- 公開日: 2026.08.23
- 購入と賃貸について
REITとは?仕組み・メリット・リスクを初心者向けにやさしく解説

住む場所を確保する方法は、大きく分けると「賃貸住宅を借りる」か「実物の住宅(不動産)を購入する」かの2通りです。日本では賃貸住宅を「マイホームを買うまでの仮住まい」と考える人が多く、多少狭くても節約してマイホームの夢をかなえよう、というパターンがよく見られます。
ただ、不動産とのつきあい方はそれだけではありません。REIT(リート)を通じて、実物の不動産を買わずに間接的に不動産のオーナーになるという方法もあります。この記事では、住宅ローンをこれから検討する方に向けて、REITの仕組みをできるだけやさしく解説し、「マイホームを買う」以外の資産形成の考え方もあわせて整理していきます。
REITとは?

REITとは、Real Estate Investment Trustの略で、日本語では「不動産投資信託」と呼ばれます。日本の証券取引所に上場しているものは、頭に Japan の「J」を付けてJ-REIT(ジェイリート)と呼ぶのが一般的です。
仕組みは、次の3ステップで考えるとイメージしやすくなります。
- 「投資法人」がたくさんの投資家からお金を集める……株式会社が株式を発行するのと似た形で、投資法人が「投資口(とうしぐち)」を発行して資金を集めます。投資家はこの投資口を買うことで、投資法人のオーナーの一人になります。
- 集めたお金でオフィスビルや商業施設、物流施設、マンションなどを購入・運用する……実際の物件選びや管理は、投資法人から委託を受けた資産運用会社などのプロが担当します。
- 賃料収入から経費を引いた利益を、投資家に「分配金」として支払う……ここが、REITが「間接的な大家さん」と言われるゆえんです。
つまり、自分で物件を買ったり、入居者を募集したり、修繕の手配をしたりしなくても、不動産から生まれる家賃収入の一部を受け取れるのがREITの基本的な考え方です。
また、1つのREITは複数の物件で構成されているのが普通なので、物件の種類(用途)や地域を分散して保有できる点も特徴です。
J-REITは証券取引所に上場しているため、株式と同じように証券会社を通じて売買できます。市場が開いている平日の日中であれば、その時々の価格でいつでも買ったり売ったりできる、という点も実物の不動産とは大きく違うところです。
【用語ミニ解説】
- 投資口……株式会社の「株式」にあたるもの。REITを買うというのは、この投資口を買うことです。
- 分配金……株式の「配当」にあたるもの。多くのJ-REITは決算が年2回のため、分配金も年2回受け取る形が一般的です(銘柄により異なります)。
- 投資法人……REITの器となる法人。従業員を持たず、運用や事務は外部の専門会社に委託する形をとります。
なお、東京証券取引所がまとめている「月刊REITレポート(2026年7月版)」によると、2026年7月末時点のJ-REIT全体の時価総額は約16.2兆円、東証REIT指数は1,851.77ポイント、時価総額加重平均の予想年間分配金利回りは4.80%となっています。市場全体としては、すでに一定の規模を持った投資対象になっていることがわかります(数値は時点によって変わるため、最新は東京証券取引所の公表資料でご確認ください)。
REITのメリット
1. 実物の不動産を買わなくても、不動産のオーナーになれる
いちばんの特徴は、実物の不動産を購入することなく、間接的に不動産を保有できることです。物件探し・価格交渉・登記・入居者募集・修繕といった手間は、すべて運用のプロ側が担います。
2. 少額から始められる
実物の不動産を買おうとすれば、数千万円単位の資金か、投資用ローンが必要になります。一方でJ-REITは、銘柄ごとに決められた最低購入口数に応じて、比較的少額から購入できます。銘柄によって1口あたりの価格は数万円から数十万円までさまざまで、その水準も日々変動します。
3. 分散して持てる
個人が実物の不動産で複数の物件・複数の地域に分散するのは、資金の面でも管理の面でも簡単ではありません。REITなら、1銘柄を買うだけで、その投資法人が保有する多数の物件に間接的に分散投資したのと近い形になります。オフィス特化型・住居特化型・物流施設特化型・ホテル型・複数用途を組み合わせた総合型など、タイプを選んで組み合わせることもできます。
4. 分配金の利回りが比較的高くなりやすい
投資法人には、「配当可能利益の90%超を分配する」などの一定の要件(導管性要件)を満たすと、分配した部分に法人税が課されないという税制上の仕組みがあります(不動産証券化協会の用語解説より)。利益を内部にため込まず、多くを投資家に配る前提の設計になっているため、結果として分配金の利回りが相対的に高めになりやすいのがREITの特徴です。
前述のとおり、2026年7月末時点の予想年間分配金利回りは市場平均で4.80%でした。ただしこれは「確定した利回り」ではなく、あくまで予想であり、価格が変われば利回りも変わります。「必ずこの率がもらえる」という意味ではない点は必ず押さえておいてください。
5. 換金しやすい
実物の不動産は、売ろうと思っても買い手が見つかるまで数か月かかることも珍しくありません。上場しているJ-REITは、市場が開いていればその日のうちに売却の注文を出せます。「必要になったときに現金化しやすい」ことは、住宅資金や教育資金を並行して準備している家庭にとって見逃せない利点です。
6. NISAの成長投資枠が使える
金融庁の案内によれば、NISAの「成長投資枠」の対象商品には、上場株式・ETF・投資信託とあわせてREIT(不動産投資信託)も含まれます。一方で、長期・積立・分散に適した商品に限定されている「つみたて投資枠」では、J-REITの個別銘柄は対象外です。この違いは混同しやすいので注意してください(対象商品は見直されることがあるため、実際に購入する前に金融庁や取引先の金融機関の最新情報をご確認ください)。
REITのデメリット・リスク

メリットだけを見て判断しないために、リスクの側もきちんと確認しておきましょう。
1. 価格が常に変動する(元本保証ではない)
J-REITは市場で売買されているため、価格は常に動いています。買いたい人が多ければ上がり、売りたい人が多ければ下がります。購入した価格を下回れば、売却時に損失が出ることもあります。預金とは違い、元本は保証されていません。
2. 分配金は増えることも減ることもある
分配金の原資は、保有物件の賃料収入や売却益です。空室が増えたり、賃料が下がったり、大規模修繕の費用がかさんだりすれば、分配金が減る(減配)可能性があります。「利回りが高い=安全」ではありません。
3. 金利の上昇が逆風になりやすい
REITは投資家から集めた資金だけでなく、金融機関からの借入れも使って物件を取得しているのが一般的です。そのため金利が上がると、借入コストの増加を通じて収益が圧迫される可能性があります。
日本の金融政策は、いわゆるマイナス金利の局面から明確に転換しています。日本銀行は2026年6月16日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)の誘導目標を0.75%程度から「1.0%程度」へ引き上げることを決めました。金利のある世界に戻ったという前提は、REITを見るうえでも、住宅ローンを考えるうえでも共通して重要です。
4. 災害・事故のリスク
日本は地震や大雨などの自然災害が多い国です。投資先の投資法人が保有する物件が被害を受ければ、資産価値が下がるだけでなく、その間の賃料収入が減って分配金が減ることも考えられます。保有物件がどの地域・どの用途に偏っているかは、購入前に確認しておきたいポイントです。
5. 投資法人の経営悪化・上場廃止の可能性
可能性としては高くありませんが、投資法人の倒産や財務状況の悪化、上場廃止といった事態も、制度上ゼロではありません(東京証券取引所も月刊REITレポートの注意書きで同様のリスクを明記しています)。購入前には、決算資料で保有物件の状況や有利子負債の水準、分配金の推移などを確認しておきましょう。
マイホームの購入とREIT、何がどう違う?
「どちらも不動産にお金を使う」という点では同じですが、性格はかなり違います。整理すると次のようになります。
| 比較の観点 | マイホームの購入 | REIT(J-REIT) |
|---|---|---|
| 主な目的 | 自分や家族が住むこと(居住) | 分配金と値上がりを狙う(投資) |
| 必要な資金 | 頭金+諸費用。残りは住宅ローンで借りるのが一般的 | 銘柄ごとの最低購入金額から。数万円台の銘柄もある |
| 借入れ | 住宅ローンを利用できる(低めの金利で長期に借りられる) | 住宅ローンは使えない。原則は自己資金で購入する |
| 手間 | 物件探し・契約・修繕・管理をすべて自分で行う | 物件の選定・管理は運用のプロが行う |
| 分散 | 基本的に1物件・1地域に集中する | 1銘柄で複数物件・複数地域に分散できる |
| 換金のしやすさ | 売却には時間がかかることが多い | 市場が開いていれば売却注文を出せる |
| 税制の優遇 | 要件を満たせば住宅ローン控除などの対象 | NISAの成長投資枠を利用できる(つみたて投資枠は対象外) |
| 住まいの安定 | 自分の家なので、原則として住み続けられる | 住まいそのものは別に確保する必要がある |
大切なのは、REITは「住まいの代わり」にはならないということです。REITを持っていても、住む場所は賃貸なり持ち家なりで別に確保しなければなりません。両者は「どちらが得か」で単純に比べるものではなく、目的が違うものと考えるのが自然です。
賃貸に住み続けREITに投資するのもあり?
日本では、個人でも法人でも、自分たちが住む場所・仕事をする場所を確保するために不動産を購入するのが一般的でした。
一方で近年は、都市部を中心に住宅価格が高い水準にあり、取得のハードルが上がっているという指摘も多く聞かれます。実際、不動産経済研究所が2026年8月20日に発表した調査によれば、2026年7月に首都圏(1都3県)で発売された新築マンション1戸当たりの平均価格は1億6,493万円と、過去最高を更新しました。ただし、単月の平均価格は「その月にどんな物件が売り出されたか」で大きく振れます(この月は都心の高額物件の発売が主因と各社が報じています)。平均価格イコール相場ではない点には注意が必要です。
こうした状況もあって、「無理をして買わず、賃貸に住み続けながら資産形成をする」という考え方にも一定の合理性が出てきます。新しく実物の不動産を購入せず、賃貸住宅に住み続けながら、REITを通じて不動産から生まれる収益を受け取るという選択肢です。
この選択肢を検討するときは、次の点を冷静に見比べてください。
- 住居費の総額……持ち家なら住宅ローン返済+固定資産税+修繕費+保険料。賃貸なら家賃+更新料。長期で並べて比べます。
- 資産として残るか……持ち家は完済後も資産として残りますが、建物の価値は年月とともに下がっていきます。REITは価格変動があり、増えることも減ることもあります。
- 老後の住まい……賃貸を続ける場合、高齢期の住み替えや契約更新をどう考えるかは早めに整理しておきたい論点です。
- リスクの取り方……住宅ローンは長期の固定的な支出、REITは価格が変動する資産です。性質がまったく違うことを踏まえて配分を考えます。
「賃貸+REITなら必ず得」「持ち家のほうが必ず有利」と言い切れるものではありません。家賃と住宅ローン返済額、想定する居住年数、家族構成の見通しによって答えは変わります。
REITのよくある質問
Q. REITを買うと、その物件に住むことはできますか?
いいえ、できません。REITはあくまで投資商品で、投資家が受け取れるのは分配金と売却時の差額です。入居する権利が付いてくるわけではありません。住まいは別に確保する必要があります。
Q. 住宅ローンを組んでREITを買うことはできますか?
できません。住宅ローンは「申込者本人やその家族が住むための住宅を取得する資金」に使途が限られています。住宅ローンで借りたお金を投資に回すことは、資金使途違反にあたり、契約上は一括返済を求められる可能性があります。REITは自己資金で購入するのが原則と考えてください。
Q. 住宅ローンの返済とREITへの投資は、どちらを優先すべきですか?
一概には言えませんが、生活防衛資金(数か月分の生活費)を先に確保することは、どちらを選ぶにしても共通の前提です。そのうえで、住宅ローンの金利水準と、投資に回す資金の性格(当面使う予定がないかどうか)を見比べて判断することになります。借入金利が上がっている局面では、繰り上げ返済の効果も相対的に大きくなります。迷う場合は、住まいの計画を先に固めるほうが判断しやすくなります。
Q. 住宅ローンの審査に、REITを保有していることは影響しますか?
保有していること自体が不利になるわけではありません。金融機関は年収・勤続年数・他の借入れ状況・返済負担率などを総合的に見ます。むしろ、いつでも換金できる資産があることは、頭金や諸費用の準備という面ではプラスに働く場合もあります。ただし審査基準は金融機関ごとに異なるため、詳細は各金融機関にご確認ください。
Q. 分配金には税金がかかりますか?
かかります。J-REITの分配金は、原則として配当所得として課税されます。NISAの成長投資枠で購入した分については、非課税の対象となります。実際の取り扱いは口座の種類や個々の事情で変わるため、詳しくは証券会社や国税庁の案内でご確認ください。
Q. 初心者はどのREITを選べばよいですか?
特定の銘柄をおすすめすることはできませんが、選ぶときの視点としては、①保有物件の用途(オフィス・住居・物流・商業・ホテルなど)②物件が集中している地域 ③分配金の推移 ④有利子負債の水準(借入れへの依存度)あたりが基本になります。個別銘柄を選ぶのが難しいと感じる場合は、市場全体に連動するタイプの投資信託・ETFという選択肢もあります。
まとめ|「買う」以外の選択肢も知ったうえで決める
REITは、実物の不動産を買わなくても不動産の収益を受け取れる、少額から始められる投資商品です。分散が効きやすく、換金もしやすい一方で、価格変動・分配金の減少・金利上昇・災害といったリスクも抱えています。住まいの代わりにはならないという点も、最初に押さえておきたいところです。
そのうえでマイホームの購入を選ぶなら、次に検討するのは住宅ローンです。金利のタイプ(変動・固定)、事務手数料や保証料などの諸費用、団体信用生命保険(団信)の保障内容、繰り上げ返済のしやすさを、総額で比べるのが基本になります。
たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、保証料や一部繰り上げ返済手数料がかからず、一般団信の保障が上乗せ金利0円で付く点がわかりやすい特徴です。店舗での相談とオンラインでの手続きの両方に対応しているため、「まず相談したい」という初めての方にも検討しやすい選択肢のひとつと言えます。もちろん、金利や諸費用の条件は各行で変わりますので、複数行を並べて比べたうえで判断してください。
金利・手数料・キャンペーンなどの条件は随時変わります。最新の内容は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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