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個人版民事再生のメリットとデメリット|家を残して借金を減らす方法

住宅ローン以外にも多くの借り入れがあり、月々の返済が苦しくなってしまったとき、家を手放さずに借金を整理する方法として「個人版民事再生(個人再生)」があります。以前の個人版民事再生を紹介した記事でも触れたとおり、任意売却や競売とは違い、購入した住宅を残したまま債務を大きく減らせる可能性があるのが特徴です。

「どうしてもこの家には住み続けたい」という方にとって、心強い選択肢になり得ます。ここでは、個人版民事再生のメリットとデメリットを、はじめての方にもわかるように整理します。

個人版民事再生は「安定収入のある人」が使える債務整理

個人版民事再生は、住宅ローンを含め、自動車ローンやカードローンなど複数の借り入れがあり、月々の返済が困難になった場合に、債務を減らすための制度です(くわしくはこちらの記事で解説しています)。

多重債務の整理というと「自己破産」を思い浮かべる方も多いかもしれません。自己破産は借金がゼロになる代わりに、原則として住宅など一定以上の財産を手放す必要があります。一方の個人版民事再生は、住宅を手放さずに、借金そのものを減額する仕組みです(ただし安定した収入があることが前提です)。

個人版民事再生には、自営業の方などが利用する「小規模個人再生」(安定収入があれば給与所得者も利用可能で、実務ではこちらが多く使われます)と、給与所得者向けの「給与所得者等再生」があります。いずれも、住宅ローンを除く借入総額が5,000万円以下であることが利用の条件です(5,000万円を超える場合はこの手続きは使えません)。

個人版民事再生を利用するメリット

住まいを守りながら家計を立て直すイメージ

個人版民事再生の大きなメリットは、「住宅を手放さずに済む」「借金を減額できる」の2つです。さらに、手続きをしても仕事を失うことがないため、生活環境を大きく変えずに家計を立て直せます。

1. 住宅を手放す必要がない

個人版民事再生では、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用することで、住宅ローンはこれまでどおり返済を続けながら、それ以外の借金だけを減額できます。そのため、自己破産のように住宅を手放す必要がなく、今の家に住み続けられます。引っ越しの必要もなく、精神的な負担も比較的小さく済むのが魅力です。

2. 借金を減額できる

個人版民事再生では、住宅ローン以外の借金が、借入総額に応じて決まる「最低弁済額」まで減額されます。法律で定められた最低弁済額の目安は次のとおりです。

住宅ローンを除く借入総額 最低弁済額(目安)
100万円未満 全額(減額なし)
100万円以上 500万円以下 100万円
500万円超 1,500万円以下 借入総額の5分の1
1,500万円超 3,000万円以下 300万円
3,000万円超 5,000万円以下 借入総額の10分の1

ただし注意したいのが、「清算価値保障」というルールです。これは「持っている財産の総額(清算価値)より少ない金額までは減らせない」という考え方で、預貯金や評価額の高い車・保険の解約返戻金などの財産が上の最低弁済額を上回る場合は、財産額のほうが返済額になります。住宅を残す場合も、住宅の価値はこの清算価値の計算に関わってくるため、必ずしも表のとおりに減るとは限らない点を押さえておきましょう。

また、減額後の返済は原則3年(事情によっては最長5年)で返済していくことになります。

3. 仕事を失うことがない

自己破産では、手続き中に弁護士・税理士・警備員など一部の資格・職業が制限されることがあります。一方、個人版民事再生にはこうした資格制限がありません。これらの職業の方でも、仕事を続けながら手続きを進められます。

個人版民事再生を利用するデメリット

クレジットカードやローンの利用制限をイメージした写真

住宅を残しながら借金を減らせる一方で、信用情報や手続きの面で一定の制限がかかる点には注意が必要です。

1. クレジットカードやローンの新規契約が一定期間できない

個人版民事再生を行った事実は信用情報に登録される(いわゆるブラックリスト)ため、おおむね5年程度は、クレジットカードやローンの新規契約・利用が難しくなります。

2. 住宅ローン自体は減額されない

個人版民事再生で減らせるのは「住宅ローン以外の借金」です。住宅資金特別条項を使う場合、住宅ローンそのものは減額されず、これまでどおり返済を続ける必要があります。

3. 官報に氏名・住所が掲載される

手続きをすると「官報」に氏名や住所が掲載されます。とはいえ、官報を日常的に見る人は限られるため、勤務先や近所に直ちに知られるわけではありませんが、記録として残る点は知っておきましょう。

4. 安定した収入がある人に限られる

個人版民事再生は、今後も継続的・反復的に安定した収入が見込めることが前提です。無職や収入が不安定と判断される場合は利用できません。

5. 保証人・連帯保証人に請求がいく

減額された借金については、保証人・連帯保証人が残りを支払う義務を負うことになります。保証人に大きな迷惑がかかるため、手続き前に必ず相談しておきましょう。


よくある質問(FAQ)

Q. 借金は必ず5分の1や10分の1まで減りますか?
A. いいえ。最低弁済額はあくまで法律上の下限の目安で、「清算価値保障」により持っている財産が多い場合は減額幅が小さくなります。実際の減額額は、財産や収入によって変わります。

Q. 個人版民事再生と自己破産はどう違いますか?
A. 自己破産は借金が原則ゼロになる代わりに、住宅など一定以上の財産を手放します。個人版民事再生は、安定収入を前提に住宅を残しながら借金を減額する手続きです。どちらが向くかは状況によります。

Q. 自分で手続きできますか?
A. 手続きは複雑で、再生計画案の作成や裁判所とのやり取りが必要です。個別の事情によって結果も変わるため、まずは弁護士・司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

個人版民事再生は、住宅を守りながら家計を立て直せる可能性のある制度です。ただし条件や減額のしくみは複雑で、保証人への影響もあります。利用を検討する際は、最新の制度内容を確認のうえ、弁護士・司法書士などの専門家に相談しながら進めましょう。

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