- 公開日: 2026.07.12
- 住宅ローンQ&A
新婚で家を買うのはあり?後悔しないための注意点と使える制度

結婚を機に、「新しい生活は自分たちのマイホームでスタートさせたい」と考える方は多いですよね。その気持ち、とてもよくわかります。
ただ、これから長く続く夫婦の暮らしには、うれしい出来事もあれば、想定外の出来事もやってきます。だからこそ、将来に起こりうることを見通したうえで、慎重に判断することが大切です。
一方で、新婚(若い夫婦)だからこそ使える住宅支援制度があるのも事実です。今回は、新婚で住宅購入を検討する際の注意点を整理しつつ、後半では使える制度についてもご紹介します。
住宅購入には購入代金以外にも手続きに関わる費用と時間が必要
新婚で住宅の購入を検討するとき、はじめに注意したいのは、住宅購入には購入代金以外にも手続きに関わる費用や時間が必要になるという点です。結婚式をこれから挙げる予定なら、式の費用という大きな出費と重なることになります。
住宅をローンで購入する場合、ローン契約だけで完結するわけではありません。住宅購入時に必要となる費用については、住宅購入の初期費用をまとめた記事で詳しく解説していますが、購入申込みの際の申込証拠金、売買契約時の手付金、不動産会社へ支払う仲介手数料、国や自治体に納める印紙税・不動産取得税・登録免許税、そして毎年かかる固定資産税・都市計画税など、物件価格とは別の出費が次々と発生します。
さらに、家具や家電をそろえる費用、引越し費用も必要です。手続きのために不動産会社や役所へ出向く時間も確保しなければなりません。結婚の準備・各種手続きと重なる時期ですから、時間の面でも両立できるかを考えておく必要があります。
新婚当初は家計の収支が分かりづらくローン返済の計画がたてづらい

新婚で住宅ローンを組む場合、新婚当初は家計の収支が安定しておらず、返済計画が立てにくいというデメリットがあります。
収入は夫婦の給料を合算すればわかりますが、そこから生活費や交際費、貯蓄に回す分を差し引いて、「毎月いくらまでなら無理なくローンに回せるのか」を把握するには、ある程度の期間が必要です。二人暮らしを始めてみると、食費も光熱費も、独身時代の感覚とは変わってくるものですよね。
一般に、結婚後1〜3年ほどは収支が安定しないと考えておいたほうがよいでしょう。もし住宅ローンの返済負担が重すぎると、その後の生活が立ち行かなくなってしまいます。どうしても早めに購入したいのであれば、収支が赤字になっても1年以上は生活費が工面できる貯蓄を確保しておくこと——これを最低ラインにしてください。
補足しておくと、住宅ローン金利は現在、上昇局面にあります。日本銀行の利上げを受け、3メガバンクは2026年8月に短期プライムレート(変動金利の基準となる指標)を年2.125%から2.375%へ引き上げると発表しており、多くの銀行の変動金利は秋(10〜11月)にかけて順次見直される見込みです。「今の金利で返せるか」ではなく「金利が上がっても返せるか」で借入額を考える——これが、これから借りる方の必須の視点になります(最新の適用金利・見直し時期は各金融機関の公式サイトでご確認ください)。
将来への不確定要素が多い

新婚当初は夫婦二人の生活ですが、長い目で見れば、お子さんの誕生、会社都合の転勤、病気やケガ、失業など、予期せぬ出来事が起こる可能性があります。その場合、まとまったお金が必要になったり、住宅ローンの返済が難しくなったり、購入した住宅に住めなくなったりすることも考えられます。
子育てに関わる多額の費用が発生
お子さんを希望しているなら、子育て費用は必ず織り込んでおきましょう。生活費に加えて、教育費が長期にわたって家計にのしかかります。
文部科学省の「令和5年度 子供の学習費調査」(2026年1月公表)によれば、子ども1人あたりの学習費総額(学校教育費+給食費+学校外活動費)の年額は、公立小学校で約36万7千円、公立中学校で約54万2千円、公立高等学校(全日制)で約59万7千円。私立になると負担は跳ね上がり、私立小学校では約174万2千円にもなります。
幼稚園から高校までの15年間を積み上げると、進路によっては1,000万円を超えることも珍しくありません。さらに大学の費用は別途必要です。新婚時は夫婦だけで家計に余裕があっても、子どもが生まれて教育費が重なると、住宅ローンの返済に手が回らなくなる——これは実際によくある落とし穴です。
転勤など住宅に住めなくなる可能性
転勤のある職種の方は、将来の異動も考慮しておく必要があります。せっかく購入しても住まなくなるのでは、購入した意味が薄れてしまいます。遠方への転勤が多い方は、無理に購入する必要はないと考えます。通える範囲の転勤であれば、想定される勤務地からのアクセスのバランスがよい場所を選ぶ、という手もあります。
なお、転勤で住めなくなったからといって、住宅ローンを組んだ家を勝手に人へ貸すことはできません。住宅ローンは「自分が住む家」への融資であり、賃貸に出す場合は金融機関への相談・承諾が必要です(【フラット35】は投資用物件には利用できず、住宅金融支援機構が居住状況を定期的に確認しています。転勤等のやむを得ない事情については、取扱金融機関に相談する取扱いがあります)。
いずれにせよ、購入した物件に住まなくなったときのことも考えて、売りやすい・貸しやすい立地を選ぶことが、リスクへの一番の備えになります。
病気や失業などローンの返済が難しくなる可能性
病気や失業で返済が難しくなる事態も想定しておきましょう。だからこそ、最低でも1年間は収入がなくても生活できる程度の預貯金を、手元に残しておくことが重要です。
団体信用生命保険(団信)は、死亡・高度障害の場合に住宅ローンが完済される保険です。がん保障や全疾病保障を付けられる商品もあるため、若いうちに長期のローンを組むなら、保障内容も比較のポイントになります。
したがって、新婚で住宅を購入する場合、預貯金がほとんどない状態で無理に購入することはおすすめできません。何があっても生活と返済に困らない程度の預貯金を確保したうえで検討すべきである、というのが結論です。
新婚(若者夫婦世帯)だからこそ使える制度もある
ここまで注意点を挙げてきましたが、若い夫婦には制度面の追い風もあります。「まだ早いかも」とあきらめる前に、次の2つは知っておいてください(いずれも2026年7月時点の内容です)。
| 制度 | 新婚世帯にとってのポイント | 備考 |
|---|---|---|
| 住宅ローン減税(住宅ローン控除) | 若者夫婦世帯=夫婦のいずれかが40歳未満の世帯は、借入限度額が1,000万円上乗せされる | 令和8年度税制改正で入居期限が2030年12月31日まで5年延長。控除率0.7%・控除期間13年(新築等) |
| 【フラット35】子育てプラス | 若年夫婦世帯(夫婦のいずれかが40歳未満)は、子どもがいなくてもポイントの対象 | 1ポイントで当初5年間 年▲0.25%の金利引下げ。2026年3月の資金実行分から借換融資も対象 |
住宅ローン減税は、年末のローン残高の0.7%が所得税・住民税から控除される制度です。上乗せの対象となる「若者夫婦世帯」は夫婦のいずれかが40歳未満の世帯(判定は入居年の12月31日時点)。まさに新婚世帯の多くが当てはまります。借入限度額は住宅の省エネ性能によって異なり、省エネ基準を満たさない新築住宅は対象外となる点にも注意が必要です。
【フラット35】子育てプラスは、こどもの人数等に応じて借入金利を一定期間引き下げる制度で、子どもがいない若年夫婦世帯も対象になります。ただし予算金額があり、達する見込みになると受付が終了します。
どちらも要件が細かく、住宅の性能や取得時期によって扱いが変わります。必ず国土交通省・住宅金融支援機構の公式サイトや、取扱金融機関で最新の内容をご確認ください。
夫婦で借りる?ひとりで借りる?借り方の選択肢
共働きの新婚世帯が必ずぶつかるのが、「ローンを夫婦2人で組むか、1人で組むか」という問題です。主な選択肢は3つあります。
- 単独ローン…夫婦のどちらか1人が借りる。借入額は抑えられるが、手続きも費用もシンプル。
- 収入合算(連帯保証・連帯債務)…2人の収入を合わせて審査を受ける。借入可能額が増える。
- ペアローン…夫婦がそれぞれ住宅ローンを契約する。住宅ローン減税を2人分使える一方、事務手数料などの諸費用も2本分かかる。
借入可能額が増えるのは大きな魅力ですが、注意点もあります。2人の収入を前提に借りると、出産・育児で一方の収入が一時的に下がったときに返済が苦しくなります。育児休業給付は受け取れますが、給与の満額ではありません。また、万一離婚することになった場合、共有名義の住宅とペアローンは整理がとても難しいという現実もあります。
「借りられる額」ではなく「一方の収入だけでも当面しのげる額」を意識する。新婚世帯にとって、これはとても実践的な物差しになります。
よくある質問(FAQ)
Q. 結婚してすぐでも住宅ローンの審査に通りますか?
婚姻期間の長さそのものが審査項目になることは通常ありません。金融機関が見るのは、勤続年数・年収・他の借入れ・信用情報・健康状態などです。ただし、結婚を機に転職したばかりだと、勤続年数が短く不利になる場合があります。転職直後の申込みは、慎重に時期を検討しましょう。
Q. 子どもができてから買うほうがいいですか?
一概には言えません。子どもが生まれてからのほうが「必要な広さ・立地(保育園や学校)」がはっきりする一方、若者夫婦世帯の優遇(住宅ローン減税の上乗せ・フラット35子育てプラス)は年齢要件があるため、40歳が近い方は早めの検討にメリットがあります。家計の安定と制度のタイミング、両方を見て判断するのがよいでしょう。
Q. 結婚式と住宅購入、どちらを優先すべきですか?
どちらも大きな出費なので、同じ年に両方をこなすと手元資金が一気に減ります。住宅購入では、売買契約時に手付金(物件価格の5〜10%程度)を現金で用意する必要があります。式の費用と手付金が重なる場合は、時期をずらすことも真剣に検討してください。
Q. 賃貸のままだと家賃がもったいないのでは?
「家賃はもったいない」という声はよく聞きますが、購入にも税金・保険料・修繕費・管理費といった持ち家ならではのコストがかかります。また、賃貸にはライフスタイルの変化に合わせて住み替えられる自由があります。金額だけでなく、「これから5〜10年の暮らしがどうなるか」という視点で比べてみてください。
まとめ:焦らず、でも制度は逃さずに
新婚での住宅購入は、「絶対にダメ」でも「早いほど得」でもありません。大切なのは次の3点です。
- 物件価格以外にかかる諸費用と、契約時に必要な現金を把握する
- 収入が一時的に途絶えても1年は暮らせる預貯金を残す
- 若者夫婦世帯向けの優遇制度(住宅ローン減税の上乗せ・フラット35子育てプラス)を確認する
そのうえで、「一方の収入だけでも当面返せる額」に借入を抑えられるなら、新婚での購入は十分に現実的な選択肢です。金利上昇局面だからこそ、余裕を持った計画を立てていきましょう。制度の要件・金利・手数料は変更されることがあります。最新情報は各金融機関および公的機関の公式サイトで必ずご確認ください。

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