住宅購入はキャンセルできる?申込・契約後の解約と注意点をやさしく解説

住宅は人生で一番高い買い物と言われるだけに、金額も大きく、購入には何度も検討を重ねることが求められます。それでも、手続きを進めるなかで「冷静に考え直したらキャンセルしたい」と思うことは少なくありません。
ここでは、住宅購入の申込みをした後でキャンセルできるのか、できる場合・できない場合で何に注意すべきかを、手続きの段階ごとにやさしく解説します。
住宅購入時における手続きの流れ
住宅の購入は、普段の買い物のように「お金を払えば成立」ではなく、いくつもの手続きを段階的に進めていきます。詳しい流れはこちらの記事で解説していますが、大まかには次のとおりです。
1.情報収集および物件見学
2.住宅購入のお申込み
3.住宅ローンの事前審査(ローンを使う場合のみ)
4.重要事項の説明
5.売買契約の締結
6.住宅ローンのお申込み(本審査)
7.物件内覧および残金決済
8.引き渡し
このうちキャンセルの可否を大きく左右するのが、最初に購入の意思を示す「住宅購入のお申込み」と、最終的に契約を結ぶ「売買契約の締結」の2つです。今どちらの段階にいるかで、キャンセルの可否や費用がまったく変わってきます。
住宅購入のお申込後のキャンセルは可能

「住宅購入のお申込み」は、買主が売主に対して「この物件を買いたい」という意思を示す手続きです。不動産申込書(買付証明書)に必要事項を記入して署名・捺印し、このとき申込金(申込証拠金)として数万円〜10万円程度を不動産会社に預けることがあります。
お申込み後のキャンセルは可能
申込みは、あくまで「買いたい」という意思表示にすぎません。この時点ではまだ売買契約は成立していないため、キャンセルは可能です。キャンセル理由を問われることもなく、「考えが変わった」という理由でも申込みは撤回できます。
支払った申込金は返金される
申込みの段階で不動産会社に預けた申込金は、キャンセル時に返金されます。これはあくまで「預り金」であり、契約成立後に支払うお金ではないからです。宅地建物取引業法(第47条の2第3項)でも、申込みの撤回があった場合に宅建業者は受領した預り金を返還しなければならないと定められています。
まれに「返金できない」と説明する業者もいるようですが、これは宅建業法に反する行為です。返金を求めても応じない場合は、消費者ホットライン(188)や宅地建物取引業の免許行政庁(都道府県の窓口)に相談するとよいでしょう。
売買契約締結後のキャンセルはペナルティあり

売買契約を結んだ後のキャンセルは、理由によって扱いが変わります。買主の自己都合によるキャンセルは、契約内容によっては大きな費用が発生することがあります。
買主都合によるキャンセル(手付解除)
買主の都合で売買契約後にキャンセルする場合は、契約時に支払った手付金を放棄する(手付解除)ことになります。民法(第557条)では、相手方が契約の履行に着手するまでの間であれば、買主は手付金を放棄して契約を解除できると定められています。逆に、売主が引渡しや登記の準備などで「履行に着手」した後は、手付放棄による解除はできなくなる点に注意が必要です。
手付金は売買代金の5〜10%程度が一般的で(売主が宅建業者の場合は20%が上限)、数百万円になることもあります。この段階でのキャンセルは負担が大きいため、疑問や不安は売買契約を結ぶ前に必ず解消しておくことが大切です。
住宅ローンが利用できない場合(ローン特約による白紙解除)
購入には前向きでも、売買契約後の住宅ローン本審査が通らず、ローンが組めなかった場合はどうなるのでしょうか。多くの契約書には「住宅ローン特約(融資利用の特約)」が付いており、審査に通らなかったときは契約を白紙に戻せます。
このローン特約による白紙解除では、支払った手付金は返還され、違約金などのペナルティもありません。仲介手数料も原則かかりません。ただし、わざと審査を遅らせるなど買主に落ち度がある場合はローン特約が認められないことがあるため、ローンの手続きは誠実に進めましょう。
契約事項に違反した場合(違約解除)
残金の決済ができないなど、買主が契約上の義務を果たせなかった場合は契約違反となり、契約書に定められた違約金を支払ったうえでの解除になります。違約金の額は売買契約書に記載されているので、締結前にしっかり確認しておきましょう。
クーリングオフが使える場合もある
意外と知られていませんが、不動産の売買でも一定の条件を満たせばクーリングオフ(宅地建物取引業法 第37条の2)で無条件解除できる場合があります。主な条件は次のとおりです。
- 売主が宅建業者であること(個人間売買や仲介のみの取引は対象外)
- 事務所など以外の場所(自宅・喫茶店など)で買受けの申込み・契約をしたこと
- クーリングオフできる旨を書面で告げられた日から8日以内であること
- 物件の引渡しを受け、かつ代金全額を支払う前であること
条件を満たせば、書面で通知することで白紙解除でき、申込金や手付金も全額返還されます。業者から損害賠償や違約金を請求されることもありません。自分のケースが当てはまるか不安なときは、宅建業者の免許行政庁や専門の相談窓口に確認してみましょう。
タイミング別 早わかり表とFAQ
| キャンセルの段階 | キャンセルの可否 | 主な費用・注意点 |
|---|---|---|
| お申込み後(契約前) | 可能 | 申込金は返金される(宅建業法47条の2) |
| 売買契約後(自己都合) | 可能(手付解除) | 手付金を放棄。売主の履行着手後は不可 |
| ローン審査に落ちた | 白紙解除できる | ローン特約があれば手付金返還・ペナルティなし |
| 契約違反 | 解除になる | 契約書所定の違約金が必要 |
| クーリングオフの条件を満たす | 無条件解除 | 8日以内・書面で。手付金等は全額返還 |
Q. 申込金と手付金は何が違うのですか?
A. 申込金(申込証拠金)は契約前に「買いたい意思」を示すために預けるお金で、キャンセル時は返金されます。手付金は売買契約時に支払うお金で、自己都合で解約すると放棄することになります。性格がまったく違うので混同しないようにしましょう。
Q. 口約束だけでもキャンセルできなくなりますか?
A. 売買契約は書面(売買契約書)を取り交わして成立するのが一般的です。契約書に署名・捺印する前であれば、まだ契約は成立していないと考えられます。大きな金額が動くので、納得できるまで契約は結ばないことが大切です。
住宅購入のキャンセルは、「申込みの段階」なら比較的気軽に、「売買契約後」は費用や条件に注意、というのが基本です。とくに売買契約は一度結ぶと拘束力が強いため、資金計画や住宅ローンの見通しを立てたうえで進めることが、後悔しないための一番の近道です。最新の制度や個別の判断に迷うときは、専門家や行政の相談窓口を活用してください。
- 2026.06.20
- 住宅ローンQ&A

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