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新築の地盤は大丈夫?地盤調査と改良工事の確認ポイント

台風や大雨のたびに、地すべりや土砂崩れで住宅が傾いた・倒壊したというニュースが繰り返し報じられます。2021年7月に静岡県熱海市で起きた土石流のように、「土地そのもの」が原因の災害も現実に起きています。

どんなに建物を頑丈につくっても、その下の地盤が弱ければ、建物は傾いたり沈んだりしてしまいます。しかも地盤は完成した家の外からはまったく見えません。ここでは、はじめて家を買う方に向けて、「見えない地面の下」をどう確認すればいいのかを、順を追ってやさしく整理します。

住宅メーカーでは「ベタ基礎」が標準と言っているが・・・

建物の基礎は、従来「鉄筋コンクリート布基礎」という、地面に逆T字型の鉄筋コンクリートの壁を地中から立ち上げる工法が主流でした。

これでも一定の強度は保てるのですが、最近の注文住宅や建売住宅など新築住宅の基礎仕様は、「鉄筋コンクリートベタ基礎」を標準としている会社がほとんどで、営業担当者は「地震に強い」と説明します。

たしかにベタ基礎は、建物の重さを底板全体で面として受け止めるため、点や線で支える布基礎より荷重を分散しやすい構造です。ただし、ベタ基礎はあくまで「建物側」の工夫であって、その下の地盤が弱ければ、基礎ごと沈んでしまいます。「ベタ基礎だから地盤対策も万全」ということにはならない——ここが最初の分かれ道です。

【ミニ解説】不同沈下(ふどうちんか)
建物が全体で均一に沈むのではなく、一部だけが沈んで傾く現象のこと。ドアや窓が閉まりにくい、床に置いたビー玉が転がる、といった形で表れます。地盤トラブルで最も多いのがこの不同沈下です。

土地の土壌が不安定な地層の上にある場合は、対策が必要

新しく開発された団地では、地山や農地などを造成して宅地として販売し、そこに建物を建てています。

その土地がもともと地山(もとからある山や台地の地盤)であれば、比較的安定していることが多く、ベタ基礎でも十分な強度を確保できる場合が多いでしょう。

しかし、農地や、古くは沼地・池・田んぼだった場所ですと、表面上は安定した土地に見えても、地面の数十センチメートル下から軟らかい地層が続いている場合があります。谷や斜面を土で埋めた「盛土(もりど)」の造成地も同様です。そうなると、ベタ基礎だけでは不十分になります。

いまは、土地の成り立ちを自分でもある程度調べられます。国土交通省と国土地理院が運営する「ハザードマップポータルサイト」の重ねるハザードマップでは、洪水・土砂災害・高潮・津波のリスクに加えて、その土地が台地なのか、谷を埋めた低地なのか、盛土なのかといった「土地の成り立ち・地形分類」を地図上で確認できます(https://disaportal.gsi.go.jp/)。まずは検討中の住所を入力してみてください。

なお、不動産取引の場面でも、2020年8月28日から水害ハザードマップ上で対象物件がどこに位置するかを説明することが、宅地建物取引業者の義務になっています(宅地建物取引業法施行規則の改正・国土交通省)。契約前の重要事項説明で必ず出てくる項目なので、そこで手を止めて確認しましょう。

【2023年施行】盛土規制法で、造成地のルールは厳しくなった

2021年の熱海市の土石流災害をきっかけに、それまでの「宅地造成等規制法」が抜本的に改正され、「宅地造成及び特定盛土等規制法」(通称:盛土規制法)が2023年5月26日から施行されています(国土交通省・農林水産省の共管)。

初めての方向けに、ポイントだけ押さえておきましょう。

  • 土地の用途を問わず規制される…宅地だけでなく、農地や森林の造成、土砂の一時的な堆積まで、危険な盛土等を全国一律の基準で規制します。
  • 危険なエリアは「規制区域」に指定される…都道府県知事等が、盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を規制区域に指定し、区域内の盛土等は許可制になります。
  • 罰則が強化された…無許可行為や命令違反に対して、最大で懲役3年以下・罰金1,000万円以下(法人重科3億円以下)という水準に引き上げられました。

つまり、2023年5月26日以降に造成された土地は、以前より厳しいルールのもとでつくられているということです。逆に言えば、それ以前に造成された古い盛土の宅地は、当時の基準でつくられている可能性があります。中古住宅や古い分譲地を検討するときほど、造成の時期と地盤の情報を確認したいところです。規制区域の指定状況は自治体ごとに進められているため、気になる土地は市区町村の担当課(都市計画課・建築指導課など)に問い合わせると確実です。

建物を建てる前に「地盤調査」を行っているか?

建売住宅では、建物が完成した状態で販売することが一般的で、土地の状態がどうなっているのか見た目ではわかりません。

そこで、現地を見学する際には、「地盤調査はしましたか? 結果の報告書を見せてもらえますか?」と質問してみてください。あわせて、その土地が以前どのような状態だったか(「宅地」「地山」「原野」「農地」など)も聞いてみましょう。最近では、ある程度知名度のある会社であれば、地盤調査を行っているのが一般的です。

戸建住宅でもっともよく使われる調査方法は、先端がドリル状の器具(スクリューポイント)を回転させながら地中にねじ込み、その沈み方から地盤の硬さや土層の構成を調べる方法です。この試験は、2020年10月26日のJIS改正(JIS A 1221:2020)で、名称が「スウェーデン式サウンディング試験」から「スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)」に変更されました。報告書に古い名称で書かれていることもありますが、同じ試験の呼び名が変わっただけですので、あわてなくて大丈夫です。

【ミニ解説】報告書のどこを見る?
専門的な数値まで読み解く必要はありません。「軟弱層がどのくらいの深さまであるか」「地盤改良が必要と判定されたか」「必要ならどの工法が提案されているか」——この3点を担当者に口頭で説明してもらい、書面のどこに書いてあるかを指してもらいましょう。

地盤改良工事の内容を確認する

地盤調査で判明した地中の状態に応じて、適切な地盤対策工事が施されているかを確認します。軟らかい層がある場合は、セメント系の材料で土を固めたり、コンクリートや鋼管の杭を硬い層に届くまで打ち込んだりして、建物が建つ部分の地盤を安定させます。これを「地盤改良工事」と呼びます。

代表的な工法と、確認しておきたいポイントを整理しました。工法の選定は地盤調査の結果と設計者の判断によるため、「この工法が一番よい」という正解はありません。なぜその工法を選んだのかを説明してもらうことが大切です。

工法(呼び名) おおまかな内容 確認したいこと
表層改良 浅い部分の軟らかい土をセメント系固化材と混ぜて固め、建物を支える層をつくる 軟弱層が浅い範囲にとどまっているか
柱状改良 セメント系の材料で地中に柱状の改良体をつくり、建物の荷重を支える 改良体の本数・深さ、どの層まで届いているか
鋼管杭 鋼製の管を硬い支持層まで打ち込み、杭で建物を支える 支持層の深さと、杭が確実に届いているか
改良不要の判定 調査の結果、そのままの地盤で支持力が足りると判断された場合 判定の根拠(調査データ)を示してもらえるか

なお、地盤改良工事の費用は建物本体の価格に含まれていないことがあり、契約後に追加費用として出てくるケースがあります。金額は地盤の状況と工法によって大きく変わるため、「地盤改良が必要になった場合の費用はどちらの負担か」「概算はいくらか」を、契約前に必ず確認してください。住宅ローンの借入額を決める前に把握しておきたい、資金計画上の重要なポイントです。

引き渡し後の備え:10年間の保証という仕組み

「もし引き渡し後に建物が傾いたら?」という不安もあるでしょう。ここは法律で守られている部分があります。

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により、新築住宅の売主・請負人は、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の浸入を防止する部分」について、引き渡しから10年間の瑕疵(かし)担保責任を負うと定められています。基礎や基礎ぐいはこの「構造耐力上主要な部分」に含まれます。

さらに、住宅瑕疵担保履行法(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)により、2009年10月1日以降に新築住宅を引き渡す事業者は、保険への加入または保証金の供託が義務づけられています。万一、事業者が倒産していても、保険に加入している住宅であれば、取得した人が保険法人へ補修費用を直接請求できる仕組みです。

ただし、これらは「万一のときの備え」です。そもそもトラブルを起こさないための事前確認のほうがずっと大切だという点は変わりません。

購入前にできる地盤チェック・5ステップ

「何から手をつければいいのか」がわからない方は、この順番で進めてみてください。

  1. 地図で土地の成り立ちを調べる…重ねるハザードマップで地形分類と災害リスクを確認する。
  2. 昔の姿を調べる…自治体の資料や古い地図で、以前が農地・沼地・谷だったかを確認する。
  3. 地盤調査の有無を聞く…調査済みか、報告書を見せてもらえるかを販売会社に質問する。
  4. 改良工事の内容と費用負担を確認する…必要と判定された場合の工法・費用・負担者を、契約前に書面で確認する。
  5. 重要事項説明で最終確認する…水害ハザードマップ上の位置、造成の経緯、規制区域かどうかを担当者に確認する。

地盤のギモンQ&A

Q. 地盤調査の報告書は、買う前に見せてもらえますか?
A. 多くの会社は求めれば見せてくれます。断られた場合や「調査していない」と言われた場合は、その理由をきちんと説明してもらいましょう。納得できる説明が得られないこと自体が、判断材料になります。

Q. ハザードマップで色がついていたら、その土地は買わないほうがよいのでしょうか?
A. 色がついている=即NG、ということではありません。リスクの種類と程度、対策の有無、そして自分がその条件を受け入れられるかで判断します。大切なのは「知らずに買わない」ことです。

Q. 中古住宅の場合、地盤はどう確認すればいいですか?
A. 新築時の地盤調査報告書や地盤保証書が残っていれば見せてもらいましょう。残っていない場合は、建物の傾き・基礎のひび割れ・建具の建て付けなどを、住宅の専門家による建物状況調査(インスペクション)で確認する方法があります。

Q. 地盤改良の費用も住宅ローンで借りられますか?
A. 諸費用を含めて借り入れできるかどうか、また対象となる費用の範囲は金融機関によって異なります。地盤改良費が必要になりそうな場合は、見積もりが出た段階で早めに金融機関へ相談してください。借入額が増えれば審査の結果や毎月の返済額にも影響します。取り扱いの詳細は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

まとめ

住宅メーカー側は、建物に関してはさまざまな対策や保証を用意していますが、地盤についての説明が十分でない会社も見受けられます。だからこそ、買う側から質問することに意味があります。

いまは、その土地が以前どのような状態であったかを開示する自治体も増え、重ねるハザードマップのように誰でも使える公的な情報も整いました。2023年5月に施行された盛土規制法によって、造成そのもののルールも厳しくなっています。

「地盤調査はしましたか」「結果はどうでしたか」「改良が必要な場合の費用はどちらの負担ですか」——この3つを聞くだけでも、見えない地面の下の不安はかなり小さくなります。建物の間取りや設備と同じくらい、足元にも目を向けてみてください。

※本記事は2026年7月時点の制度・法令にもとづいています。規制区域の指定状況や自治体の運用は地域によって異なるため、最新の情報は国土交通省および各自治体の公式サイトでご確認ください。

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