- 公開日: 2026.08.02
- 中古物件の購入
中古物件に抵当権が付いていた!買っても大丈夫?確認すべき点を解説

マイホームを探していたKさんは、手頃な中古住宅を見つけ、金額などの条件面も良かったので購入しようと考えていました。
そこで、詳しい説明を聞いてから申し込みをしようと思い資料を見せてもらったところ、不動産登記事項証明書(登記簿謄本)に抵当権が付いていたので、不動産会社の営業マンに聞いてみると、所有者が借りた住宅ローンとの事でした。
「他人の借金がついた家を買って大丈夫なの?」——初めての方なら不安になって当然です。結論から言うと、売主の住宅ローンが残っている中古住宅は、まったく珍しくありません。何をどう確認すればよいのか、順番に見ていきましょう。
まずは用語のおさらい。「抵当権」ってどんな権利?
抵当権とは、住宅ローンなどを借りた担保として金融機関などが不動産に設定するもので、例えば、現在の所有者が住宅ローンを利用してその住宅を購入すれば、抵当権が設定されることになります。
ポイントは「その不動産を取り上げる権利」ではなく、「返済が滞ったときに、その不動産を競売にかけて優先的に回収できる権利」だという点です。所有者が毎月きちんと返済している限り、抵当権があること自体で何かが起きるわけではありません。
そして住宅ローンを完済して抵当権を抹消する登記をすれば、登記記録からきれいに消えます。つまり抵当権は「ローンを借りている間だけの目印」のようなものだとイメージしてください。
抵当権が付いている物件を購入して、トラブルにならないのか?
はじめての方が「抵当権」と聞くと、普段は耳にすることがないために不安に感じることもあるかもしれませんが、中古物件などを購入する時、抵当権が付いていることは珍しい事ではありません。
むしろ、売主が住宅ローンを利用してその家を買っていれば、抵当権が付いているのが自然な状態です。大切なのは「抵当権が付いているかどうか」ではなく、「引渡しまでに確実に消してもらえるかどうか」です。
でも、抵当権が付いたまま購入すると銀行とトラブルになる事はないの?
抵当権と混同されがちな権利として、「差押え」や「仮登記」などがありますが、これは、借りたお金を返さなかったり税金を滞納したりした場合に、不動産を勝手に売却したり、新たな借金をしたりする事を制限するために、お金を貸した側や行政側が設定する権利の事です。
一方の抵当権は、単に「お金を借りた担保である事の証明」ですので、所有者が借金を滞納していなければ特段もめることはありません。
Kさんが購入する物件の場合も、売主が売却代金で借金を返済すると同時に、抵当権は抹消され、謄本上に抵当権抹消の記載がなされます。
そして通常の売買契約書には、「引渡し(所有権移転)までに、売主の負担で抵当権などを抹消する」という趣旨の取り決めが入っています。契約前にこの条項が入っているか、担当者に確認しておくと安心です。
登記事項証明書は、どこを見ればいいの?
不動産の登記記録は、大きく次の3つのパートに分かれています。ここを押さえておくと、書類を見たときに慌てずに済みます。
1. 表題部……所在・地番・地目・地積、建物なら構造や床面積など、その不動産の「体格」にあたる情報です。
2. 権利部(甲区)……所有権に関する記録。今の持ち主は誰か、いつどんな理由(売買・相続など)で移ってきたかが時系列で並びます。
3. 権利部(乙区)……所有権以外の権利の記録。抵当権はここに載ります。
Kさんのように「抵当権が付いていた」というのは、乙区に抵当権設定の記録があった、ということです。
登記事項証明書は、法務局の窓口・郵送・オンラインのいずれでも請求できます。法務省が公表している手数料(令和7年4月1日から)は書面請求が600円、オンライン請求で郵送してもらう場合が520円、オンライン請求で窓口交付を受ける場合が490円です。気になる物件があれば、自分で1通取り寄せて眺めてみるのもよい勉強になります。
引渡し当日は、こんなふうに進みます
「売主のローンが残っているのに、どうやって同時に片づくの?」という疑問には、決済当日の流れが答えになります。一般的には、金融機関の一室に売主・買主・不動産会社・司法書士が集まり、買主のローン実行→売買代金の支払い→売主がその場でローンを完済→抵当権抹消・所有権移転・(買主の)抵当権設定の各登記を司法書士が申請、という順で同じ日のうちに進みます。
司法書士が事前に書類をそろえ、当日その場で最終確認をしてから登記を申請するため、「お金だけ払ったのに抵当権が残る」といった事態が起きにくい仕組みになっているのです。
| 決済日に行う主な登記 | 誰のための登記か | 費用のめやす・注意点 |
|---|---|---|
| 抵当権抹消登記 | 売主(残っている住宅ローンの担保を外す) | 登録免許税は不動産1個につき1,000円。土地1筆+建物1棟なら2,000円 |
| 所有権移転登記 | 買主(名義を自分に移す) | 登録免許税は不動産の評価額をもとに計算。住宅用家屋の軽減措置がある場合も |
| 抵当権設定登記 | 買主(住宅ローンを利用する場合) | 登録免許税は借入額をもとに計算。軽減措置の適用は要件次第 |
登録免許税のうち抵当権抹消は「不動産1個につき1,000円」の定額ですが、所有権移転や抵当権設定は評価額・借入額によって金額が変わり、住宅用家屋の軽減措置の適用可否でも差が出ます。実際にいくらかかるかは、司法書士や不動産会社から出る諸費用の見積書で必ず確認してください。
抵当権などの登記の手続きは司法書士が行います
抵当権抹消の登記だけでなく、住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合は、新たに抵当権設定の登記が為されます。
他にも中古物件を購入する際には、所有権を売主から買主に変更する所有権移転登記がなされます。
このように、抵当“権”や所有“権”のような権利関係の登記を行う時には、司法書士事務所に登記の手続きを依頼することになります。
各不動産会社には、専属で登記を依頼している司法書士事務所がありますので、そちらで行うのが一般的ですが、知人などに司法書士がいればそちらに依頼することもできます。ただし住宅ローンを利用する場合、金融機関側が司法書士を指定することもあるため、事前に確認しておきましょう。
これは要注意。立ち止まったほうがよいケース
抵当権そのものは心配のいらないものですが、次のような記載が見つかったときは、契約を急がずに説明を求めましょう。
差押え・仮差押えの登記がある……返済や税金の滞納が背景にある可能性があります。抹消の見通しを書面で確認してください。
所有権移転の仮登記がある……ほかに所有権を主張する人がいる可能性があります。
売却代金でローンを完済できない(いわゆるオーバーローン)……この場合は金融機関の同意を得て売却する「任意売却」という手続きになり、抹消の可否や時期が通常の売買と異なります。
賃借権など、住むことに影響する権利の登記がある……引渡し後に自分が住めるのかを必ず確認します。
いずれも「絶対に買ってはいけない」という意味ではありませんが、専門家の確認なしに契約を進めないのが鉄則です。
よくある質問
Q. 売主のローンが残っている家に、自分の住宅ローンは使えますか?
使えます。決済日に売主のローンが完済されて抵当権が抹消され、同じ日に買主の抵当権が設定される、という流れが一般的だからです。金融機関も日常的に扱っている手続きなので、審査で不利になることは基本的にありません。
Q. 抵当権を消してもらってから契約したいのですが、可能ですか?
現実には難しいことが多いです。売主は売却代金でローンを返すため、代金を受け取る前に抹消するのは資金的に困難だからです。そのため「引渡しと同時に抹消する」という形が実務の標準になっています。
Q. 抵当権の「債権額」が売買価格より高いのですが、大丈夫?
登記に載っている債権額は借入当初の金額で、現在の残高ではありません。返済が進んでいれば残高はずっと少ないのが普通です。心配なときは、残高がいくらで、売却代金で完済できるのかを不動産会社を通じて確認してもらいましょう。
Q. 抹消されたことは、どうやって確かめればいいですか?
登記が完了したあと、あらためて登記事項証明書を取得すれば確認できます。抹消された抵当権には下線が引かれた状態で記録が残ります。司法書士から完了書類を受け取ったら、内容を保管しておきましょう。
まとめ
不動産の売買では、権利に関する複雑な専門知識やルールなどがあり、はじめてマイホームを購入する方は、不安になることもあるかと思います。
でも整理すると、押さえるべき点はシンプルです。①抵当権が付いていること自体は普通のこと ②引渡しまでに売主の負担で抹消される段取りになっているかを確認する ③差押えや仮登記など別の記載があれば立ち止まる——この3つです。
Kさんのようにちょっとでも疑問に感じたら、営業マンに質問してみましょう。もしそれでも不安が払拭できないという場合は、各地方の司法書士会や弁護士会などに質問してみるという方法もあります。
なお、買主側も住宅ローンを借りれば、購入する土地・建物に金融機関の抵当権が設定されます。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンでも、対象物件に同行を第一順位の抵当権者とする抵当権設定登記を行うことが条件として案内されています。あわせて事務取扱手数料は借入金額の2.20%(税込)の定率型、一部繰上返済手数料は無料と、諸費用の内訳が分かりやすいのも初めての方には心強い点です(2026年8月時点。最新の条件は公式サイトでご確認ください)。登記費用も含めた諸費用は借入額に含められるかどうかで用意する現金が変わるので、資金計画の段階で確認しておきましょう。

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