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マンションと一戸建て、維持修繕コストはどちらが高い?

一戸建てとマンションの両方を検討していると、不思議なことが起こります。一戸建ての営業担当者は「マンションは管理費や修繕積立金などの維持費が掛かりますよ」と言い、マンションの営業担当者は「一戸建てとさほど変わりませんよ」と言う——。どちらの話も、聞いているときはそれらしく聞こえますよね。

たしかに、維持管理の費用が毎月強制的に発生するマンションのほうがコスト高のように感じます。果たして実際はどうなのでしょうか。ここでは、公的な調査データを手がかりに、両者の「お金の出方の違い」を整理してみます。

マンションのメンテナンスや修繕の実態を知りたい!

マンションでは区分所有者(各住戸の所有者)から毎月修繕積立金を徴収し、そのお金で計画的に修繕を実施します。この「強制的に積み立てる」仕組みは、実はマンションのメリットでもあります

外壁の補修やエレベーターの更新、大規模修繕には多額の資金が必要になりますが、あらかじめ積み立てられているため、ある日突然まとまった出費に襲われる可能性が低いのです。

では、実際にいくらくらい積み立てているのでしょうか。国土交通省の「令和5年度マンション総合調査結果」によると、1戸あたり月額の修繕積立金の平均は13,054円(駐車場使用料等からの充当額を除く額)でした。

もっとも、この金額は建物の規模や階数によって大きく変わります。国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(令和6年6月改定)では、実際に作成された長期修繕計画366事例を分析し、専有面積1㎡あたりの月額の目安を次のように示しています。

建築延床面積と階数の区分ごとに見た修繕積立金の目安平均値の棒グラフ
左の4区分は地上20階未満。機械式駐車場がある場合は別途加算されます。
地上階数/建築延床面積事例の3分の2が含まれる幅平均値
20階未満・5,000㎡未満235〜430円/㎡・月335円/㎡・月
20階未満・5,000〜10,000㎡未満170〜320円/㎡・月252円/㎡・月
20階未満・10,000〜20,000㎡未満200〜330円/㎡・月271円/㎡・月
20階未満・20,000㎡以上190〜325円/㎡・月255円/㎡・月
20階以上240〜410円/㎡・月338円/㎡・月

※機械式駐車場がある場合は別途加算されます(ガイドラインでは機種ごとに1台あたり月額4,645〜7,210円の修繕工事費が示されています)。

この表からわかるのは、タワーマンション(一般に地上20階以上)と小規模なマンションで単価が高くなる傾向があるということ。前者は外壁修繕に特殊な足場が必要になるなど工事費が増えやすく、後者は工事量がまとまらないぶん単価が下がりにくいためです。

なお、「長期修繕計画は10年くらい先までのもの」と思われている方がいますが、それは誤解です。国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインでは、計画期間は新築マンションで30年以上(既存マンションで25年以上)を前提としており、さらに5年程度ごとに見直すことが求められています。実際の工事費は物価や技術の変化で動くため、計画は「一度作って終わり」ではないのです。

とはいえ、注意しておきたい点もあります。

  • 新築時の負担を軽く見せるため、当初の修繕積立金を低く設定している物件がある(将来の値上げが前提になっている)
  • 管理費や修繕積立金を滞納する人がいると、修繕計画そのものに影響が出る
  • 工事費は物価や人手の状況で変わるため、計画どおりの金額で収まるとは限らない

一戸建てであれば維持管理は自由なのでは?

一戸建ては、通常世帯主が所有者ですので、修繕は個人の裁量で自由にできます。すると一見、一戸建てのほうがコストが安く済むと思ってしまいますが、戸建ても定期的な補修は必ず発生します

一戸建てにはマンションのような共用部分がなく、外壁や屋根も単独所有ですから、建物すべての部分の補修を所有者ひとりで負担しなければなりません。マンションなら数十戸〜数百戸で分担する足場代も、戸建てでは1軒ぶんをまるごと負担することになります。

一般的な目安として、外壁や屋根は10〜15年程度で点検や塗装が必要になると言われ、給湯器などの設備は短いもので7〜8年、長くても15年程度で点検・部品交換・機器交換の時期を迎えるとされます。ただし、実際の時期は仕様・立地・使用状況で大きく変わります。住宅を引き渡されるときに受け取る維持保全計画や、設備の取扱説明書に記載された点検時期を必ず確認してください。

また、街並み計画などの規制がある団地などでは、景観維持のため定期的な外観の修繕を促されるケースもあります。いずれにせよ、自分で修繕計画を立て、掛かる費用を自分で積み立てていく必要がある——これが一戸建ての実情です。

結局、お金の「出方」がまるで違うということ

ここまでを整理すると、両者の違いは金額の大小よりも「いつ・どう出ていくか」にあることが見えてきます。

比較の観点マンション一戸建て
お金の出方毎月一定額を強制的に積立修繕のたびにまとまった出費
金額の決め方管理組合の長期修繕計画にもとづく所有者が自分で判断・計画
工事のタイミング管理組合の決議による(自分だけでは決められない)自分の裁量で決められる
費用の分担足場や共用設備の費用を全戸で分担1軒ぶんを単独で負担
先送りできるかできない(毎月の徴収)できてしまう(=劣化を招きやすい)

マンションの「強制的に取られる」という感覚は、裏を返せば「先送りできない仕組みに守られている」ということでもあります。一戸建ての「自由」は、裏を返せば「自分で律しないと積み立てが進まない」ということでもあるのです。

ちなみに、マンションの修繕工事費がどこに使われるのかも、前述のガイドラインの事例分析から見えてきます。

マンションの修繕工事費の内訳のうち割合が大きい項目を示した横棒グラフ
366事例の長期修繕計画に計画された修繕工事費の内訳(各事例の平均値をもとに作成)。上位は外壁と足場に関わる項目が占めます。

住宅ローンを組む前に、ここだけは確かめておきたい

維持修繕コストは、住宅ローンの返済とは別枠で毎月・毎年出ていくお金です。借入額を決める前に、次の点を確認しておくと、後になって「こんなはずでは」となりにくくなります。

  • 【マンション】提示されている修繕積立金が、上の目安の範囲と比べて極端に低くないか。低い場合、将来の値上げが前提になっていないか(長期修繕計画を見せてもらいましょう)
  • 【マンション】機械式駐車場があるか。ある場合、その修繕費が修繕積立金に織り込まれているか、駐車場使用料でまかなう前提か
  • 【マンション】修繕積立金の滞納状況(管理組合の会計資料で確認できます)
  • 【一戸建て】外壁・屋根・給湯器など、大きな出費が想定される部位の点検時期と、その費用感
  • 【共通】住宅ローンの返済額に、維持修繕のための積立を足しても家計が回るか

なお、マンションについては「マンション長寿命化促進税制」という制度もあります。修繕積立金の額を一定以上に引き上げるなどの要件を満たす管理計画認定マンションで一定の大規模修繕工事が行われた場合、建物部分の翌年度分の固定資産税が、6分の1から2分の1以下の範囲で市町村(特別区は都)の条例が定める割合(参酌基準は3分の1)だけ減額されます(1戸あたり100㎡相当分まで)。適正な積立をしている管理組合が報われる仕組み、と考えるとわかりやすいでしょう。

まとめ

これまでお話ししてきたように、維持管理費用について、一概にどちらが多いとは言えません。建物の規模、階数、設備の内容、そして何より「どれだけ長く住むか」で答えは変わります。

ひとつ言えるのは、最も費用を要する外壁や屋根などの修繕について、マンションは多数の住戸で分担し、あらかじめ積み立てる仕組みを持っているということ。突発的な大きい出費になりにくいという意味では、資金計画は立てやすい形式だといえます。いっぽう一戸建ては、その分担も積立も自分で設計しなければなりません。

物件を比べるときは、価格と住宅ローンの返済額だけでなく、「毎月出ていく総額」と「10年後・20年後にまとまって出ていくお金」の両方を並べてみてください。そのうえで無理のない借入額を決めれば、住み始めてからの安心感がまったく違ってきます。

借入額を検討するときは、諸費用の分かりやすさも比べておきたいところです。たとえばSBI新生銀行の住宅ローンは、保証料が0円、一部繰上返済手数料も0円、一般団信の上乗せもなく、事務取扱手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型と、内訳がシンプルにまとまっています。将来の修繕費まで見据えて資金計画を立てたい方にとっては、比較の候補に入れておく価値があるでしょう。最新の金利・手数料・団信の内容は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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