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空き家問題の解決なるか?中古住宅市場を活性化するための取り組み

日本の住宅市場は新築の割合が高い状況が長年続いています。国土交通省によると新築一戸建てのシェアは86%であるのに対し、中古住宅のシェアは14%となっています。

近年では少子高齢化が進展や首都圏への人口集中などの影響で地方を中心に「空き家」が増加している状況であることから、国としても「いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う」社会に移行していくことを念頭に、中古住宅市場やリフォーム市場の活性化に向けた取り組みを始めています。

日本人が新築一戸建てに執着する理由

はじめに、冒頭でも説明しましたが、日本の中古住宅市場のシェアは僅か14%であり、現状としては市場がかなり小さいことが伺えます。一方で、欧米に目を向けてみると、中古市場の割合は90%を超える水準となっています。

内閣府が国民を対象に実施した「住生活に関する世論調査」の調査結果によると、住宅を購入するとしたら新築か中古どちらが良いか訪ねたところ、「新築一戸建て」の割合が63%、「新築マンション」の割合が10%、「中古一戸建て」が6.1%、「中古マンション」が3.8%という結果になっています。

戦前までは、三世代同居して先祖代々の土地と住宅を引き継いで住むのが一般的でしたが、戦後、高度経済成長時代に突入すると、会社員としてはたらく方が増加し首都圏など都市部を中心に働き手が集まったことで、核家族化が進行し、住む場所を確保するために、都市郊外にニュータウンが開発され、大量に新築住宅が立てられる現象が起きました。

戦後、サラリーマンとして働く家庭が増えてことで、結婚してからマイホームを購入するという価値観が定着し、現在に至っていると考えられます。また、日本人は「新しいもの好き」という民族柄も影響していると考えられそうです。

日本の「空き家」は820万戸と年々増加傾向に


空き家数と空き家率の推移(総務省のデータを基に筆者作成)

総務省が5年毎に実施している「住宅・土地統計調査(2013年速報値)」によると、2013年の段階で日本における「空き家」は820万戸となっており、空き家率は13.5%となっています。

1983年の調査では、「空き家」は330万戸に留まっていましたが、この20年間で1.8倍に増加しています。空き家の多くが木造一戸建て住宅で、地方を中心に問題は深刻化していますが、近年では首都圏でも空き家が増えている傾向があります。

空き家の要因としては、少子高齢化により人口が減少していることに加え、相続人となる子供が独立し自分たちで新築一戸建てを購入するケースが一般的であることから、最終的に古い住宅だけが残ってしまうということにつながっています。新築住宅に執着するあまり、人口が減少する中で住宅の供給が過剰に行われていることが伺えます。

国土交通省では住宅ストック活用型市場への活性化を打ち出す

空き家が増加している中で、国土交通省では平成28年3月18日に閣議決定した「住生活基本計画(全国計画)」では、住宅ストック活用型市場の活性化を打ち出しています。

本計画のポイントとしては、既存住宅の質の向上を促し、住みたいと思う魅力を向上させるとともに、資産として次の世代に引き継ぐ流れを創出するとしています。

次に、老朽化や空き家が進むマンションは建て替えと改修を促進します。最後に、既存住宅の流通網を整備し、空き家を100万戸抑制するとし、既存住宅流通市場とリフォーム市場を20兆円にしていくとしています。

中古住宅を安心して購入できる制度も登場

中古住宅を購入する場合、消費者としては劣化状況が気になり品質や性能に対する不安を感じることから、政府は2013年に中古住宅の「インスペクション(住宅診断)」のガイドラインを策定したことにより、客観的なデータで物件の良し悪しを判断できるようになっています。

さらに、宅地建物取引業者に対しても、2016年6月に宅地建物取引業法が改正され、不動産の仲介を行う不動産業者に対し、中古住宅の購入契約を行う際に、インスペクション結果を報告することが義務付けられています。

リフォーム市場に活性化に向けて、政府は2014年に「住宅リフォーム事業者団体登録制度」を設け、一定の要件を満たしたリフォーム業者を国が登録して公表することで、消費者に対して安心してリフォームができる体制を整えています。

また、日本の住宅は20年で資産価値がゼロになるとされていることから、リフォームや改修を実施してその分の価値を向上した場合に備えて、2015年度より公益財団法人「不動産流通推進センター」が「戸建住宅価格査定マニュアル」を改訂を行い、物件を売却した際にインスペクションを受け状態が良好であることや、リフォームや改修を行っている物件に対して査定額を高くする内容となっています。

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