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住宅を売却して損失が発生した場合の税金はどうなる?

住宅の買い替えや諸事情によって、現在住んでいる住宅を売却した場合、建物や土地の価値が下落したことで、購入した時の費用と比べて安い値段で売れてしまうことも多く、今の時代であれば不動産の値上がりで大きく儲けることは難しいのが現状です。

今回は、住宅を売却した際に損失が発生した場合における税金の扱いについて解説します。

譲渡損益は取得費用から諸経費を差し引いて計算する

はじめに、住宅などの不動産において損益が発生する判断基準としては、不動産の売却で得た費用(譲渡所得)から、不動産の購入費用(取得費用)と、仲介手数料などの諸経費を差し引いて、手元に現金が残るかどうかで判断します。

不動産を売却する際は、2018年5月26日の記事で詳しく解説していますが、不動産屋に売却手続きや買い手との間で売買契約手続きを代行するための手数料である「仲介手数料」、契約書に貼る「印紙税」、不動産登記の変更手続きに必要となる「登記費用」など、様々な諸経費が発生します。

譲渡所得に対して、取得費用と諸経費を差し引いて、プラスとなれば、課税対象の譲渡所得として、所得税と住民税を支払う必要があります。一方で、譲渡所得から、取得費用と諸経費を差し引いて、マイナスとなれば譲渡損失が発生することになります。

ただし、譲渡損失が発生した場合は、不動産が居住用の住宅であれば、買い換えもしくは売却のみに合わせて2種類の特例が適用でき、税金の支払いを軽減もしくは免除することが可能です。

居住用住宅を買い換える場合において譲渡損失が発生した場合の特例

居住用の住宅を買い換える際に譲渡損失が発生した場合、他の所得と合算して3年間にわたって繰越控除が適用できます。

他の所得とは、給与所得や事業所得が該当しますが、これらの収入も所得額などに応じて所得税を支払う必要がありますが、譲渡損失が発生した場合、損失額に合わせて他の所得で支払う所得税や住民税を控除もしくは繰越が可能になります。

この特例を受けるには、譲渡に伴う合計所得金額が3,000万円以下であることと、譲渡した日が属する年(1月1日時点)において、所有期間が5年を超えていることが要件となっています。

買い替えを行う際の要件としては、以前に住んでいた住宅を譲渡した日が属する年の前年(1月1日)から翌年(12月31)までに取得し、取得した日から翌年までに居住用として使用する必要があります。また、床面積が50平方メートル以上など住宅ローン控除の適用要件を満たしている必要があります。さらに、住宅ローン控除との併用も可能です。

住宅ローン控除の適用要件については、2018年2月10日の記事で詳しく解説していますので合わせてご覧ください。

居住用住宅の売却のみの場合において譲渡損失が発生した場合の特例

居住用住宅の買い替えではなく、単純に売却のみの場合において、譲渡損失が発生した場合は、こちらも他の所得と合算して3年間にわたって繰越控除が適用できます。こちらも、給与所得や事業所得といった所得に対して課税される所得税と住民税に対して、控除することができます。

売却のみの場合は、譲渡に伴う合計所得金額が3,000万円以下であることに加え、譲渡日が属する年において、所有期間が5年を超えている必要があります。さらに、譲渡した居住用住宅の住宅ローンの残債が残っている必要があります。

損益通算ができる損失の金額は、トータルの譲渡所得から生じた譲渡損失の金額、もしくは、住宅ローンの残債から譲渡した居住用住宅の譲渡対価を差し引いた金額のいずれかの少ない金額が対象となります。

2つの特例受けるための共通の適用要件

居住用住宅を売却した際に、譲渡損失が発生した場合にこの2つの特例を適用させるためには、以下の適用要件を満たしている必要があります。

1.ご自身もしくは家族が居住用として活用していた住宅を売却した時
(別荘など保養目的で所有している住宅は適用外)
2.居住しなくなって3年目を経過する日が属する年末までに売却した時
3.一定の譲渡損失が発生している場合
4.災害によって奥屋を消失した場合、消失してから1年以内にその敷地の売却契約が締結されていること
5.譲渡相手が親族や内縁関係に無いこと(親族・内縁者が経営する法人も含む)

2つの特例を受けるには確定申告が必要

居住用の住宅を売却して譲渡損失が発生した場合は、確定申告を行わなければ特例を受けることはできませんので注意が必要です。また、給与所得の場合は、毎月の給与から強制的に所得税と住民税が課税されていますので、確定申告をしなければ還付されず、逆に多くの税金を支払うことになってしまいます。

税金に関する詳しいことについては、必要に応じて最寄りの税務署や税理士などに相談しても良いでしょう。

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