- 公開日: 2026.08.28
- 売買契約のポイント
不動産売買契約の準備と当日の流れ|必要書類とローン特約の注意点

希望に合った物件が見つかり、価格の交渉もまとまれば、いよいよ「売買契約」の段階です。
とはいえ、不動産の契約で何をするのかは、はじめての方にはイメージしづらいもの。「何を持っていけばいいの?」「当日はどれくらい時間がかかるの?」と不安になりますよね。
この記事では、契約前に準備するもの・当日に交付される書面・当日の流れを順番に説明します。あわせて、住宅ローンを利用する方がいちばん気をつけたい「ローン特約」についても解説します。
契約前の準備(買主が用意するもの)
売買契約では、準備しておかなければならないものがあります。以下に一般的に必要なものを挙げます。
○印鑑(住宅ローンを利用する場合は実印)
○手付金(購入申込書などにより事前に取り決めた金額)
○収入印紙または印紙代(売買金額によって異なります)
○本人確認資料(運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど)
○不動産会社に支払う仲介手数料の半金分(残りの半金は引渡し時)
印紙代はいくら?
売買契約書に貼る収入印紙の額は、契約金額によって決まります。不動産の譲渡に関する契約書には軽減措置があり、平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成されるものが対象です(国税庁)。よく使われる価格帯の軽減後の税額は次のとおりです。
| 売買契約書の契約金額 | 軽減後の印紙税額 | 備考 |
|---|---|---|
| 500万円超〜1,000万円以下 | 5千円 | 平成26年4月1日〜令和9年3月31日に作成される不動産譲渡契約書が対象。住宅ローンの金銭消費貸借契約書はこの軽減の対象外(1,000万円超5,000万円以下は2万円) |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 1万円 | |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 3万円 | |
| 1億円超〜5億円以下 | 6万円 |
なお、売買契約を電子契約で結ぶ場合は、紙の契約書を作らないため印紙税がかかりません。取り扱いは不動産会社によって異なるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
以上が契約当日に必要となりますので、チェックシート等を作成して準備しておきましょう。実印や印鑑証明書は取得に時間がかかることもありますので、日程が決まったら早めに用意しておくと安心です。
代理人が契約手続きを行う場合
契約当日に本人が来られないなどの理由で、代理人が契約手続きを行う場合は、次のものも必要になります。
○買主本人から代理人に対する委任状(本人自筆のもので実印押印)
○買主本人の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
○代理人の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)
○買主本人確認資料、代理人本人確認資料
印鑑証明書には「発行後3ヶ月以内」といった期限が設けられるのが一般的です。早く取りすぎても期限切れになることがあるので、契約日が確定してから取得しましょう。必要書類の細かい要件は不動産会社や金融機関によって異なるため、必ず事前に確認してください。
契約当日に交付される書面
不動産の売買契約書類には、いくつかの書面があり、それぞれ重要な書面になります。一般的に交付される書面とその内容は次のとおりです。
重要事項説明書(署名が必要)
契約書の説明前に、買主に対して説明し、了解を得なければならない書面で、購入する不動産の「現況」「法令上で制限される事柄」についての詳細が記載されています。
説明は「宅地建物取引士」が行わなければなりません。かつては「宅地建物取引主任者」という名称でしたが、2015年4月1日から宅地建物取引士に変わっています。古い資料では旧名称のままのこともあるので、覚えておくとよいでしょう。
売買契約書(署名が必要)
売買代金、所有権移転期日(引渡日)、契約違反や解約などがあった場合の措置など、民法を基準に、売主と買主の間で取り決める約束を結ぶ書面です。特殊な約定を「特約条項」として付記することができます。住宅ローンを利用する場合のローン特約(後述)も、この特約条項として定められるのが一般的です。
物件状況報告書(物件現況報告書)、付帯設備表(署名が必要)
おもに、中古マンションや一戸建てなどの設備、内外装、ライフラインなどにおける現況の報告書です。売主が買主に対して交付する書面で、不具合箇所や引継ぎ事項などがあれば記載しなければなりません。
2020年4月1日に施行された改正民法により、売主の責任は「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変わりました。引き渡されたものが契約の内容に適合していない場合、買主は修補や代替物の引渡しといった履行の追完、代金の減額のほか、損害賠償や契約の解除を求められる場合があります。つまり「契約書や報告書にどう書かれているか」が、あとから不具合が見つかったときの判断のよりどころになります。気になる箇所は遠慮せず、契約前に確認して書面に反映してもらいましょう。
関連図書(不動産会社が任意で添付する資料)
不動産の謄本、測量図、ライフライン資料など、買主に対して添付される補足資料です。会社によって添付される書面の内容は異なります。
【最近変わったこと】書面の電子化とオンラインでの説明
宅地建物取引業法の関係する政省令が改正され、2022年5月18日から、重要事項説明書などの書面を相手方の承諾を得たうえで電磁的方法(メールやダウンロードなど)で提供できるようになりました。あわせて、宅地建物取引士の押印は不要とされています。また、ITを活用した重要事項説明(IT重説)も認められており、オンラインで説明を受けられる場合があります。
遠方の物件を購入するときや、平日に時間を取りにくいときには助かるしくみです。ただし電子化には事前の承諾が必要で、対応しているかどうかは不動産会社によって異なります。希望する場合は早めに相談しておきましょう。
契約当日の流れと時間の目安
これらの書面を契約当日に説明されることになり、通常2時間〜3時間程度の時間を要します。おおまかな流れは次のとおりです。
- 重要事項説明…宅地建物取引士が、物件の現況や法令上の制限などを説明します。
- 売買契約書の読み合わせ…代金・引渡日・特約条項などを確認します。
- 署名・押印…内容に納得したうえで行います。
- 手付金の授受・印紙の貼付…あわせて仲介手数料の半金を支払うことが一般的です。
- 今後のスケジュールの打ち合わせ…住宅ローンの本審査や引渡しの段取りを確認します。
できれば、数日前に時間を取って詳しい内容説明を受け、内容を理解した上で契約当日は署名、押印のみ行うようにすると、確実かつ円滑に進めることができます。当日にはじめて書面を見ると、2〜3時間の説明を受けながら判断することになり、疑問を残したまま署名してしまいがちです。「事前に書面をもらえますか」とお願いすることは失礼でも何でもありません。遠慮せずに頼んでみてください。
これ以外に契約当日には、住宅ローンの手続きや今後のスケジュール打ち合わせなど、さまざまな手続きが行われることが多いですから、しっかりと準備して当日を迎えましょう。
住宅ローンを使うなら「ローン特約」を必ず確認
住宅ローンを利用して購入する方にとって、売買契約で最も大切な確認事項がローン特約(融資利用の特約)です。
売買契約は、住宅ローンの本審査の前に結ぶのが一般的です。つまり「契約したけれど、その後の審査で融資を受けられなかった」ということが起こり得ます。このとき、何の取り決めもなければ契約違反となり、手付金を放棄したり違約金を求められたりするおそれがあります。
そこで、一定の期日までに住宅ローンの承認が得られなかった場合には、契約を解除して手付金を返してもらえるという取り決めを、特約として定めておくのが一般的です。これがローン特約です。
確認しておきたいポイント
- 解除できる期限(いつまでに承認が下りなければ解除できるか)…期限を過ぎると使えません。本審査に必要な期間を見込んだ日付になっているかを確認します。
- 対象となる金融機関と借入額…特約に書かれた金融機関・金額の範囲で判断されるのが一般的です。申し込む予定の金融機関が入っているかを確認しましょう。
- 解除の方法と手付金の取り扱い…どのような手続きで解除するのか、手付金がどう返還されるのかを確認します。
取り決めの内容は契約ごとに異なります。「特約があるから絶対に安心」と考えず、条文を読み、わからない部分はその場で質問してください。あわせて、手付解除ができる期限(一定の日までなら手付金を放棄して解約できる、という取り決め)も確認しておきましょう。
契約後から引渡しまでにやること
契約が終わってからも、引渡しまでにやることは続きます。おおまかな流れをつかんでおきましょう。
- 住宅ローンの本審査を申し込む…売買契約書などの書類が必要になります。契約直後に動き出せるよう、必要書類を事前に確認しておきます。
- 承認後、金銭消費貸借契約(金消契約)を結ぶ…金融機関と住宅ローンの契約を交わします。ここで印紙税がかかります(電子契約なら不要な場合があります)。
- 火災保険を申し込む…引渡しまでに加入するのが一般的です。【フラット35】でも火災保険への加入が利用条件になっています。
- 残代金の決済・引渡し…融資が実行され、残代金と諸費用を支払い、所有権移転登記と抵当権設定登記を行います。仲介手数料の残金もこのタイミングです。
契約から引渡しまでは1〜2か月程度かかることが多く、その間に手続きが重なります。スケジュール表をひとつ作っておくと、抜け漏れを防げます。
売買契約についてのよくある質問
Q. 契約当日に、その場で契約をやめることはできますか?
A. 署名・押印の前であれば契約は成立していません。納得できないまま署名しないことが何より大切です。説明を聞いて疑問が残るなら、日を改めてもらうよう相談しましょう。
Q. 手付金はいくら用意すればよいですか?
A. 金額は購入申込みの段階で売主と取り決めます。物件や取引によって異なるため、申込み前に不動産会社に確認しておきましょう。手付金は原則として現金で用意することになるため、いつまでにいくら必要かを早めに把握しておくと安心です。
Q. 重要事項説明はオンラインでも受けられますか?
A. ITを活用した重要事項説明(IT重説)は認められています。ただし対応しているかどうかは不動産会社によって異なるため、希望する場合は早めに相談してください。書面を電子で受け取る場合は、事前の承諾が必要です。
Q. 引渡し後に不具合が見つかったらどうなりますか?
A. 2020年4月1日施行の改正民法により、引き渡されたものが契約の内容に適合していない場合、買主は修補などの履行の追完や代金の減額、損害賠償・契約の解除を求められる場合があります。ただし、物件状況報告書などにあらかじめ記載されていた不具合は「契約の内容」に含まれることになります。だからこそ、契約前に書面をよく読むことが大切です。
Q. 住宅ローンの審査に落ちたら、手付金は戻ってきますか?
A. ローン特約が定められていて、その条件(期限・対象の金融機関など)に当てはまる場合は、契約を解除して手付金の返還を受けられるのが一般的です。条件は契約ごとに違うので、契約前に必ず条文を確認してください。
まとめ
売買契約は、住宅購入のなかでもとくに緊張する場面です。ポイントを整理しておきましょう。
- 持ち物は実印・手付金・印紙代・本人確認資料・仲介手数料の半金。実印や印鑑証明書は早めに準備する
- 印紙税は契約金額で決まり、不動産譲渡契約書には軽減措置がある。電子契約なら紙の契約書を作らないためかからない
- 説明するのは宅地建物取引士。2022年5月18日から書面の電子化とIT重説も可能になっている
- 当日は2〜3時間かかる。数日前に書面を受け取り、内容を理解してから臨むのが理想
- 住宅ローンを使うならローン特約の期限・対象金融機関・解除方法を必ず確認する
契約の場では、わからないことをそのままにしないことがいちばんの防御になります。「これはどういう意味ですか」と聞くだけで、あとあとのトラブルはぐっと減ります。準備を整えて、落ち着いて当日を迎えてください。
※本記事の制度・税額は2026年8月時点で各府省庁の公式情報を確認したものです。手続きの詳細や必要書類は取引や会社によって異なりますので、実際の契約前に不動産会社・金融機関へご確認ください。

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