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団信で保障されないケースとは?働けない期間と告知の注意点

「団信に入ったから、もう何があっても大丈夫?」と思っている方は少なくありません。団信(団体信用生命保険)で住宅ローンが0円になるのは、原則として亡くなったときと、所定の高度障害状態になったときです。

病気やケガで働けないけれど生きている期間は、一般的な団信では保障されません。告知が事実と違っていたときや、加入直後の待機期間に起きた病気なども、保険金が出ない代表的なケースです。

団信の種類や上乗せ金利の基本は、団信の種類・上乗せ金利・入れないときの選択肢の記事で紹介しています。

団体信用生命保険の落とし穴!

団体信用生命保険は、多くの金融機関が住宅ローンの借入条件にしている保険です。保障の中心は死亡と高度障害で、特約を付けると保障の幅を広げられます。

では、8大疾病保障付きの団信に入っていた人が、それ以外の理由で働けなくなったらどうなるでしょうか。たとえば交通事故のケガで、何か月も会社を休むような場合です。

ケガで入院や自宅療養をしている間も、団信の保障対象には入りません。そのため住宅ローンの返済はいつもどおり続きます。

有給休暇や傷病手当金で会社や国もある程度は支えてくれますが、本来の給料の全額には届きません。収入は減るのに返済額は変わらない状態が長引くと、最悪の場合は家を手放すことにもなりかねません。

まとめると、団信が守ってくれるのは亡くなったとき、重い障害が残ったとき、特約があれば決められた病気になったときだけです。働けないけれど生きているという期間は、多くの団信で手薄になっています。

団信の保険金が出ない主なケース

団信に入っていても、条件に当てはまらなければ保険金は支払われません。初めて借りる方がつまずきやすいのは、次の4つです。

  • 告知義務違反……申込時の告知書に事実と違うことを書いたり、病歴を書かなかったりした場合
  • 待機期間中の発病……疾病保障やがん保障は、加入から一定期間に起きた病気が対象外になる
  • 免責期間・対象外の病気……働けない状態が始まって最初の数か月は保障されない、精神疾患などは対象外、といった決まり
  • 支払事由に届かない状態……障害が残っても、保険で定めた等級や状態に当てはまらない場合

告知について、住宅金融支援機構は【フラット35】の団信の案内で、告知の内容と事実が異なっていた場合には保険金が支払われず、債務を弁済できないことがあると説明しています(出典:【フラット35】新機構団体信用生命保険制度の案内)。

持病を隠して加入すると、いざというときに住宅ローンがそのまま残ります。告知書には、記入日時点のありのままを書くことが何より大切です。詳しくは団信の告知義務違反のリスクの記事も参考にしてください。

待機期間と免責期間は商品ごとに違います。例としてSBI新生銀行の全疾病保障付団信では、住宅ローン実行日から90日間が待機期間で、この間に働けなくなった場合は原因を問わず支払いの対象外です。8疾病以外の病気やケガでは、働けなくなってから最初の3か月間も免責期間になります(2026年10月時点の同行の団信案内より)。

同じ案内では、精神障害や、医学的な他覚所見のないむちうち症・腰痛なども対象外とされています。がん保障の団信でも、加入から90日以内にがんと診断された場合は保険金が出ない、という決まりがよく見られます。

ほかにも保険金が出ないケースはあります。団信で保険金が支払われない8つのケースもあわせて読むと、全体像がつかめます。

公的な保障だけでは足りない?傷病手当金の仕組み

「働けなくなっても、国の制度があるのでは?」と思う方もいるでしょう。たしかに会社員や公務員には、健康保険の傷病手当金という制度があります。

全国健康保険協会(協会けんぽ)の案内によると、傷病手当金のおおまかな仕組みは次のとおりです(2026年10月時点)。

  • 対象……健康保険の被保険者が、業務外の病気やケガで働けず、給与を受けられないとき
  • 待期期間……連続して3日間休んだあと、4日目から支給される
  • 金額の目安……支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均額を30で割り、その3分の2にあたる額(1日あたり)
  • 期間……支給を開始した日から通算して1年6か月(2022年1月から、途中で復職した期間を除いて通算する方式)

たとえば標準報酬月額の平均が30万円の人なら、1日あたり約6,667円です。30日分でおよそ20万円となり、月収の3分の1ほどが減る計算になります。

とはいえ、住宅ローンの返済額は1円も減りません。治療費や通院の交通費など、出ていくお金はむしろ増えるのが普通です(出典:協会けんぽ「傷病手当金」)。

もうひとつ、自営業やフリーランスなど国民健康保険の方には、原則として傷病手当金がありません。働けなくなったときの収入減が、そのまま家計に響きます。自営業の方ほど、民間の備えを厚めに考えておく必要があります。

支給の要件や金額の計算は、協会けんぽ・健康保険組合・共済組合で細かく異なります。自分の場合の金額は、勤務先の担当窓口か加入先の健康保険に問い合わせると分かります。

住宅ローンサポート保険とは?

団信の手薄な部分を補う保険もあります。金融機関によっては「住宅ローンサポート保険(疾病保障付住宅ローン)」という商品を用意しています。

がんなど特定の病気や重い慢性疾患になったとき、働けない期間に応じて毎月の返済額相当を保障したり、ローン残高が0円になったりする仕組みです。特約で、日常のケガや病気を対象にできる商品もあります。

保険料は、住宅ローンの金利に上乗せするタイプと、毎月保険料を払うタイプがあります。保険期間は、住宅ローンの借入期間と同じです。

働けない状態が長く続いても、返済の一部または全部を保険でまかなえるのは心強い点です。

ただし、働けなくなったらすぐに保険金が出る商品ではありません。多くは所定の就業不能状態が一定日数続くことを条件にしていて、精神疾患やむちうち・腰痛を対象外にしている商品もあります。申し込む前に、パンフレットだけでなく「被保険者のしおり(契約概要・注意喚起情報)」まで目を通しておくと後悔しにくくなります。

所得補償保険と給与サポート保険

ほかに、所得補償保険や給与サポート保険もあります。こちらは住宅ローンに限らず、生活費全般を保障の対象にしています。

住宅ローンサポート保険の保険期間は借入期間と同じですが、これらの保険は年齢や年数で期間が決まります。

使い道を選べるのが、この種の保険の長所です。働けない期間も食費や光熱費はかかりますし、子育て中なら教育費も必要です。住宅ローン以外の支出も心配な方には、こちらのほうが合う場合があります。

一方、保険料は毎月(または毎年)払い続けるので、その分だけ家計の固定費が増えます。住宅ローンの返済に上乗せして無理なく払える額かどうかを、先に決めておいてください。不安だから全部付ける、という入り方がいちばん危険です。

就業不能まで備えられる団信も増えています

団信そのものの保障範囲も、近年は広がっています。死亡・高度障害だけという前提が、金融機関によっては当てはまらなくなってきました。

例のひとつがSBI新生銀行です。2026年3月2日から、SBI生命の全疾病保障付団信を金利の上乗せなしで取り扱っています。病気やケガで所定の就業不能状態が続いたとき、月々の返済額や、一定期間続いた場合のローン残高が保障の対象になります。

ただし、全疾病保障付団信とガン団信(年0.1%上乗せ)を同時に選ぶことはできません。どちらも加入できるのは申込時20〜49歳の方で、先ほどの待機期間・免責期間もあります(2026年10月時点の同行公式の団信案内より)。同行の介護保障付き団信「安心保障付団信」は、新規の取り扱いを終了しています。

全疾病保障の団信は、ほかのネット銀行や地方銀行でも取り扱いがあり、支払条件は銀行ごとにかなり違います。比べ方は全疾病保障団信の保障内容と対象外の解説で詳しく紹介しています。

また、【フラット35】は団信への加入が任意です。新機構団体信用生命保険に加入しない場合は、新機構団信付きの借入金利から年0.2%引いた金利になります(出典:住宅金融支援機構 よくある質問)。団信に入れない方でも借りられる道がある反面、万一のときは残った債務を家族が相続することになります。

団信の名称・保障範囲・上乗せ金利は、金融機関ごとにまったく異なります。下の観点で並べて比べてみてください。

比較の観点 見るポイント 備考
基本の保障 死亡・高度障害だけか、疾病保障まで含むか 一般団信は死亡・高度障害が基本
就業不能への対応 病気・ケガで働けない期間を保障するか ここが手薄な団信が多い。全疾病保障・就業不能保障特約の有無を確認
上乗せ金利 年0.1%〜0.3%程度の上乗せが必要か、0円か 0.1%でも借入額と期間によって総返済額の差は小さくない
加入できる年齢 申込時・完済時の年齢上限 手厚いプランほど年齢制限が厳しい傾向
待機期間・免責期間 加入直後や発病直後に保障されない期間 90日・3か月などの定めが多い
支払われる条件 「所定の状態が○日継続」などの要件、対象外の病気 精神疾患などが対象外のことがある
健康状態の告知 持病があっても入れるか(ワイド団信の有無) 加入できないと借入自体が難しくなる金融機関もある

金利や条件は月ごとに変わるので、申し込む前に各金融機関のページで最新の内容を見ておいてください。

よくある質問

Q. 団信に入っていれば、生命保険は減らしてもいいですか?

A. 住まいの費用への備えは団信でまかなえるので、その分だけ生命保険を見直せる可能性はあります。団信で消えるのは住宅ローンだけで、生活費や教育費は残ります。減らすのは家計全体を見てからにしてください。

Q. うつ病などの精神疾患で働けなくなった場合は保障されますか?

A. 全疾病保障付きの団信でも、精神障害を対象外にしている商品が多いのが実情です。働けない期間への備えでいちばん見落とされやすい点なので、加入前に免責事由の欄を読んでおくと後で慌てずに済みます。

Q. 団信に入ってすぐ病気になったら保険金は出ますか?

A. 疾病保障やがん保障には、加入から90日などの待機期間を設けている商品があり、その間に発病すると対象外です。死亡・高度障害の基本保障とは扱いが違うので、しおりで待機期間の有無を見ておくと安心です。

Q. 途中から団信の種類を変えられますか?

A. 原則として、契約後に団信の種類を変えることはできません。だからこそ、申し込みの段階でどこまで備えるかを決めておく必要があります。

Q. 持病があって団信に加入できない場合はどうすればよいですか?

A. 引受基準を緩めたワイド団信(金利上乗せあり)を用意している金融機関があります。団信加入が任意の【フラット35】を選ぶ方法もあります。団信なしなら残債が残る前提で、別の生命保険で補うことを考えておいてください。

Q. 保険を増やす以外に、働けなくなったときの備えはありますか?

A. いちばん確実なのは、借りすぎないことと、生活防衛資金を持つことです。生活費の半年〜1年分が手元にあれば、傷病手当金と合わせて長い療養期間を乗り切れる可能性が高まります。

まとめ

団信は心強い仕組みですが、万能ではありません。守ってくれるのは主に亡くなったときで、働けないけれど生きている期間は多くの団信で手薄です。告知義務違反や待機期間中の発病でも、保険金は出ません。

働けない期間は、会社員なら傷病手当金(収入のおよそ3分の2・通算1年6か月)と、必要に応じた民間の備えで埋めていくのが基本の考え方です。自営業の方は、公的な支えが薄い分を自分で用意する必要があります。

そして忘れてはいけないのが、最大の備えは無理のない借入額にしておくことです。毎月の返済に余裕があれば、収入が3分の2になっても踏みとどまれます。保険を選ぶ前に、まず借入額そのものを見直してみてください。

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