- 公開日: 2026.08.08
- ゼロから学ぶ住宅ローン
住宅ローン審査で見られる4つのポイント|収入・借入歴・健康・年齢

住宅ローンは「組みたい」と思った時にすぐ組めるものではありません。日々の買い物とは桁違いのお金が動きますから、契約にあたってはしっかりと審査が行われ、そこを通過して初めて借りられるようになります。
では、どんな点が見られるのでしょうか。大きく分けると、次の2つに関する審査が行われます。
◎契約する人に関する審査
◎契約内容(物件など)に関する審査
このページでは前編として、「契約する人に関する審査」を具体的に見ていきましょう。はじめての方がつまずきやすいところを、ひとつずつかみくだいて説明します。
その前に:審査は「事前審査」と「本審査」の2段階
多くの金融機関では、審査は2段階で進みます。
- 事前審査(仮審査)…申込者の申告内容をもとに、借りられそうかを短期間で判定します。物件の売買契約を結ぶ前に受けておくのが一般的です。
- 本審査…収入証明書などの必要書類を提出し、団体信用生命保険の加入可否や物件の担保評価も含めて正式に判定します。
事前審査に通っても、本審査で結果が変わることはあります。事前審査はあくまで自己申告ベースだからです。「仮審査に通ったから大丈夫」と安心しきらず、本審査まで気を抜かないようにしましょう。
なお、金融機関によっては事前審査を設けず本審査だけで完結するところもあります(たとえばSBI新生銀行は原則として事前審査を行わず本審査のみです)。他行と併願する場合は、それぞれの進め方を確認しておくと段取りを組みやすくなります。
収入はもちろん、勤務先や勤続年数も見られます
必要な収入の目安は、購入する不動産の価格や金融機関によって異なります。最低年収の条件を設けている金融機関もあれば、金額の下限を設けていないところもありますので、具体的な数字は各金融機関の公式サイトで確認してください。
ここで知っておきたいのが、審査で本当に効いてくるのは「年収そのもの」より「年収に対する返済額の割合」だということです。これを総返済負担率といいます。全期間固定金利の【フラット35】では、最低年収の条件を設けない代わりに、この総返済負担率に次の基準が定められています。
| 年収 | 総返済負担率の基準 | ここに含まれるもの |
|---|---|---|
| 400万円未満 | 30%以下 | 住宅ローンのほか、自動車ローン、教育ローン、カードローン(クレジットカードのキャッシング、商品の分割払いやリボ払いによる購入を含む)など、すべての借入れ |
| 400万円以上 | 35%以下 |
(住宅金融支援機構【フラット35】ご利用条件・2026年4月1日現在)
つまり、年収が同じでもほかの借入れが多い人ほど、住宅ローンで借りられる額は小さくなります。ここは後ほどの「借り入れ歴」とも深くつながる話です。
勤務先や勤続年数についても、収入の安定性という観点から見られます。長く同じ勤務先に勤めている方が有利であることは間違いありません(もちろん、必ずそうでなければならないわけではありません)。転職を考えている方は、申込みのタイミングと転職の時期に注意しましょう。金融機関によって勤続年数の考え方は違うので、転職直後でも相談に乗ってくれるところがあります。
自営業・個人事業主の方は、給与所得者と見られ方が変わり、確定申告書の所得金額で判断されるのが一般的です。節税のために所得を圧縮していると、審査上は不利に働くことがあります。
これまでの借り入れ歴も問われます
金融機関は、申込者の信用情報を確認します。信用情報とは、クレジットカードや各種ローンの契約内容・支払い状況などの記録で、次の3つの信用情報機関が保有しています。
- CIC(主にクレジットカード・信販会社系)
- JICC(日本信用情報機構。主に消費者金融系)
- 全国銀行個人信用情報センター(銀行系)
過去に返済を大幅に遅らせた記録などが残っていると、審査に通らない可能性があります。CICの場合、クレジット情報の保有期間は「契約期間中および契約終了後5年以内」とされています(保有期間は情報の種類や機関によって異なります)。
そして見落としがちなのが、「いま借りているつもりのない借入れ」です。先ほどの総返済負担率の説明のとおり、次のようなものも返済額に数えられることがあります。
- クレジットカードの分割払い・リボ払いによる購入
- キャッシング枠(使っていなくても枠自体を借入とみなす金融機関があります)
- 自動車ローン、教育ローン、奨学金の返済
- スマートフォン本体の分割払い
そのため、使っていないクレジットカードは解約しておく、リボ払いの残高を先に片づけておく、といった準備が効いてきます。「借入れを減らす」ことは、そのまま「借りられる額を増やす」ことにつながるのです。
自分の信用情報がどうなっているかは、各機関に開示請求すれば本人が確認できます。心当たりがある方は、申し込む前に一度見ておくと安心です。
健康状態も審査のうちです
民間の住宅ローンでは、契約の際に団体信用生命保険(団信)への加入が条件になっているのが一般的です。そのため、生命保険に加入できる健康状態であることが実質的な条件になります。高血圧や糖尿病などの持病があると、審査が厳しくなる可能性があります。
用語ミニ解説:団体信用生命保険(団信)
住宅ローンは借入額が大きく、返済が長期にわたります。返済の途中で契約者が亡くなったり所定の高度障害状態になったりした場合に、本人に代わって保険金で残りの住宅ローンが返済される仕組みが団信です。一般的な団信の保険料は金利に含まれる形で負担し、別途支払う必要はありません。がん保障や全疾病保障などを付けると、金利が上乗せになる商品もあります。
健康面が不安な方に知っておいてほしいのは、道がひとつではないということです。
- ワイド団信(引受基準緩和型)…通常の団信より加入基準が緩やかなもので、取り扱う金融機関があります。金利が上乗せになるのが一般的です。
- 【フラット35】…健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合でも利用できます(その場合の借入金利は加入する場合と異なります)。
なお、告知は正確に行ってください。事実と異なる告知をすると、いざというときに保険金が支払われず、家族に返済が残ってしまうおそれがあります。
年齢と借入期間の関係も押さえておきましょう
「何歳まで借りられるのか」も、人に関する審査の重要な要素です。参考として【フラット35】の条件を挙げると、次のようになっています(2026年4月1日現在)。
- 申込時の年齢が満70歳未満(親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上でも申込み可)
- 借入期間は15年以上(本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年以上)で、「80歳−申込時の年齢」と35年のいずれか短い年数が上限
- 借入額は100万円以上1億2,000万円以下
たとえば45歳で申し込むと、上限は「80−45=35年」でちょうど35年。50歳なら30年が上限です。申込みが遅くなるほど借入期間が短くなり、毎月の返済額は重くなります。民間ローンの年齢条件は金融機関ごとに異なるので、各社の公式サイトで確認してください。
審査に向けて、いまからできる5つのこと
- ほかの借入れを整理する…リボ・分割の残高を減らし、使っていないカードは解約しておく。
- 返済の遅れをつくらない…カードや携帯料金の引き落とし漏れにも注意。記録は数年残ります。
- 転職・独立のタイミングを考える…申込みの直前に大きく変えないほうが無難です。
- 自己資金(頭金)を確認する…融資率が下がると審査上も金利面でも有利に働くことがあります。
- 健康診断の結果を把握しておく…団信の告知に備え、必要ならワイド団信や【フラット35】も視野に入れます。
よくある疑問にお答えします
Q. 複数の金融機関に同時に申し込んでも大丈夫ですか?
事前審査を複数受けること自体は珍しくありません。ただし申込みの記録は信用情報に残るため、短期間に多数申し込むと不利に働くことがあるといわれます。2〜3社程度に絞るのが現実的です。
Q. 産休・育休中でも申し込めますか?
取り扱いは金融機関によって大きく異なります。復職の予定や復職後の収入をどう見るかがポイントになるため、申し込む前に個別に相談するのが確実です。
Q. 契約社員や派遣社員でも借りられますか?
勤務形態だけで一律に判断されるわけではありません。収入の安定性や継続年数が見られます。雇用形態の条件は金融機関ごとに違うため、条件を公表している商品概要説明書を確認しましょう。
Q. 奨学金が残っていると不利ですか?
奨学金も返済中の借入れとして総返済負担率に含まれるのが一般的です。ただちに不利というより、その分だけ住宅ローンで借りられる額が小さくなると考えるのが正確です。
Q. 審査に落ちたら、もう借りられませんか?
そんなことはありません。審査の基準は金融機関ごとに違うため、別の金融機関では結果が変わることもあります。まずは落ちた理由の心当たり(借入れが多い、勤続年数が短い、健康状態など)を整理して、対策してから再挑戦しましょう。
まとめ
融資される額が高額なため、金融機関としても慎重に審査を行う必要があるわけですね。人に関する審査で見られるのは、大きく「収入の安定性」「返済の履歴」「健康状態」「年齢」の4つ。どれも申込みの直前に急に変えられるものではないので、家探しと並行して早めに整えておくのが賢いやり方です。
後編では、「契約内容に関する審査」について説明します。物件そのものの評価がどう見られるのか、あわせて確認してみてください。

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