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複数の物件を見学するコツ|同行してくれる担当者の見つけ方と準備

一戸建てやマンションを見学するとき、土日などの休日を使って複数の物件をまわる方は多いと思います。見学の予約を入れて、場所を確認して、現地へ出向く……という流れですね。

ただ、物件ごとに案内してくれる担当者が違うため、比較しながら冷静に見学するのが意外と難しいのです。1件目でいいと思ったのに、3件目を見たら何がよかったのか思い出せない。そんな経験をされた方もいるのではないでしょうか。

もっと、じっくり見きわめながら見学する方法はないものでしょうか。ここでは、その「お助けマン」の見つけ方と、見学を実りあるものにする準備のしかたをお話しします。

ひとつの不動産会社に同行してもらい、すべての物件を見学する

事前にメールや電話、来店時のやりとりを通じて「この人なら信頼できそうだ」と感じた担当者がいれば、その方を通じて購入するという方法があります。物件の探索・紹介・内覧の手配をすべてその担当者に任せ、休日に見学へ同行してもらうのです。

そうすれば一緒にすべての物件を見ることになるので、第三者の目線で意見をもらいながら、じっくり比較吟味できます。「さっきの家と比べてどうでしたか?」と、その場で聞ける相手がいるのは心強いものです。

なお、物件によっては直接紹介できないものもありますので、その物件を見学するときだけ近くで待機してもらう、という形になる場合もあります。

なぜ、これが可能なのでしょうか。売り出されている物件の多くは、不動産会社間で情報が共有されているためです。宅地建物取引業法にもとづき、売主と専任媒介契約・専属専任媒介契約を結んだ不動産会社は、指定流通機構(レインズ)へ物件を登録することが義務づけられています。だからこそ、1社の担当者が他社の売り物件も含めて紹介できるわけです。

用語ミニ解説:媒介契約の3つの種類

不動産会社に仲介を依頼するときの契約(媒介契約)には3種類あり、国土交通省が標準の約款を定めています。売る側の話ではありますが、買う側も知っておくと物件情報の流れが見えてきます。

媒介契約の種類 他社への重ねての依頼 レインズ登録・報告の義務
一般媒介契約 できる 登録・報告の義務はない
専任媒介契約 できない 登録・定期的な報告が義務
専属専任媒介契約 できない(自分で見つけた相手とも直接契約できない) 登録・報告の義務がより厳しい

登録や報告の具体的な期限・頻度は法令で定められています。詳しくは契約書面や国土交通省の資料で確認してください。買う立場としては、「気になる物件が一般媒介なのか専任なのか」で、他社経由でも紹介してもらえるかが変わることがあると知っておけば十分です。

見学の前にやっておきたい3つの準備

同行してもらう相手が決まったら、次は自分側の準備です。ここを飛ばすと、見学が「なんとなくの家めぐり」になってしまいます。

  1. 希望条件に順位をつける…エリア・広さ・駅からの距離・築年数・学区など、すべてを満たす物件はまずありません。「絶対に譲れない条件」を3つまでに絞っておくと、比較の軸ができます。
  2. 資金の上限を先に決めておく…物件価格のほかに、諸費用(仲介手数料・登記費用・火災保険料・住宅ローンの事務手数料など)がかかります。予算は「物件価格+諸費用」で考えるのが鉄則です。
  3. 住宅ローンの事前審査を受けておく…借りられる額の目安がわかっていると、見学の対象を現実的に絞れます。売主側から見ても「この人は買える人だ」と伝わるので、購入の申込みがスムーズに進みます。

とくに3つ目は効果が大きいところです。気に入った物件が見つかってから慌てて審査に走ると、その間に他の人に決まってしまうことがあります。

見学当日にチェックしたいこと

複数の物件をまわる日は、記憶が混ざりやすいものです。同じ項目を、同じ順番で見て、その場でメモすると比較しやすくなります。

見るところ チェックのポイント ひとこと
周辺環境 駅までの実際の所要時間、坂道、街灯、騒音 可能なら夜や雨の日にも歩いてみる
日当たり・風通し 時間帯によるちがい、隣家との距離 図面ではわからない部分
収納 いま持っている物が入るか 広さより「どこに何を置くか」
水まわり 水圧、におい、配管の位置、劣化の具合 中古では修繕費に直結します
共用部(マンション) ゴミ置き場・駐輪場・掲示板の様子 管理の質がいちばん出るところ
維持費 管理費・修繕積立金、修繕計画、駐車場代 毎月の負担は住宅ローンだけではありません
ハザードマップ 洪水・土砂災害・地震の想定 火災保険の内容にも関わります

写真を撮らせてもらえるかは物件によりますので、撮影の可否はその都度確認しましょう。撮れないときのために、簡単な間取りメモを取るのもおすすめです。

お任せする担当者は、知識・経験はもちろん、自宅購入の経験がある人がのぞましい

不動産会社の担当者だからといって、必ずしも自宅を購入しているとは限りません。取引実績はたくさんあっても自分に購入経験がない担当者では、お互いに共感できない部分が出てくることもあります。

でも、購入経験がある担当者であれば、当事者だからこそ言える経験談を話してくれます。使いやすい間取りや住みやすい環境、さらにローンや税金の手続きについても、プロの実践談を聞くことができます。

もちろん、購入経験がすべてではありません。あわせて次のような点も見てみてください。

  • 宅地建物取引士の資格を持っているか(重要事項説明は宅地建物取引士が行います)
  • 質問に対して「わかりません」と言えるか、そのうえで調べて返してくれるか
  • 物件のデメリットも先に説明してくれるか
  • こちらの資金計画を無視した提案をしてこないか

あえて苦言を呈してもらう

営業担当に多いのは、何にでも肯定的な人です。これは、お客様に嫌われたくないからとイエスマンになりきり、気分を害さないようにするためです。

確かに「営業マンの鑑」のような存在ではあります。しかし、信頼できる担当者というと少し違うかもしれません。信頼できる担当者は、お客様のために「ノー」も言える人なのです。

どんなに見た目がよい物件でも、お客様のライフスタイルに沿わないものであれば、そのことをきちんと説明してくれるでしょう。

よい物件に出会うことは、よい担当者と出会うこととも言えます。ある優秀な担当者は、1組のお客様と買い替えを含めて3度の売却と購入の取引をまとめ、その息子夫婦の自宅購入までまとめました。それほどお客様から全幅の信頼を寄せられているということに違いありません。

いまは「現地に行かない見学」もあります

物件探しのやり方は、この10年で大きく変わりました。オンラインでの内見(動画やVRを使った内覧)を用意する不動産会社も増えています。遠方から探す方や、まず候補を絞りたい方には便利な方法です。

手続きの面でも変化がありました。国土交通省は令和4年(2022年)5月18日施行で宅地建物取引業法施行規則等を改正し、重要事項説明書・契約締結時の書面・媒介契約締結時の書面などを、相手方の承諾を得たうえで電子書面(電子メールやウェブからのダウンロード等)で提供できるようにしました。あわせて、ITを活用した重要事項説明(IT重説)の実施マニュアルも公表されています。

とはいえ、におい・音・光・周辺の空気感は、現地でしかわかりません。オンラインは「候補を絞る道具」、現地見学は「決めるための確認」と役割を分けるのが現実的です。

よくある疑問にお答えします

Q. 1日に何件くらい見学できますか?
移動時間を含めると、じっくり見るなら1日3〜4件が目安です。詰め込みすぎると印象が混ざり、かえって判断しづらくなります。

Q. 同じ物件を、別の不動産会社から紹介されました。どちらで買えばよいですか?
レインズに登録された物件は複数の会社が紹介できるため、こうしたことは起こります。物件が同じなら、選ぶ基準は「どの担当者と進めたいか」になります。焦らず、対応の丁寧さや説明のわかりやすさで判断しましょう。

Q. 見学したら、必ず買わないといけませんか?
そんなことはありません。見学は検討のための行動です。ただし担当者の時間を使っていることは意識して、条件が合わないと感じたらその理由を率直に伝えましょう。次の提案の精度が上がります。

Q. 気に入った物件が見つかったら、次は何をしますか?
一般的には、購入の申込み → 住宅ローンの事前審査 → 売買契約(このときに重要事項説明を受けます)→ 本審査 → 決済・引き渡し、という流れです。重要事項説明は契約前に行われますので、疑問はその場で解消してください。

Q. 家族の意見が割れたときはどうすればよいですか?
先ほどの「絶対に譲れない条件を3つ」を家族それぞれで書き出して見せ合うと、論点が整理できます。同行してくれる担当者に、第三者として間に入ってもらうのも有効です。

まとめ

複数の物件を見学するときのコツは、「同じ人と、同じ基準で、同じ順番に見る」ことに尽きます。

  • 信頼できる担当者1人に同行してもらい、比較の軸をそろえる
  • 見学の前に、譲れない条件・予算の上限・住宅ローンの事前審査を済ませておく
  • 当日は同じチェック項目でメモを取り、維持費やハザードマップも確認する
  • オンライン内見や電子書面は上手に使いつつ、最後は現地で確かめる

さあ皆さんも、そんな担当者に出会えるよう、物件探し——いえ、担当者探しをスタートさせましょう。

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