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住宅をオークションで売却できる?仕組みとメリット・デメリット

住宅を諸事情で手放すときは、できるだけ高い値段で売却したいものです。住宅を売るときは、不動産会社と媒介契約を結んで手続きを進めるのが一般的ですが、「個人間取引の代名詞でもあるオークションを使って売却することはできるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

今回は、住宅をオークションで売却できるのか、その仕組みとメリット・デメリット、そしてはじめての方がつまずきやすいポイントまで、やさしく整理していきます。

住宅もオークションで売却することはできる

結論から述べると、住宅もオークションを使って売却することは可能です。代表的なのは、不動産会社のピタットハウス(スターツピタットハウス)が提供する居住用住宅専用のオークション「マイホームオークション」です。1998年に、不動産業界ではじめて居住用住宅を対象としたオークションサービスとしてスタートした、実績のあるサービスです。

このほか、Yahoo!オークションにも「不動産」のカテゴリがあり、マンション・一戸建て・土地・投資向け不動産などが出品されています(「ヤフオク!」は2023年11月1日に「Yahoo!オークション」へ名称が変更されました)。

終了したサービス・名前が変わったサービスに注意

インターネット上には数年前の解説記事がそのまま残っていることが多く、すでに終了したサービスが「今も使える」ように書かれているケースがあります。代表的なものを整理しておきます。

  • おうちダイレクト……ヤフーとソニー不動産(現・SREホールディングス)が共同運営していたサービスです。所有者が自分で価格を決めて売り出す「セルフ売却」は2022年6月30日で提供を終了し、両社の共同運営も終了しました。現在、同社グループの一括査定サービスは「おうちクラベル」として提供されています。
  • Yahoo!官公庁オークション……2021年3月末でサービスを終了し、その後は紀尾井町戦略研究所が運営する「KSI官公庁オークション」に引き継がれています。
「公売」と「競売」は別のものです

ここは初めての方がとくに混同しやすいところなので、先に整理しておきましょう。

官公庁オークションで扱われるのは、税金の滞納などで差し押さえられた財産を売却する「公売」と、行政機関が不要になった財産を売却する「公有財産売却」です。根拠となるのは国税徴収法などで、実施するのは国や自治体です。

一方、住宅ローンなどの返済が滞ったときに裁判所の手続きで売却されるのが「競売(けいばい)」で、根拠は民事執行法です。競売にかけられた物件の情報は官公庁オークションではなく、BIT(不動産競売物件情報サイト)で公開されています。名前が似ていますが、「公売=税金の滞納」「競売=ローンなどの借金の滞納」と、実施する機関も手続きもまったく別だと覚えておくと安心です。

不動産のオークションの特徴

不動産オークションの仕組みをイメージした図

住宅などの不動産をオークションで売却する場合、扱う商品が大きく金額も高額になりますので、まずはオークションサービスを提供している不動産会社に相談するところから始まります。その時点で説明や査定などを受けて、オークションを通じて売却すべきなのかを最終的に判断することになります。

オークションで売却することになった場合、一般的なネットオークションでは入札数や現在価格が表示されていますが、不動産のオークションでは入札数や価格は非公開です。あらかじめ定めた入札期日(開札日)になった時点ではじめて価格が公開され、最も高い金額で入札した方と契約するのが一般的です。これを「期日入札方式」と呼びます。

また、売主はあらかじめ「最低希望価格(最低売却価格)」を自分で設定できます。これを下回る金額では売却されないため、「安く買い叩かれるのでは」という不安を抑えられるのがこの方式の考え方です。

なお、マイホームオークションに出品する場合は、ピタットハウスの運営会社と「専属専任媒介契約」を締結する必要があります(同社公式サイトのよくある質問より)。複数の不動産会社に同時に依頼したい方は、この点を事前に確認しておきましょう。

不動産オークションのメリット

不動産オークションのメリットとしては、売り出す価格を自分の意思で決められること、売却条件が一番良い買い手に引き渡せること、そして価格が決まるプロセスが分かりやすいことが挙げられます。

自身で売却価格を決められる

不動産オークションの一番のメリットは、売主自身が「この金額を下回るなら売らない」というラインを決められることです。通常の仲介では、査定額をもとに不動産会社と相談して売出価格を決め、その後は買主との価格交渉に応じるかどうかを判断していく流れになります。オークションでは、提供する不動産会社が査定結果などに基づき参考価格を提示し、その金額を参考に売主が最低希望価格を決めることができます。

売却条件が一番良い買い手に引き渡せる

次のメリットは、オークション形式であるがゆえに、一番条件が良い買い手に物件を引き渡せることです。先着順の取引では「もっと高く評価してくれる人がいたのでは」という迷いが残りがちですが、期日入札であれば、期間内に最も高く価値を見出した方が買主になります。想定以上の価格で売却できる可能性がある、という点も期待できるポイントです。

スケジュールが読みやすく、決め方が明確

先着順の取引では、いつ買主が現れるかが読みづらく、内見や交渉のたびに判断を迫られます。オークションは開札日があらかじめ決まっているため、住み替えや資金計画のスケジュールを立てやすいという利点があります。また、価格の決まり方が「入札額の高い順」と明快なので、納得感を持って進めやすいと言えます。

不動産オークションのデメリット

不動産オークションのデメリットに悩む人のイメージ

一方でデメリットもあります。オークションを通じて買いたいと考える人がまだ多くない点、必ずしも落札されるとは限らない点、すぐに売却して現金化したい場合には不向きである点です。

オークションを通じて買いたい人が限られる

不動産は金額が高額で、生活環境や周辺施設など様々なことを総合的に加味して購入を検討したいと考える方が多い買い物です。そのため、入札期限という時間の制約があるオークションで購入したい、という買主はまだ限られているのが現状です。買主の母数が少なければ、当然ながら入札が集まらない可能性も出てきます。

必ずしも落札されるとは限らない

オークションは、出品しても必ず落札されるとは限らず、いつまでたっても売却できないことも十分に考えられます。そのため、売却までに予想以上の時間を要してしまうこともあります。

この不安に備える仕組みとして、ピタットハウスでは買取保証付き売却「スイッチ45」を提供しています。これは販売を開始してから45日以内に売却できなかった場合に、あらかじめ約束した金額でピタットハウスが買い取るというサービスです。ただし物件によっては対応できない場合があるため、利用できるかどうかは必ず事前に確認してください。買取価格などの条件も物件の状況によって変わります(最新の内容はピタットハウス公式サイトでご確認ください)。

売却を急ぐ場合には向かない

何かしらの理由で、不動産を早く売却してすぐに現金化したいと考えた場合は、オークションの利用は不向きであると言えます。オークションはあらかじめ決められた期日が設けられており、売却までに一定の時間を要します。また、先ほど説明したとおり、出品しても落札される保証はありません。

出品後は途中でやめられない

見落としがちなのがこの点です。マイホームオークションでは、一度出品すると入札締切日を迎えるまで出品を取り消すことができません(同社公式サイトのよくある質問より)。「やっぱり売るのをやめたい」「もう少し高く出し直したい」といった途中変更ができないため、出品前に価格と条件をしっかり固めておく必要があります。

仲介・買取・オークションを比べてみる

住宅の売り方は、大きく「仲介」「買取」「オークション」の3つに整理できます。それぞれ性格が違いますので、ご自身が何を優先したいかで選ぶのがおすすめです。

比較の観点 見るポイント 備考
仲介(一般的な売却) 売出価格を決めて買主を探し、先着順で交渉・契約する 相場に近い価格を狙いやすい一方、いつ売れるかは読みにくい
買取(不動産会社が直接購入) 不動産会社が買主になるため、短期間で現金化しやすい 再販を前提とするため、価格は相場より低くなりやすい
オークション(期日入札) 最低希望価格を売主が設定し、開札日に最高額の入札者と契約 スケジュールが読みやすい。ただし入札が入らない可能性がある

ざっくり言えば、価格を優先するなら仲介やオークション、スピードと確実性を優先するなら買取という整理になります。「価格も譲りたくないが、期限も決まっている」という住み替えのようなケースでは、オークションに買取保証を組み合わせる方法が選択肢に入ってきます。

出品から引き渡しまでの流れ

はじめての方向けに、マイホームオークションを例に大まかな流れを整理しておきます。

  1. 無料査定を申し込む……オークションに出品した場合いくらで売れそうか、まずは査定を受けます。
  2. 説明を受けて方針を決める……担当者からサービスの説明を受け、オークションで売るか、通常の仲介で売るかを判断します。途中まで通常の売却で進め、あとからオークションに切り替えることもできます。
  3. 最低売却価格・出品プランを決める……ここで買取保証(スイッチ45)を付けるかどうかも検討します。
  4. 専属専任媒介契約を結ぶ……出品にあたって必要な契約です。
  5. 出品・入札期間……広告や店舗ネットワークを通じて買主を募ります。入札額は非公開です。
  6. 開札・契約……最も高い金額で入札した方と売買契約を締結します。
  7. 決済・引き渡し……代金の受け取りと同時に、所有権の移転登記や鍵の引き渡しを行います。

売却には仲介手数料・印紙税・登記費用などの諸費用もかかります。手取り額を把握しておくために、査定の段階で「いくら手元に残るのか」まで確認しておくと安心です。

住宅ローンが残っている家でも出品できる?

住宅ローンが残っている家でも売却は可能ですが、引き渡しまでにローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。一般的には、売却代金でローンを完済し、その手続きと同時に抵当権抹消登記を行います。

問題になりやすいのは、売却代金でローンを返しきれない、いわゆるオーバーローンの状態です。この場合は不足分を自己資金で補うか、金融機関の同意を得て売却する「任意売却」などを検討することになります。返済が苦しくなってから慌てるより、早めに金融機関や専門家へ相談したほうが選択肢は広く残ります。

住み替えで新しく住宅ローンを借りる場合は、売却と購入のタイミングをそろえる資金計画が欠かせません。金利だけでなく、事務手数料・保証料・団体信用生命保険(団信)の内容まで含めて総額で比べるのがポイントです。たとえばSBI新生銀行は、保証料や一部繰上返済手数料が0円で、一般団信の上乗せ金利も0円と、諸費用の考え方が分かりやすい銀行のひとつです。店舗での相談とオンライン手続きの両方に対応しているため、住み替えの資金計画をまとめて相談したい方にとって検討に値する選択肢と言えるでしょう。条件は変わることがありますので、最新の内容は各金融機関の公式サイトでご確認ください。

よくある質問

Q. 出品したら必ず売れるのですか?

いいえ、入札が1件も入らないこともあります。そのときは通常の売却に切り替えるか、買取保証を利用するかを改めて検討することになります。「オークション=必ず高く売れる」ではない、という点は最初に押さえておきましょう。

Q. 入札の状況は途中で見られますか?

不動産のオークションでは入札数や入札価格は非公開で、開札日まで分かりません。一般的なネットオークションのように「今いくらまで上がっているか」を眺めながら進めるものではない、と考えておいてください。

Q. 最低希望価格はどうやって決めればよいですか?

査定額を参考にしつつ、「住宅ローンの残債+売却にかかる諸費用」を下回らないかを必ず確認しましょう。手元にいくら残るかが分からないまま価格だけ決めてしまうと、引き渡し直前に資金が足りないことに気づく、という事態になりかねません。

Q. 出品を途中でやめることはできますか?

マイホームオークションでは、出品後は入札締切日まで取り消せません。迷いがある段階で出品せず、条件を固めてから申し込むのが安全です。

Q. 公売や競売で自宅が売られるのと同じものですか?

まったく違います。この記事で扱っているのは売主が自分の意思で売り方を選ぶ「オークション形式の売却」です。公売(税金の滞納)や競売(ローンなどの滞納)は、滞納をきっかけに強制的に売却される手続きで、売主が価格を決めることはできません。名前が似ているだけで、まったく別のものだとお考えください。

まとめ

住宅をオークションで売却することは可能で、価格の決まり方が明快でスケジュールを立てやすいのが魅力です。一方で、買主がまだ限られていること、必ず落札されるとは限らないこと、出品後の取り消しができないことなど、知っておくべき注意点もあります。

まずは「価格を優先したいのか、スピードを優先したいのか」を整理し、仲介・買取・オークションのどれが自分の事情に合うのかを比べてみてください。そのうえで、住宅ローンの残債と諸費用を確認しておけば、あわてずに売却を進められます。サービスの内容や取り扱い条件は変更されることがありますので、最新の情報は必ず各社の公式サイトでご確認ください。

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