのまま当てはまるとは限りません。障害年金は国民年金・厚生年金の制度で、団信の高度障害は保険約款に定められた8項目で判断されます。障害年金1級に認定されても、団信の高度障害に該当しないケースはあり得ます。

Q. 身体障害者手帳の3級では、フラット35の新機構団信の対象になりますか?

A. なりません。新機構団信の身体障害保障は、身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級に該当し、手帳の交付を受けたときが対象です。3級以下は対象外となります。

Q. がんと診断されたら住宅ローンは弁済されますか?

A. 一般団信だけでは弁済されません。がんによる保障を受けるには、がん保障を上乗せした団信(がん団信)や、フラット35の新3大疾病付機構団信などに加入している必要があります。加入できるのは原則として借入時なので、契約前に検討してください。

Q. 高度障害状態になった場合、手続きは誰が行いますか?

A. ご本人またはご家族が、借入先の金融機関に連絡して手続きを進めます。所定の様式で医師に診断書を書いてもらう必要があり、フラット35の身体障害保障では身体障害者手帳の写しも提出します。保険会社の審査では、原因や治療の経過について問い合わせが入ることもあります。

Q. 高度障害で弁済された後、住宅はどうなりますか?

A. 住宅はご本人のものとして残り、住み続けられます。死亡による弁済と違って相続は発生しませんが、抵当権を抹消する登記手続きは必要です。

団信の保障内容は金融機関・商品によって違いがあり、近年はがん保障や全疾病保障を上乗せできる団信も増えています。たとえばSBI新生銀行では一般団信の上乗せ金利が0円で、年0.1%の上乗せでガン団信を選ぶこともできます。住宅ローンを選ぶときは金利や諸費用だけでなく、万が一のときにどこまで守られるのかもあわせて見比べてみてください。保障の詳しい条件や最新の取り扱いは、各金融機関の商品説明書・約款でご確認ください。

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