個人版民事再生のメリットとデメリットを徹底解説
2017年11月18日の記事で、住宅ローン以外にも多くの借り入れがあり、月々の返済が困難な状況になった場合の手続きとして「個人版民事再生」について紹介しました。個人版民事再生を利用すると、任意売却や競売とは異なり、購入した住宅を手放すことなく債務を低減することができます。
月々の返済に苦しんでいる方でどうしても住宅を手放したくない場合は「個人版民事再生」を検討する事になりますが、その際のメリットとデメリットを紹介します。
個人版民事再生は安定収入が見込める方を対象とした債務を低減
個人版民事再生については、2017年11月18日の記事で詳細を記載していますが、住宅ローンを含め、自動車ローン、カードローンなど複数のローンを契約しており、月々の返済が困難な状況になっている場合の債務低減を行うための制度です。
一般的に、個人が多重債務に陥った後に行われる手続きとして「自己破産」がありますが、自己破産は借金をゼロにする代わりにご自身が所有している住宅や財産など日常的に必要となるものを除いて手放す必要があります。
一方で、個人版民事再生は所有している住宅を手放す必要がなく、あくまでも安定収入があることを前提に債務を低減する仕組みです。個人版民事再生には自営業を対象として「小規模個人再生」と、給与所得者を対象とした「給与所得者等再生」があり、住宅ローンを除いて、借入総額は5,000万円以下であることが条件となっています。
個人版民事再生を利用するメリット
個人版民事再生を利用するメリットとして大きいのは、「住宅を手放す必要がないこと」に加え、「債務を低減することができる」の2つがあります。また、個人版民事再生をしたことによって仕事を失うこともありませんので、生活環境を大きく買えることなく債務低減ができることにあります。
1.住宅を手放す必要がないこと
個人版民事再生は、住宅ローン以外の債務に対して債務負担を軽減する制度となりますので、住宅を手放す必要はありません。
そのため、自己破産とは異なり、住宅などほぼ全ての財産を手放す必要があることを考えると、精神的な負担が殆どないことや、今の住宅に住み続けることができますので、引っ越しの必要もなく生活環境を維持できるメリットもあります。
2.債務を低減することができる
個人版民事再生では、住宅ローン以外の債務を、借入総額によって低減できる金額が決まります。
低減額は5段階に分けられており、借入総額が100万円未満は全額返済ですが、100万円以上500万円未満は返済額は100万円、500万円以上1,500万円以下は5分の1を返済、1,500万円以上3,000万円未満は300万円を返済、3,000万円以上5,000万円以下は10分の1を返済する必要があります。
ただし、減額された返済額については、原則3年以内に返済する必要があります。
3.個人版民事再生を利用したことで仕事を失うことがない
自己破産を利用した場合、弁護士や司法書士、税理士、会計士といった職業につくことが制限されますが、個人版民事再生ではこの様な職業の選択制限がありませんので、万が一、これらの職業についていた場合に止む得ず個人版民事再生を利用した場合でも、仕事を失うことがありません。
個人版民事再生を利用するデメリット
個人版民事再生は、住宅を手放すことがなく債務が低減できるメリットがありますが、債務低減の手続きになりますので、クレジットカードやローンの新規契約が一定期間できなくなるなど、個人版民事再生を利用したことによってサービスを受けるのに何かしらの制限がかかってしまうデメリットがあります。
1.クレジットカードやローンの契約が新たに出来ない
個人版民事再生の手続きを行ったという事実が信用情報に登録されることになりますので、最長5年間は、クレジットカードやローンサービスの新規契約ができなくなってしまいます。
2.住宅ローンの返済は減額とはならない
個人版民事再生は、住宅ローン以外の債務を対象としてますので、住宅ローンの借入額は対象外となってしまいます。そのため、住宅ローンの債務を低減できませんので注意が必要です。
3.官報に氏名と住所が記載される
個人版民事再生を利用すると「官報」に、自己破産や個人版民事再生の手続きを行った事実が記載されます。そのため、第三者の多くにその事実が知られることになります。
4.安定した収入がある方に限られる
個人版民事再生は、あくまでも今後も継続的に安定した収入があることを条件であるため、無職など収入が無いもしくは不安定であると認められた場合は利用できません。
5.連帯保証人が残りの債務を肩代わりする必要がある
個人版民事再生は、減らした債務については連帯保証人が代わりに支払うことになり連帯保証人となった方に迷惑がかかります。そのため、事前に連帯保証人と個人版民事再生を利用する旨を相談しておく必要があります。
- 2017.12.15
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