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契約日に行けない!住宅売買の代理人契約とオンライン契約の使い方

気に入った物件が見つかって、住宅ローンの審査も通ったら契約へと進みます。

ところが数日後に契約を控えたある日、突然の出張や急用など、どうしても外せない事情が発生してしまい契約日とぶつかってしまったらどうしましょう。

さらに、その物件が掘り出し物で他にも買いたい人がいるため、売主は契約日をズラすくらいなら早期に契約可能な他の買主で契約したい意向だとしたら・・・。

結論からお伝えすると、打つ手はあります。「代理人を立てて契約する」という昔からの方法に加えて、いまはオンラインで重要事項説明を受け、契約書類を電子で受け取るという選択肢も制度として整っています。順番に見ていきましょう。

まず確認:契約日に行けないときの3つの選択肢

慌てて決めてしまう前に、選択肢を整理しておきましょう。

選択肢 どんなときに向くか 注意点
①契約日をずらす 売主・仲介会社の了解が得られるとき 人気物件では応じてもらえないことがある
②代理人を立てる 本人がどうしても同席できないとき 委任状と印鑑証明書などの書類が必要
③オンラインで対応する 移動はできないが本人が時間を確保できるとき 仲介会社が対応しているか、事前の承諾手続きが必要

まずは①をお願いしてみるのが基本です。それが難しい場合に②③を検討します。いずれにしても、事情が分かった時点でできるだけ早く仲介会社に相談することが何より大切です。書類の準備や社内手続きに数日かかることもあるためです。

ご主人が契約者であれば奥様が「代理人」となって契約することができる

不動産の契約ですので、できる限り契約者本人が立ち会うことが理想です。

しかし、前述のような急用が発生し、売主の融通も得られないとなれば、「代理人」を立てて契約する方法があり、民法上でも認められています。

代理人になるために特別な資格は必要ありません。ご両親やご兄弟、ご友人でも構いませんが、契約者本人と知識・情報を共有できる方が望ましいでしょうから、通常は奥様(配偶者)とされるケースがほとんどです。逆に、判断能力の点で本人の意思を正確に伝えられない方は、実務上ふさわしくありません(成年後見制度で保護を受けている方などがこれにあたります)。

また、ご主人と奥様の共有名義にされる場合は、ご主人の持分について奥様が代理人となります。

用語ミニ解説:「代理」ってどういうこと?

代理とは、本人に代わって契約などの法律行為を行い、その効果が本人に及ぶ仕組みのことです(民法に定めがあります)。つまり奥様が代理人として署名・押印した売買契約は、ご主人本人が契約したものとして有効に成立します。だからこそ「本当に本人から任されているのか」を書面で示す必要があるのです。

なお、代理人が契約するといっても、買主(契約者本人)としての責任や支払義務は本人が負います。代理人が代わりに住宅ローンを返すわけではありません。

代理人による契約を行う場合、必要となる書類が発生する

代理人契約とする場合、代理人である旨を口頭で告げるだけでは不十分と言えます。代理人であるというしっかりした証明が必要となってきます。

仮に、ご主人が契約者で奥様が代理人となる場合では下記の書類が必要となります。
・ご主人から奥様への委任状(ご主人の署名・実印を押印)
・ご主人の印鑑証明書

以上の2点ですが、ご主人と奥様の身分証明書(運転免許証)の写しも添付すれば完璧です。ちなみに、委任状に記載するご主人の立場は「委任者」で、奥様は「受任者」となります。

委任状で確認しておきたいポイント

委任状は、仲介会社が用意した書式を使うのが確実です。作成にあたっては次の点を確認しておきましょう。

委任する内容が具体的に書かれているか(対象物件の所在・売買契約の締結・手付金の支払いなど、任せる行為の範囲)
実印で押印し、印鑑証明書と印影が一致しているか
印鑑証明書の有効期限(発行から3か月以内などと指定されることが多いので、取得のタイミングに注意)
・記載内容に空欄がないか(白紙委任は避ける)

また、売主側・仲介会社側にも社内ルールがあります。「代理人契約を受け付ける条件」「必要書類」は会社によって異なるため、必ず事前に確認してください。

いまは「オンラインで契約」という選択肢もある

この記事を最初に公開した当時は、代理人が契約に出席し、ご主人がテレビ電話で「間接的に」立ち会うという工夫が新鮮な事例でした。実際に、読み上げた契約書類の内容についてスマホのテレビ電話を通じて質疑応答を行い、契約後の行き違いや伝え聞きの間違いを防いだケースがあります。当時は「ちょっとしたweb会議の様相」でしたが、その後、制度そのものがオンライン対応に追いつきました。

IT重説(オンラインでの重要事項説明)

不動産の売買では、契約の前に宅地建物取引士から「重要事項説明」を受けます。これをテレビ会議などのITを活用して行う「IT重説」が認められています。国土交通省は事業者向けに実施マニュアルを公開しており、消費者向けの案内ページも用意しています。出張先や自宅から説明を受けられるため、日程の都合がつけやすくなります。

契約書類の電子化

さらに、2022年(令和4年)5月18日から、宅地建物取引業の書面を電子化できるようになりました。国土交通省の改正により、重要事項説明書や契約締結時の書面(37条書面)などを電磁的方法で提供できるようになり、宅地建物取引士の押印義務も廃止されています。

ただし、次の点は押さえておいてください。

電子で受け取るには、事前に相手方(買主)の承諾が必要です。国土交通省は承諾の取得例も公開しています。
対応しているかどうかは仲介会社によって異なります。制度上できることと、その会社が実際に運用していることは別問題です。
・電子で受け取る場合は、印刷して書面にできる形式か、内容が改変されていないことを確認できる方法かなど、一定の要件が定められています。

つまり「出張で行けないから代理人しかない」とは限らないのが現在の状況です。仲介会社に「IT重説と書面の電子化に対応していますか」と聞いてみる価値は十分にあります。

住宅ローン側の手続きもオンライン化が進んでいる

売買契約とは別に、金融機関との金銭消費貸借契約(住宅ローンの契約)も必要です。こちらも電子契約に対応する金融機関が増えており、たとえば三菱UFJ銀行は住宅ローンの電子申込・電子契約について公式サイトで案内しています。

とはいえ、融資の実行日(決済日)は売主への支払いと同じ日に設定されるのが通常で、日程を動かしにくい手続きです。契約日だけでなく決済日も自分が動けるかどうかを早めに確認し、難しそうなら金融機関にも相談しておきましょう。

代理人契約の進め方(当日までの流れ)

代理人を立てる場合の段取りを、時間の流れで整理します。

1. すぐ仲介会社に連絡する…事情を伝え、日程変更・代理人契約・オンライン対応のどれが可能かを確認します。
2. 売主側の了解を得る…代理人契約を受け入れてもらえるか、仲介会社を通じて確認します。
3. 誰を代理人にするか決める…契約内容を理解し、本人と情報を共有できる方(多くは配偶者)を選びます。
4. 書類をそろえる…委任状(実印)、印鑑証明書、双方の本人確認書類。印鑑証明書は市区町村の窓口やコンビニ交付で取得します。
5. 契約内容を本人が事前に確認する…重要事項説明書・契約書の案(ドラフト)を先に受け取り、疑問点を洗い出しておきます。ここが最も重要です。
6. 当日の連絡手段を決めておく…その場で判断が必要になったとき、本人にすぐ連絡できるようにしておきます(電話・ビデオ通話など)。

よくある質問

Q. 代理人契約でも、住宅ローンの契約まで代わりにできますか?

売買契約と金融機関との契約は別の手続きです。金融機関の契約は原則として契約者本人の手続きが必要で、代理を認めるかどうかは金融機関の取扱いによって異なります。早めに借入先へ確認してください。

Q. 委任状に書く内容は自分で考えるのですか?

多くの場合、仲介会社が書式を用意しています。任せる行為の範囲(売買契約の締結、手付金の交付など)を具体的に書くのが基本です。白紙のまま渡す「白紙委任」は避けましょう。

Q. 印鑑証明書はどこで取れますか。有効期限はありますか?

住民登録のある市区町村の窓口で取得でき、マイナンバーカードがあればコンビニでも取得できます。提出先から「発行後3か月以内」などの条件を指定されることが多いので、取得のタイミングを確認してから動きましょう。

Q. 契約後に「聞いていた話と違う」となったらどうなりますか?

代理人が結んだ契約も本人の契約として有効に成立するため、あとから「代理人が勝手に決めた」という主張は通りにくくなります。だからこそ、事前に重要事項説明書と契約書の案を本人が読み込んでおくことが欠かせません。不明点は契約前に必ず解消してください。

Q. IT重説や電子契約は、どの物件でも使えますか?

制度としては可能ですが、実際に対応しているかは仲介会社ごとに異なります。また電子で書面を受け取るには事前の承諾が必要です。使えるかどうかは早い段階で確認しておくのが安全です。

まとめ:慌てず、まず仲介会社に相談する

契約日に予定が入ってしまっても、道は一つではありません。

・まずは日程変更をお願いする。難しければ代理人契約かオンライン対応を検討する
・代理人契約には委任状(実印)と印鑑証明書が必要。書式や条件は仲介会社に確認する
・2022年5月18日以降は重要事項説明書や契約書面の電子化が可能で、IT重説とあわせて使えば移動せずに手続きを進められる場合がある(対応の有無は会社ごとに異なる)
・売買契約だけでなく、住宅ローンの契約と融資実行(決済)日の予定も早めに押さえておく

なお、出張や転勤が多い方は、住宅ローンの相談先を選ぶ段階から「店舗でも相談でき、手続きはオンラインでも進められるか」を確認しておくと後が楽になります。たとえばSBI新生銀行は、店舗での相談とオンラインでの手続きの両方に対応しています。こうした点も含めて、無理なく手続きを進められる相手を選んでおくと安心です。

手続きの詳細やその会社の取扱いは個別の事情によって変わります。実際の進め方は、必ず仲介会社・金融機関にご確認ください。

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