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中古マンション購入前に自分で確認したいこと|総戸数と共用部分

前回、中古マンションを購入する前の確認事項を、おもに筆者の経験談を踏まえてお話ししました。

今回も同じテーマの「その2」として、不動産会社に聞かなくても自分で確認できるのに、意外と見落とされがちなポイントを取り上げます。中古マンションは「部屋を買う」のではなく「その建物と管理組合の一員になる」買い物です。内見のときにどこを見るかで、住み始めてからの満足度はずいぶん変わります。

マンションの総世帯数(総戸数)を確認しましょう!

マンションの総戸数は、少ない建物で数戸〜10数戸、多い建物では200戸以上というものもあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

まず、デメリットですが、戸数の少ない建物は、管理組合の理事がすぐに回ってきます。理事は通常、各階ごとに順番で回ってくることが多く、戸数が少なければそれだけ回ってくるのも早くなるのです。

それと、管理人が常駐でないケースが多いため、日々の管理体制が手薄になりがちです。不審者や違法駐車の監視、地震後のエレベーター再稼働処理など、管理人が常駐している方が適切に対応してくれます。

次にメリットですが、居住者のマナーが比較的守られやすいことが挙げられます。来客用駐車場の無断使用やゴミ出しのマナーなど、少ない戸数だと該当者が目立ちやすくなるためです。また、車庫出しやエレベーター待ちが短いことも頭に入れておくと良いでしょう。

言い換えると、総戸数は「1戸あたりが背負う手間とお金の重さ」を左右する数字だということです。戸数が少ないほど、大規模修繕のときに1戸あたりの負担が大きくなりやすい、という点もあわせて意識しておきたいところです。

総戸数のタイプ 住み心地の面で起きやすいこと お金・運営の面で起きやすいこと
小規模(おおむね30戸未満) 顔が見えやすくマナーは守られやすい。エレベーター待ちや車庫出しが短い 理事の順番が早く回ってくる。管理人は巡回のことが多い。1戸あたりの修繕負担が重くなりやすい
中規模 共用設備と静けさのバランスが取りやすい 役員のなり手・管理費の水準ともに中庸。長期修繕計画の内容で差が出る
大規模(100戸以上) 共用施設が充実しやすい一方、朝のエレベーター待ちや駐車場の出庫待ちが起きやすい 管理人常駐など体制は手厚くなりやすい。合意形成に時間がかかり、値上げや工事の決定が遅れることも

どれが正解ということではありません。「自分がその手間とコストを受け入れられるか」という視点で見ていただければ十分です。

共用部分がどうなっているかを確認しておきましょう!

マンションの共用部分に該当するものとして、廊下・階段・エントランス(玄関)ホール・駐車場・会議室・ゴミ集積所・多目的(キッズ)スペース・管理人室・バルコニー(*1)などが挙げられます。

このなかで、まずゴミ集積所が清潔かどうか、ゴミが指定日通りに出されているかをチェックします。清掃が行き届かず、マナーが守られていない建物は、悪臭など衛生面でマイナスと言えます。

次に、駐車場に雑草などがないか確認します。これを見れば、管理が行き届いているかどうかの目安になります。

また、郵便スペースにチラシなどが散乱していないか、掲示板が整然としているかなども管理を見る上でのバロメーターと言えます。掲示板は情報の宝庫で、大規模修繕の予定、管理費や修繕積立金の改定の議題、騒音や違法駐輪への注意喚起など、パンフレットには書かれていない「いまの管理組合の状態」がにじみ出ます。

*1.バルコニーについては、接している号室の居住者が専用で使用しているのが現実ですが、非常時の避難経路の役割を持たせているため、共用部分とする建物がほとんどです。

「共用部分をどう直してきたか」も見ておきたい

見た目のきれいさに加えて、これまでどう手を入れてきたかもあわせて確認できると、より安心です。内見のときに次のような点を見ておくと、建物の履歴が想像しやすくなります。

・外壁やタイルに大きなひび割れ・浮き・雨だれの跡がないか
・屋外の鉄部(階段の手すり、駐輪場の屋根など)にサビが広がっていないか
・エレベーターの製造年や更新の表示(ある場合)
・共用廊下の照明がLEDに替わっているか、切れたままの箇所がないか
・自転車置き場に、明らかに何年も放置されたままの自転車が並んでいないか

放置自転車が多いマンションは、「決めたルールを実行する力が弱まっているサイン」であることがあります。管理会社の質だけでなく、管理組合が機能しているかどうかが表れる部分です。

管理の良し悪しは、いまや「書類」と「第三者の評価」でも確かめられます

この記事を最初に書いた当時と比べて大きく変わったのが、マンションの管理状態を客観的に確認できる仕組みが整ってきたことです。目で見る確認とあわせて、次の2つを押さえておきましょう。

①重要事項調査報告書(管理会社が発行)
購入を具体的に検討する段階で、仲介会社を通じて取り寄せてもらえる書類です。管理費・修繕積立金の月額と滞納の状況、修繕積立金の積立総額、これまでの大規模修繕の履歴、長期修繕計画の有無、ペットや楽器・リフォームに関する規約など、判断に必要な情報がまとまっています。とくに滞納額が大きい管理組合は、将来の工事の資金繰りに影響することがあるため、必ず目を通してください。

②マンション管理計画認定制度(自治体による認定)
長期修繕計画や管理規約などの管理計画が一定の基準を満たすと、地方公共団体から「管理計画認定」を受けられる制度です(国土交通省)。認定を受けたマンションは、住宅金融支援機構の【フラット35】の金利引き下げを受けられたり、返済期間が最長50年の【フラット50】を利用できたりと、住宅ローンの面でも取り扱いが変わります。物件情報や管理組合への確認で「認定を受けているか」を聞いてみる価値は十分にあります。

※【フラット35】の金利引き下げ(維持保全型)には予算枠があり、予算に達する見込みとなった場合は受付が終了します。借換融資には利用できません。最新の取り扱いは【フラット35】公式サイトで必ずご確認ください。

修繕積立金は「いまの金額」より「積み立て方」を見る

中古マンション選びで、月々の負担として真っ先に目に入るのが管理費と修繕積立金です。ここで初心者の方がつまずきやすいのが、「修繕積立金が安い=おトク」ではないという点です。

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成23年4月策定・令和6年6月改定)では、実際の長期修繕計画の事例をもとに、専有面積1㎡あたり月額いくらが目安かを、階数と建築延床面積の区分ごとに示しています。たとえば「20階未満・建築延床面積5,000㎡以上〜10,000㎡未満」の区分では、平均値は1㎡あたり月252円とされています(機械式駐車場がある場合は別に加算して考えます)。専有面積70㎡なら月17,640円という計算です。

同ガイドラインでは、積立方法についても毎月一定額を積み立てる「均等積立方式」が望ましいとされ、当初の額を抑えて段階的に値上げしていく「段階増額積立方式」では、値上げの合意ができずに資金が不足する事例が生じていることにも触れられています。

つまり、確認したいのは次の3点です。

・いまの修繕積立金の額は、目安と比べて極端に低くないか
・今後の値上げが計画に織り込まれているか(段階増額方式なら、いつ・いくらに上がる予定か)
・積立の残高は、次の大規模修繕をまかなえる見込みか

「毎月の返済額+管理費+修繕積立金」が家計の実際の負担です。住宅ローンの借入額を決めるときは、この3つをセットで考えるようにしてください。

住宅ローンの面から見ておきたい「築年数」の話

中古マンションは、築年数によって住宅ローンや税制の取り扱いが変わることがあります。初めての方が押さえておきたいのは、「新耐震基準かどうか」という線引きです。

建築基準法の耐震基準は1981年(昭和56年)6月1日に大きく改正され、それ以降の基準を新耐震基準と呼びます(厳密には建築確認を受けた日が基準です)。

税金の面では、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の築年数要件が2022年(令和4年)の税制改正で見直され、現在は「昭和57年1月1日以後に建築された家屋」であれば耐震基準に適合するものとして扱われます(国税庁)。それ以前の建築であっても、耐震基準適合証明書・既存住宅性能評価書(耐震等級1〜3)・既存住宅売買瑕疵担保責任保険のいずれかで耐震性を証明できれば対象になり得ます。

旧耐震の物件は、価格が魅力的に見える一方で、住宅ローンの審査や税制優遇、将来の売却まで含めると条件が変わってきます。「安いのには理由がある」ことを前提に、資金計画を立てましょう。

内見の日に自分の目で確認したいことリスト

最後に、この記事で挙げてきた「自分で確認できること」を、内見の順番に沿って並べておきます。

見る場所 確認すること ここから分かること
ゴミ集積所 清潔さ、指定日どおりに出されているか 居住者のマナーと清掃の頻度
掲示板・郵便コーナー 掲示が整然としているか、チラシが散乱していないか、大規模修繕や値上げの議題 管理組合がいま何に取り組んでいるか
駐車場・駐輪場 雑草、放置自転車、区画線の状態 ルールを実行できているか
外壁・鉄部・共用廊下 ひび割れ、サビ、切れたままの照明 修繕がきちんと行われてきたか
書類(重要事項調査報告書) 管理費・修繕積立金の額と滞納、積立残高、長期修繕計画 将来の負担と工事の実現性
時間帯を変えた再訪 朝夕のエレベーター待ち、夜の生活音、周辺の明るさ 実際に暮らしたときの体感

中古マンションの現地確認でよくある質問

Q. 総戸数は何戸くらいが安心ですか?
A. 「何戸以上なら安心」という基準はありません。小規模なら理事の負担が早く回ってくる、大規模なら合意形成に時間がかかる、といった特徴の違いです。管理費・修繕積立金の水準と管理体制をあわせて見て、納得できるかどうかで判断してください。

Q. バルコニーは自分のものではないのですか?
A. 多くのマンションで共用部分とされ、居住者が「専用使用」しているという整理です。避難経路になっているため、避難ハッチの上に物を置かない、勝手に大がかりな改修をしない、といったルールが管理規約で定められています。

Q. 管理費や修繕積立金は、買ったあとに上がることがありますか?
A. 管理組合の総会で決議されれば変わります。とくに段階増額積立方式のマンションは、あらかじめ値上げが計画に織り込まれています。購入前に長期修繕計画と直近の総会議事録を確認しておくと、驚かずに済みます。

Q. 内見は1回で十分ですか?
A. 可能であれば時間帯や曜日を変えて2回以上訪れることをおすすめします。平日の朝はエレベーターの混み具合、夜は生活音や周辺の明るさ、休日はゴミ出しやマナーの様子が分かります。

Q. 前の所有者が管理費を滞納していたら、どうなりますか?
A. 滞納分の扱いは取引条件によって変わるため、契約前に必ず仲介会社と管理会社に確認してください。重要事項調査報告書で滞納の有無をチェックしておくことが大切です。

まとめ|「建物と管理組合を買う」つもりで見に行く

現地を確認するとき、外観や周辺環境などに目が行きがちです。それも大事なことではありますが、これから何十年もそこで生活するのだという意識を持つと、見るところが変わってきます。

そして、前回のような関係者に依頼しなければわからない内容ばかりではなく、ゴミ集積所・掲示板・駐輪場のように、自分の目で確認できることもたくさんあるということも、今回のお話でおわかりいただけたでしょう。

あわせて、資金計画も「借入額」だけで考えないでください。中古マンションは、毎月の返済に管理費と修繕積立金が上乗せされ、購入時にも仲介手数料や事務手数料などの諸費用がかかります。総額の見通しを立てやすいという意味では、保証料が不要で、一部繰上返済手数料も0円のSBI新生銀行のように、費用の内訳が分かりやすい住宅ローンを候補に入れて比べてみるのも一つの方法です。

もちろんここでご紹介した事例以外にも、物件によってチェックすべき事はさまざまです。今後も折に触れてご紹介していきたいと思います。なお、制度や住宅ローンの取り扱いは見直されることがあります。最新の内容は国土交通省・住宅金融支援機構・各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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