- 公開日: 2026.08.06
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団信で保障されないケースとは?働けないときの備え方をやさしく解説

前回の記事でご紹介した、住宅ローンで債務免除を受けることができる団体信用生命保険(団信)。これがあれば住宅ローンは他の家族に一切影響が出ないように見えますが、実は落とし穴があります。
「団信に入ったから、もう何があっても大丈夫」——そう思い込んだまま借りてしまうと、いざというときに家計が立ち行かなくなることがあります。この記事では、団信では守られない「働けなくなったとき」のリスクと、その備え方をやさしく整理していきます。
団体信用生命保険の落とし穴!
団体信用生命保険は基本的に各金融機関とも加入を条件にしている、死亡・高度障害の際に支払われる保険です。ただし、特約などをつけることによって、もう少し保障の幅を広げることもできます。
しかし、8大疾病保障付き団体信用生命保険に加入したとしても、それ以外のことで働けなくなった場合はどうでしょうか?
例えば、事故にあって長期間会社を休まなければならなくなった場合などです。
そうです!団体信用生命保険は、死亡あるいは一部の病気以外の保障はしてくれないということです。
事故にあってケガで入院や自宅療養している間も、団信の保障対象外であるため、住宅ローンの支払いは続きます。
有給休暇や傷病手当金など、会社・国もある程度は守ってくれますが、それでも本来働いていたはずの給料には程遠い額しか支給されません。
そうすると、給料は減るのに、住宅ローンの支払いはそのままし続けるということに……。長期になるほど家計は圧迫され、返済が厳しくなり、最悪の場合は家を手放さざるをえないという状況に陥るかもしれません。
つまり、団信が守ってくれるのは「亡くなったとき」「重い障害が残ったとき」、そして特約をつけていれば「決められた病気になったとき」だけです。「働けないが、生きている」という期間は、多くの団信でぽっかりと空いています。ここが最大の落とし穴です。
公的な保障だけでは足りない?傷病手当金の仕組み
「働けなくなっても、国の制度があるでしょう?」と思われるかもしれません。たしかに会社員・公務員の方には傷病手当金という制度があります。まずはこれを正しく知っておきましょう。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の案内によると、傷病手当金のおおまかな仕組みは次のとおりです。
- 対象……健康保険の被保険者が、業務外の病気やケガで働けず、給与が受けられないとき
- 待期期間……連続して3日間休んだあと、4日目から支給される
- 金額の目安……支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均額を30で割り、その3分の2にあたる額(1日あたり)
- 期間……支給を開始した日から通算して1年6か月(2022年1月から、途中で復職した期間を除いて通算する方式になりました)
ここで注目したいのが「3分の2」という点です。ざっくり言えば、収入がおよそ3分の1減った状態が続くということ。住宅ローンの返済額は1円も減りません。加えて、治療費や通院の交通費といった出ていくお金はむしろ増えるのが普通です。
そして、もうひとつ大事な注意点があります。自営業・フリーランスなど国民健康保険の方には、原則としてこの傷病手当金がありません。会社員に比べて、働けなくなったときの落ち込みがそのまま家計を直撃します。自営業の方こそ、民間の備えを厚めに考えておく必要があります。
なお、支給の要件や金額の計算方法は加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合)によって細部が異なります。ご自身の条件は、勤務先の担当窓口や加入先の公式サイトでご確認ください。
住宅ローンサポート保険とは?

そんな場合の助けになる保険もありますのでご紹介しましょう。
金融機関によっては「住宅ローンサポート保険(疾病保障付住宅ローン)」という商品を出しているところもあります。
がんなど特定の疾病や重度慢性疾患になった場合、働けなくなった期間によって毎月の約定返済相当額を保障してくれたり、住宅ローンの残高が0円になります。
また、特約をつけることにより、日常のケガや病気の保障をすることもできます。
奥様特約を用意しているところもありますね。
保険料は、住宅ローンの金利に上乗せするタイプと、毎月保険料を払うタイプがあります。保険期間は住宅ローンの借り入れ期間です。
こういった保険を利用すれば、長期にわたり就労困難状態が続いた場合でも安心です。
支払いが免除になったり、一定額の保険金が支払われ、住宅ローン返済の一部に充てることができます。
ただし、「働けなくなったら即座に出る」という商品ではありません。多くは「所定の就業不能状態が○日以上続いたら」という待機期間(免責期間)が設けられており、精神疾患やむちうち・腰痛などは対象外とされていることもあります。申し込む前に、パンフレットではなく「被保険者のしおり(契約概要・注意喚起情報)」まで目を通すのが、後悔しないコツです。
所得補償保険と給与サポート保険
他にも所得補償保険や給与サポート保険があります。これは保障対象が生活費全般となっています。
住宅ローンサポート保険の保険期間が住宅ローンの借入期間なのに対し、これらの保険は年齢や年数によって決まってきます。
これらの保険の良いところは、目的が住宅ローンに絞られていないため、万が一の際には使い道を選べるということです。
働けないということは、その期間中の食費や光熱費などの生活費も必要です。お子さんがいるご家庭なら教育費もかなりかかります。そう考えると、所得補償保険や給与サポート保険に加入したほうがメリットを感じる人もいるのではないでしょうか。
一方で、保険料は毎月(または毎年)払い続ける必要があり、その分だけ家計の固定費が増えます。住宅ローンの返済に上乗せして無理なく払える額かどうかを、先に決めておきましょう。「不安だから全部つける」は、いちばん危ない入り方です。
上乗せ0円で就業不能まで備えられる団信もあります
実は近年、団信そのものの保障範囲が広がってきています。「団信=死亡・高度障害だけ」という前提が、金融機関によっては当てはまらなくなってきました。
たとえばSBI新生銀行は、2026年3月2日からSBI生命の「全疾病保障付団信」を金利の上乗せなし(負担0円)で取り扱っています。がん・急性心筋梗塞・脳卒中といった三大疾病に限らず、病気やケガで所定の就業不能状態が続いた場合にも保障が及ぶのが特徴で、この記事でお話ししてきた「働けないが生きている期間」の穴を、追加の金利負担なしで埋められることになります。同行では一般団信の上乗せもなく、より手厚いガン団信を選ぶ場合は年0.1%の上乗せ、という組み立てです(いずれも同行公式サイトの団信ページに記載)。
なお、SBI新生銀行では介護保障を付けた「安心保障付団信」は新規の取り扱いを終了しています。古い記事や口コミを見て「介護保障付きが選べる」と思い込まないよう注意してください。
また、フラット35は団信への加入が任意で、新機構団体信用生命保険に加入しない場合は、掲載されている金利から年0.20%引いた金利が適用されます(住宅金融支援機構)。健康上の理由で団信に入れない方でも住宅ローンを借りられる道がある一方、万一のときに残債が残ることを、家族と共有しておく必要があります。
団信の名称・保障範囲・上乗せ金利は金融機関ごとにまったく異なります。下の観点で並べて比べてみてください。
| 比較の観点 | 見るポイント | 備考 |
|---|---|---|
| 基本の保障 | 死亡・高度障害だけか、疾病保障まで含むか | 「一般団信」は死亡・高度障害が基本 |
| 就業不能への対応 | 病気・ケガで働けない期間を保障するか | ここが空いている団信が多い。全疾病保障・就業不能保障特約の有無を確認 |
| 上乗せ金利 | 年0.1%〜0.3%程度の上乗せが必要か、0円か | 0.1%でも借入額と期間によって総返済額の差は小さくない |
| 加入できる年齢 | 申込時・完済時の年齢上限 | 手厚いプランほど年齢制限が厳しい傾向 |
| 支払われる条件 | 「所定の状態が○日継続」などの要件、免責事由 | 精神疾患などが対象外のことがある。しおりで必ず確認 |
| 健康状態の告知 | 持病があっても入れるか(ワイド団信の有無) | 加入できないと借入自体が難しくなる金融機関もある |
保障の内容・条件・上乗せ金利は改定されることがあります。最新の内容は必ず各金融機関の公式サイトでご確認ください。
よくある質問
Q. 団信に入っていれば、生命保険は減らしてもいいですか?
A. 「住居費」に対する保障は団信でまかなえるので、その分だけ生命保険を見直せる可能性はあります。ただし団信で消えるのは住宅ローンだけで、生活費・教育費は残ります。減らすのは家計全体を見てからにしましょう。
Q. うつ病などの精神疾患で働けなくなった場合は保障されますか?
A. 対象外としている商品が多いのが実情です。就業不能への備えを考えるうえで最も見落とされやすい点なので、加入前に必ず免責事由の欄を確認してください。
Q. 途中から団信の種類を変えられますか?
A. 原則として、契約後に団信の種類を変更することはできません。だからこそ、申し込みの段階でどこまで備えるかを決めておく必要があります。
Q. 持病があって団信に加入できない場合はどうすればよいですか?
A. 引受基準を緩めた「ワイド団信」(金利上乗せあり)を用意している金融機関があります。また、団信加入が任意のフラット35を選ぶ方法もあります。いずれの場合も、団信なしなら残債が残る前提で、別の生命保険で補うことを検討しましょう。
Q. 保険を増やす以外に、働けなくなったときの備えはありますか?
A. いちばん確実なのは「借りすぎないこと」と「生活防衛資金を持つこと」です。手元に生活費の半年〜1年分があれば、傷病手当金と合わせて長い療養期間を乗り切れる可能性が高まります。保険料を積み増す前に、まずこの2つを整えてください。
まとめ
団信は心強い仕組みですが、万能ではありません。守ってくれるのは主に「亡くなったとき」で、「働けないが生きている期間」は多くの団信で空いています。そこを、公的な傷病手当金(会社員の場合・収入のおよそ3分の2・通算1年6か月)と、必要に応じた民間の備えで埋めていく、というのが基本の考え方です。
今は、医療保険や生命保険など病気やケガの保障だけではなく、収入が減少してしまう状況にも備えておく必要があります。団体信用生命保険に加入したからと安心せずに、万が一のことを考えて検討してみましょう。
そして忘れてはいけないのが、最大の備えは「無理のない借入額にしておくこと」だという点です。毎月の返済に余裕があれば、収入が3分の2になっても踏みとどまれます。保険を選ぶ前に、まず借入額そのものを見直してみてください。

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