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不動産会社が売主の中古住宅|購入前に確認したい5つのポイント

中古住宅を購入するメリットは、同じエリア・同じ広さでも新築に比べて購入費用を抑えやすいことにあります。日本では長らく「住まいは新築の一戸建て」という考え方が中心でしたが、空き家の増加が社会的な課題となり、国も既存の住宅を活かして流通させる「ストック型」の住宅市場づくりを進めています。

街を歩いていると、不動産会社が売り主になっている「売り家」の看板を見かけることがあります。こうした物件は、不動産会社がいったん買い取り、リフォームしたうえで販売している「買取再販」の住宅であることが多く、個人の方が売り主のケースとは、責任の負い方も税制の扱いも違います。ここでは、初めて中古住宅を買う方に向けて、契約前にチェックしておきたいポイントを順番に見ていきましょう。

不動産会社が売り主となっている物件

不動産会社が売り主となっている物件は、もとの所有者から不動産会社が買い取り、必要に応じて手を加えて価値を高めたうえで販売している物件です。

通常、住宅を売るときは不動産会社が仲介する形で、売り主と買い主の間で条件を決めていきます。一方で、売り主側に「すぐに現金化したい」「早く手放したい」といった事情があるときは、不動産会社が市場価格より安めに買い取ることがあります。仕入れた物件を早く売って収益にしたい、という事業上の動機が働くのは自然なことです。

買い主から見ると、この形の物件にはメリットとデメリットの両方があります。

比較の観点 不動産会社が売り主(買取再販) 個人が売り主(仲介)
建物の状態 リフォーム済みで、すぐ住めることが多い 現況引渡しが多く、入居前に費用がかかることも
契約不適合責任 宅地建物取引業法で買い主が保護される(後述) 期間を短くしたり、免責にしたりする特約も可能
仲介手数料 売り主から直接買う場合は不要なこともある 原則として必要
建物部分の消費税 事業者が売り主のため課税される 非課税(個人の売買のため)
価格 リフォーム費用や利益が上乗せされる 交渉次第だが、修繕費は自己負担になりやすい

つまり「リフォーム済みで安心だけれど、その分だけ価格には上乗せがある」という関係です。提示された価格が相場に見合っているかは、同じエリア・同じ築年数の物件と見比べて確かめておきましょう。

リフォームがどこまで行われているのかをチェックする

リフォーム済みの中古住宅の室内イメージ

不動産会社が売り主の物件では、リフォームがどこまで行われているのかをしっかり確認することが何より大切です。

売り主としては、リフォームで見た目を整えて価値を高めたいと考えます。ただし、なかには目に見える部分だけを新しくして、見えない部分は手つかずという物件もあります。壁紙や設備がきれいでも、その裏にある構造や配管が古いままということは珍しくありません。

そこで、次のような点を具体的に質問してみてください。

  • どこを、いつ、どの範囲までリフォームしたのか(工事の内容がわかる書類はあるか)
  • 給排水管や電気配線など、見えない部分は交換・点検されているか
  • 屋根・外壁・防水など、雨水の浸入を防ぐ部分の状態はどうか
  • シロアリの被害や土台の腐食の有無は確認されているか

「建物状況調査(インスペクション)」を活用する

リフォームされていない部分の状態を第三者の目で確かめる方法が、建物状況調査(インスペクション)です。国土交通省が定めた講習を修了した建築士が、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、劣化や不具合の有無を調べます。

2018年4月の宅地建物取引業法の改正により、中古住宅の取引では、調査を実施していればその結果の概要が重要事項説明で買い主に説明されるしくみになりました。仲介の場合は、媒介契約書に調査を行う事業者をあっせんできるかどうかも記載されます。

なお、建物状況調査は目視や計測が中心で、床や壁をはがして調べるところまでは求められていません。「調査を受けたから絶対に安心」ではなく、気になる点を売り主に確認するためのきっかけとして使うのが現実的です。

契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)が有効かチェックする

中古住宅の売買契約書を確認するイメージ

2020年4月1日に施行された改正民法により、それまでの「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」という考え方に変わりました。古い記事や資料には今も「瑕疵担保責任」という言葉が残っていますが、現在の契約書で使われるのは契約不適合責任です。

契約不適合責任とは、引き渡された住宅が契約の内容に適合していなかったときに、買い主が売り主に対して、修補(直してもらうこと)・代金の減額・損害賠償・契約の解除を求められる、というものです。

売り主が不動産会社なら「引渡しから2年以上」が守られる

ここが、不動産会社から買う場合の大きな安心材料です。宅地建物取引業法第40条により、宅地建物取引業者が自ら売り主となる売買では、契約不適合を通知できる期間を「引渡しの日から2年以上」としなければならず、それより買い主に不利な特約は無効とされています。

一方、個人が売り主の場合はこの制限がありません。「引渡しから3か月」といった短い期間や、免責とする特約が結ばれることもあります。同じ中古住宅でも、売り主が誰かによって守られ方が変わる、と覚えておきましょう。

「売り主が本当に不動産会社か」を登記と契約書で確かめる

注意したいのは、見かけ上は不動産会社の物件でも、契約書の売り主欄が代表者個人の名義になっているケースです。この場合は宅地建物取引業者が自ら売り主となる取引にあたらず、上の2年以上のルールが働かないことがあります。

チェックすべきなのは次の2点です。

  • 売買契約書の売り主の名義が、法人(宅地建物取引業者)になっているか
  • 契約書の中で、契約不適合責任の通知期間が何か月・何年と定められているか

あわせて、既存住宅売買瑕疵(かし)保険が付いているかどうかも確認しておくと安心です。これは、引渡し後に構造上の問題や雨漏りが見つかったときに、修補費用などが保険でまかなわれるしくみで、後述する住宅ローン控除の耐震性の証明としても使えることがあります。

住宅ローンの借入期間に制限が無いかチェックする

住宅ローンの返済計画を考える夫婦のイメージ

不動産会社から買うかどうかにかかわらず、中古住宅全体に言えることとして、金融機関によっては借入期間(返済年数)が新築より短く設定されることがあります

住宅ローンは建物を担保にするため、築年数や構造によって「あと何年使える建物か」という評価が返済年数に影響することがあります。借入期間が短くなれば、同じ借入額でも毎月の返済額は増えます。物件を決める前に、希望する返済年数で借りられるかを金融機関に確認しておくことが大切です。

【フラット35】を使うなら「適合証明書」が必要

全期間固定金利の【フラット35】で中古住宅を購入する場合は、住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書を、原則として取得する必要があります。適合証明検査機関または適合証明技術者に物件検査を申請し、合格すると交付されます。新築時に適合証明書を取得している住宅でも、中古住宅としての取得が原則として必要です。

中古住宅の技術基準のうち、初めての方がつまずきやすいのは次の点です。

確認する項目 【フラット35】中古住宅の主な基準
耐震性 建築確認日が昭和56年(1981年)6月1日以後であること(それ以前は耐震評価基準などへの適合が必要)
住宅の規模 一戸建てなどは床面積50㎡以上、マンション(地上3階以上の共同建て)は30㎡以上
接道 原則として一般の道に2m以上接していること
劣化状況 土台や床組に腐朽・蟻害がないこと(マンションは外壁・柱などに鉄筋の露出がないこと等)
マンションの維持管理 管理規約が定められ、長期修繕計画の計画期間が20年以上あること

なお、「中古マンションらくらくフラット35」に登録されているマンションなど、一定の条件を満たす中古住宅は物件検査を省略できます。検査手数料は買い主の負担になるため、対象かどうかを早めに調べておくと費用を抑えられます。

<出典:住宅金融支援機構【フラット35】「対象となる住宅・技術基準」(2026年8月時点)>

住宅ローン控除の適用条件を満たしているかチェックする

中古住宅でも住宅ローン控除(住宅ローン減税)は使えます。ただし、この条件は近年に大きく変わっているため、古い情報のまま物件を選ばないよう注意してください。

「築25年以内・築20年以内」という築年数の条件は、すでにありません

かつては「耐火建築物は築25年以内、それ以外は築20年以内」という築年数の条件がありました。しかし2022年(令和4年)の税制改正でこの条件は緩和され、現在は次のように整理されています。

  • 昭和57年(1982年)1月1日以後に建築された住宅であること(登記事項証明書で確認できます)
  • それ以前に建築された住宅は、耐震基準適合証明書・建設住宅性能評価書の写し・既存住宅売買瑕疵担保付保険証明書のいずれかで、現行の耐震基準を満たすことを証明する

つまり、築年数そのものではなく「耐震性が確認できるか」が判断の軸になったということです。築30年を超えていても、1982年以降に建てられた住宅であれば対象になります。

令和8年度の税制改正で、適用期限が5年延長されました

住宅ローン減税は、令和8年度税制改正により適用期限が5年間延長され、入居日が令和8年(2026年)1月1日から令和12年(2030年)12月31日までの住宅が対象となりました。あわせて、省エネ性能の高い既存住宅について借入限度額の引き上げと控除期間の13年への拡充が行われ、床面積要件も40㎡以上に緩和されています(合計所得金額1,000万円超の方、子育て世帯等への上乗せ措置を使う方は50㎡以上)。

既存住宅(買取再販以外)の借入限度額と控除期間は次のとおりです。控除率は年末ローン残高の0.7%です。

住宅の区分 借入限度額 控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅 3,500万円(4,500万円) 13年間
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円(4,500万円) 13年間
省エネ基準適合住宅 2,000万円(3,000万円) 13年間
その他住宅 2,000万円 10年間

( )内は、19歳未満の扶養親族がいる子育て世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の若者夫婦世帯の上乗せ額です。

このほか、合計所得金額が2,000万円以下であること借入金の償還期間が10年以上であること取得から6か月以内に入居し、その年の12月31日まで住み続けていることなどの条件があります。

<出典:国土交通省「住宅ローン減税」/国税庁タックスアンサーNo.1211-3(2026年8月時点)>

「買取再販住宅」なら控除の枠がさらに広がることも

ここまで見てきた「不動産会社が買い取ってリフォームし、販売している住宅」は、一定の条件を満たすと税制上の「買取再販住宅」として扱われます。この場合、省エネ基準適合住宅以上の性能があれば、新築住宅と同等の水準で住宅ローン減税を受けられるのが大きな特徴です。

住宅の区分 借入限度額(買取再販住宅) 控除期間
長期優良住宅・低炭素住宅 4,500万円(5,000万円) 13年間
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円(4,500万円) 13年間
省エネ基準適合住宅 2,000万円(3,000万円) 13年間
その他住宅 2,000万円 10年間

( )内は子育て世帯・若者夫婦世帯の上乗せ額です。

ただし、宅地建物取引業者から買ったリノベーション物件がすべて買取再販住宅になるわけではありません。主な要件は次のとおりです。

  • 宅地建物取引業者から取得すること
  • 宅地建物取引業者が住宅を取得してから2年以内に購入すること
  • 取得の時点で、新築された日から10年を経過している家屋であること
  • 建物価格に占めるリフォーム工事費の割合が20%以上(工事総額が300万円を超える場合は300万円以上)であること ほか

確定申告では増改築等工事証明書の提出が必要になります。この書類は売り主側の協力がないと用意しづらいため、契約前に「買取再販住宅として住宅ローン減税の対象になりますか」「増改築等工事証明書は出してもらえますか」と確認しておくことをおすすめします。

なお買取再販住宅には、所有権移転登記の登録免許税が0.1%に軽減される措置(令和9年3月31日まで)や、不動産取得税の控除額が増える措置(令和13年3月31日まで)もあります。

<出典:国土交通省「買取再販住宅を取得したとき」(2026年8月時点)>

よくある質問

Q. リフォーム済みと書いてあれば、そのまま住んで問題ないでしょうか?

内装や設備が新しくなっていても、給排水管・屋根・外壁など見えない部分は対象外ということがあります。工事の範囲がわかる書類を見せてもらい、対象外の部分については建物状況調査の結果を確認しましょう。

Q. 売り主が不動産会社なら、何かあったときは必ず直してもらえますか?

契約不適合を引渡しから2年以上は通知できるように守られていますが、「何でも無条件に直してもらえる」わけではありません。契約書に不具合の内容が記載されていれば、それは「契約の内容に適合している」と扱われます。契約書と重要事項説明書に書かれた建物の状態は、必ず自分の目で読んでおきましょう。

Q. 1981年以前に建てられた家は、住宅ローン控除をあきらめるしかありませんか?

いいえ。耐震基準適合証明書・建設住宅性能評価書・既存住宅売買瑕疵担保付保険証明書のいずれかで現行の耐震基準を満たすことを証明できれば対象になります。ただし取得には調査や工事が必要になることもあるため、売買契約前に、証明が取れる見込みがあるかを売り主や不動産会社に相談しておくことが大切です。

Q. 中古住宅でも、リフォーム費用まで住宅ローンに含められますか?

金融機関によっては、購入資金とリフォーム費用をまとめて借りられる商品を用意しています。取り扱いの有無や上限は金融機関ごとに異なるため、複数の金融機関で条件を比べることをおすすめします。

Q. 諸費用は、どれくらい見ておけばよいでしょうか?

中古住宅では、仲介手数料・登記費用・火災保険料・住宅ローンの事務手数料や保証料のほか、物件検査手数料や建物状況調査の費用がかかることもあります。金額は物件と金融機関によって大きく変わるため、資金計画には物件価格とは別枠で余裕をみておきましょう。

まとめ|中古住宅は「調べてから買う」が基本

不動産会社が売り主の中古住宅は、リフォーム済みですぐに住めるうえ、契約不適合責任の期間が法律で守られているという安心感があります。一方で、価格には工事費や利益が上乗せされており、リフォームの範囲・契約書の内容・税制の適用可否は物件ごとに違います。

  • リフォームの範囲を書類で確認し、対象外の部分は建物状況調査で補う
  • 売り主の名義と、契約不適合責任の通知期間を契約書で確認する
  • 希望する返済年数で借りられるか、金融機関に事前に確認する
  • 1982年1月1日以後の建築か、そうでなければ耐震性の証明が取れるかを調べる
  • 買取再販住宅に当たるなら、増改築等工事証明書を出してもらえるか確認する

資金面では、金利だけでなく諸費用まで含めた総額で比べるのがコツです。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、保証料と一部繰上返済手数料がかからず、一般団信も金利の上乗せなしで付けられるなど、費用の内訳が分かりやすい商品設計になっています(事務取扱手数料は借入金額の2.20%〈税込〉の定率型)。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているので、初めて住宅ローンを検討する方にとっても選択肢のひとつになるでしょう。

制度や商品内容は改正・変更されることがあります。最新の取り扱い状況は、必ず各金融機関・関係省庁の公式サイトでご確認ください。

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