- 公開日: 2026.10.19
- 任意売却物件の購入
任意売却物件を買うメリット・デメリット|免責のリスク対策も解説

任意売却物件は、一般の中古住宅より安い価格で買えることがあり、所有者の合意があれば内覧もでき、住宅ローンも使えます。その代わり、売主の契約不適合責任を免除する特約が付くのが一般的で、買った後に見つかった不具合の修繕は自分で負担することになりやすい物件です。
「安いのはうれしいけれど、訳ありで不安…」という方に向けて、買う側から見たメリットとデメリット、リスクを減らす制度、購入までの段取りを順にお話しします。
任意売却物件とは?返済が難しくなった家を債権者の同意を得て売る物件
まずは任意売却のおさらいです。住宅は高額なので、多くの方は住宅ローンを組み、毎月返済しながら住んでいます。
とはいえ、収入の減少など思わぬ事情で返済が続けられなくなることは、誰にでも起こりえます。その場合、まず金融機関と今後の返済について話し合います。
それでも返済が難しいと判断されたとき、債権者(お金を貸している金融機関など)の同意を得て家を売り、売却代金をローンの返済に充てる手続きが任意売却です。こうして市場に出てきた物件を任意売却物件と呼びます。仕組みや競売との違いは任意売却とは?競売との違いとメリット・デメリットで詳しく説明しています。
任意売却物件を選ぶメリット

任意売却物件と聞くと身構えてしまう方もいますが、競売にかけられる前の段階で売りに出ている物件です。取引の進め方は、基本的に一般の中古物件と変わりません。
ただし、後で説明するとおり契約不適合責任が免除される契約が多いため、その分、価格は一般の中古物件より安めになる傾向があります。
1.住宅が安く購入できる
いちばんのメリットは、住宅を安く買える可能性があることです。どのくらい安くなるかは物件や債権者の判断しだいで、相場とほとんど変わらない価格で売り出されることもあります。周辺の似た物件の売出価格と比べて判断してください。
2.掘り出し物件が見つけられる
任意売却物件は訳ありのイメージから敬遠されがちです。そのぶん競争相手が少なく、設備や立地の条件がよい物件に出会えることもあります。
3.住宅ローンを利用しても購入できる
任意売却物件でも、一般の不動産と同じように住宅ローンを使って買えます。気をつけたいのは日程です。債権者との調整で契約日や引き渡し日が動きやすいので、ローンの事前審査は物件が決まる前から早めに進めておくと、話がまとまったときに慌てずに済みます。
4.所有者と合意の上で内覧が可能
任意売却物件は、所有者がまだ住んでいるケースが多いものの、合意があれば内覧できます。競売物件は原則として中を見られないので、設備や傷み具合を自分の目で見て、気になる点を所有者に直接聞けるのは大きな違いです。
任意売却物件のデメリット

一方で、注意しておきたい点もあります。中でも大きいのが、売主の契約不適合責任が免除される契約が一般的なことです。
1.契約不適合責任が免責され、不具合は購入側の負担になりやすい
契約不適合責任とは、引き渡された家が契約の内容に合っていない(雨漏りやシロアリ被害がある、など)ときに、売主が買主に対して負う責任のことです。2020年4月1日施行の改正民法で、それまでの瑕疵担保責任から名前と中身が改められました。詳しくは契約不適合責任とは?旧・瑕疵担保責任との違いと期限をご覧ください。
この責任は、売主と買主の合意で外すことができます。任意売却の売主は、後から補修費用を払う余裕がないことがほとんどです。そのため免責特約付きで売買されるのが一般的で、購入後に不具合が見つかっても修繕費は買主の負担になりやすいのです。
内覧では、雨漏りの跡や床の傾き、給湯器などの設備が動くかを細かく見ておきます。付帯設備表や物件状況等報告書といった書類で、売主が把握している不具合を書面に残してもらうと、後の行き違いを防げます。
2.大幅な値引き交渉は難しい
任意売却物件の売出価格は、債権者が貸したお金をできるだけ回収できるように決めた金額です。値下げにも債権者の同意が要るため、一般の中古物件のような大きな値引きは期待しにくいと考えてください。
3.債権者との合意が必要で、時間と手間がかかる
任意売却は、売主と買主が合意しただけでは成立しません。債権者の同意が必要なので、購入までに時間と手間がかかります。売主側の事情によっては、途中で取引が流れて競売に移ることもあります。
一般中古・任意売却・競売はどう違う?
「任意売却と競売は何が違うの?」と迷う方のために、買う側から見た違いを表にしました。
| 比較の観点 | 一般的な中古物件 | 任意売却物件 | 競売物件 |
|---|---|---|---|
| 価格の傾向 | 市場相場どおり | 相場よりやや安めのことが多い | さらに安いが入札制で確実に買えるとは限らない |
| 内覧 | 可能 | 所有者の合意があれば可能 | 原則として内部の内覧は不可 |
| 売主の責任(契約不適合責任) | 契約内容による(一定期間付くことが多い) | 免責特約が付くのが一般的 | 制度上なし(すべて自己責任) |
| 住宅ローン | 利用しやすい | 利用できるが日程調整に注意 | 利用のハードルが高め |
| 引き渡し・退去 | 契約で決めた日に引き渡し | 売主が住んでいることが多く、退去日を契約で決める | 占有者がいれば買主側で明け渡しの手続きが必要 |
任意売却物件は、競売ほどのリスクは負わずに、相場より安く買える可能性がある中間的な選択肢といえます。
免責特約付きでも使えるリスク対策(建物状況調査・瑕疵保険)
売主に責任を問えないなら、買う前に家の状態を専門家に見てもらうのが確実です。中古住宅の取引には、そのための公的な仕組みが2つ用意されています。
建物状況調査(インスペクション)で劣化や不具合を調べる
建物状況調査とは、国の講習を修了した建築士が、柱や基礎などの構造部分と、屋根・外壁など雨水の入りやすい部分の劣化や不具合を目視などで調べるものです。2018年4月の宅地建物取引業法の改正で、中古住宅の取引に組み込まれました。
仲介する不動産会社は、媒介契約の際に調査を行う人をあっせんできるかを示し、重要事項説明では調査結果の概要を説明します。2024年4月からは、あっせんをしない場合はその理由を媒介契約書に書くことになりました(国土交通省「既存住宅流通について(建物状況調査の活用に向けて)」)。
調査は瑕疵がないことを保証するものではありません。とはいえ、雨漏りの跡や基礎のひび割れなど、素人では気づきにくい点を契約前に知る手がかりになります。所有者が住んでいる家を調べるので、売主の承諾を得て日程を組むことになります。
既存住宅売買瑕疵保険(個人間売買タイプ)で補修費に備える
既存住宅売買瑕疵保険は、中古住宅の検査と保証がセットになった保険です。売主が個人のときは、住宅を検査して保証する検査事業者が保険に加入する個人間売買タイプを使います(国土交通省「個人間売買タイプ(検査事業者保証型)」)。
対象は構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防ぐ部分で、保険期間は5年間または1年間です。引き渡し前の検査に合格する必要があり、古い家や傷みが大きい家は入れないこともあります。それでも、入れれば売主の免責をある程度補えるので、気になる物件では検討する価値があります。
任意売却物件を買うまでの6ステップ
最後に、物件探しから引き渡しまでの流れです。一般の中古物件と違うのは、ステップ4の債権者の同意が入る点です。
- 物件を探す 不動産ポータルサイトでは任意売却と明示されないことも多いので、任意売却を扱う不動産会社に相談すると見つけやすくなります。
- 住宅ローンの事前審査を受ける 日程が動きやすい取引なので、物件探しと並行して借りられる額を確かめておきます。
- 内覧と建物状況調査 所有者の都合に合わせて内覧し、必要なら調査を依頼します。
- 購入申込と債権者の同意 申込の価格で売却してよいか、仲介会社を通じて債権者の判断を待ちます。
- 売買契約 免責特約の範囲、引き渡し日、所有者の退去日を契約書で確認します。
- 決済・引き渡し 代金の支払いと同時に売主のローンが返済され、抵当権の抹消手続きが行われます。
所有者が住んだまま売りに出ていることが多いので、退去日を契約で決めておかないと、引っ越しの予定が立てられません。契約前に確認したいことは任意売却物件は買っても大丈夫?契約前に確認したい5つのことにもまとめています。
住宅ローンは、金利だけでなく保証料や事務手数料などの諸費用も含めて比べると、総額の差が見えてきます。金利や条件は月ごとに変わるので、申し込む前に各金融機関のページで最新の内容を見ておいてください。

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