住宅購入費用を親や祖父母に出してもらう際の4つの注意点
人生の中で一番高い買い物と揶揄される程、住宅の購入費用は高額になります。そのため、ご自身が用意してお金だけではなく、親や祖父母などの直系尊属にお金を出してもらうことで、住宅購入のお手伝いをしてもらうことを検討している方もいるのではないでしょうか。
住宅を購入するにあたり、直系尊属の方にお金を出してもらうことは可能ですが、その際に、いくつか注意点があります。今回は直系尊属にお金を出してもらう際の注意点をまとめました。
不動産購入にお金を出した場合は所有権が発生する
住宅を含め、建物や土地といった不動産は高額な買い物となり、複数の人がお金を出し合って購入するというケースは多くありますが、その際、基本的に不動産の購入にあたってお金を出した場合、「所有権」が発生します。
日常的に使っている物は、一つの物を一人が所有するというという概念がありますが、不動産の場合は、1つの建物や土地に対して、複数の人が所有する権利があります。
不動産を複数の人が保有する場合は、所有者一人ひとりの「持分」が決められ、その持分を国に登録する必要があります。持分は%(パーセント)単位となり、お金を出した割合などで決めることができます。
イメージとしては、2017年11月11日の記事で紹介した不動産投資信託(REIT)に近いと言えます。REITは、お金を出す(出資)代わりに有価証券と引き換えて、不動産を間接的に保有することができます。出資した金額に応じて、所有割合が決まります。
所有権の発生は不動産本体だけではなく仲介手数料も対象
複数の方からお金を出してもらい不動産を購入する場合は、そのお金が不動産本体の購入費用に充当する以外にも、不動産を購入する上で必要となる費用に充当した場合でも所有権が発生します。
例えば、不動産会社に支払う仲介手数料の他、不動産所得税や登録免許税、固定資産税、都市計画税といった各種税金、中古住宅をリフォームする場合のリフォーム費用、ガスや電気設備など住宅に備え付け設備費用、ローン契約時の事務手数料なども対象となります。
一方で、不動産を購入するにあたり、任意もしくは付随的な費用となる保険料や保証料、ローン返済時の金利、引っ越し費用、電化製品の購入といった代金を出してもらった場合には不動産の所有権は発生しません。
住宅の所有権を複数人にする場合は手続きに同席が必要
住宅を購入するにあたり、直系尊属にお金を出してもらった上で、所有権を複数人にしたいという場合は、住宅を購入する場合において購入手続きやローンの契約手続きに同席する必要があります。
住宅の購入手続きやローンの契約手続き時には、所有権を有していることを証明するためにも、各種書類に氏名の記入や捺印が必要になります。また、覚書の作成が必要になりますので、事前に話し合い持分をどうするかなどをしっかりと話し合っておくことが重要です。
所有権を持ちたくない場合は非課税枠を使用する
一方で、住宅の購入する際の、お金は出してもらいたいが、あくまでも資金援助が目的であるため、所有権は持ちたくないという場合は、非課税枠を利用することで、所有権を複数人に設定する必要がなくなります。
通常であれば親族から金銭的な贈与があれば相続税が発生しますが、政府は住宅の資金援助をする場合、特定の要件を満たすことを条件に税優遇措置を用意しています。
直系尊属からの住宅購入資金援助は最大1200万円までが非課税
父母、祖父母などの直系尊属からの資金援助を受ける場合、住宅の床面積が50平方メートル以上240平方メートル未満の条件を満たした場合、購入契約の締結日が平成28年1月1日から平成32年3月31日までの間であれば、一般住宅であれば最大700万円までが非課税となります。更に、省エネ住宅であれば最大1200万円までが非課税となります。
ただし、贈与を受けた方の年齢が20歳以上で年収が2,000万円以下であることが条件であり、この優遇措置を受けるには最寄りの税務署にて手続きが必要になります。
配偶者など個人間の贈与は最大110万円までが非課税
配偶者やその他の個人から、住宅購入の資金援助を受ける場合であれば、個人間の贈与は110万円までであれば非課税となり申告が不要となります。
親族を含め、他の方から住宅購入の資金を援助してもらう場合は、金額が多くなるようであれば所有権を有してしまうことになりますので、必ず非課税枠内で収まる金額にすることが重要です。ただ、非課税枠より超過しての資金援助が必要な場合は、親族からの借入金として後に返済する方法も活用できるでしょう。
- 2018.05.21
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