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不動産広告の「仲介」表記の意味|その1社でしか買えないは誤解です

売りマンションや一戸建ての広告・看板などには、不動産会社の連絡先が必ず載っています。

その物件を見たいとなればそこへ問い合わせることになるわけですが、この段階で早合点してしまいがちなことが2つあります。「広告を出している会社=その家の持ち主」「その会社でしか買えない」——どちらも、実はそうとは限りません。

住宅ローンを検討し始めたばかりの方にとって、ここは意外と大事なポイントです。誰から買うか(取引態様)によって、仲介手数料がかかるかどうかや、諸費用の総額まで変わってくるからです。順番に見ていきましょう。

早合点その1〜広告を出している不動産会社が所有者なの?

一般的に、売りに出されているものの多くは仲介物件です。

仲介とは、不動産会社が物件の所有者(売主)からの依頼を受けて販売活動を行う形態で、不動産会社はいわば仲人のような立場になります。

新聞折込みやポスティングなどのチラシ広告をよく見ると、隅のほうに「取引態様:仲介(または媒介)」という記載が見つかるはずです。これは業者が気を利かせて書いているのではなく、宅地建物取引業法で、広告をするときと注文を受けたときに「自ら売主・代理・媒介(仲介)」のどれにあたるかを明示することが義務づけられているからです。

看板には詳細まで書かれていないことも多く、問い合わせてみなければわからないケースもありますが、売主自身が売却看板を出すのは稀でしょう。市場に売り出されている物件は、仲介物件が大多数を占めます。

取引態様の3つの違いを整理すると、次のようになります。

取引態様 広告主の立場 買主から見たポイント
売主 その不動産会社自身が持ち主(新築建売や買取再販など) 仲介する会社がいないため、原則として仲介手数料はかからない
代理 売主から代理権を与えられて契約まで行う 手数料の扱いは案件ごとに異なるため、事前に必ず確認する
媒介(仲介) 売主と買主の間を取り持つ立場 成約時に仲介手数料が必要。中古住宅の多くはこの形

仲介手数料がかかるかどうかは、住宅ローンの資金計画に直結します。手数料は原則として現金で用意する諸費用のひとつですから、「同じ価格帯の物件でも、取引態様によって手元から出ていく現金が変わる」ということは、物件探しの早い段階で意識しておきたいところです。

早合点その2〜広告を出している不動産会社でしか買えないの?

売主が不動産会社に販売を依頼するときに結ぶのが媒介契約で、これには一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3つの形態があります。

ここでよくある誤解が、「専任・専属専任=その1社でしか買えない」というものです。正確には、1社に絞られるのは「売主が販売を依頼できる会社」であって、買う側の窓口が1社に限られるわけではありません。

というのも、専任媒介・専属専任媒介を結んだ不動産会社には、レインズ(指定流通機構)という不動産会社専用のデータベースに物件を登録する義務があるからです。登録されれば全国の不動産会社がその物件を見られるようになり、別の会社経由でも紹介・購入ができます。つまり「広告を出している会社にしか話を聞けない」ということは、基本的にありません

3つの媒介契約の違いを、売主側のルールとしてまとめると次のとおりです。

媒介契約の種類 依頼できる会社の数 レインズへの登録義務
一般媒介 複数社に同時に依頼できる 義務なし(任意で登録は可能)
専任媒介 1社のみ(売主が自分で買主を見つけるのは可) 契約日の翌日から7営業日以内
専属専任媒介 1社のみ(自分で買主を見つけて直接取引するのも不可) 契約日の翌日から5営業日以内

専任・専属専任には、このほかに売主への活動報告の義務(専任は2週間に1回以上、専属専任は1週間に1回以上)や、契約期間は3か月以内といったルールもあります。売る側を守るための仕組みが、結果として買う側の情報アクセスも支えている、という構図です。

広告面では「仲介」「媒介」とだけ書かれていて、専任なのか一般なのかは読み取れないことがほとんどです。業界の慣習として専任・専属専任はその旨を記載することが多いようですが、気になる物件があれば、遠慮せず「取引態様と媒介契約の種類」を聞いてしまうのが確実です。

「1社だけの物件ではない」とわかると、何が変わるの?

いちばん大きいのは、相談する不動産会社を自分で選べるということです。

住宅の購入は、物件そのものだけでなく、住宅ローンの手続き・引き渡しまでの段取り・引き渡し後のフォローまで含めた長いお付き合いになります。説明が丁寧か、こちらの質問にきちんと答えてくれるか、住宅ローンの相談に強いか——そうした相性で選べる余地があるのは、買う側にとって大きなメリットです。

また、2025年1月からはレインズに物件の取引状況(「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」)を登録することが義務づけられました。これは、他社からの問い合わせを不当に断って自社だけで買主を探す、いわゆる「囲い込み」を防ぐための制度改正です。あわせて、売主に交付される登録証明書には二次元コードが記載され、売主自身が取引状況を確認できるようになりました。情報が特定の1社に囲われにくい方向へ、制度は着実に動いています。

なお、「一般媒介のほうが値引き交渉に応じてもらいやすい」といった話を耳にすることがありますが、媒介契約の種類だけで価格交渉のしやすさが決まるわけではありません。売り出してからの経過期間、周辺の相場、売主が急いでいるかどうかなど、条件面を左右する要素はほかにもたくさんあります。媒介契約の種類は「情報がどこまで広がっているか」を知る手がかりと考え、交渉の見通しは物件ごとに担当者と確認するのが現実的です。

住宅ローンを考えるうえで、ここだけは押さえておきたい3つ

  1. 取引態様は必ず確認する……「売主」なら仲介手数料は原則不要、「媒介」なら必要。用意する現金が変わるため、資金計画の前提が変わります。
  2. 諸費用は物件価格とは別に見積もる……仲介手数料のほか、登記費用、火災保険料、印紙税、住宅ローンの事務手数料などがかかります。物件価格ぴったりの借入計画にしないことが大切です。
  3. 住宅ローンは物件と同時並行で調べ始める……不動産会社が案内する提携ローンだけが選択肢ではありません。金利・事務手数料・団信の内容は金融機関で差があるので、比較したうえで決めましょう。

たとえばSBI新生銀行は、保証料と一部繰上返済手数料が0円で、一般団信も上乗せ金利なしで付帯するなど、諸費用のどこにいくらかかるのかが把握しやすいのが特徴です。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、「不動産会社に勧められたローンと比べてみたい」という段階でも相談しやすいでしょう。

まとめ

専任媒介の物件のなかにも、希少エリアや築年数の浅い物件、価格が手ごろなものなど良質なものはたくさんあります。物件そのものの価値を優先するなら、媒介契約の種類を気にしすぎる必要はありません。

大切なのは、「広告を出している1社だけが扱っている」と早合点しないこと。そして、取引態様を確認して諸費用の見通しを立て、住宅ローンは自分でも比べてみることです。この2つを意識するだけで、家探しの選択肢はぐっと広がります。

※制度の内容は2026年8月時点で確認したものです。個別の物件の取引態様や媒介契約の種類は、必ず取り扱いの不動産会社にご確認ください。

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