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住宅ローンの予算は上げていい?金利上昇期の借入額の決め方

「金利が低いうちに、少し予算を上げて広い家を買っておこう」——住宅ローンの金利が年1%を切っていたころ、こうした話をよく耳にしました。 ですが、2026年のいま、その前提は大きく変わっています。日本銀行の政策金利は引き上げられ、全期間固定の【フラット35】は年3%台。「超低金利だから予算を上げても大丈夫」という考え方は、そのままでは通用しなくなりました。 これから家を買う方が、予算を決めるときに何を見ればいいのか。基本のところから、やさしく整理していきます。

まず確認:「超低金利の時代」はもう終わっています

最初に、いまの金利がどのあたりにあるのかを押さえておきましょう。 日本銀行は2026年6月16日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コールレート翌日物)を年0.75%程度から年1.0%程度へ引き上げました。その後の2026年7月31日の会合でも、年1.0%程度が維持されています。 住宅ローンの金利も、これに歩調を合わせて上がってきました。全期間固定の【フラット35】は、2026年8月資金受取分(新機構団信付き・融資率9割以下・返済期間21年以上35年以下)で、最も多い金利が年3.290%です。返済期間の区分ごとに見ると、次のような水準になっています。
フラット20・フラット35・フラット50の2026年8月の最も多い金利を比べた棒グラフ
2026年8月資金受取分・新機構団信付き・融資率9割以下の「最も多い金利」。返済期間が長いほど金利は高くなります。
「1%を切る住宅ローン」を前提にした資金計画は、もう成り立ちません。まずは、いまの金利で毎月いくら返すことになるのかを、正面から確かめるところから始めましょう。 なお、金利は毎月見直されますし、【フラット35】は返済期間・融資率(物件価格に対する借入額の割合)・団信の有無で金利が変わります。最新の水準は住宅金融支援機構や取扱金融機関の公式サイトでご確認ください。

「高金利のときは変動、低金利のときは固定」——この原則、いまはどう読む?

昔から言われてきた「高金利時は変動、低金利時は固定」という考え方があります。金利が下がりきっている局面では、その低い金利を固定で確保しておくのが理にかなう、という意味の言葉です。 では、金利が上がってきたいまはどう考えればいいのでしょうか。ポイントは「どちらが得か」ではなく、「金利が上がっても返し続けられるか」という視点に切り替えることです。 変動金利は、いまの時点では固定金利より低い水準です。ただし、借りたあとに金利が上がれば利息の負担は増えます。ここで知っておきたいのが、多くの銀行が採用している次の2つの仕組みです。 ・5年ルール……金利が変わっても、毎月の返済額は原則5年間変えない(返済額のうち元金と利息の内訳が変わる) ・125%ルール……返済額を見直すときも、それまでの返済額の125%を上限とする 一見すると安心な仕組みですが、これは「返済額が増えるのを先送りしている」だけで、利息そのものが減るわけではありません。しかもみずほ銀行が公式サイトで案内しているとおり、この5年ルール・125%ルールは元利均等返済の場合の仕組みで、元金均等返済は対象外です。ソニー銀行やSBI新生銀行、PayPay銀行のように、そもそもこの2つのルールを採用していない銀行もあります。 金利の見直し時期も銀行ごとに違います。たとえばみずほ銀行は変動金利の見直しを年2回(4月1日・10月1日を基準日)としており、同行の公式サイトには「2026年9月30日までに年1.025%~でお借り入れした場合、2027年1月返済分から年1.275%~が適用されます」という案内が掲載されています(2026年8月13日時点。「~」は最優遇の下限を示すもので、実際の適用金利は審査結果などで決まります)。 銀行が自分の言葉で「いつから、いくらになるか」を書き始めている——これが、いまの局面のいちばん分かりやすい特徴です。変動金利を選ぶなら、ご自身の契約の見直し基準日と反映月を、返済予定表や借入先の公式サイトで必ず確認しておきましょう。

「収入が上がれば返済も楽になるはず」で予算を組まない

金融機関が審査で重視するのは、年収と勤続年数です。ただしこれは「いくらまで貸せるか」を見るための指標であって、「いくらまで返せるか」を保証してくれるものではありません。 借入の大原則は、いまも昔も「借りられる金額ではなく、返せる金額を借りる」ことです。 「収入が上がる」ころには、お子さんが生まれたり増えたりして、教育費や生活費も増えていきます。マイホームには、住宅ローン以外に固定資産税・火災保険料・修繕費(マンションなら管理費・修繕積立金)もかかります。 いまの収入がピーク(=支出がボトム)だと考えて、現段階で余裕のある返済計画を立てる。金利が上がってきた局面では、この考え方の重みがいっそう増しています。

「繰上返済は意味がない」は、いまはもう当てはまりません

ここは、以前の常識が大きく変わったところです。 かつては「住宅ローン控除で戻ってくる額のほうが、支払う利息より大きい(いわゆる逆ざや)から、繰上返済せずに手元に置いたほうがいい」と説明されることがありました。年末残高の1%が控除され、住宅ローンの金利が1%を下回っていた時代の話です。 しかし、2022年(令和4年度)の税制改正で住宅ローン控除の控除率は0.7%になりました。控除期間は新築住宅等が原則13年、既存住宅は10年です。さらに令和8年度税制改正で、適用期限が令和12年(2030年)12月31日入居分まで5年間延長され、省エネ性能の高い既存住宅について借入限度額の引き上げなどの拡充も行われています。 つまり、借入金利が控除率の0.7%を上回っていれば、控除で戻る額よりも支払う利息のほうが大きいということです。金利が上がったいま、繰上返済で利息を減らす効果は、しっかり戻ってきています。 ただし、注意点もあります。 ・手元の生活防衛資金まで削らない(病気・失業・修繕など不測の事態に備えるお金は残す) ・繰上返済をすると年末残高が減るため、控除額も減ります。控除期間中は効果を見比べて判断する ・繰上返済の手数料・最低金額・受付方法は金融機関ごとに違うので、借入先の公式サイトで確認する 「貯まったら必ず繰上返済」でも「絶対にしない」でもなく、ご自身の金利・控除の残り期間・手元資金のバランスで決めるのが正解です。

かつてと今で、何が変わったのか(早見表)

見るポイント超低金利といわれた時期いま(2026年8月時点)
【フラット35】の金利年1%台という時期もあった最も多い金利は年3.290%(融資率9割以下・21年以上35年以下)
日銀の政策金利マイナス金利政策のもとゼロ近辺年1.0%程度(2026年7月31日会合で維持)
住宅ローン控除の控除率年末残高の1%年末残高等の0.7%(期間は新築等原則13年・既存10年)
繰上返済の考え方控除との逆ざやで効果が小さいとされた借入金利が0.7%を上回るなら利息削減の効果が大きい
予算の決め方「借りられる額」ではなく「返せる額」から決める(ここは変わりません)

予算を決める、最初の3ステップ

はじめて住宅ローンを組む方は、次の順番で考えると迷いにくくなります。 ステップ1:毎月の住居費として無理なく出せる金額を決める いまの家賃をそのまま当てはめるのではなく、駐車場代・管理費・修繕積立金・固定資産税の月割りまで足して比べます。手取り収入から、教育費や老後の積立を先に取り分けたうえで残る額が目安です。 ステップ2:その返済額から、借入額を逆算する 「いくら借りられるか」から始めると、どうしても上振れします。返済額を先に決めて、そこから借入額を見るのが順番です。変動金利を選ぶなら、金利が1%上がった場合の返済額も必ず確かめておきましょう。 ステップ3:物件価格以外のお金を別枠で確保する 融資事務手数料・登記費用・印紙税・火災保険料・引越し代など、購入時にはまとまったお金がかかります。ここを借入額に含めて予算を膨らませると、頭金が薄くなり、【フラット35】のように融資率で金利が変わるローンでは金利面でも不利になります。

よくある質問

Q. 住宅ローンの予算は「年収の何倍まで」が目安ですか? 年収倍率は物件価格の相場感をつかむ目安にはなりますが、同じ年収でも、家族構成・教育費・車の有無・貯蓄額で「返せる額」は大きく変わります。倍率を先に決めるのではなく、毎月出せる返済額と手元に残す資金から逆算してください。 Q. いま変動金利で借りている場合、金利が上がったらすぐ返済額が増えますか? 多くの銀行では、元利均等返済なら5年ルールにより毎月の返済額は当面据え置かれます。ただし元金均等返済は対象外で、5年ルール自体を採用していない銀行もあります。見直しの基準日や反映される月も銀行によって違うので、返済予定表と借入先の公式サイトで確認しましょう。 Q. 予算を下げると、希望どおりの家が買えません。 借入額を増やす前に、頭金を積む・購入時期をずらす・エリアや広さの優先順位を見直すという順で検討してみてください。返済は数十年続きます。入居後の暮らしが苦しくなる予算は、家そのものの満足度も下げてしまいます。 Q. 全期間固定なら安心と考えていいですか? 返済額が最後まで確定するのは、家計管理のうえで大きな安心材料です。一方で、いまの【フラット35】の金利は年3%台まで上がっており、返済期間や融資率、団信の種類によっても金利は変わります。「固定だから安心」で終わらせず、その金利で最後まで返せるかを確かめましょう。 Q. どの金融機関から比べればいいですか? 金利だけでなく事務手数料・保証料・団信の保障内容まで含めた総額で比べるのが基本です。たとえばSBI新生銀行は、保証料や一部繰上返済手数料がかからず、上乗せ0円で選べる団信も用意されています。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているので、はじめての方が「まず相談してみる」先としても検討しやすい選択肢のひとつです。条件は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトでご確認ください。

まとめ

金利をめぐる環境は、親御さん世代のころとも、この記事を最初に公開した超低金利のころとも変わりました。 一方で、「借りられる金額ではなく、返せる金額を借りる」という原則は変わりません。むしろ金利が上がってきたいまこそ、この原則が効いてきます。 市況や「いま買わないと」という空気に流されず、毎月の返済額から逆算して、身の丈に合った予算を組む。それが、住宅ローンで失敗しないいちばん確実な方法です。金利や制度の最新情報は、必ず各金融機関・公的機関の公式サイトでご確認ください。

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