- 公開日: 2026.06.23
- 住宅ローンの注意点
住宅購入費用を親や祖父母に出してもらう際の4つの注意点|贈与税の非課税枠も解説

人生の中で一番高い買い物ともいわれるほど、住宅の購入費用は高額になります。そのため、ご自身で用意したお金だけではなく、親や祖父母などの直系尊属にお金を出してもらって住宅購入の手助けをしてもらうことを検討している方もいるのではないでしょうか。
住宅を購入するにあたり、直系尊属にお金を出してもらうことは可能ですが、その際にいくつか注意点があります。今回は、直系尊属にお金を出してもらう際の注意点を、はじめての方にもわかりやすくまとめました。
不動産購入にお金を出した場合は所有権が発生する

住宅を含め、建物や土地といった不動産は高額な買い物となり、複数の人がお金を出し合って購入するというケースは多くありますが、その際、基本的に不動産の購入にあたってお金を出した場合、「所有権」が発生します。
日常的に使っている物には「一つの物を一人が所有する」という概念がありますが、不動産の場合は、1つの建物や土地に対して複数の人が所有する権利を持つことができます。
不動産を複数の人で保有する場合は、所有者一人ひとりの「持分(もちぶん)」が決められ、その持分を国(法務局)に登記する必要があります。持分は割合(%)で表され、お金を出した割合などで決めることになります。
イメージとしては、不動産投資信託(REIT)に近いと言えます。REITは、お金を出す(出資)代わりに有価証券と引き換えて、不動産を間接的に保有する仕組みで、出資した金額に応じて所有割合が決まります。
所有権の発生は不動産本体だけではなく仲介手数料も対象
複数の方からお金を出してもらって不動産を購入する場合、そのお金を不動産本体の購入費用に充てたとき以外にも、不動産を購入するうえで必要となる費用に充てた場合でも所有権が発生します。
例えば、不動産会社に支払う仲介手数料のほか、不動産取得税・登録免許税・固定資産税・都市計画税といった各種税金、中古住宅をリフォームする場合のリフォーム費用、ガスや電気などの備え付け設備費用、ローン契約時の事務手数料なども対象となります。
一方で、不動産を購入するにあたり、任意もしくは付随的な費用となる保険料や保証料、ローン返済時の利息、引っ越し費用、電化製品の購入といった代金を出してもらった場合には、不動産の所有権は発生しません。
住宅の所有権を複数人にする場合は手続きに同席が必要
住宅を購入するにあたり、直系尊属にお金を出してもらったうえで所有権を複数人にしたいという場合は、住宅の購入手続きやローンの契約手続きに同席する必要があります。
これらの手続き時には、所有権を有していることを証明するためにも、各種書類への氏名の記入や捺印が必要になります。また、覚書の作成が必要になることもありますので、事前に「誰がいくら出して、持分をどう分けるか」をしっかり話し合っておくことが重要です。
所有権を持ちたくない場合は非課税枠を使用する

一方で、「お金は出してもらいたいが、あくまで資金援助が目的なので所有権は持ちたくない」という場合は、贈与税の非課税枠を利用することで、所有権を複数人に設定する必要がなくなります。
通常であれば、親族から金銭的な贈与を受けると贈与税がかかりますが、国は住宅の資金援助について、一定の要件を満たすことを条件に税の優遇措置を用意しています。
直系尊属からの住宅取得資金は省エネ住宅なら最大1,000万円まで非課税
父母・祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受ける場合、令和6年(2024年)1月1日から令和8年(2026年)12月31日までの贈与について、一定の要件を満たすと次の金額まで贈与税が非課税になります(2026年6月時点・国税庁)。
| 住宅の種類 | 非課税限度額 | 主な目安 |
|---|---|---|
| 省エネ等住宅 | 最大1,000万円 | 断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上などの基準を満たす住宅 |
| それ以外の住宅 | 最大500万円 | 上記の省エネ等基準を満たさない住宅 |
おもな要件は次のとおりです。
- 受贈者が贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること
- 受贈者のその年の合計所得金額が2,000万円以下(取得する家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は1,000万円以下)であること
- 取得する住宅の登記簿上の床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下で、その2分の1以上が受贈者の居住用であること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得して居住する(見込みである)こと
非課税の範囲内であっても、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告が必要です(申告して初めて非課税の特例が受けられます)。要件は細かく、制度の期限も区切られているため、利用する際は最寄りの税務署や税理士に確認しましょう。
そのほかの贈与は年110万円までが非課税(暦年課税の基礎控除)
上記の住宅取得資金の特例とは別に、贈与税には1年間に110万円までの基礎控除(暦年課税)があり、110万円以内であれば原則として申告も不要です。住宅取得資金の非課税特例と、この年110万円の基礎控除はあわせて利用することもできます。
親族を含め他の方から住宅購入の資金を援助してもらう場合、非課税枠を超える金額を「もらう」と贈与税の対象になったり、出した割合に応じて所有権が発生したりします。非課税枠を超える分は、親族からの借入金としてきちんと契約書を作り、後から返済する方法も活用できるでしょう(その場合、利息や返済実態がないと贈与とみなされることがある点に注意)。
よくある質問(FAQ)
Q. 非課税の範囲内なら申告しなくてもいい?
いいえ。住宅取得等資金の非課税特例は、非課税でも贈与税の申告が必要です。翌年2月1日〜3月15日に、戸籍謄本や契約書の写しなどを添えて申告します。
Q. 親と祖父母の両方からもらえば限度額は2倍になる?
いいえ。非課税限度額は受贈者1人あたり(省エネ等住宅で1,000万円、それ以外で500万円)です。複数の人からもらっても、合計でこの上限までが非課税です。
Q. 親名義のお金を黙って使っても大丈夫?
お金の流れは記録に残ります。誰がいくら出したかで所有権(持分)や課税関係が変わるため、事前に持分・贈与・借入のどれにするかを決めておくことが大切です。
直系尊属からの資金援助は、上手に使えば住宅購入の大きな助けになります。ただし、所有権(持分)や贈与税の扱いを誤ると、あとから思わぬ税負担が生じることもあります。金額が大きくなる場合は、必ず最新の制度を国税庁の公式情報で確認し、必要に応じて税務署や専門家に相談しながら進めましょう。

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