注文住宅を建設中に建築会社が倒産した場合どうなる?工事を依頼する前に確認すべきこと
注文住宅を建てる場合において、建設工事を建築会社にお願いすることになります。多くの場合、早期完成を期待しているかと思いますが、この段階において隠れたリスクとして、住宅建設中に建築会社が倒産してしまう事態になることです。
工事費も一部支払っているので、工事は最後まで行ってくれると考えている方も多いですが、安易な考えが想定外の出来事を及ぼすことになりますので、工事を依頼する前に今回紹介する内容をしっかりと確認した上で、工事の依頼を行うことが重要になります。
建設業の倒産は依然として多く、楽観視してはならない
注文住宅を建てる場合、住宅会社に依頼することになります。住宅会社といっても上場している知名度が高い大手企業から、地元密着型の中小の住宅会社まで様々です。また、住宅会社に依頼した場合、住宅会社が一部の工事を手掛ける場合もありますが、多くが、中小の建設会社などに工事を依頼することになります。
東京商工リサーチによると、2019年時点における全国の企業倒産件数は8383件となっています。2008年のリーマンショック以降、企業の倒産件数は減少傾向にありますが、2019年においては、米中貿易摩擦による影響で、11年ぶりに前年を上回っています。
倒産した企業を業種別に見てみたところ、サービス業が2569件と最も多く、続いて、建設業が1,444件と2番目に多い状況となっています。
建設業については、東京オリンピックや復興需要など今後の需要増加が見込まれるものの、景気動向に大きく左右されやすい業種でもあり、景気が減速すると、建物建設の依頼を中断する動きが増えますので、受注が減少し収益に悪影響を及ぼしていしまいます。
そのため、注文住宅の建設においても、建設中に企業が倒産する可能性というのは考えられる出来事であると言えます。
建設会社倒産時の工事継続の有無は状況によって異なる
建売住宅の建設中に万が一、建設会社が倒産した場合、工事が継続されるかは、倒産後において対象の企業がどういった手続きを踏んでいくのかによって変わっていきます。
倒産といっても様々で、「破産」の手続きをおこなう場合は、企業としての事業活動を全て終了し会社を精算します。一方で、民事再生の手続きを行う場合は、自力で再建もしくは第三者の支援者から資金支援を受けて再建を行い事業活動としては継続します。また、第三者に株式を譲渡するなどして事業そのものを譲渡する場合もあります。また、会社更生法の手続きを取る場合は、概ね民事再生と同様ですが、管財人を建てた上で経営者を入れ替えるなどして経営を一新して事業活動を継続します。
建設会社が倒産した場合、破産の手続きを行った場合は、事業活動は完全に止まってしまいますので、建設中の工事においてもその時点で終了となります。一方で、倒産時に建設会社が別の建設会社に工事を引き継いでくれる場合は、そのまま工事を継続できる場合もあります。
民事再生や会社更生法の手続きを取る場合は、事業活動は継続しますので、そのまま工事は行われ引き渡しが無事に行われる確率は高くなるといえます。ただし、会社の経営問題などで工事の大幅な遅延については覚悟しておく必要があると言えます。
万が一、破産で工事が完全に止まってしまった場合は、施工主が次の建設会社を探した上で依頼することになります。
建設会社倒産時は支払った着手金や中間金などは返金されないことも
注文住宅の工事を発注する場合、工事費として工事着手時に支払う「着手金」、工事中間期に支払う「中間金」と分割して支払うことになります。
依頼した建設会社が倒産した場合において、破産の手続きを行い、不幸にも工事が途中で終了した場合においても、すでに支払った着手金や中間金については、返金は大きく期待できるとは言えません。
倒産などの事態になれば、会社としては燃料切れのような状況になりますので、顧客が支払ったお金については、金融機関への返済が優先されると同時に、会社の口座には資金はほとんどない状況でありますので、返金は厳しいと言えます。
工事依頼前に住宅完成保証制度の加入有無をしっかりと確認する
注文住宅の工事を依頼する場合、依頼する前において住宅完成保証制度の加入有無をしっかりと確認することが重要となります。
住宅完成保証制度は、建設中において建設業者が破産などした場合におけるリスクを低減するための保険です。通常は建設会社が保険に加入することになります。
万が一、倒産などで工事が中断した場合、引き継ぐ建設会社の紹介の他、その場合における過払い金や追加工事費などが保証されます。
ただし、この保険の加入は法律で義務付けられているわけではありませんので、住宅完成保証制度を提供している「住宅あんしん保証」や「住宅保証機構」などのホームページで、依頼する建設会社が保険に加入していることを確認することをおすすめします。
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