- 公開日: 2026.07.03
- 売買契約のポイント
建築中に建築会社が倒産したら?着手金と住宅完成保証の確認点

注文住宅を建てるときは、工事を建築会社(住宅会社)にお願いすることになります。「早く完成してほしい」と期待に胸をふくらませる一方で、見落とされがちなリスクがあります。それが、住宅の建設中に建築会社が倒産してしまうという事態です。
「工事費の一部はもう払っているのだから、最後まで建ててくれるはず」——そう考えてしまいがちですが、その油断が思わぬトラブルにつながることもあります。工事を依頼する前に、この記事の内容をしっかり確認しておきましょう。
建設業の倒産は今も多く、楽観視は禁物
注文住宅は、大手のハウスメーカーから地元密着の中小の住宅会社まで、さまざまな会社に依頼できます。そして住宅会社が受注した工事の一部を、さらに中小の建設会社へ発注することも少なくありません。つまり、あなたの家づくりには複数の会社が関わっていることが多いのです。
企業の倒産は、決して過去の話ではありません。東京商工リサーチによると、2025年の全国の企業倒産件数は1万261件で、前年より3.6%増え、4年連続で前年を上回りました。年間で1万件を超えたのは2013年以来12年ぶりです。業種別ではサービス業が最も多く、次いで小売業、そして建設業が2,021件と続いています。建設業の倒産は4年連続で増え、12年ぶりに2,000件を超えて過去10年で最多となりました。

建設業の倒産が増えている背景には、建築資材の価格高止まり、深刻な職人不足、いわゆる「2024年問題」(時間外労働の上限規制)による人件費や工期の負担増などがあります。景気や物価の動向に左右されやすい業種でもあり、注文住宅の建設中に会社が倒産する可能性は、決してゼロではないと考えておくべきです。
倒産時に工事が続くかは「手続きの種類」で変わる
建設中に万が一、建築会社が倒産した場合、工事が続けられるかどうかは、その会社が倒産後にどんな手続きをとるかによって変わります。ひと口に「倒産」と言っても、内容はさまざまです。
- 破産:会社としての事業を完全に終了し、清算します。事業活動が止まるため、建設中の工事もその時点で終了となります。
- 民事再生:自力での再建や、第三者(スポンサー)の支援を受けて再建を目指し、事業は継続します。そのまま工事が続き、引き渡しまで進める可能性が高くなります。
- 会社更生:おおむね民事再生と似ていますが、管財人のもとで経営陣を入れ替えるなどして経営を立て直し、事業を継続します。
つまり、破産の場合は工事がストップしてしまい、施主(あなた)が次の建設会社を探して依頼し直す必要が出てきます。一方で、民事再生や会社更生の場合は事業が続くため、工事も継続されやすいと言えます。ただし、経営の立て直しが絡むぶん、工事の大幅な遅れは覚悟しておく必要があります。倒産時に別の建設会社が工事を引き継いでくれるケースもあります。
支払った着手金・中間金は戻らないことも
注文住宅の工事費は、契約時の「契約金」、工事開始時の「着手金」、工事の中間で払う「中間金」など、複数回に分けて支払うのが一般的です。ここで問題になるのが、支払ったお金の扱いです。
依頼した建設会社が破産し、不幸にも工事が途中で止まってしまった場合、すでに支払った着手金や中間金は、返ってくることを大きく期待できるとは言えません。倒産した会社にはお金がほとんど残っていないことが多く、残った資産も金融機関などへの返済が優先されるためです。結果として、お金を払ったのに家は未完成、という二重の負担を抱えてしまう恐れがあります。
依頼前に「住宅完成保証制度」の加入を確認
こうしたリスクに備えるために、工事を依頼する前にぜひ確認したいのが、「住宅完成保証制度」に加入しているかという点です。
住宅完成保証制度は、建設中に建築会社が倒産などで工事を続けられなくなった場合に備える保険のような仕組みです。通常は建設会社側があらかじめ加入しておきます。万が一のときには、工事を引き継ぐ建設会社の紹介を受けられたり、増えてしまった工事費(追加費用)などが一定の範囲で保証されたりします。
ただし、この制度への加入は法律で義務づけられているわけではありません。そのため、依頼を検討している建設会社が加入しているかを、自分で確認しておくことが大切です。住宅完成保証制度を提供している「住宅あんしん保証」や「住宅保証機構」などの公式サイトで、加入状況を確認するとよいでしょう。契約前に「完成保証は付いていますか?」と一言たずねてみることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 大手のハウスメーカーなら倒産の心配はいらない?
A. 一般に大手のほうが経営基盤は安定していますが、「大手だから絶対に倒産しない」とは言い切れません。会社の規模にかかわらず、住宅完成保証制度の加入状況を確認しておくと安心です。
Q. 住宅完成保証制度に加入していない会社は避けるべきですか?
A. 加入は義務ではないため、未加入でも問題なく家を建てられる会社は多くあります。ただし、倒産時の備えという観点では、加入している会社のほうが安心材料が多いと言えます。未加入の場合は、支払いのタイミングや金額(着手金・中間金の割合)についても、契約前によく確認しておきましょう。
Q. 工事が途中で止まったら、住宅ローンはどうなりますか?
A. 住宅ローンの実行タイミングや「つなぎ融資」の扱いは、契約や金融機関によって異なります。工事の進み具合とローンの支払い条件が食い違うとトラブルになりやすいため、契約前に金融機関にも相談し、条件を確認しておくことをおすすめします。

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