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同性パートナーでも住宅ローンは組める?必要書類と組み方

同性のパートナーと一緒に住宅ローンを組むことは、いまの日本でも十分に可能です。法律上の結婚はまだ認められていませんが、【フラット35】では2023年1月から同性パートナーを連帯債務者(収入合算の相手)にでき、SBI新生銀行・みずほ銀行・auじぶん銀行・ドコモSMTBネット銀行などの民間ローンでも、同性パートナーをペアローンの相手や収入合算者に指定できるようになっています(2026年9月時点)。

鍵になるのは「書類の準備」です。自治体のパートナーシップ証明書か、二人の関係を定めた公正証書のどちらかを求められることがほとんどで、ここさえ押さえておけば手続きは異性のカップルとほぼ同じように進みます。制度の広がりと、実際の組み方を順番に見ていきましょう。

LGBT・LGBTQとは?

LGBTとは、次の4つの言葉の頭文字を組み合わせた言葉です。性的マイノリティ(性的少数者)の総称としてよく使われます。

  • L(レズビアン)…女性として女性を好きになる人
  • G(ゲイ)…男性として男性を好きになる人
  • B(バイセクシュアル)…男女どちらも好きになる人
  • T(トランスジェンダー)…生まれたときの性別と、自分が認識する性別が異なる人

このほかにも、自分の性のあり方を決めていない・分からない「クエスチョニング」(Qと表されることもあります)、他者に恋愛感情を持たない「アセクシュアル」など、性のあり方や価値観は多様です。

最近では、こうした多様性をまとめて「LGBTQ」「LGBTQ+」と表記することも増えています。住宅ローンの世界でも、申込書や商品説明の言葉づかいが少しずつ見直されてきました。

同性カップルが家を持つときの、これまでの難しさ

住宅探しで困っている人のイメージ

日本では、同性どうしの結婚(法律上の婚姻)は2026年9月時点ではまだ認められていません。そのため、多くの社会制度やサービスは「男女の夫婦」を前提に作られてきました。

その結果、同性のカップルでは賃貸住宅の入居審査が通りにくい、二人の収入を合わせて住宅ローンを組みにくいといった場面がありました。住宅ローンの多くが、収入を合算したりペアで組んだりする相手を「配偶者」に限定していたためです。

💡ミニ解説:法律の議論はいまどうなっている?
同性婚を認めない民法・戸籍法の規定が憲法に反するかを争う6件の訴訟について、最高裁は2026年3月25日、裁判官15人全員で審理する大法廷に回付することを決めました(高裁段階では違憲5件・合憲1件と判断が分かれています)。統一判断はまだ示されておらず、現時点で法律が変わったわけではありません。今後の結論次第で制度の前提が動く可能性はありますが、この記事は2026年9月時点の現行ルールにもとづいて説明しています。

ただし、住宅と住宅ローンの実務は、法律の議論とは別に着実に前進しています。次の章から、その変化を見ていきましょう。

パートナーシップ制度が全国へ広がっている

パートナーシップ制度のイメージ

大きな変化のひとつが、「パートナーシップ制度」の広がりです。同性などのカップルを自治体が公的に「パートナー」と認め、証明書などを発行する仕組みで、法律上の結婚とは別ものですが、行政サービスや民間サービスを受けるときに役立ちます。

💡ミニ解説:どれくらい広がっているの?
この制度は2015年11月、東京都渋谷区と世田谷区が全国に先がけて始めました。渋谷区と認定NPO法人虹色ダイバーシティの共同調査によると、2025年5月31日時点で導入自治体は532、登録件数は約9,800組、人口カバー率は90%を超えています。同調査は「全国に普及し一定の成果が得られた」として、この回をもって終了しました(=これが最後の集計値です)。東京都も2022年11月から都全体で宣誓制度を始めています。出典:渋谷区「全国パートナーシップ制度共同調査」

申請の方法、利用できるサービス、年齢などの要件は自治体ごとに異なりますので、お住まいの自治体の案内を見てみてください。制度を使うと、公営住宅への入居申し込み、病院での面会・同意、家族向けサービスの利用などがしやすくなる場合があります。

そして近年は、この証明書が住宅ローンの審査でも「二人の関係を示す書類」として使えるようになりました。次の章で、具体的にどの金融機関が対応しているかを見ていきます。

同性パートナーでも住宅ローンが組めるようになってきた

住宅ローンの相談をするカップルのイメージ

住宅ローンの世界でも、同性パートナーを「配偶者と同様」に扱う動きが広がっています。ここでは、各社の公式情報で確認できたものだけを挙げます(いずれも2026年9月時点)。

  • 【フラット35】(住宅金融支援機構)…2023年1月4日の借入申込受付分から、同性パートナーを連帯債務者として申し込めます。収入合算をする場合も連帯債務者としての申し込みになり、融資物件の共有者に加えることもできます。どちらかに万一のことがあれば返済が不要になるペア連生団信「デュエット」も利用できます(【フラット35】公式のお知らせ)。
  • SBI新生銀行…同性パートナーをペアローンの相手・収入合算者(連帯保証人)・担保提供者に指定できます。ネット完結の手続きと店舗・電話での相談の両方に対応しており、二人で条件をすり合わせながら進めたい人に向いています(SBI新生銀行 公式「ペアローン・収入合算」)。
  • みずほ銀行…同性パートナーとの「家族ペア返済」や収入合算の申し込みが可能です。2017年7月に、邦銀で初めて配偶者の定義に同性パートナーを含める商品改定を行った銀行でもあります。
  • auじぶん銀行…同性パートナーをペアローン・収入合算・担保提供者に指定できます。仮審査の申し込み時は続柄欄を「その他」で入力し、本審査で関係を示す書類を提出する流れです。
  • ドコモSMTBネット銀行(旧・住信SBIネット銀行)…同性パートナーをペアローンの相手・収入合算者(連帯保証人)・担保提供者に指定できます。同行が取り扱うフラット35(買取型)では、同性パートナーである連帯債務者と二人でペア連生団信に加入することもできます。

このほかの銀行でも取り組みは広がっていますが、対応の有無・必要書類・書類の有効期限は金融機関ごとに本当にバラバラです。気になる銀行があれば、申し込み前にコールセンターやチャットで「同性パートナーと収入合算(またはペアローン)はできますか」と一度たずねておくと、あとで慌てずにすみます。

申し込みに必要な書類は大きく2パターン

ここが最初のハードルに見えるところですが、整理するとシンプルです。多くの金融機関は、次のどちらか一方を求めています。

パターン 用意するもの ポイント
①自治体の証明書 パートナーシップ証明書、宣誓書受領証など お住まいの自治体に制度があれば、こちらがいちばん手軽。発行までの日数は自治体によって違う
②公正証書 任意後見契約および合意契約に係る公正証書の正本または謄本+任意後見契約の登記事項証明書 制度が無い地域でも使える。公証役場での手続きと費用が必要で、準備に時間がかかる

②の「合意契約に係る公正証書」は、二人が共同生活を営むにあたっての約束ごとを公正証書にまとめたものです。求められる記載内容は金融機関によって細かく決められていることがあるので、公証役場に行く前に、申し込み予定の金融機関に必要な条件を聞いておくのが失敗しないコツです。作り直しは手間も費用もかかります。

また、これらの書類は仮審査ではなく本審査(正式審査)の段階で提出を求められるケースが多く、郵送される案内に書かれていないこともあります。「まだ言われていないから不要」と思い込まず、早めに確認しておきましょう。

ペアローン・収入合算・連帯債務のちがい

二人で住宅ローンを組む方法には、いくつか種類があります。言葉が似ていてつまずきやすいので、ざっくり整理しておきましょう。

借り方 どんな方法か ポイント
単独ローン 一人の収入だけで1本のローンを組む もう一人は契約に関わらない。借入額は一人分の収入で決まる
収入合算
(連帯債務型)
二人の収入を合わせて1本のローンを組む。合算した相手は「連帯債務者」 借入額を増やしやすい。フラット35では同性パートナーも連帯債務者になれ、二人でデュエットに加入できる
収入合算
(連帯保証型)
二人の収入を合わせて1本のローンを組む。合算した相手は「連帯保証人」 民間銀行で多い形。団信に入れるのは主債務者だけなので、もう一人の万一への備えは別途必要
ペアローン 二人がそれぞれ1本ずつ(合計2本)のローンを組み、お互いの連帯保証人になる それぞれが団信に入れて、住宅ローン控除も二人分。事務手数料などは2本分かかる

どの方法が向いているかは、収入や働き方、将来のライフプランによって変わります。借入額を増やしたいならペアローンや収入合算諸費用を抑えたいなら契約が1本ですむ収入合算、というのがおおまかな目安です。

なお、収入合算でも「連帯債務型」と「連帯保証型」では団信の扱いが大きく違います。健康状態が不安で団信に入れるか気になる場合は、ワイド団信の仕組みを解説した記事もあわせて読んでみてください。

住宅ローンと一緒に考えておきたい3つのこと

ローンが組めるようになったからこそ、借りたあとのことも先に話し合っておくと安心です。初めて家を買う二人がつまずきやすいのは、次の3点です。

  • 持分をどう決めるか…出したお金の割合と、登記する持分の割合を合わせておくのが基本です。大きくずれると贈与とみなされることがあるため、頭金を多く出す側がいる場合はとくに注意しましょう。自己資金をどれだけ入れるかで迷っているなら、頭金0円で住宅ローンを組む場合の注意点も参考になります。
  • 住宅ローン控除は「借りた人」が受ける…ペアローンなら二人とも対象になりますが、連帯保証型の収入合算では主債務者だけが対象です。どの借り方を選ぶかで手取りが変わります。
  • 万一のときに家がどうなるか…同性パートナーは、現行法では相続人になりません。遺言書を用意する、団信の保障内容を確認しておくなど、二人で決めておきたいことがあります。相続や税の取り扱いは個別の事情で変わるため、司法書士・税理士など専門家に相談するのが確実です。

どれも「借りる前に決めておけば穏やかに進む」話です。反対に、あとから直そうとすると手続きも費用もかさみます。

よくある質問(FAQ)

Q. 同性パートナーと二人で住宅ローンを組めますか?

A. 組めます。フラット35は2023年1月から同性パートナーを連帯債務者にでき、SBI新生銀行・みずほ銀行・auじぶん銀行・ドコモSMTBネット銀行などの民間ローンでもペアローンや収入合算の相手に指定できます。対応の有無は金融機関ごとに違うので、申し込み前の確認は必要です。

Q. パートナーシップ証明書は必ず必要ですか?

A. 必須ではありません。多くの金融機関は「自治体の証明書」か「任意後見契約および合意契約に係る公正証書+登記事項証明書」のどちらかを求めます。どちらでもよい銀行がほとんどなので、住んでいる地域に制度が無くても申し込みは可能です。

Q. 住んでいる自治体にパートナーシップ制度がありません。それでも組めますか?

A. 組めます。上の②の公正証書で代替できます。ただし公正証書に書くべき内容が金融機関ごとに指定されていることがあるため、公証役場へ行く前に銀行へ必要条件を問い合わせておくと二度手間を防げます。

Q. 同性パートナーだと金利や手数料は不利になりますか?

A. 同性パートナーであることを理由に金利や手数料が変わる商品は、公式情報で確認したかぎりありません。金利・事務手数料・団信の条件は、異性の夫婦が申し込む場合と同じ商品ルールが適用されます。

Q. 書類はいつ用意すればいいですか?

A. 提出は本審査(正式審査)の段階が中心ですが、準備は物件探しと並行して始めるのがおすすめです。公正証書は公証役場との日程調整が必要で、自治体の証明書も発行に日数がかかります。物件の契約後に慌てると、引き渡し日に間に合わないことがあります。

Q. どこに相談すればいいですか?

A. まずは利用したい金融機関のコールセンターや相談窓口へ。ネット銀行は手続きがオンライン中心ですが、SBI新生銀行のように店舗・電話での相談とネット手続きの両方に対応している銀行もあり、初めての住宅ローンで不安が大きい二人には相談しやすい選択肢です。

数年前までは難しかった「同性パートナーと一緒に家を持つ」という選択は、制度と住宅ローンの両面で着実に現実的になりました。まずは自治体の制度を調べ、気になる銀行に対応状況をたずねるところから始めてみてください。なお、取扱条件や必要書類は変更されることがあるため、申し込み前に各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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