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住宅ローンに一度落ちた人が再挑戦して通った理由と進め方

「一度、住宅ローンの審査に落ちてしまった」——その経験があると、次の一歩がなかなか踏み出せないものです。 でも、否決には必ず理由があります。理由が分かれば、対処できることも少なくありません。 まず、過去にマイホームのご相談を受けたYさんの実例をご紹介します。 「新築建売住宅の購入を検討しています。 不動産会社の方から、住宅ローンの仮審査をした方がいいと言われました。 その審査に関してちょっと迷っています。 2年前に、建売住宅を購入しようと、2つの不動産会社を通じて全部で6つの銀行に住宅ローンの仮審査を掛けたのですが、カードローンを借りていることを理由に満額の借入れができなかったり、否決されたりして断念しました。 現在はカードローンを完済しており、年収も多少は上がりましたが、不安です。大丈夫でしょうか?」 住宅ローンの審査に不安を抱える相談者のイメージ という内容でした。

借りられなかった本当の理由を調べてみる

結論から言うと、Yさんはローン審査が通って購入されました。 ご本人はカードローンの借入が理由だと思っていましたが、本当は少し違う理由だったのです。 Yさんに承諾を頂いた上で、現在に至る借入状況を聞き取りしたところ、借りたのは当該カードローンと車のローンだけでした。 ところが、所持しているクレジットカードの数が夫婦合わせて7社あり、そのうち3社からキャッシングした過去があったのです。 しかも、購入を検討した2年前は転職してまだ5ヶ月で、カード、車の両方の借入が残っていました。 Yさんには申し訳ないのですが、当時のYさんの状況では銀行にとって融資の対象にはなり得ません。 大切なのは、「落ちた」という結果ではなく「なぜ落ちたのか」を分解することです。Yさんのケースは、①借入件数と枠の多さ、②勤続年数の短さ、③短期間に集中した申し込み——が重なっていました。ひとつずつなら致命的でなくても、重なると印象は大きく変わります。

銀行は住宅ローンの審査で何を見ているのか

「審査基準」は各金融機関の非公表事項ですが、どの項目を見ているかについては国が毎年調査を公表しています。国土交通省「令和7年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」(令和8年6月公表)によれば、9割以上の金融機関が審査項目としているのは次のとおりです。
住宅ローンの審査項目として9割以上の金融機関が挙げた項目の割合を示す横棒グラフ
年収だけでなく、完済時年齢・健康状態・勤続年数といった「返し続けられるか」を見る項目も9割超の金融機関が審査項目としています。
年収だけで決まるわけではなく、完済時年齢・健康状態・勤続年数といった「返し続けられるか」を測る項目が同じくらい重視されていることが分かります。Yさんの「転職して5ヶ月」がネックになったのも、この勤続年数の項目に当たります。 なお健康状態が上位に来るのは、多くの住宅ローンが団体信用生命保険(団信)への加入を条件にしているためです。団信に加入できるかどうかが、そのまま借入の可否に直結します。

たとえ仮審査であっても、多すぎるのは問題

仮審査では、専門の情報機関において個人の信用情報(過去の金融事故の有無など)を調査しますが、同時に「調査した履歴(申し込みの記録)」も見られるのです。 信用情報の調査というものは頻繁に行われるものではないはずなのに、一時期に何件も調査した履歴が残れば、銀行側からは「いくつもの銀行で断られた人かもしれない」と映ります。 この申し込みの記録は、指定信用情報機関のCICでは照会日から6か月間保有されます(保有期間は情報の種類や機関によって異なります)。つまり、やみくもに何件も申し込むと、その履歴が半年ほど残り続けるということです。 ですから、「どこかで引っ掛かってくれよ」と多くの銀行に仮審査を掛けるのは、むしろ逆効果になります。仮審査は必要最低限(目安は2〜3件)にとどめ、1件ずつ丁寧に——これが遠回りに見えていちばんの近道です。 ちなみに、金融機関のなかにはSBI新生銀行のように、事前審査(仮審査)を必須とせず本審査のみで手続きが完結する形をとっているところもあります。何度も同じ書類を用意する手間が省ける一方、申し込みの進め方は各行で異なりますので、手続きの流れは申込前に公式サイトで確認しておくと安心です。

ローンの障害をひとつひとつ丁寧に処理していく

Yさんの対処法は、まず使っていないクレジットカードを整理することでした。 カードは使っていなくても、キャッシング枠という「いつでも借りられる余力」が残ります。枚数が多ければ、その余力の合計も大きくなります。実際にどこまで評価に反映するかは金融機関ごとに異なり基準は公表されていませんが、使わないカードを減らしておくことは「これから借入を増やすつもりはありません」という姿勢を示しやすくなります。 (あわせて「住宅ローンが通りやすい人とは?」もご覧ください) そして、過去に購入できなかった経緯をレポートにまとめてYさんと不動産会社が署名・押印し、銀行の担当者に正直に説明し、指定された資料も迅速に用意しました。 その後、何度か質疑応答があり、審査を申込んでから10日後に晴れて満額融資可能の結果を得ることができたのです。 その時は、思わず銀行員と握手したほどです。そして、Yさんの深々と頭を下げられていた姿が心に残っています。 隠すのではなく、事情を整理して先に伝える。これが結果的にいちばん効きました。銀行が最も警戒するのは「後から出てくる話」だからです。

再チャレンジの前にやっておきたい5つのこと

Yさんの実例を、どなたでも使える手順に整理すると次のようになります。
  • 1. 自分の信用情報を確認する…CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センター(KSC)は、いずれも本人による開示請求を受け付けています。推測で悩むより、事実を見るほうが早いです(手数料・方法は各機関の公式サイトで確認してください)。
  • 2. 借入と枠を減らす…カードローン・車のローンは可能な範囲で完済し、使っていないカードは整理します。
  • 3. 勤続年数と収入の安定を待てるか考える…転職直後であれば、数か月〜1年待つだけで見え方が変わることがあります。急ぎたい気持ちは分かりますが、時間が味方になる項目です。
  • 4. 申し込みは絞る…仮審査は2〜3件まで。前回の否決から半年以上あけると、申し込みの記録も落ち着きます。
  • 5. 事情は先に、書面で説明する…過去の経緯・現在の状況・改善したことをA4一枚にまとめ、担当者へ渡します。不動産会社にも協力してもらいましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. 一度否決された銀行に、もう一度申し込んでもいいのですか?
A. 申し込み自体は可能です。ただし状況が変わっていないまま再度申し込んでも結果は変わりにくいのが実情です。借入の整理・勤続年数・年収など、前回から何が変わったのかを説明できる状態にしてから臨みましょう。

Q. 前回の否決から、どれくらい期間をあけるべきですか?
A. 明確な決まりはありませんが、申し込みの記録がCICで照会日から6か月間保有されることを踏まえ、半年程度をひとつの目安に考える方が多いです。それ以上に大切なのは「否決の理由が解消されているか」です。

Q. カードローンを完済すれば、記録もすぐ消えますか?
A. いいえ。完済しても契約や返済の記録は一定期間残ります(CICでは契約期間中および契約終了後5年以内)。ただし「完済済み」という事実そのものは前向きな材料です。残っていることを前提に、説明できるようにしておきましょう。

Q. 転職したばかりだと、やはり不利ですか?
A. 勤続年数は9割以上の金融機関が審査項目としています(国土交通省 令和7年度調査)。ただし同業種でのキャリアアップや、年収が上がる転職は説明次第で評価が変わることもあります。金融機関によって考え方が異なる項目でもあるため、事前に相談してみる価値はあります。

Q. 家族に内緒で、まず自分の状況だけ知ることはできますか?
A. 信用情報の開示は本人からの請求で行えます。夫婦で収入合算やペアローンを検討している場合は、それぞれが自分の情報を確認しておくと、思わぬところでつまずかずに済みます。

まとめ

たとえ住宅ローンの審査が難しいと思われる場合でも、「困難な理由」をしっかりと把握し、「仮審査は必要最低限の数」に抑え、「障害をひとつひとつ丁寧に処理していく」ことで、光明が見えてくることもあります。 否決は「あなたには無理です」という宣告ではなく、「いまの条件では難しい」という時点の判断にすぎません。条件は変えられます。Yさんのように、事実を整理して正直に伝えることから始めてみてください。

※審査の基準・必要書類・手続きの流れは金融機関によって異なり、変更されることがあります。最新の内容は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

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