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不動産売買の3大書面とは?重要事項説明書と契約書の見方

不動産を購入する契約では、さまざまな書面の説明を受け、内容を理解したうえで署名・押印することになります。テーブルの上に積み上がった書類の束を見て、「これ全部読むの……?」とひるんでしまった、という声もよく聞きます。

近年は、個人情報保護に関する書面や反社会的勢力排除に関する書面など、新しい法整備のもとで採用された、広範囲で多岐にわたる書面が交付されるようになっています。さらに2022年(令和4年)5月からは、これらの書面を紙ではなく電子書面で受け取ることもできるようになりました(後ほど詳しく触れます)。

数はたしかに多いのですが、「必ず読むべきもの」はしぼれます。順番に見ていきましょう。

不動産契約において最も重要な3大書面

先に述べたように、不動産契約ではいろいろな書面が交付されますが、なかでも重要なのは、宅地建物取引業法によって不動産会社から契約の当事者へ交付することが義務付けられている次の3つです。実務ではまとめて「3大書面」と呼ばれます。

書面の名前 根拠となる条文 受け取るタイミング
媒介契約書 宅地建物取引業法 第34条の2 不動産会社に仲介を依頼したとき
重要事項説明書 同 第35条 売買契約を結ぶ
売買契約書(37条書面) 同 第37条 売買契約を結んだとき

※媒介契約書は「一般媒介契約書」と呼ばれることもありますが、媒介契約には後述のとおり3つの類型があり、いずれの類型でも媒介契約書が交付されます。ここでは「媒介契約書」として整理しています。

以下でそれぞれの内容について説明していきます。

不動産の契約では欠かせない「重要事項説明書」

この書面には、購入する物件の詳細な説明が記載されています。

その物件の所有者(売主とは限りません)や、抵当権・差押えなど購入に支障を来たす可能性のある権利の有無、法令上でどのような規制の網が掛かっている物件であるかなどが記載されており、それらの支障や規制をクリアした、もしくはこれからクリアすることが明確である証明なども記載されます。

ほかに、ライフラインや道路の状況、この物件特有の付記事項などが詳細に説明されています。

この重要事項説明書は、不動産の契約において売買契約書と同等以上に重要とされており、不動産会社側は契約に不慣れな買主に対して、「売買契約書を説明する前に」重要事項説明書を説明し、内容を十分理解してもらった後で契約書の説明に入らなければなりません。

説明を行うのは宅地建物取引士で、説明の前に宅地建物取引士証を提示する義務があります。「この方はどなたですか?」と思ったら、遠慮せず確認して構いません。

なお、この重要事項説明はテレビ会議などのシステムを使ってオンラインで受けることもできます(IT重要事項説明)。遠方の物件でも説明のためだけに現地へ出向く必要がなくなる、日時を調整しやすい、といったメリットがあります。もちろん従来どおり対面で受けることも可能なので、やりやすい方法を不動産会社と相談して決めましょう。

わかっているようでわかっていない「売買契約書」の意味

まず、契約書の意味はその名のとおり「約束を契る証明となる書面」です。つまり約束事が記載された書面だと思っていただけるとわかりやすいと思います。

記載事項は重要事項説明書に比べると絞られていますが、買主にとって重要なのは次のような部分です。

  • 契約が解除(キャンセル)になるケースと、そのときのペナルティー(手付解除・違約金など)
  • 住宅ローンが承認されなかった場合の取り扱い(いわゆる「ローン特約」。期限内に融資が受けられなければ契約を白紙解除でき、手付金が返還される、という定めが置かれるのが一般的です。期限と対象の金融機関がどう書かれているかは必ず確認してください)
  • 契約不適合責任(引き渡した物件が契約の内容に合っていなかったときの売主の責任)に関する取り決め
  • 引渡し条件や時期

そして、紙で契約書を交わす場合は、規定の金額の収入印紙を貼付し、消印(割印)が必要になります。この印紙税には軽減措置があり、不動産の譲渡に関する契約書は2027年(令和9年)3月31日までに作成されるものが対象です(契約金額10万円超のものが対象)。

「媒介契約書」はきちんとした仕事をするよう約束させる書面

媒介契約書とは、売主・買主が不動産会社に仲介(=斡旋)を依頼することを証明する書面で、依頼する業務の範囲や、支払う仲介手数料の金額・支払い時期などが記載されます。

仲介手数料の支払い時期は、通常引渡し時に全額一括とすることが多いですが、おもに大手と言われる会社では、契約時1/2、引渡し時1/2とするところもあります。

わかりやすく言えば、「依頼主は仲介手数料を支払うのだから、しっかりした仕事を頼みますよ」という意味を持った書面ということです。

媒介契約には次の3つの類型があり、どれを選ぶかで依頼できる会社の数や報告の頻度が変わります。物件の内容や、どう買主・売主を探したいかによって向き不向きがあるので、不動産会社とよく相談して決めましょう。

  • 一般媒介契約……複数の不動産会社に重ねて依頼できる
  • 専任媒介契約……依頼できるのは1社のみ(自分で見つけた相手との直接取引は可)
  • 専属専任媒介契約……依頼できるのは1社のみで、自分で見つけた相手とも会社を通して取引する

仲介手数料は「いくらまで」と決まっています

意外と知られていませんが、不動産会社が受け取れる仲介手数料には法律に基づく告示で上限額が定められています。売買の場合、依頼者の一方(売主または買主)から受け取れる上限は次のとおりです(いずれも税込)。

物件価格の区分 その部分に掛ける料率(税込) 速算のしかた
200万円以下の部分 5.5% 400万円を超える物件は
(物件価格×3%+6万円)×1.1
200万円超〜400万円以下の部分 4.4%
400万円を超える部分 3.3%

国土交通省が示している計算例では、物件価格1,000万円(税別)の場合、依頼者の一方から受け取れる上限は39.6万円(税込)です。上の速算式でも同じ結果になります。

また、2024年(令和6年)7月1日からは特例が設けられ、物件価格が800万円以下の宅地・建物(「低廉な空家等」。使用の状態は問いません)の仲介については、原則の上限を超えて33万円(税込)まで受け取ることができるようになりました。空き家の流通を後押しするための見直しです。

大切なのは、上限額は「上限」であって定価ではないということ。国土交通省も、トラブルを防ぐために媒介契約を結ぶ段階であらかじめ手数料額を合意しておくことが重要だと呼びかけています。あとから「そんな金額だとは思わなかった」とならないよう、依頼するときに確認しておきましょう。

紙で受け取る? 電子で受け取る?

2022年(令和4年)5月の制度改正により、重要事項説明書も売買契約書(37条書面)も媒介契約書も、電子書面で交付を受けられるようになりました。

電子書面には次のような利点があります。

  • 紙を保管する場所がいらず、あとから検索しやすい
  • スマートフォンやタブレットに入れておけば、どこでも見返せる
  • 電子契約にすると印紙税がかからない

いっぽうで、端末の操作に慣れていないと内容を確認しづらい、端末の不具合などで後日見られなくなる可能性がある、といった留意点もあります。書面は引き続き紙で受け取ることもできますので、自分に合ったほうを選んでください。

手付金を払う前に、ひとつだけ確認を

不動産の取引では、引き渡し前に代金の一部を「手付金」として支払うのが通例です。ただ、売主である不動産会社が引き渡し前に倒産すると、物件も手付金も戻ってこないという事態が起こり得ます。

そこで宅地建物取引業法は、不動産会社が自ら売主となる売買について、銀行等の保証・保険などの手付金等の保全措置を講じたあとでなければ手付金等を受け取ってはならない、と定めています。措置が講じられていないときは、買主は手付金等を支払わないことができます

※手付金等が売買代金の5%以下(工事完了後の物件は10%以下)かつ1,000万円以下である場合などは、保全措置は不要とされています。

よくある質問

Q. 重要事項説明はいつ受けるものですか。契約当日でも大丈夫?
A. 売買契約を結ぶ前に受けるものです。実務では契約当日に続けて行われることも多いのですが、内容が多く専門用語も多いため、可能なら事前に書面の写しをもらって目を通しておくと安心です。

Q. 「ローン特約」があれば、住宅ローンが通らなくても必ず手付金は戻りますか。
A. 契約書にどう書かれているかによります。期限や、対象となる金融機関・借入額が特定されていることが多く、その条件から外れると適用されないことがあります。契約前に、申し込む予定の金融機関と借入額、審査結果が出る時期が特約の内容と合っているかを確認してください。

Q. 電子書面でもらった契約書は、あとから証拠になりますか。
A. 電子書面での交付は法律上認められた方法です。ただし端末の故障やデータの紛失に備えて、自分でもバックアップを取っておくことをおすすめします。不安があれば紙での交付を選べます。

Q. 一般媒介と専任媒介、どちらを選べばよいですか。
A. 一概にどちらが有利とは言えません。複数社に依頼して幅広く探したいなら一般媒介、1社に窓口を絞って報告を受けながら進めたいなら専任・専属専任、という考え方が基本です。物件の内容や希望する探し方をふまえて、不動産会社とよく相談して決めてください。

まとめ——わからない言葉は、その場で聞いてしまいましょう

不動産の契約では、やむを得ず専門用語がよく出てきます。とくに重要事項説明書は専門用語のオンパレードと言ってもよいくらいです。

理解できない言葉が出てきたら、遠慮せずどんどん質問し、不安を払拭してから署名・押印(または電子的な承諾)をするようにしてください。でないと、後から「聞いてない」「そういう意味だったの?」ということになりかねません。

そしてもうひとつ。売買契約と住宅ローンの手続きは並行して進みます。契約書のローン特約の期限に間に合うよう、金融機関の審査スケジュールを早めに把握しておきましょう。金融機関によって進め方は異なり、たとえばSBI新生銀行は原則として事前審査(仮審査)を行わず本審査のみで完結するという進め方をとっています。必要書類を最初から一式そろえる必要がある一方、手続きの段取りはシンプルです。ほかの金融機関と併願する場合も含め、審査にかかる期間は各金融機関の公式サイトで最新の案内をご確認ください

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