HOME > すべての記事 > 住宅購入の基礎知識 > 住まいの買換えで使える3つの税金の特例|条件と併用の可否を解説

住まいの買換えで使える3つの税金の特例|条件と併用の可否を解説

転勤が決まった、家族が増えて手狭になった、建物が古くなってきた……。そんなきっかけで「いまの住まいを売って、新しい家に買い換えたい」と考える方は少なくありません。 このとき見落とされがちなのが税金です。長く住んだ家は購入したときより高く売れることもあり、その利益(譲渡益)には所得税・住民税がかかります。ところが、マイホームの売却・買換えには税負担を軽くする特例がいくつも用意されていて、使えるかどうかで手取りが大きく変わります。 ここでは、そのなかでも代表的な“3つの特例”を、はじめての方にもわかるようにかみくだいて説明します。「どんな人が使えて、何がどう得になるのか」から一緒に見ていきましょう。

まずは全体像をつかみましょう

3つの特例は、それぞれ効き方が違います。ざっくり言うと「①利益を減らす」「②税率を下げる」「③支払いを先送りする」の3種類です。
特例の名前ざっくり言うと主な条件(代表的なもの)
3,000万円の特別控除の特例利益から最高3,000万円を差し引けるマイホームであること。所有期間の長短は問わない
所有期間10年超の軽減税率の特例税率そのものが下がる売った年の1月1日時点で、家屋・敷地とも所有期間が10年超
特定の居住用財産の買換え特例今回の課税を将来に先送りする(繰延べ)所有期間10年超かつ居住期間10年以上、売却代金1億円以下 ほか
ここでいちばん大事なポイントを先にお伝えします。①と②は税金そのものが軽くなる特例ですが、③の買換え特例は税金が消えるわけではなく、支払うタイミングが将来に移るだけです。この違いを取り違えると、あとで「聞いていた話と違う」となりかねません(国税庁も「譲渡益が非課税となるわけではありません」と明記しています)。 なお、いずれの特例も確定申告をして初めて使えます。何もしなければ自動的には適用されませんので、そこだけは覚えておいてください。

3,000万円の特別控除の特例

マイホームを売ったときに、譲渡所得(もうけ)から最高3,000万円を差し引ける制度です。所有期間の長さは問われないので、3つのなかではもっとも使いやすい特例といえます。 ここで、よくある勘違いをひとつ。差し引くのは「売った金額」からではありません。次の式で計算した“もうけ”から差し引きます。 譲渡所得=売った金額 −(取得費+譲渡費用)
  • 取得費…その家を買ったときの代金や購入手数料など(建物は所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます)。取得費がわからないときは、売った金額の5%を取得費とすることもできます。
  • 譲渡費用…売るために直接かかった費用。仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代などです。
たとえば4,000万円で売れて、取得費と譲渡費用の合計が1,500万円なら、もうけは2,500万円。3,000万円の枠に収まるので、この特例だけで課税される所得はゼロになります。 主な条件は次のとおりです。
  • いま自分が住んでいる家、または以前に住んでいた家(住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る場合)であること
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売ったものでないこと(生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます)
  • 売った年の前年および前々年に、この特例やマイホームの譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例を受けていないこと
  • 売った年・前年・前々年に、マイホームの買換えや交換の特例を受けていないこと
また、この特例を受けることだけを目的に入居した家、新築中の仮住まい、別荘には使えません。「売る直前だけ住民票を移す」といった使い方は認められない、と理解しておきましょう。

所有期間10年超の居住用財産の軽減税率の特例

長く住んだマイホームを売る場合に、長期譲渡所得の税率が下がる制度です。ここでよく間違われるのが所有期間で、正しくは「売った年の1月1日時点で、家屋と敷地の所有期間がともに10年を“超えて”いること」です。ちょうど10年では足りず、また基準になるのは売った日ではなく売った年の1月1日である点に注意してください。 税率は次のように変わります(下表は所得税の計算方法です)。
課税長期譲渡所得金額(=A)通常の長期譲渡所得軽減税率の特例を使う場合
6,000万円以下の部分A×15%A×10%
6,000万円を超える部分A×15%(A−6,000万円)×15%+600万円
このほかに住民税(通常の長期譲渡所得は5%)と、復興特別所得税(令和19年分まで、基準所得税額の2.1%)がかかります。軽減税率の特例を使う場合は住民税にも軽減措置がありますので、具体的な金額は税務署や税理士にご確認ください。 そしてうれしいことに、この特例は「3,000万円の特別控除」と重ねて使えます。まず3,000万円を差し引き、それでも残った利益に低い税率をかける、という順番です。

特定の居住用財産の買換え特例

売った家の利益に対する課税を、買い換えた家を将来売るときまで先送りできる制度です。くり返しになりますが、非課税になるのではなく「繰延べ」です。 国税庁の例で言えば、1,000万円で買ったマイホームを5,000万円で売り、7,000万円の家に買い換えた場合、通常なら4,000万円の譲渡益が課税対象になります。この特例を使えば売った年には課税されませんが、将来その家を8,000万円で売ったときには、実際の利益1,000万円に、繰り延べていた4,000万円を足した5,000万円が課税対象になります。 売った家(旧居)の主な条件
  • 売った年の1月1日時点で、家屋・敷地とも所有期間が10年超であること
  • 売った人の居住期間が10年以上であること
  • 売却代金が1億円以下であること(一体として使っていた土地を分割して売っている場合は、売った年の前々年から翌々年までの5年間の売却代金を合計して判定します)
  • 親子や夫婦など「特別の関係がある人」に売ったものでないこと
  • 以前に住んでいた家の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
買い換えた家(新居)の主な条件
  • 建物の床面積が50㎡以上土地の面積が500㎡以下であること
  • 中古住宅の場合は、取得の日以前25年以内に建築されたもの、または一定の耐震基準を満たすものであること
  • 新築未使用の住宅で令和6年1月1日以後に入居する場合は、一定の省エネ基準(断熱等性能等級4以上かつ一次エネルギー消費量等級4以上)を満たすことなどが求められます
  • 売った年の前年から翌年までの3年の間に買い換えること
  • 買い換えた家に住む期限は、売った年かその前年に取得したときは売った年の翌年12月31日まで、売った年の翌年に取得したときは取得した年の翌年12月31日まで
さらに、この特例には適用期限があります。令和8年度税制改正により、令和9年(2027年)12月31日までの売却が対象とされています。期限は改正のたびに延長されることがありますので、実際に検討する際は国税庁の公式ページで最新の取り扱いを必ずご確認ください。

どれを選ぶ?併用できる組み合わせ

3つを自由に組み合わせられるわけではありません。ここが最大のつまずきポイントです。
  • 「3,000万円の特別控除」+「軽減税率の特例」= 併用できます
  • 「買換え特例」と、上の2つ = 併用できません(どちらかを選びます)
つまり実際の選択は、「3,000万円控除+軽減税率」でいくか、「買換え特例」でいくかの二択になることが多いのです。 利益が3,000万円以内に収まりそうなら、多くの場合は前者を選べば今回の税負担はゼロに近づきます。一方、利益が3,000万円を大きく超えるようなケースでは、買換え特例で先送りするほうが目先の資金繰りは楽になります。ただし先送りした分は将来の売却時に上乗せされるため、「その家に長く住み続けるのか」「いずれまた売るのか」まで見通して判断したいところです。

税額のイメージをつかんでみましょう

言葉だけではピンとこないと思いますので、もうけ(特別控除を引く前の課税長期譲渡所得)が4,000万円、所有期間10年超という条件で、所得税額がどう変わるかを比べてみます。
特例の使い方による所得税額の違いを示す棒グラフ
課税長期譲渡所得(特別控除前)を4,000万円と仮定した当社試算。住民税・復興特別所得税は含みません。
同じ売却でも、使える特例を知っているかどうかで手元に残るお金がこれだけ変わります。「うちは対象になるのかな?」と思ったら、売る前に確認しておくのが得策です。

はじめての方がつまずきやすいポイント

Q. 買換え特例を使えば、税金はかからなくなるのですか?
いいえ。非課税ではなく「繰延べ(先送り)」です。買い換えた家を将来売るときに、先送りした利益も合わせて課税されます。買い換えた家の取得価額には、売った家の取得価額が引き継がれる点も押さえておきましょう。 Q. 3,000万円の特別控除は「売れた金額」から引けるのですか?
引けるのは「売った金額−(取得費+譲渡費用)」で計算した利益からです。売却代金そのものから3,000万円を引くわけではありません。 Q. 転勤で先に引っ越してしまった家でも使えますか?
使える可能性があります。住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、これらの特例の対象になり得ます。空き家のまま長く置くと期限を過ぎてしまうので、売却時期は早めに検討しましょう。 Q. 特例を使うと、新居の住宅ローン控除はどうなりますか?
ここはとても重要な注意点です。3,000万円の特別控除・軽減税率の特例・買換え特例のいずれかを受けた場合、入居した年・その前年・前々年については新居の住宅ローン控除を受けられません。さらに、入居した年の翌年から3年目までのいずれかの年に対象外の資産を譲渡してこれらの特例を受けるときも、住宅ローン控除は使えません。「譲渡の特例」と「住宅ローン控除」は、どちらが有利かを比べて選ぶという発想が必要です。 Q. 売った年に新居がまだ買えていない場合はどうなりますか?
買換え特例は、売った年の翌年12月31日までに買い換えて入居できれば適用できる仕組みがあります。ただし見積額で申告したあとに実際の金額が違った場合などは、修正申告や更正の請求といった手続きが必要になります。 Q. 夫婦の共有名義でも使えますか?
共有の場合は、原則として持分ごとに要件を判定します。所有期間や居住期間は人によって異なることもあるため、共有名義の売却は早めに税務署や税理士へ相談するのが確実です。

まとめ

最後に、覚えておきたいポイントを整理します。
  • 「3,000万円の特別控除」と「軽減税率の特例」は併用できる
  • 「買換え特例」は上の2つとは併用できず、税金は消えずに先送りされるだけ
  • 軽減税率と買換え特例は、売った年の1月1日時点で所有期間10年“超”が条件
  • 買換え特例には適用期限(現行は令和9年12月31日までの売却)がある
  • どの特例も確定申告が必要。使うと新居の住宅ローン控除が受けられなくなる点にも注意
そして買換えでは、税金と同じくらい新居の住宅ローン選びが家計を左右します。とくに住宅ローン控除が使えないケースでは、金利だけでなく諸費用まで含めた総支払額で比べる視点が欠かせません。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、原則として保証料が0円、一部繰上返済手数料も0円と費用の見通しが立てやすく、店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しています(事務取扱手数料は借入金額の2.20%(税込)。2026年8月時点・公式サイトにて確認)。買換え先の候補のひとつとして、比較のテーブルにのせてみてもよいでしょう。 税金の特例は条件が細かく、金額も大きく動きます。売買契約を結ぶ前に、国税庁のページで最新の要件を確認し、迷ったら税務署や税理士に相談することをおすすめします。

地方銀行との圧倒的な金利差!借入れ・借換えした後もお得♪

イオン銀行は、ネット申込と店頭相談の両方が可能なハイブリッド型!
金利以外のお得なサービスも充実しているため、生活費の節約もできます。

イオン銀行住宅ローンはここがお得!

  • 疾病保障付住宅ローンは2つの特約付きでさらに安心
  • 保証料0円!負担になる諸費用を大幅節約
  • 一部繰上げ返済手数料0円!借り入れ後もお得に返済

詳細&お申込みはこちら

住宅購入の基礎知識関連記事