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団信で保険金が支払われないのはどんなとき?8つのケース

団体信用生命保険(団信)は、住宅ローンの返済中に亡くなったり、所定の状態になったりしたときに、残っている住宅ローンが保険金で返済される仕組みです。「もしものときに家族に家を残せる」という安心感から、多くの方が加入しています。

ところが、亡くなった・重い障害が残った、というだけで必ず保険金が支払われるわけではありません。保険である以上、支払われない場合(免責)や、そもそも保障が終わってしまっている場合があるからです。

今回は、団信に加入していても保険金が支払われないのはどんなときか、そしてそうならないために加入前・返済中にできることを、はじめての方にもわかるように整理しました。数字や条件は、住宅金融支援機構が公開している【フラット35】の団信(新機構団信)の資料で確認しています。

まず前提:団信が支払われる「支払事由」を正しく知る

支払われないケースを見る前に、そもそもどういうときに支払われるのかを確認しておきましょう。ここを勘違いしていると、「支払われるはずだったのに」という思い違いが生まれます。

【フラット35】の団信(新機構団信)の場合、機構への債務が全額弁済されるのは次のいずれかに該当したときです。

死亡されたとき
保障開始日以後の傷害または疾病により、身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき

ここで注意したいのが、新機構団信・新3大疾病付機構団信では、いわゆる「所定の高度障害状態」に対して支払う高度障害保険金の取扱いがないという点です(住宅金融支援機構の公式資料に明記されています)。一方、民間の金融機関が扱う一般的な団信では「死亡または所定の高度障害状態」を支払事由としていることが多く、同じ「団信」でも保障の線引きが違うのです。

保障の期間にも決まりがあります。新機構団信では保障の開始が【フラット35】の資金受取日、保障の終了は満80歳の誕生日の属する月の末日などとされています。ご自身が加入している団信の「支払事由」「保障期間」は、必ず契約時の書類で確認しておきましょう。

告知義務違反が生じたと認められた場合

団信に加入するときは、申込書兼告知書で過去の病歴や現在の健康状態を申告(告知)します。保険会社はその内容をもとに、加入を引き受けるかどうかを判断します。

告知を求められるのは、たとえば「最近の一定期間内に医師の診察・検査・治療・投薬を受けたか」「過去の一定期間内に所定の病気で手術を受けたか、継続して治療を受けたか」といった項目です。具体的にどこまで申告するかは告知書に書かれていますので、必ず現物を読んでから記入してください。

問題になるのは、住宅ローンの審査を通したいあまり、持病があるのに「ない」と書いてしまう、入院や通院の事実を伏せてしまうといったケースです。これは「告知義務違反」にあたります。

告知義務違反が判明した場合、保険契約は解除され、その事実が原因となって生じた死亡や身体障害については保険金が支払われません。住宅金融支援機構の資料でも、告知書に「事実を告げなかったかまたは事実と異なることを告げ、保険契約が解除された場合」は債務が弁済されないと明記されています。

ただし、あわせて「支払事由の発生が解除の原因となった事実によらない場合には、支払われます」とも記されています。つまり、告知しなかった病気とはまったく関係のない原因で亡くなった場合には、支払われることもあるということです。とはいえ、その判断は保険会社が行うものですから、「関係ないだろう」と自分で判断して告知を省略するのは絶対に避けてください。

保険金が支払われなければ、残された家族が住宅ローンを引き継いで返済していくことになります。目先の審査のために事実を伏せることは、いちばん守りたい家族を危険にさらす行為だとお考えください。

返済が滞るなどして保障そのものが終了している場合

意外と知られていないのが、「支払われない」のではなく「もう保障が終わっていた」というケースです。

新機構団信では、保障が終了する事由のひとつとして「期限前の全額返済義務を履行すべき事由に該当したとき(期限の利益を喪失したとき)」が挙げられています。返済の延滞が続いて、住宅ローンを一括で返すよう求められる状態になると、団信の保障もそこで終わってしまうということです。

ここで、【フラット35】の団信の保険料の仕組みについて、古い情報が残っていることがあるので補足します。現在の【フラット35】の団信は「新機構団信」で、加入する団体信用生命保険の種類に応じて【フラット35】の借入金利そのものが変わる仕組みです(住宅金融支援機構の公式サイトに明記されています)。かつては住宅ローンの返済とは別に特約料を支払う方式でしたが、いまは「保険料の払い忘れで団信だけが失効する」という形にはなっていません。健康上の理由などで団信に加入しない場合も【フラット35】は利用でき、その場合は借入金利が異なります。

民間の金融機関の団信も、多くは保険料相当分が住宅ローンの金利に含まれています。つまり返済を続けている限り保障も続くのが一般的です。逆にいえば、いちばん危ないのは「返済そのものが滞ること」。延滞は保障の面から見ても、放置してはいけないサインなのです。

もし返済が苦しくなったら、延滞する前に金融機関へ相談してください。返済期間の延長や一定期間の返済額の減額など、対応できる方法があるかもしれません(詳しくは後の見出しでご説明します)。

保障開始から1年以内の自殺など、免責事由にあたる場合

保険には、契約上あらかじめ「このときは支払いません」と定められた免責事由があります。

新機構団信の死亡保険金では、免責事由として「保障開始日から1年以内の自殺」「戦争その他の変乱」「デュエット(ペア連生団信)の被保険者のうち、いずれかの被保険者の故意」が挙げられています。身体障害保険金については、被保険者の故意または重大な過失、犯罪行為、薬物依存、戦争その他の変乱などが免責事由です。

免責期間は保険会社・商品によって異なります。「1年」と定めているところもあれば、より長い期間を設けているところもありますので、ご自身の契約書類で確認してください。

もうひとつ、保障開始日より前に生じていた傷病を原因とする場合も対象外になります。新機構団信の身体障害保険金は「原因となる傷害または疾病が保障開始日以後に生じた場合」に限られており、加入時にきちんと告知していたとしても、原因が保障開始日より前にあれば支払いの対象になりません。ここは告知義務違反とは別の話なので、混同しないようにしましょう。

保険金を詐取する目的で事故を招致した場合のほか、戦争その他の変乱の場合

保険金をだまし取る目的で意図的に事故を起こした場合、当然ながら保険金は支払われません。新機構団信でも「保険金を詐取する目的で事故招致をした場合」「暴力団関係者その他の反社会的勢力に該当すると認められた場合」などの重大事由により保険契約が解除されると、債務は弁済されないと定められています。また、被保険者による詐欺を原因として契約が取り消された場合や、保険金の不法取得目的があって契約が無効とされた場合も同様です。

「戦争その他の変乱」も免責事由とされています。ただし機構の資料には、「戦争その他の変乱により支払事由に該当した被保険者数に応じ、保険金の全額または一部を削減した額が支払われることがあります」という注記もあります。つまり、一律にまったく支払われないと決まっているわけではなく、影響の規模に応じた取扱いになるということです。

日常生活のなかでこれらに当てはまる可能性は高くありませんが、「団信に入っていれば何があっても必ず返済が免除される」わけではないことは、知っておいて損はありません。

支払われないケースの早見表

ここまでの内容を整理します。以下は【フラット35】の新機構団信の内容にもとづくものです。民間の金融機関の団信は条件が異なりますので、必ずご自身の契約書類をご確認ください。

支払われない理由 どういう状況か 備考
告知義務違反による解除 告知書に事実を書かなかった・事実と異なることを書いた 支払事由が解除の原因となった事実によらない場合は支払われる
保障が終了していた 延滞により期限の利益を喪失した、満80歳の誕生日の属する月末を過ぎた、全額繰上返済した など 返済が滞ることは保障の面でも危険
免責事由(死亡保険金) 保障開始日から1年以内の自殺、戦争その他の変乱 など 免責期間は保険会社・商品により異なる
免責事由(身体障害保険金) 故意・重大な過失、犯罪行為、薬物依存、戦争その他の変乱 など
保障開始日より前の傷病が原因 身体障害の原因となる傷害・疾病が保障開始日より前に生じていた 告知していても対象外
詐欺による取消し・不法取得目的による無効 詐欺行為、保険金の不法取得目的
重大事由による解除 保険金詐取目的の事故招致、反社会的勢力への該当 など
支払事由に当たらない 身体障害者手帳1級・2級の交付に至らない など 新機構団信に高度障害保険金の取扱いはない

保険金が支払われなかったら、住宅ローンはどうなる?

いちばん気になるのはここだと思います。団信の保険金が支払われない場合、住宅ローンの債務は相続の対象になります。プラスの財産である住宅と一緒に、マイナスの財産であるローンも相続人へ引き継がれるということです。

このとき、相続人が取れる選択肢は主に3つあります。

1. そのまま引き継いで返済を続ける
家に住み続けたい場合の選択です。返済を続けられるかを冷静に見極める必要があります。

2. 住宅を売却して返済に充てる
売却代金でローンを完済できるかどうかがポイントになります。完済できない場合の売却(任意売却)は、金融機関との調整が必要です。

3. 相続放棄をする
プラスの財産も含めて一切を相続しない方法です。原則として、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があり、期限を過ぎると原則として選べません。判断に時間がかかりそうな場合は、期間の伸長を申し立てられることもあります。

いずれも期限や手続きが絡みますので、早い段階で金融機関と、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

加入するときにできる備え

支払われないケースの多くは、加入のときの行動で防げます。

1. 告知は正確に。迷ったら書く
これが最大の備えです。告知書は自己申告ですが、保険金の請求時には診断書や医療機関の記録が確認されます。伏せても分からない、ということはまずありません。

2. 健康に不安があるなら「入りやすい団信」を検討する
持病があると通常の団信に加入できないことがありますが、引受基準を緩和した団信(ワイド団信などと呼ばれます)を用意している金融機関もあります。多くの場合、上乗せ金利が必要になります。取扱いの有無や条件は金融機関ごとに異なりますので、公式サイトや窓口でご確認ください。

3. 団信に入らない選択と、その場合の備え
【フラット35】は、健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合でも利用できます(借入金利は異なります)。その場合は、住宅ローンの残高に見合った生命保険を別に手当てしておくことが欠かせません。団信の代わりに収入保障保険などを使う方法もありますので、保険の専門家に相談してみるとよいでしょう。

4. 保障の中身で金融機関を比べる
団信は「入るか入らないか」だけでなく、どこまで保障されるかで差が出ます。がん・3大疾病・全疾病といった保障の範囲、上乗せ金利の有無、支払いの条件(診断確定だけでよいのか、一定期間の就業不能が必要なのか)を見比べてください。

たとえばSBI新生銀行では、上乗せ金利のかからない一般団信に加えて、上乗せ0円の全疾病保障付団信やがん診断保障付団信といった選択肢が用意されています。事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型で、保証料と一部繰上返済手数料もかからないため費用の見通しを立てやすく、店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応している点も、団信の内容をきちんと確認しながら決めたい方には心強いところです。保障内容や条件は変わることがありますので、最新の情報は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

返済が苦しいときは、ひとりで抱え込まない

ここまで見てきたとおり、返済の延滞は、団信の保障が終わってしまう引き金にもなります。そして何より、返済の悩みをひとりで抱え込んでしまうことが、いちばん避けたい状況です。

返済が苦しくなったときにまずできるのは、延滞する前に、借入先の金融機関へ相談することです。返済期間の延長、一定期間の返済額の軽減、ボーナス返済の見直しなど、状況に応じた方法を相談できる場合があります。相談したからといって、すぐに家を失うわけではありません。

【フラット35】を利用中の方は、住宅金融支援機構が返済に関する相談窓口を設けています。また、法的な整理や生活の立て直しについては、法テラス(日本司法支援センター)や自治体の相談窓口、消費生活センターなどを利用できます。

そして、お金の悩みが続くと、気持ちの面までつらくなってしまうことがあります。そうしたときのために公的な相談窓口も用意されていますので、ひとりで抱え込まず、ご家族や信頼できる方、専門の窓口に話してみてください。早く相談するほど、選べる方法は多く残っています。

よくある質問

Q. 団信の加入に、健康診断は必要ですか?
A. 多くの場合は告知書の記入で足りますが、借入額が大きい場合などに医師の診査や健康診断書の提出を求められることがあります。取扱いは金融機関・保険会社によって異なります。

Q. 加入したあとに病気になったら、保障はどうなりますか?
A. 加入後に発症した病気を理由に保障がなくなることはありません。団信は加入時点の健康状態で引受けを判断する仕組みだからです。だからこそ、加入時の告知が重要になります。

Q. 借り換えをすると、団信はどうなりますか?
A. 借り換えは新しい住宅ローンを組み直すことなので、借り換え先の団信に改めて加入し、あらためて告知が必要になります。健康状態によっては加入できず、借り換え自体ができないこともあります。健康なうちに検討しておくのが安全です。

Q. 夫婦でペアローンを組んでいます。どちらかに万一のことがあったら?
A. ペアローンはそれぞれが別のローンを組む形なので、亡くなった方のローンだけが団信で返済され、もう一方のローンは残ります。【フラット35】の連帯債務では、おふたりで加入する「デュエット(ペア連生団信)」を選ぶと、どちらかに万一のことがあった場合に債務の返済が不要になります。組み方によって結果が変わるので、契約前に必ず確認してください。

Q. 団信の保険料は、生命保険料控除の対象になりますか?
A. 団信の保険料は、保険金の受取人が金融機関等になるため、一般に生命保険料控除の対象にはなりません。ご自身のケースについては税務署や税理士にご確認ください。

Q. 保険金が支払われるかどうか、事前に確認できますか?
A. 個別の判断は請求時に保険会社が行うため、事前に確定させることはできません。ただし、支払事由・免責事由・保障期間は契約書類にすべて書かれています。加入時に一度目を通し、疑問点は窓口で質問しておきましょう。

まとめ

団信は、住宅ローンを組む方にとって心強い仕組みです。ただし、告知義務違反、保障の終了、免責事由、保障開始前の傷病が原因の場合など、保険金が支払われないケースは確かに存在します。そして支払われなければ、住宅ローンは相続人に引き継がれます。

裏を返せば、備えの多くは加入のときの「正確な告知」と、返済中の「延滞をしないこと」という、とてもシンプルな行動に集約されます。そのうえで、団信の保障範囲を金融機関ごとに比べておけば、いざというときの安心はぐっと高まります。

最後にもう一度お伝えします。返済が苦しいと感じたら、延滞する前に相談してください。それが、ご家族と住まいを守るいちばん確実な方法です。制度や商品内容は変わることがありますので、最新の取り扱い状況は必ず各金融機関・住宅金融支援機構の公式サイトをご確認ください。

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