- 公開日: 2026.10.10
- 借り換えの方へ
住宅ローンの繰り上げ返済はいつがお得?控除0.7%と10年の壁

「繰り上げ返済って、結局いつやるのが得なの?」という疑問の答えは、住宅ローン控除を受けているかどうかで変わります。
控除を受けている最中で借入金利が控除率0.7%を下回るなら、控除期間が終わった翌年1月まで待つのが基本です。金利が0.7%を上回る方や控除を受けていない方は、余裕資金ができた早い時期ほど得になります。
あわせて気をつけたいのは、期間短縮型で返済期間が10年未満になると控除そのものが止まることです。繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別にまとまったお金を入れて元金を直接減らす手続きのこと。初めての方がつまずきやすい順に整理していきます。
繰り上げ返済の方法は2種類
繰り上げ返済で入れたお金は、利息ではなく元金にそのまま充てられます。元利均等返済で「なかなか元金が減らない」と感じる部分を、自分のペースで削っていけます。
そのうえで、減らした元金の効果を「期間」で受け取るか「毎月の返済額」で受け取るかを選びます。これが期間短縮型と返済額軽減型の違いです。
| 比較の観点 | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 変わりません | 少なくなります |
| 返済期間(完済時期) | 短くなります | 変わりません |
| 利息を減らす効果 | 同じ金額なら大きくなります | 期間短縮型より小さくなります |
| 住宅ローン控除への影響 | 短縮後の期間が10年未満だと控除が止まります | 返済期間は変わらないため、この心配はありません |
| 向いている場面 | 総返済額をできるだけ抑えたい/定年までに完済したい | 毎月の家計の負担を軽くしたい/収入が変わる予定がある |
同じ金額を入れるなら、利息を減らす効果が大きいのは期間短縮型です。ただし毎月の返済額は変わらないので、家計がすぐ楽になるわけではありません。
返済額軽減型は、利息の削減効果は控えめでも毎月の負担がそのぶん軽くなります。「総額を減らしたいのか、毎月を楽にしたいのか」で選ぶと覚えておけば迷いません。2つの型の違いは繰り上げ返済の2つの型と損しないための注意点でも詳しく紹介しています。
決めきれないときは、借入先の返済シミュレーションを使ってみてください。残高・残り期間・金利・入れる金額を入力するだけで、2つの型の差が数字で見えます。
効果が大きいのは「早いうち」。その理由
繰り上げ返済は、同じ金額なら早い時期に行うほど消せる利息が大きくなります。返済が始まったばかりのころは残高が大きく、毎月の返済に占める利息の割合も大きいからです。
返済が進んで残高が小さくなるほど、同じ100万円を入れても消える利息は少なくなります。雪だるまが小さいうちに崩すほうが楽、というイメージです。
借入金利が高いほど、消せる利息も大きくなります。低い金利で借りている方より、金利が高めの方のほうが繰り上げ返済のメリットは出やすいといえます。
とはいえ「早いほど得」は利息だけを見た話です。住宅ローン控除や手数料、手元に残すお金とのバランスで、最適なタイミングは人によって変わります。
住宅ローン控除中は「金利が0.7%より上か下か」で決まる

「控除を受けているなら、繰り上げ返済は待ったほうがいいの?」と気になる方は多いはずです。答えは、借入金利と控除率のどちらが大きいかで変わります。
住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、毎年12月31日時点のローン残高をもとに税金が戻る制度です。繰り上げ返済で年末の残高を減らすと、そのぶん戻る税金も減ります。
控除率は、2022年(令和4年)以降に入居した方は年末残高の0.7%です。それ以前の入居は1%だったため、古いパンフレットの「1%」をそのまま当てはめないよう気をつけてください。
- 借入金利が0.7%を下回っている場合は、払う利息より戻る税金のほうが大きい状態です。控除を受けられる間は、残高を急いで減らさないほうが有利になりやすいといえます。
- 借入金利が0.7%を上回っている場合は、払う利息のほうが大きくなります。控除期間中でも、繰り上げ返済で利息を減らす効果のほうが上回りやすくなります。
ざっくりした例で見てみます。年末残高が3,000万円で金利が年0.5%なら、1年の利息はおよそ15万円です。控除は最大で残高の0.7%の21万円なので、戻る額のほうが大きくなります。
同じ残高で金利が年1.5%なら、利息はおよそ45万円です。こちらは控除の21万円を大きく上回るため、余裕資金があれば繰り上げ返済を考える価値があります。実際に戻る税金は、借入限度額や納めた所得税・住民税の額が上限になる点も覚えておいてください。
近ごろは金利が上がっています。全期間固定の【フラット35】は、2026年10月の最頻金利が年3.830%です(借入期間21年以上35年以下・融資率9割以下、住宅金融支援機構の金利情報で確認)。
固定金利の方やこれから借りる方は、借入金利が0.7%を上回っていることが多いはずです。以前に低い変動金利で借りた方は、0.7%を下回っている場合もあります。まずは返済予定表で、ご自身の適用金利を確かめてみてください。
控除を受けられる期間は「10年」とは限りません。新築住宅や買取再販住宅は原則13年、中古(既存)住宅は10年が基本でした。2026年(令和8年)以降の入居では、省エネ性能の高い中古住宅も13年に広がっています。
この改正で、制度そのものも2030年(令和12年)12月31日の入居分まで5年延長されました。関連する法律は2026年3月31日に成立しています(国土交通省 住宅ローン減税)。
では、金利が0.7%を下回る方はいつ入れればよいのでしょうか。基本形は、ご自身の控除期間が終わる年の12月まで待ち、翌年1月に繰り上げ返済する流れです。控除期間や借入限度額は入居した年の制度で決まるので、確定申告の書類で確かめておくと安心です。
返済期間が10年未満になると控除が受けられません
意外と知られていないのに、影響の大きい落とし穴があります。
住宅ローン控除の対象は、償還期間(返済する期間)が10年以上のローンと決められています。国税庁は、繰り上げ返済をしたときの償還期間を「繰上返済後の期間で判定する」としています(国税庁 繰上返済等をした場合の償還期間)。
具体的には、最初に返済した月から、短くなったあとの最終返済月までが10年以上あれば控除は続きます。この期間が10年未満になると、その年以後は控除を受けられません。
控除期間の途中で大きな期間短縮型を使うと、残りの控除をまるごと失うことがあります。「短縮後も最初の返済月から10年以上残るか」は、実行前に必ず確認してください。
返済期間が変わらない返済額軽減型を選ぶか、控除期間が終わってから期間短縮型を使う。どちらも安全な進め方です。
繰り上げ返済の手数料が有料なら回数を絞る
次に確かめたいのは手数料です。繰り上げ返済のたびに手数料がかかる金融機関もあり、想像以上にかかると効果が目減りしてしまいます。
手数料が無料なら、回数が増えても損はありません。こまめに入れたほうが早く元金が減ります。1回ごとに手数料がかかる場合は、ある程度まとまってから実行するほうが無駄がありません。
確認しておきたいのは次の3つです。
- 一部繰り上げ返済の手数料。インターネットからなら無料、窓口や電話だと有料という金融機関もあります。
- 全額繰り上げ返済(完済)の手数料。一部繰り上げ返済とは別の料金になっていることがあります。たとえばドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)の住宅ローンは、一部繰り上げ返済が無料で、全額繰り上げ返済は変動金利の期間中が無料、固定金利特約の期間中は33,000円(税込)です(2026年10月時点)。
- 最低金額と受付方法。「1万円以上」などの下限や、申し込みの締切日が決まっていることがあります。
ドコモSMTBネット銀行の住宅ローンは、WEB申込コースの仮審査受付が2026年10月30日(金)17時で終わる予定です。それ以降に申し込む方は、SBIマネープラザなど銀行代理業者の店舗やオンラインで相談しながら進める対面相談コースが窓口になります。
これから借りる方は、金利だけでなく繰り上げ返済の手数料と最低金額も一緒に比べておくと、借りたあとの使い勝手で後悔しにくくなります。こまめに返したい方ほど、手数料が0円かどうかが効いてきます。
実行する前に確かめておきたいこと
繰り上げ返済は「余ったお金を入れる」もので、無理をして急ぐものではありません。実行前に、次の3点は落ち着いて見ておいてください。
- 生活予備費を残しているか。病気やケガ、収入の変化に備えるお金まで返済に回すと、いざというときに金利の高い借り入れに頼ることになりかねません。入れたお金は原則として引き出せません。
- 近い将来の大きな支出。教育費や車の買い替え、リフォームなど、数年以内の予定があるお金は先に確保しておきます。
- 団体信用生命保険(団信)。団信は、万一のときにローン残高が0円になる保険です。完済すると保障も終わるため、全額繰り上げ返済の前には保障がなくなる点も考えておきます。
初めての方が迷いやすいポイント(Q&A)
Q. 繰り上げ返済はいくらからできますか?
A. 金融機関によって違います。1円単位で受け付けるところもあれば、1万円以上などの下限を設けているところもあります。手続きの方法でも条件が変わることがあるので、契約先の案内で確かめてください。
Q. ボーナスのたびに少しずつ返すのと、数年ためてまとめて返すのはどちらが得ですか?
A. 手数料が無料なら、早く元金を減らせる「こまめに」のほうが有利になりやすいです。1回ごとに手数料がかかるなら、回数を絞った「まとめて」のほうが無駄がありません。
Q. 期間短縮型と返済額軽減型は、あとから変えられますか?
A. 実行済みの分を後から変えることは、原則としてできません。次回の繰り上げ返済で別の型を選べる金融機関はあります。1回目の前に、どちらの効果がほしいかを決めておくと安心です。
Q. 住宅ローン控除を受けている間は、繰り上げ返済をしないほうがいいですか?
A. 一律にそうとは言えません。借入金利が0.7%を大きく上回るなら、控除期間中でも繰り上げ返済の効果が上回ることがあります。期間短縮型で返済期間が10年未満にならないかだけは確認してください。
Q. 繰り上げ返済と借り換えは、どちらを先に考えるべきですか?
A. 今より低い金利に替えられる見込みがあるなら、先に借り換えを検討するとわかりやすいです。借り換えには事務手数料や登記費用がかかるため、諸費用まで含めた総額で比べてください。
まとめ:判断の順番は「控除」→「手数料」→「手元資金」
繰り上げ返済で大事なのは、金額よりも順番です。
- まず住宅ローン控除。自分の控除期間はいつまでか、借入金利は0.7%を上回っているかを確認します。期間短縮型なら、返済期間が10年未満にならないかもチェックします。
- 次に手数料。無料ならこまめに、有料ならまとめて。全額繰り上げ返済の手数料が別になっていないかも見ておきます。
- 最後に手元資金。生活予備費と近い将来の支出を残したうえで、余裕資金の範囲で行います。
繰り上げ返済の基本をもう一度おさらいしたい方は、繰り上げ返済の2つの型と効果・注意点もあわせて読んでみてください。
※本記事は2026年10月時点の制度・公表情報をもとにしています。金利や条件は月ごとに変わるので、申し込む前に各金融機関のページで最新の内容を見ておいてください。

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