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空き家900万戸・空き家率13.8%|住宅購入前に知る影響と相続の期限

全国の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%——総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(確報集計・2024年9月公表)で、どちらも過去最高を更新しました。5年前の2018年より51万3千戸増えた計算です。これから家を買う人にとって他人事ではないのは、買おうとしている地域の空き家率がそのまま将来の資産価値と暮らしやすさに効いてくることと、いずれ自分が実家を相続する側になったときに登記と税の期限が待っていることの2点です。
2013年820万戸・2018年849万戸・2023年900万戸の空き家数推移グラフ
出典:総務省「住宅・土地統計調査」各年版

空き家数の推移(2013〜2023年)

総務省「住宅・土地統計調査」は5年に1回の調査です。全国の空き家数と空き家率は次のように推移しています。
  • 2013年:820万戸(空き家率13.5%)
  • 2018年:849万戸(空き家率13.6%)
  • 2023年:900万戸(空き家率13.8%)(過去最高)
約10年で80万戸増え、空き家率は一貫して上昇しています。13.8%というのは、おおよそ7〜8戸に1戸が空き家という水準です。 ただし「900万戸すべてが荒れ果てた家」ではありません。統計上の空き家には、入居者を募集中の賃貸住宅、売りに出ている家、別荘などの二次的住宅も含まれます。本当に問題視されるのは、そのどれでもない「その他の空き家」=使われないまま放置されている住宅で、2023年時点で385万6千戸(2018年349万戸から約37万戸増)です。総住宅数6,502万戸に対して5.9%にあたります。 出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」調査の結果

空き家が増える理由

空き家が増え続ける主な要因は次のとおりです。 ① 高齢化による相続空き家の増加 親が亡くなって実家を相続したものの、そのまま放置されているケースが多くあります。子世代がすでに別の住宅を持っている、実家が遠方にある、リフォーム費用が捻出できない——こうした事情が重なると、決めきれないまま年月が過ぎてしまいます。実際、増えた空き家の大半は「その他の空き家」で占められています。 ② 人口減少・地方からの流出 地方では人口が減り、住宅の需要そのものが縮んでいます。都市部への転出が続く地域ほど空き家率は高くなる傾向があります。 ③ 新築住宅の供給が続く 日本では新築を買う文化が根強く、既存住宅の流通が欧米と比べて少ない状況が続いています。住宅が建ち続ける一方で古い家が市場に出てこない構造が、空き家を生みやすくしています。 ④ 管理・解体コストの問題 空き家を取り壊すには解体費用がかかります。さらに固定資産税の住宅用地特例(住宅が建っている土地は固定資産税の課税標準が最大6分の1に軽減される仕組み)があるため、更地にすると土地の税負担が重くなる——この構造が「とりあえず建物を残しておく」動機になっていました。この点は2023年の法改正で扱いが変わっています(後述)。 解体費用そのものをどう工面するかは、古い家の解体費用は借りられる?空き家解体ローン・無担保ローン・補助金をやさしく解説で具体的に整理しています。

空き家問題が住宅購入者に与える影響

空き家が多い地域に住宅を購入すると、次のような影響を受ける可能性があります。
  • 資産価値の低下:需給バランスが崩れているエリアでは、中古住宅として売るときの価格が伸びにくい
  • 地域コミュニティの衰退:空き家が増えると人の気配が減り、店舗や公共交通の維持も難しくなる
  • 防犯・安全上のリスク:管理されていない空き家は不法投棄・放火・倒壊などのリスクを抱える
  • 隣地からの影響:隣が空き家だと、雑草・害虫・外壁や樹木の越境といった問題が直接ふりかかる
物件そのものより「周囲に空き家が何軒あるか」を見に行くほうが、将来の見通しは立てやすいです。内見は晴れた昼間に設定されがちですが、夕方や休日に近所を歩いてみると、雨戸の閉まったままの家や郵便物のたまったポストがすぐ目につきます。 一方で、空き家の増加は買う側にとって選択肢が広がるという面もあります。空き家バンクやリノベーション向け物件を使えば、同じ予算でより広い家や立地のよい土地に手が届くこともあります。金融機関側も、大分みらい信用金庫の住宅ローン4商品をわかりやすく解説|最優遇変動0.700%や空き家解体ローンまでのように、空き家の解体やリフォームを想定した商品を用意し始めています。

空き家活用の対策と法律

空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策特別措置法)は2015年に施行され、倒壊のおそれがあるなど危険な空き家を「特定空家等」として、自治体が助言・指導・勧告・命令・行政代執行まで行える仕組みを作りました。 そして2023年の改正(同年12月施行)で「管理不全空家等」という区分が新たに設けられました。倒壊寸前まで至っていなくても、適切な管理がされず放置すれば特定空家等になるおそれのある状態が対象です。市区町村の勧告を受けると、その土地は固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。「建物を残しておけば税金が安い」という前提が崩れたわけで、放置のコストは以前より重くなっています。 一方、活用を後押しする仕組みも広がっています。多くの自治体が空き家バンク(空き家の情報を登録・公開する仕組み)を運営しており、移住・定住の支援金やリフォーム補助と組み合わせられる自治体もあります。なかには、空き家バンク経由の購入で宅地建物取引業者への仲介手数料がかからない自治体や、地元金融機関の住宅ローン金利が優遇される自治体もあります。物件を探し始める前に、候補地の市区町村のウェブサイトを見ておくと取りこぼしが減ります。

実家を相続したら|登記と税の2つの期限

いま家を買おうとしている世代にとって、空き家問題は「将来ふりかかる手続き」でもあります。押さえておきたい期限が2つあります。
制度期限押さえるポイント
相続登記の申請義務化取得を知った日から3年以内2024年4月1日施行。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象
空き家の3,000万円特別控除相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却制度自体は2027年12月31日までの譲渡が対象
相続登記の申請義務化は2024年4月1日に始まりました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(法務省 所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し)。遺産分割が決まらない場合に備えて「相続人申告登記」という簡易な手続きも用意されています。 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は、相続した実家を売るときに譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。主な要件は次のとおりです(国税庁 タックスアンサー No.3306・令和8年4月1日現在法令等)。
  • 対象は昭和56年5月31日以前に建築された家屋で、区分所有建物でないこと
  • 相続の開始直前に被相続人が一人で住んでいたこと
  • 相続の時から売るまで、事業・貸付け・居住に使っていないこと
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 相続人が3人以上の場合は控除額が2,000万円(2024年1月1日以後の譲渡)
2024年からは、売った後(譲渡の翌年2月15日まで)に買主が耐震改修または取り壊しを行った場合でも対象になるよう要件が緩和されました。以前は売主側で先に工事を終える必要があったため、使いやすさは大きく変わっています。 ただし期限は短く、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却を終える必要があります。相続人が複数いると話し合いだけで1年以上かかることも珍しくありません。「まず登記、並行して売るか残すかの方針を決める」——この順番を覚えておくだけで、選べる手が減らずに済みます。

よくある質問(FAQ)

Q. 空き家が多いエリアで家を買うのは避けたほうがよいですか?

A. 一概には言えません。価格が抑えられ土地が広いという利点がある一方、将来売るときの価格は伸びにくくなります。ずっと住み続ける前提なら価格の安さが効き、10年程度で住み替える可能性があるなら慎重に——判断の軸は住む年数です。

Q. 購入を検討しているエリアの空き家率はどこで調べられますか?

A. 総務省「住宅・土地統計調査」の市区町村別データで確認できます。調査は5年に1回なので最新は2023年分です。あわせて現地を平日の夜と休日に歩いてみると、統計に出ない実感がつかめます。

Q. 相続した実家をすぐに売るか決められません。何から手をつけるべきですか?

A. まず相続登記です。取得を知った日から3年以内の義務があり、売却・賃貸・解体のどの道に進むにも登記は必要になります。方針が決まらないうちでも「相続人申告登記」で義務は果たせます。

Q. 空き家バンクの物件は誰でも買えますか?

A. 運営は各自治体なので条件は異なります。移住・定住の意思や一定期間の居住を条件にする自治体が多く、利用登録が必要なこともあります。補助金や金利優遇と組み合わせられる場合があるので、市区町村のウェブサイトで先に確認してください。

Q. 空き家を放置すると固定資産税は上がりますか?

A. 2023年改正で新設された「管理不全空家等」に該当し市区町村から勧告を受けると、その土地は住宅用地特例の対象外となり、土地の固定資産税の負担が重くなります。従来からの「特定空家等」も同じ扱いです。

制度の要件や期限は改正されることがあります。実際の適用可否は、最新の情報を総務省・法務省・国税庁の各公式サイトや、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。

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