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マイホーム売却の所得税を軽くする3つの特例をやさしく解説【2026年版】

別の記事では、住宅(不動産)を売却したときにかかる税金の基本を解説しました。住宅を売って利益(譲渡益)が出ると、その利益は「譲渡所得」として、所得税と住民税の課税対象になります。所有期間が短い場合は、あわせて最大で約39%もの税率がかかることもあります。

「え、そんなに?」と不安になった方もご安心ください。マイホーム(居住用の住宅)の売却には、税金を大きく軽くしたり、場合によってはゼロにできる特例が用意されています。この記事では、代表的な3つの特例を、はじめての方にもわかるようにやさしく整理します。

譲渡益が出たときに使える3つの特例

マイホームを売って譲渡益が出た場合に使える、代表的な特例は次の3つです。まずは全体像を表で見てみましょう。

特例 内容 ポイント
1. 3,000万円特別控除 譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける 所有期間を問わず使える。利益が3,000万円以下なら税金ゼロも
2. 10年超所有軽減税率 税率そのものを軽くする 所有10年超が条件。1の控除と併用可
3. 特定居住用財産の買換え特例 課税を将来(次に売るとき)まで繰り延べる 買い換える人向け。1・2とは併用不可(選択制)
1.3,000万円特別控除

正式には「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。所有期間の長さを問わず、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける、とても効果の大きい特例です。売却益が3,000万円以下なら、これだけで税金がゼロになるケースもあります。

課税の対象になる譲渡所得は、次のように計算します。

課税譲渡所得 = 売却価格 -(取得費+譲渡費用)- 3,000万円(特別控除)

「取得費」は住宅を買ったときの費用、「譲渡費用」は売却時の仲介手数料などの諸経費です。ここから3,000万円を差し引けるため、多くの一般的なマイホーム売却では、税負担が大きく軽くなります。

2.10年超所有軽減税率の特例

売った年の1月1日時点で、家屋と土地の所有期間がともに10年を超えている場合に、税率そのものを軽くできる特例です。「1月1日時点で10年超」という数え方に注意しましょう(購入日から単純に10年ではありません)。

軽減後の税率は、課税譲渡所得の金額によって次のように変わります(いずれも復興特別所得税を含みます)。

  • 課税譲渡所得が6,000万円以下の部分…所得税10.21%+住民税4%=合計14.21%
  • 課税譲渡所得が6,000万円を超える部分…所得税15.315%+住民税5%=合計20.315%

この特例は「1.3,000万円特別控除」と併用できます。所有期間が10年を超えていて、3,000万円を差し引いてもなお譲渡所得が残る場合は、残った部分にこの軽減税率を適用して、さらに税負担を抑えられます。

3.特定居住用財産の買換え特例

マイホームを売って新しい住まいに買い換えるときに使える特例で、売却価格1億円以下・所有期間10年超(居住期間も10年以上)の居住用財産を売り、新たにマイホームを取得した場合に、売却益への課税を「将来、その新居を売るとき」まで繰り延べられます。

注意したいのは、これは税金を非課税にするのではなく“先送り”にする制度だという点です。そのため、「1.3,000万円特別控除」「2.10年超軽減税率」とは併用できず、どちらかを選ぶことになります。売却益が3,000万円前後までなら控除で非課税にした方が有利なことも多く、どちらが得かはシミュレーションして選びましょう。

買換え特例には、おもに次のような要件があります(このほかにも要件があります)。

  1. 売った年の前年1月1日から、売った年の翌年12月31日までの間に、買い換え先のマイホームを取得すること。
  2. 買い換え先に、取得した時期に応じて一定期日までに居住すること。
  3. 買い換え先の家屋の床面積が50平方メートル以上であること。中古住宅の場合は、原則として一定の築年数以内、または新耐震基準に適合していることなどの要件を満たすこと(近年は省エネ性能に関する要件が加わる場合もあります)。

買い換えで新居の取得価格が売却価格以上なら、売却益への課税は全額繰り延べられます。取得価格が売却価格を下回るときは、その差額部分に所得税・住民税が課税されます。

特例を受けるための共通の要件

3,000万円特別控除などの特例を受けるには、主に次のような要件を満たす必要があります。

  1. 自分(または家族)が住んでいたマイホームの売却であること。
  2. 住まなくなった日から3年目の年末までに売却すること。
  3. 売った年の前年・前々年に、同じ特例(3,000万円控除など)や譲渡損失の特例を受けていないこと。
  4. 売った相手が、親子や夫婦などの特別な関係者(内縁関係や、親族が経営する法人などを含む)でないこと。
  5. 別荘など、趣味・保養のために所有している住宅は対象外。

なお、3,000万円特別控除と住宅ローン控除は、原則として併用できません。売却したマイホームでこの控除を受けると、その前後の年に取得した新居では住宅ローン控除を受けられない場合があるため、買い換えを予定している方は、どちらを使うか事前によく検討しましょう。

特例を受けるには確定申告が必要

これらの特例は、確定申告をして初めて適用されます。ここが見落としやすいポイントで、特例を使った結果、納める税金がゼロになった場合でも、確定申告そのものは必要です。「税金がかからないから申告しなくてよい」と考えてしまうと、特例が受けられず課税されてしまうおそれがあります。

売却の翌年の申告期間(原則2月中旬~3月中旬)に、必要書類をそろえて申告しましょう。国税庁のホームページには、どの特例が使えるかを確認できるチェックシートや、税額の試算ツールも用意されています。

よくある質問

Q. 売却益が3,000万円以下なら税金はかかりませんか?
3,000万円特別控除を使えば、譲渡所得(利益)が3,000万円以下の場合は税金がゼロになることが多いです。ただし、非課税でも確定申告は必要です。

Q. 3,000万円控除と軽減税率は両方使えますか?
はい。所有期間が10年を超えていれば、3,000万円特別控除と10年超所有軽減税率は併用できます。一方、買換え特例はこれらと併用できず、どちらかを選ぶ形になります。

Q. 相続した実家(空き家)を売る場合も使えますか?
自分が住んでいたマイホームではないため上記の特例とは別ですが、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(3,000万円の特別控除)」が使える場合があります。要件が細かいので、国税庁の情報や税理士に確認しましょう。

Q. 自分のケースで使えるか不安です。
特例は要件が細かく、一度選ぶと後から変更できないものもあります。金額が大きい取引なので、迷ったら税務署や税理士に相談するのが安心です。

まとめ

マイホームの売却で利益が出ても、3,000万円特別控除・10年超所有軽減税率・買換え特例という3つの特例を上手に使えば、税負担を大きく抑えられます。ポイントは、①3,000万円控除と軽減税率は併用できる、②買換え特例は課税の“先送り”でこれらとは選択制、③どの特例を使う場合も確定申告が必要、の3点です。売却を考え始めたら、早めに要件を確認し、必要に応じて専門家に相談しながら進めましょう。

※本記事は2026年7月時点の情報をもとにまとめています。税制の要件・税率・適用期限は改正されることがあります(復興特別所得税は令和19年〈2037年〉まで所得税額の2.1%が上乗せされます)。最新の内容とご自身のケースへの適用は、必ず国税庁の公式サイトや税務署・税理士でご確認ください。

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