- 公開日: 2026.07.28
- 住宅ローンの注意点
住宅ローンの仮審査が通っても本審査に落ちる理由と対策

住宅の購入は、多くの場合まず住宅ローンの仮審査(事前審査)を申し込むところから始まります。
そして「審査が通りました」という通知が届いたら、購入の契約を結んだあとに、あらためて本審査を申し込むことになります。
でも、ここで不安になりませんか。「もし本審査が通らなかったら、家を買えなくなったうえに責任まで取らされるの?」——この記事では、その疑問にお答えしながら、仮審査と本審査の違い、落ちてしまう理由、そして落ちないためにできることを、はじめての方にもわかるように整理します。
仮審査が通っても本審査が通るとは限らない
住宅ローンの仮審査では、申込者の返済能力や過去のローン事故の有無といった「信用」と、その物件に融資するだけの「担保」があるかどうかが確認されます。
本審査も見る項目は同じような内容ですが、より深く、より広い範囲で調べるため、仮審査を通過していても否決になるケースが出てきます。
理由のひとつは、仮審査の時点では申告ベースの情報が多いことです。年収や勤務先、他の借入状況などを自己申告で入力して短時間で結果が出るのが仮審査。一方の本審査では、源泉徴収票や課税証明書、物件の契約書類などを提出し、書類で裏づけを取りながら、保証会社や団体信用生命保険(団信)の引受も含めて判断されます。
もうひとつは、申し込む側の「本気度」の違いです。仮審査の段階では、まだその物件を買うと決まっていないことも多く、なかにはマイホーム購入に先立って「試しに」仮審査をかけてみる方もいます。本審査は購入契約を結んだあとに申し込むため、ほぼ確実に「借りる意思を持って」臨むことになります。金融機関側の見方が変わってくるのも自然なことです。
つまり、仮審査はあくまで「入り口の目安」。「通ったからもう大丈夫」と考えず、本審査までは家計の状態を変えない——これが最大のコツです。
仮審査と本審査は何が違うのか
言葉が似ているので混乱しやすいところです。違いを整理しておきましょう。
| 比較の観点 | 仮審査(事前審査) | 本審査 |
|---|---|---|
| 申し込むタイミング | 物件を探している段階・購入申込みの前後 | 売買契約を結んだあと |
| 主に見られるもの | 年収・勤務先・勤続年数・他の借入・信用情報 | 左記に加えて提出書類・物件の詳細・団信の告知 |
| 提出する書類 | 本人確認書類など少なめ(申告中心) | 源泉徴収票・課税証明書・売買契約書・登記関係など多い |
| 審査する人 | 金融機関(保証会社が関わることも) | 金融機関+保証会社(+保険会社の団信引受) |
| 結果が出るまで | おおむね数日程度(ネット申込は即日〜数日のことも) | おおむね1〜2週間程度 |
| 位置づけ | 「だいたい借りられそうか」の目安 | 正式な融資の可否の決定 |
※期間はあくまで一般的な目安で、金融機関・申込内容・時期によって異なります。実際の日数は各金融機関にご確認ください。
なお、すべての銀行に仮審査があるわけではありません。たとえばSBI新生銀行は原則として事前審査を行わず、本審査のみで完結するという進め方をとっています。これは不便というより、二段構えの手続きを一本化して進められる特徴と考えるとよいでしょう。ただしその場合、最初から必要書類を一式そろえる必要があるため、他行と併願するなら他行側の仮審査を先に済ませておくなど、段取りを考えておくと安心です。
本審査で落ちてしまう主な理由
「仮審査は通ったのに、なぜ?」となりやすいのは、次のようなケースです。
- 申告内容と書類の内容が食い違った…年収や他の借入額を実際より良く(少なく)申告していた場合、書類で判明します。仮審査の入力は正確にが鉄則です。
- 仮審査のあとに新しい借入をした…車のローン、カードの分割払い、スマホ端末の分割、カードローンの利用など。返済負担率が変わり、借入可能額が下がります。
- 仮審査のあとに転職した…勤続年数がリセットされ、収入の安定性の評価が変わります。
- 支払いの遅れが記録された…クレジットカードや携帯端末代金のうっかり延滞も、信用情報に残ります。
- 団信の審査(告知)で引き受けてもらえなかった…健康状態が理由の場合です。加入条件を緩めた「ワイド団信」を扱う金融機関もあります。
- 物件の担保評価が想定より低かった…再建築不可、接道条件、建ぺい率・容積率オーバー、既存不適格などが理由になることがあります。
このうち上の4つは、自分でコントロールできることです。「仮審査から融資実行までは、新しい借入をしない・転職しない・支払いを遅らせない」——この3つを守るだけで、リスクは大きく下がります。
本審査が通らなかったら買主の責任になるのか
ここが多くの方の不安の中心だと思います。結論からいえば、原則として買主が責任を問われることにはなりません。
住宅ローンの審査基準を満たすかどうかは、最終的には金融機関側の判断です。同じ人でも、A行は融資不可、B行は「既存の借入を完済することを条件に融資」、C行は「配偶者などの収入合算者・連帯保証人を立てれば融資」と、判断が分かれることは珍しくありません。
つまり、「契約の当事者である買主」の事情ではなく、「購入資金の調達先である金融機関という第三者」の事情で購入できないわけですから、買主に落ち度があるとはいえないのです。
ただし、本審査のあとに転職したり、新たに借金をしたりして否決された場合は話が別です。金銭消費貸借契約(=住宅ローンを借りる契約)の直前に行われる最終確認で否決される可能性が高く、「買主側の落ち度」とみなされて責任を問われることがあります。この点は、次に説明するローン特約の適用可否にも直結します。
ローン特約(融資利用の特約)の正しい理解
不動産の売買契約には、「決められた期日までに住宅ローンの承認が得られなかった場合は、契約を白紙解除できる」という取り決めが付けられるのが一般的です。これをローン特約(融資利用の特約)と呼びます。白紙解除であれば、支払った手付金は無利息で返還されるのが通常です。
ここで、よくある誤解を1つ正しておきます。ローン特約は「法律で契約書への記載が義務づけられているもの」ではありません。正しくは、宅地建物取引業法第35条第1項第12号により、宅建業者は重要事項説明で「金銭の貸借のあっせんの内容」と「あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置」を説明する義務がある——という仕組みです。実務ではこれを受けて、売買契約書に融資利用の特約として明記されるのが通例になっています。
だからこそ、買主自身が中身を確認することが大切です。契約前に、少なくとも次の3点はチェックしてください。
| 確認する項目 | 見るポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 特約の有無 | 売買契約書に融資利用の特約が入っているか | 入っていなければ、否決でも解除できない可能性があります |
| ローン承認期日 | いつまでに承認を得る必要があるか | 本審査に要する期間より短いと間に合いません |
| 対象となる金融機関・金額 | どの金融機関のいくらの融資が対象か | 特約に書かれていない銀行での否決は対象外になることがあります |
前述のとおり、本審査後の転職・新規借入をしていない状態で否決された場合は、原則として買主の責任は問われません。逆に言えば、自分で状況を悪化させないことが、白紙解除を確実にするうえでも大事だということです。
「お試しの仮審査」は何回まで大丈夫?
「いくつかの銀行に出して比べたい」という方は多いと思います。複数行に申し込むこと自体は悪いことではありません。実際、金利や団信の条件は銀行ごとに違うので、比較検討は大切です。
ただし、知っておきたい仕組みがあります。ローンやクレジットの申し込みをすると、金融機関が信用情報機関に照会した事実が「申込情報」として記録されます。指定信用情報機関のCICでは、この申込情報の保有期間は照会日より6ヶ月間と公表されています。
そのため、短期間に何件も申し込むと「よほど資金繰りに困っているのでは」と受け止められ、審査で不利に働くことがあります(いわゆる「申込ブラック」と呼ばれる状態です)。
一方で、「ブラックリスト」という名簿が存在するわけではありません。CICも公式に「当社が保有する信用情報に、ブラックリストという名のリストはありません」と説明しています。実際にあるのは、延滞や契約内容などの客観的な記録だけです。過度に怖がる必要はありませんが、本命を絞って、必要な数だけ申し込むのが賢い進め方といえます。
よくある質問
Q. 仮審査に落ちたら、もうその銀行では借りられませんか?
A. 状況が変われば再挑戦できることもあります。ただし、否決の理由(他の借入、勤続年数、信用情報の記録など)が解消していないまま短期間で再申込みしても、結果は変わりにくいのが実情です。まず理由の心当たりを整理し、条件を改善してからにしましょう。
Q. 仮審査と本審査は、別の銀行にしてもいいですか?
A. 手続き上は可能ですが、ローン特約で対象となる金融機関が指定されている場合があります。売買契約書の記載を必ず確認し、不動産会社にも相談してください。
Q. 審査中にクレジットカードを作るのはダメですか?
A. 避けたほうが無難です。カードの新規申込みも信用情報に申込情報として記録されますし、キャッシング枠が付くと借入枠として見られることがあります。融資実行までは新しい契約を控えるのが安全です。
Q. 転職が決まっているのですが、いつ伝えればよいですか?
A. できるだけ早く、申し込む前に金融機関へ相談してください。黙って進めて後から判明すると、否決だけでなく信頼の問題にもなります。転職後すぐでも申し込める金融機関はありますので、あきらめる前に相談を。
Q. 団信に入れそうにない場合はどうすればいいですか?
A. 加入条件を緩和したワイド団信を扱う金融機関に相談する、告知内容を正確に伝えたうえで複数行に相談する、といった方法があります。告知は絶対に正確に行ってください(虚偽告知は保険金が支払われない原因になります)。
Q. 事前審査がない銀行だと不利ですか?
A. 不利ということはありません。手続きが一本化されるぶん、書類をまとめて用意する必要があるだけです。併願する場合は、仮審査のある銀行を先に進めておくと全体の段取りがラクになります。
まとめると、仮審査は「目安」、本審査が「本番」です。仮審査を通過しても油断せず、融資実行の日まで、新しい借入をしない・転職しない・支払いを遅らせない——この3つを守れば、本審査で落ちるリスクは大きく減らせます。
そして万一否決された場合も、ローン特約が正しく付いていて、自分の落ち度がなければ、白紙解除で手付金は返ってくるのが原則です。契約前に、特約の有無・承認期日・対象の金融機関を必ず確認しておきましょう。
借入先を検討するときは、金利だけでなく「手続きの進め方」も比べてみると選びやすくなります。たとえばSBI新生銀行は、前述のとおり原則として仮審査がなく本審査で完結し、保証料0円・一部繰上返済手数料0円(1円から何度でも)・一般団信の上乗せ0円と費用の構成もシンプルです(融資事務手数料は借入金額×2.20%(税込)の定率型)。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているので、はじめての方が段取りを相談しながら進めたい場合にも検討しやすい選択肢です。
審査基準・必要書類・手続きの流れは金融機関によって異なり、変更されることもあります。最新の内容は必ず各金融機関の公式サイト・窓口でご確認ください。

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