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任意売却とは?競売との違いとメリット・デメリット、進め方

任意売却は、住宅ローンを返せなくなったときに、借りている金融機関の同意を得て、自宅をふつうの不動産取引で売る方法です。裁判所が強制的に売る競売(けいばい)より高く売りやすく、引越しの時期も話し合いで決められます。

使えるのは競売の手続きが進みきる前までで、売った後もローンが残ることがあります。返済が苦しいと感じた時点で、何から手を付けるかを知っておくと、取れる方法を減らさずに済みます。

任意売却とは金融機関の同意を得て自宅を市場で売る方法

住宅ローンを組むと、自宅には抵当権が付きます。抵当権とは、返済が止まったときに金融機関が家を売ってお金を回収できる権利のことです。

ローンを全額返さないと抵当権は外れないので、ふつうは家を売ることができません。任意売却では、売った代金が残高に届かなくても、金融機関が抵当権を外すことに同意します。

売却代金はそのまま返済に充てられ、足りない分は売った後に返し方を相談します。フラット35を扱う住宅金融支援機構も、返済を続けられない人に任意売却を案内しています。

収入が大きく減って返済が厳しくなったときの対処法は、返済が苦しくなったときの対処法についての記事で紹介しています。

任意売却と競売の違いは売れる価格と退去の時期

競売とは、滞納が続いたときに金融機関などの申立てを受けて、裁判所が自宅を強制的に売る手続きのことです。入札で買い手が決まり、売る時期や価格に持ち主の希望は通りません。

項目 任意売却 競売
売却価格 相場に近い価格で売り出せる 相場より安く落札されることが多い
近所への知られやすさ ふつうの売却と同じで知られにくい 裁判所の物件情報サイトなどで公開される
引越しの時期 買主・金融機関と話し合って決める 落札した人が代金を納めると明け渡しを求められる
手続きの進め方 本人・不動産会社・金融機関が相談しながら進める 裁判所の手続きとして進む
売却にかかる費用 仲介手数料などを売却代金から差し引ける場合がある 売却代金は裁判所が債権者へ配当する

高く売れれば、売った後に残るローンも少なくなります。たとえば残高2,500万円の家が2,000万円で売れたとします。残りは500万円ですが、1,700万円でしか売れなければ800万円が残ります。

滞納してから競売に至るまでの流れは、住宅ローンを滞納したときの解説記事をご覧ください。

任意売却ができるのは競売の開札日の前日まで

滞納が始まってから競売までは、おおむね次の順で進みます。かかる期間は金融機関や状況で違い、下はあくまで順番の目安です。

  • 返済が遅れると、金融機関から督促の通知や電話が来る
  • 滞納が続くと、分割で返す権利(期限の利益)を失い、残高を一括で返すよう求められる
  • 保証会社が付いているローンでは、保証会社が残高を立て替えて払い(代位弁済)、以後は保証会社から返済を求められる
  • 金融機関や保証会社が裁判所に競売を申し立て、競売開始決定の通知が届く
  • 入札が行われ、開札の日に買い手が決まる

競売開始決定の通知が届いた後でも、申立てが取り下げられれば任意売却に切り替えられます。裁判所の案内では、申し立てた側の判断だけで確実に取り下げられるのは開札期日の前日までです。

とはいえ、買主を探して金融機関の同意を取るには時間がかかります。開札の直前に動き出しても間に合わないおそれがあるので、通知が届いた時点で相談を始めてください。

任意売却のメリットは残るローンを減らしやすいこと

任意売却を選ぶと、競売と比べて次のような違いがあります。

①相場に近い価格で売れる

任意売却はふつうの不動産取引と同じ流れで買主を探すので、入札で決まる競売より高く売れることが期待できます。売値が上がれば、その分だけ売った後に残るローンが減ります。

②引越しの時期を相談できる

競売では、落札した人が代金を納めた時点で家の持ち主が変わります。任意売却なら、子どもの学期の区切りに合わせるなど、買主や金融機関と相談して退去の日を決められます。

③近所に知られにくい

競売になると、物件の情報が裁判所の公告やインターネットの物件情報サイトに載ります。任意売却は通常の売り出しと見た目が変わらないので、事情を周りに知られにくい方法です。

④売却の費用を代金から出せる場合がある

手元にお金が残っていないと、仲介手数料や登記の費用を払えるか不安になります。住宅金融支援機構の案内では、手続きに協力すれば、仲介手数料や抵当権の抹消登記費用などを売却代金から差し引ける場合があります。

⑤売った後の返し方を相談できる

売却後に残ったローンは、生活の状況に合わせて無理のない額で分割して返す相談ができることがあります。機構の場合は、延滞損害金(遅れた分の利息に当たるお金)の減額を相談できる場合もあります。

任意売却のデメリットは同意が必要なことと借金が残ること

任意売却には、売ると決める前に知っておくべき注意点が4つあります。

①抵当権を持つすべての債権者の同意が要る

任意売却を進めるには、抵当権を持つ金融機関や保証会社など、すべての債権者の同意が必要です。借入先が複数あると、全員の同意を取るのに時間がかかり、話がまとまらないこともあります。

②売った後もローンが残ることがある

売却代金がローンの残高に届かなければ、差額は借金として残ります。残った分の返済義務は売っても消えず、連帯保証人がいれば、その人も返済を求められます。返しきれない場合は、弁護士に自己破産などの手続きを相談することになります。

③信用情報に延滞の記録が残る

返済が61日以上または3か月以上遅れると、信用情報機関に異動(長期の延滞)として登録されます。記録は契約が終わってから5年ほど残り、その間は新しいローンやクレジットカードの審査に通りにくくなります。

④団信の保障も終わる

団信(団体信用生命保険)とは、借りた人が亡くなったときなどにローンの残りを保険で返す仕組みのことです。機構の任意売却パンフレットでは、期限の利益を失うと団信の保障も終わると説明しています。

返済が苦しくなったらまず返済方法の変更を相談する

家を手放す前に、返済の負担を軽くする方法がないかを借りている金融機関に相談してください。住宅金融支援機構では、収入が減った人などに向けて返済期間の延長などの返済方法変更を用意しています(審査があります)。

期間を延ばすと毎月の返済は減りますが、利息がかさんで総返済額は増えます。それでも返済を続けられそうにないときに、任意売却を考える流れになります。機構のローンでは、任意売却はおおむね次の順で進みます。

  • 返済中の金融機関に任意売却の申出書を出す
  • 不動産会社に査定してもらい、売り出す価格を金融機関に確認してもらう
  • 確認を受けた価格で売り出し、買主を探す
  • 金融機関から抵当権を外す承諾をもらい、買主と売買契約を結ぶ
  • 代金を受け取って返済に充て、残った分の返し方を相談する

金融機関が確認していない価格で買主を見つけても、抵当権を外してもらえない場合があります。売り出す前に、価格について金融機関の了解を取っておくことが欠かせません。

任意売却された家を買う側の注意点は、任意売却物件を買うときのメリット・デメリットで解説しています。

まとめ

任意売却は、競売より高く売りやすく、引越しの時期も相談できる方法です。ただし、すべての債権者の同意が必要で、売った後もローンが残ることがあります。

返済が遅れそうだと分かった時点で、まずは借りている金融機関に返済方法の変更を相談してください。早く動くほど、返済を続ける方法も任意売却も、検討できる時間が残ります。

返済方法の変更や任意売却の手続きは金融機関ごとに扱いが違うので、動き出す前に借りている金融機関で最新の内容を確かめてください。

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