- 公開日: 2026.08.25
- 住宅ローンの注意点
住宅ローン借り換えの比較ポイント|金利差と手数料の見方をやさしく解説

住宅ローンの借り換えとは、いまの家に住み続けたまま、返済中の住宅ローンを別の金融機関のローンで一括返済し、新しい条件のローンに乗り換えることです。
返済は20年、30年と続きます。その間に世の中の金利も、ご自身の収入や家族構成も変わります。「借りたときの条件が、今の自分にも合っているとは限らない」——だからこそ借り換えという選択肢があります。
ただし、金利が低いローンに乗り換えれば必ず得をする、というものではありません。このページでは、借り換えを考えるときに何をどう比べればよいのかを、順番に見ていきます。
借り換えで実際に起きていること
言葉だけだと少し分かりにくいので、順番を追ってみましょう。
- 新しい金融機関に申し込み、審査を受ける
- 審査に通ったら、新しいローンを借りる
- その資金で、いまのローンを一括返済する
- いまの金融機関が設定していた抵当権を外し、新しい金融機関の抵当権を設定する
- 以後は、新しい条件で返済していく
つまり借り換えは、「新しく住宅ローンを1本借りる」のと同じ手続きです。審査もありますし、契約に伴う費用も新規のときと同じようにかかります。ここが「金利が低いほうへ移るだけ」というイメージとの大きな違いです。
金利差だけで判断できない理由
借り換えを検討するときに見るべき数字は、「毎月の返済額がいくら下がるか」ではなく「諸費用を差し引いても手元にプラスが残るか」です。
住宅金融支援機構も、借換融資を検討する際のポイントとして「総返済額または毎月の返済額だけでなく、諸費用を含めた総費用を考慮に入れましょう」と案内しています。
計算のイメージはとてもシンプルです。
(借り換えによって減る利息の総額)−(借り換えにかかる諸費用)= 実際の効果
ここがマイナスになるなら、金利がどれだけ下がっても借り換える意味はありません。逆に、金利差が小さくても、残っている期間が長ければプラスになることもあります。「差が◯%あるかどうか」だけを見て決めない——これが最初のポイントです。
借り換えでかかるお金の一覧
では、諸費用には何が含まれるのでしょうか。代表的なものを整理しました。
| 費用の種類 | 決まり方の目安 | 押さえておきたい点 |
|---|---|---|
| 事務手数料 | 借入金額に対する定率型(例:2.20%〈税込〉)と、金額が決まっている定額型がある | 金額がいちばん大きくなりやすい項目。金融機関ごとに考え方が違うので必ず確認を |
| 保証料 | 保証会社を利用する場合に発生。一括前払いか金利上乗せかを選べることが多い | 保証料が0円の住宅ローンもある。「保証料なし=安い」とは限らず事務手数料とセットで見る |
| 印紙税 | 金銭消費貸借契約書に貼付。借入額1,000万円超5,000万円以下は2万円 | 売買契約書と違い、ローン契約書は印紙税の軽減措置の対象外。電子契約なら扱いが変わる場合があるため各行に確認を |
| 登録免許税(抵当権の抹消・設定) | 抹消は不動産1個につき1,000円。設定は借入額に応じて計算 | いまの抵当権を外し、新しく設定するので2回分の手続きが必要 |
| 司法書士報酬 | 登記手続きの依頼料。案件により幅がある | 金融機関から見積りが出る。内訳を確認しておくと安心 |
| 物件検査手数料など | 【フラット35】へ借り換える場合に必要になることがある | 商品によって必要な書類・手数料が異なる |
| いまのローンの繰上返済(完済)手数料 | 金融機関により有料・無料が分かれる | 見落としやすい費用。返済中の金融機関に事前に確認を |
これらを合計すると、まとまった金額になります。「毎月2,000円下がった」だけでは足りないことがあるのは、この費用があるからです。
なお、諸費用の中身をもう少し詳しく知りたい方は、プランで違いが!実は大きく金額が変わる住宅ローンの諸費用もあわせてご覧ください。
よく言われる「3つの目安」の使い方
借り換えの話になると、次の3つがよく挙げられます。
- いまの金利と新しい金利の差が1%以上あること
- 残りの返済期間が10年以上あること
- ローン残高が1,000万円以上あること
この3つは、「まず検討する価値があるかを判断する入口の目安」として今も役に立ちます。差が大きく、期間が長く、残高が多いほど、減る利息の総額が諸費用を上回りやすいからです。
ただし、絶対の条件ではありません。たとえば残高が3,000万円以上あって残り期間も25年あるようなケースでは、金利差が0.5%程度でも効果が出ることがあります。逆に、3つとも満たしていても、諸費用が高い商品を選べば効果は目減りします。
住宅金融支援機構は借り換えシミュレーションを公開しており、いまのローンと借り換え後のローンを並べて比較できます。目安に当てはまるかを気にするより、ご自身の数字を入れて計算してみるほうが確実です。
金利タイプが変わることも考えておく
借り換えは「金利を下げる」ためだけのものではありません。変動金利から固定金利へ移して、将来の金利上昇の不安を減らすという使い方もあります。この場合、目先の毎月返済額は下がらない(むしろ上がる)ことがありますが、返済額が確定する安心を得られます。何を目的にした借り換えなのかを、はじめに決めておきましょう。
いま借り換えを考える人が増えています
2026年に入り、住宅ローンの金利は上昇の局面にあります。日本銀行の政策金利は2026年6月に1.0%程度へ引き上げられ、変動金利の基準となる短期プライムレートを見直す銀行も出てきました。
こうしたなか、住宅ローン比較サービスのモゲチェック(運営:MFS)が公表した調査として、2026年8月24日に次のような内容が報じられています。
- 借り換えを検討している人が「現在返済中」の金利は、2026年7月時点の平均で1.55%。7か月連続の上昇で集計開始以来の最高水準
- 変動金利で返済している人のうち47.3%が、借り換えにあたって固定金利への切り替えを検討している
この数字を読むときは、母集団に注意してください。調査の対象は「借り換えを検討している人」であって、住宅ローンを借りている人全体ではありません。金利の上昇に不安を感じている層が多く含まれる調査だ、ということです。「住宅ローン利用者の平均金利が1.55%」という意味ではありませんし、「半数が固定に移した」わけでもありません(検討している、という段階です)。
それでも、同じ悩みを持つ人が増えていること自体は事実です。変動から固定への借り換えが得かどうかは、金利差だけでなく事務手数料・保証料・団信の条件・残りの返済期間で変わります。まわりの動きは参考にとどめて、判断はご自身の数字で行ってください。
※調査の詳しい内容や最新の数値は、モゲチェックの公式レポートでご確認ください。
民間から【フラット35】へも借り換えできます
ここは誤解が多いところなので、はっきりお伝えします。
住宅金融支援機構は公式サイトで、「民間金融機関の住宅ローンからの借換えのほか、【フラット35】や住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫を含む。)の住宅ローンからの借換えも可能です」と案内しています。つまり、民間の銀行で借りている住宅ローンを、全期間固定の【フラット35】へ借り換えることはできます。
変動金利で借りていて金利上昇が不安、という方にとっては現実的な選択肢のひとつです。参考までに、2026年8月資金受取分の【フラット35】の借入金利(新機構団信付き・最も多い金利)は、借入期間21年以上35年以下で融資率9割以下が年3.290%、9割超が年3.400%でした。
ただし注意点もあります。
- 【フラット35】には技術基準があり、物件が基準に適合していることの証明が必要です
- 同じ金融機関のなかで、その金融機関の住宅ローンから【フラット35】へ借り換えられるかは、金融機関によって取扱いが異なります
- 金利は毎月改定されます。申込時ではなく資金を受け取る月の金利が適用されます
最新の条件と金利は、必ず【フラット35】の公式サイトと、取扱金融機関の案内でご確認ください。
手続きの流れとそろえるもの
借り換えは、思い立ってから完了するまで1〜2か月程度みておくと安心です。
ステップ1 いまの契約内容を確認する
返済予定表を手元に出して、残高・残りの期間・適用金利・金利タイプを確認します。ここが分からないと比較できません。あわせて、完済時の手数料の有無も返済中の金融機関に聞いておきます。
ステップ2 候補を絞ってシミュレーションする
2〜3行に絞り、諸費用を含めた総費用で比べます。金融機関のサイトや機構のシミュレーションを使いましょう。
ステップ3 申し込みと審査
必要になるのは、本人確認書類・収入を証明する書類(源泉徴収票や確定申告書)・いまの住宅ローンの返済予定表・物件の登記事項証明書や売買契約書などが一般的です。新規に借りるときと同じように、健康状態の告知や団体信用生命保険の加入手続きもあります。
ステップ4 契約・実行・登記
新しいローンが実行されると同時に、いまのローンが一括返済されます。抵当権の抹消と設定は司法書士が手続きします。
借り換えでつまずきやすいところ
Q. 借り換えの審査は、最初に借りたときより厳しいのですか?
A. 厳しいというより「今の自分」で改めて審査されると考えてください。購入時から年収が下がっていたり、転職直後だったり、車のローンなど他の借入が増えていると、結果が変わることがあります。健康状態によって団体信用生命保険に加入できず、借り換えできないケースもあります。
Q. 返済期間は延ばせますか?
A. 商品によっては延ばせますが、期間を延ばすと毎月の返済額は下がる一方、支払う利息の総額は増えます。完済時の年齢の上限もあります。「毎月が楽になった」だけで判断しないようにしてください。
Q. 住宅ローン控除は借り換えても受けられますか?
A. 一定の要件を満たせば、借り換え後のローンでも引き続き対象になります。ただし返済期間が10年以上であることなどの条件があり、借り換えで期間が短くなると対象から外れることがあります。詳しくは国税庁の案内でご確認ください。
Q. 諸費用も借り換えのローンに含められますか?
A. 諸費用も合わせて借りられる商品があります。手元の現金は減りませんが、借入額が増えるぶん利息も増えます。含めた場合と含めない場合の両方で試算してから決めてください。
まとめ
借り換えの判断は、次の順番で進めると迷いません。
- いまの契約内容(残高・残期間・金利・金利タイプ)を確認する
- 何のための借り換えかを決める(利息を減らす/返済額を確定させる)
- 諸費用を含めた総費用で、2〜3行を比べる
比べるときは、金利だけでなく事務手数料・保証料・団体信用生命保険の内容・繰上返済の手数料まで並べてみてください。たとえばSBI新生銀行は保証料が原則0円で、一部繰上返済の手数料もかからず、一般団信は金利の上乗せなしで付帯します。こうした費用まわりの分かりやすさは、長く付き合う住宅ローンでは意外に効いてきます。
※記載の金利・手数料・条件は2026年8月時点で公式サイトを確認した内容です。最新の適用金利・取扱いは、各金融機関および【フラット35】の公式サイトでご確認ください。

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